政府の新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議で、出席者の発言を記録する議事録だけでなく、ICレコーダーなどによる録音もされていなかったことがわかった。 専門家会議の事務局がある内閣官房はハフポスト日本版の取材に対し、議事録や録音を残していない理由について「自由に議論していただけないのではないか」と話している。 今後も作らない 政府の新型コロナ専門家会議は、医学的な見地から政府へ助言などを行うために開催されている。これまでに公式サイトでは会議に提出された資料のほか、発言の内容などをまとめた議事概要が掲載されていた。 この概要は5月29日現在、第6回会議(3月9日開催)分まで公表されている。 一方で、誰がどのような発言をしたのかや、賛成・反対がどの程度あったかなど、議論がどのように進んだかを記録した詳細な議事録は公表されてこなかった。 内閣官房の担当者は「議事録の作成は求められていない。ガイドラインに沿って記録をまとめている」と話す。今後も作る予定はないという。 担当者によると、第1回会議(2月16日開催)の時点で、出席した専門家に発言者の名前を明記しないで会議内容を記録することを確認していたという。 そのうえで、記録を議事概要にとどめた理由については「誰が発言したかよりも、どんな内容が話されたかではないか。(発言者名を明記すると)自由に議論していただけないのではないか」と話した。 Twitterではこうした姿勢に批判の声も上がっている。元大阪府知事の橋下徹氏や、日本共産党の山添拓参議院議員らは「ICレコーダーで録音していれば済む」「録音データはあるだろう」などとして、データをもとに議事録の作成をするべきだと主張している。 一方で担当者は「録音はしていない」と話し、「速記者を入れている」とした。 また、過去に実施された会議の議事録を作成できるか聞いたところ「お答えはできない」とのことだった。 政府は3月に新型コロナウイルスを歴史的緊急事態に指定していて、政府全体のとして対応する会議やその他の会合は「将来の教訓として極めて重要」とされ、性格に応じて記録を作成すると定められている。 高橋史弥(Fumiya Takahashi) 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
江の島近くの海水浴場、今夏断念 海の家完全予約制が壁
全国トップクラスの人出を誇る神奈川県藤沢市の片瀬西浜・鵠沼(くげぬま)、片瀬東浜の両海水浴場が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今夏は開設されない見通しになった。県が「海の家を完全予約制にする」といった指針で高いハードルを示し、運営側があきらめる形だ。関係者によると、各海水浴場を運営する組合が開設しない方向で最終調整しており、近く検討結果を藤沢市に報告する。 両海水浴場は人気観光地・江の島のすぐそばにあり、毎夏、首都圏などから多くの人が訪れる。環境省のまとめでは、2018年度の利用者は西浜が101万4千人で全国トップ。東浜は55万4千人だった。 神奈川県内では利用者が数十万人規模の海水浴場がほかにも複数あり、感染拡大を警戒する県は今月21日、沿岸部の13市町や各海水浴場の設置者団体に対し、海水浴場を今夏開設する場合は、海の家を完全予約制にする▽砂浜に一定間隔で目印を設置する▽イベントは中止する――などの事項を順守するよう求める指針案を提示していた。 県内では、茅ケ崎市が「サザンビーチちがさき海水浴場」を、大磯町が大磯海水浴場を開設しないとそれぞれ発表。関西でも、神戸市が27日、須磨海水浴場などの開設中止を発表している。(秦忠弘) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
細るおっさんの叫び声…コロナ後の再開、動物もストレス
新型コロナウイルスの影響で4月10日から閉園していた東山動植物園(名古屋市千種区)が28日、プレオープンした。専用サイトで事前予約をした人ら約4100人が訪れ、「イケメンゴリラ」のシャバーニなどの人気動物に歓声を上げていた。6月2日から本格再開する。 同園は2016年12月~翌年1月、鳥インフルエンザの影響で動物園エリアを閉園したことはあったが、植物園を含めて、これほど長期にわたって閉園したのは戦後初めてという。 再開にあたっては、入場者数の上限を例年の休日の3分の1(約5千人)に絞り、事前予約制を取る(65歳以上の市内在住者らは除く)。園の入り口に消毒液を置き、「マスクの着用」「距離の確保」を呼びかける。また自然動物館など屋内施設は当面は閉じたままにしている。水谷薫・総合公園長は「少しでも『密』の状態を避けるため理解をいただきたい」と話し、事前予約制については1カ月後をめどに感染状況をみて見直しを検討するという。名古屋市名東区から夫と5歳の子どもと一緒に訪れた女性(33)は「手間はかかるけれど大混雑は怖いのでしょうがない」と話した。 ■「叫び声」10分… 980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
仕事、学校、客足…新しい日常、戻ったものと戻らぬもの
新型コロナウイルスが変えた私たちの暮らしは、緊急事態宣言の解除後も続きます。宣言解除から1、2週間経つ地域では、不安や葛藤を抱えながら、手探りの「新しい日常」が始まっています。 拡大する昼の休憩時間に公園で弁当を食べる会社員ら=2020年5月25日、大阪市西区の靱公園 公園は勤め人の昼食の場に 緊急事態宣言が大阪、京都、兵庫の3府県で解除されてから初の週明けとなった25日、昼食時を迎えた大阪市西区の靱(うつぼ)公園では、弁当を食べるスーツ姿の会社員らが多くみられた。 縁石に座って食べていた会社員の吉本新さん(26)と同僚の西本昌平さん(27)はこの日から、通常勤務に戻った。付近の飲食店も営業を再開したが、2人は「まだ感染が怖いから、しばらくは公園での弁当を続けたい」。 西本さんは「第2波」を避けるため、居酒屋などでの「リアル飲み会」も当面控えるという。東京や地方で働く学生時代の友人らと「リモート飲み会」を経験し、「終電を気にせず飲めるのがいい。遠くにいる友人と話せ、リアルじゃなくても意外に楽しい」と話す。 吉本さんも暮らしに変化が生まれた。帰宅後に1時間ほど、ジョギングするようになった。「寝起きがすっきりするし、制限が多い毎日のストレス解消になる。新しい楽しみを見つけました」 理髪店 客足戻るも「予約はゆとりもたせる」 大阪府吹田市で理髪店を営む田所正宏さん(57)は23日、2カ月ぶりの常連客を迎えた。カット用のいすが2席の小さな店はエアコンと換気扇をつけ、窓も開け放っている。「伸びましたね。いつもより短めに切っときましょか」とはさみを入れた。 緊急事態宣言が出される前から感染防止策をとってきた。予約にゆとりを持たせて合間に換気。マスクを着用し、カウンターには手指消毒のスプレーも置いた。「家族に引き留められた」と言いながらも客は来ていた。 宣言後は、近くにある大学への学生の立ち入りが禁止になり、「ゴーストタウンみたい。見たことのない閑散とした光景だった」。平日の客数は1人か2人に減った。 客もピリピリしていた。「換気に窓を開けてほしい」と言われ、寒くても換気を優先するように。親子で来ていた常連客は父親だけで来店し、「子どもの前髪の切り方を教えてほしい」と頼まれた。高齢の男性客の妻から電話で「3密」を避けるための配慮や店の様子を聞かれたこともあったという。 21日の宣言解除後、学生は戻っていないが、カップルや親子連れらの姿を見かけるようになった。飲食店やボウリング場も営業を再開し、にぎやかさが戻る気配を田所さんは感じている。 拡大する2カ月ぶりという中学生の髪をカットする理容師の田所正宏さん(右)。入店は1組ずつとし、窓を開けるなど換気対策を継続している=2020年5月23日、大阪府吹田市 23、24日の来客は約15人と、ふだんの週末の4分の3ほどに。「お客さんはみな、マスクを着けて来た。手指の消毒に気遣う人もいて、衛生への意識は変わっていない。人出は増えても緩んだ感じはしない」 2カ月にわたって客足が止まっていたことを思えば、予約を目いっぱい詰めたいのが本音だが、「感染を防ぎつつ、安心して来てもらうためにも、今後も予約はできるだけゆとりを持たせるつもり。手探りしていくしかない」と話した。(小若理恵、田中章博) 「震災は復旧すれば元に。でも今回は違う」 関西3府県の緊急事態宣言が解除された21日、神戸市の池本香緒利さん(57)は派遣の仕事に行き始めた。コロナで3月の開始がずれ込んだ。 職場まで30分ほどバスに乗る。手すりなどを触らないよう気を使う。車内は混んでいるというほどではないが、以前の7割近くまで乗客が戻っている印象だ。窓が開いているのも以前とは違う。 職場にはドアの取っ手なども消… 980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【動画】29日の天気 – 広く晴れるが 関東甲信はにわか雨も 日中は気温上昇 カラッとした暑さに(29日7時更新)(ウェザーマップ)
きょうは、高気圧に覆われて、広く晴れるでしょう。気温は上がりますが、カラッとした暑さです。 ただ、日差しはあっても、関東甲信や北海道東部は変わりやすい天気です。午後の急な強い雨や雷雨に、お気を付けください。 西日本や北陸は青空が広がるでしょう。 関東も日差しはありますが、午後はにわか雨や雷雨に注意が必要です。 東北も穏やかに晴れるでしょう。北海道は東部を中心に、不安定な天気です。 日中の気温は、仙台など東北でも25℃以上の夏日で、7月中頃の気温になりそうです。 また、関東から西の地域は28℃前後の予想で、こちらも平年より高くなるでしょう。ただ、湿度が低いのでカラッとした暑さです。 この先、那覇(沖縄)は月曜日まで、梅雨空が続くでしょう。ただ、その後は晴れてくる見込みです。 週末、九州から天気は下り坂に向かい、日曜日から月曜日にかけて東日本や西日本は曇りや雨のどんよりした天気になりそうです。 鹿児島は土曜日以降、曇りや雨の日が続き梅雨前線も北上してくるため、九州南部はこのタイミングで梅雨入りの発表があるかもしれません。 最高気温は25℃を超えて、北海道も含めて夏日の所が多くなりそうです。 (気象予報士・柴本愛沙) 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
動画解説 関東 今日もにわか雨に注意(ウェザーニュース)
ウェザーニュース 昨日、関東では強い雨や落雷、雹などもありました。今日も天気急変に注意が必要です。 気温が上がる午後は大気の状態が不安定になり、内陸部で再び雲が増え、関東のエリアで雨の可能性があります。 ソラヨミしながら、天気の急変にご注意ください。外出される際は折り畳み傘をお持ちください。 ウェザーニュース 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
自治体 農林職員2割減 現場密着に支障も(日本農業新聞)
自治体の農林水産担当職員の減少が止まらない。市町村、都道府県ともに担当職員数(2019年)は15年間で2割以上減っていることが、農水省のまとめで分かった。一般行政職全体は直近で微増の一方、農林水産分野の体制の弱体化が顕著だ。生産現場の課題解決に向けて支援するには、現場に近い自治体の体制強化が欠かせず、職員育成や業務効率化が課題だ。 総務省の調査結果に基づき農水省がまとめた。19年の農林水産担当職員数は、市町村が04年比27%減の3万人。都道府県は同24%減の約5万人。いずれも04年から1万人以上減った。都道府県の普及指導員数は、同33%減の約7200人だった。 一方、一般行政職全体で見ると、市町村、都道府県ともに直近5年間で職員数は微増している。農林水産担当は一貫して減っており、体制の弱体化が進む。 農村振興は、集落ごとの実態や要望を現場に出向いて把握することが欠かせない。農水省は自治体の体制の弱体化で「集落が抱える課題が十分に把握されず、解決に向けた取り組みが行われていない恐れがある」(農村振興局)と懸念する。 こうした状況を踏まえ、同省は、農村政策の在り方を検討する有識者会合を新設。課題解決を担う自治体職員らを育成する仕組みづくりを論点に挙げる。自治体やJA、地域運営組織などの職員らが、地域住民の行動を後押しするという将来像を想定する。 職員数が減る一方、補助金交付のための現地確認や各種調査など、1人当たりの負担は増している。「現場で農家とゆっくり話す時間はなかなか取れない」(自治体関係者)ため、担い手不足など地域の課題に応じた対策を住民と一緒に検討するのも難しい状況だ。 新たな食料・農業・農村基本計画では「行政のデジタルトランスフォーメーションの推進」を打ち出し、行政手続きなどのデジタル化を進める方針。自治体の負担を減らす体制を早急に整えられるかが問われている。 日本農業新聞 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
[新型コロナ] 定年帰農に逆風?! 来年4月、「70歳就業法」施行 「第二の人生」の就農どうなる…(日本農業新聞)
企業に70歳までの雇用の確保を努力義務とするなど六つの関連法が来年4月から実施されることに、農業現場から戸惑いの声が上がっている。中高年の新規就農者の確保が進まない可能性があるからだ。識者は、農業の基盤強化の観点から、地域農業を支える中高年の新規就農について、年齢別のライフプランなどを国が就農希望者に示すべきだと話す。(川崎学) 中高年人材集まるか 定年帰農者の支援に力を入れるJA福島さくら郡山地区梨生産部会の菅島力雄さん(62)は3年前に神奈川県から新規就農した。「60歳の定年目前だから新規就農を考えられた。70歳では就農しない」(菅島さん)と語る。同部会の佐東富士夫部会長は「70歳で農業をしている人もいるが、継続して営農しているからだ」とした上で「農政で定年帰農者を集めようという流れもあるが、70歳での就農は難しい。矛盾が生まれてくる」と法改正に不満を抱く。 秋田県鹿角市で定年退職者の受け入れに力を入れる農事組合法人鏡田ファーミングの木村功相談役は「縦割りの施策だと感じる。厚労省と農水省がつながりを持って行政を進めてほしい」と話す。 木村相談役は「定年退職者の人材あっせんバンクのようなものがあれば相談したい」と話すが、「中高年が集まらないなら外国人材の活用も視野に入る」とする。 関連法の改正では、65歳までの定年延長や再雇用など雇用確保措置を70歳までの努力義務にする。他社への再就職、フリーランス契約、起業支援、社会貢献活動への支援も選択肢にし、70歳まで収入があるよう企業が資金提供する。社会保障制度の担い手を増やすのが狙いだ。国家公務員の定年引き上げ法案もこれらの動きに合わせたものだ。 2018年の新規就農者5万5800人のうち、52・2%は60歳以上だ。また15年の農林業センサスによると農業就業人口のピークは65~69歳(34万6773人)で、60歳以降に大幅に増加する傾向がある。一方、70~74歳で減少することから、70歳を機に農業を引退する人が増えることが分かる。 新たな食料・農業・農村基本計画では定年帰農に関して言及はないが、中小・家族経営を「地域社会の維持の面で重要な役割を果たしている」と評価。若手が大規模に営農し、地域を支えるという流れから風向きは変わっている。農地維持には定年帰農者が欠かせないが、定年延長で新規就農者が減少する恐れもある。集落営農などでは、会社勤めで培ったノウハウを生かし定年帰農者が活躍しているケースも多い。 次ページは:集落営農影響を懸念 福島大学食農学類 生源寺眞一学類長 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
新型コロナ禍、保護猫カフェも「変革の時」 インスタにライブ動画、新たな飼い主の手に(47NEWS)
「諦めの悪い保護猫カフェがあることを知ってほしい」。記者にメールが届いたのは、全国で新型コロナウイルスの感染が拡大していた4月中旬だった。各地の保護猫カフェが休業を余儀なくされ、譲渡会も軒並み中止になる中、この苦境を「変革の時」と捉え、プラスの力に変えようと動き始めた人たちがいた。(共同通信=沢田和樹) ▽営業中を超える反響 埼玉県の南東部にある越谷市。東武伊勢崎線の越谷駅からほど近いビル4階にある保護猫カフェ「さくら」は、5月でオープンから1年を迎えた。捨て猫や野良猫を捕まえた「保護主」から猫を預かり、カフェで新たな飼い主と出会う場を提供している。約20匹の猫の中には、目の見えない「まる」や足を脱臼している「もみじ」、多頭飼育崩壊の家庭から保護された「とら」など、さまざまな境遇の猫がいる。これまでに50匹以上を譲渡につなげてきた。 冒頭のメールの送り主は、さくらを運営する稲垣将治(いながき・まさはる)さん(35)だ。「いながき動物病院」の院長でもあり、野良猫の不妊去勢手術を主に手掛けている。昨年は年間7千匹以上の手術をした。猫のむやみな繁殖を避けるため、野良猫を捕獲(Trap)し、不妊去勢手術(Neuter)をした上で元の場所に戻す(Return)という「TNR」活動の一翼を担ってきた。 稲垣さんは、保護主からの手術依頼を請け負う。手術後の猫は、地域ぐるみで育てる「地域猫」として元にいた場所に戻すのがTNR活動の流れだが、けがをしているなどの事情で保護主が一時的に飼うことも多い。そんな猫の引き取り先を探す手助けをし、保護主の負担を減らすための場所として「さくら」が作られた。飼育費もさくらが負担している。 政府の緊急事態宣言が発令された後の4月8日以降、客やスタッフの感染防止のために店は休業、イベントも全て中止にした。それでも猫の世話をするためにスタッフは出勤する必要がある。 稲垣さんはいったん猫を保護主に返すことも考えたが、猫にとって住む場所を変えるのは大きなストレスだ。やっとカフェになじんだ猫もいる。スタッフと相談し、何らかの形で譲渡を続けることが猫や保護主のためになると考え、活動の続行を決めた。 「退路を断つことにしました。今できることを全部やる。この限られた条件下で、思い付きでもなんでもいいからやってみる」 。稲垣さんは休業を機にカフェのブログで決意表明をした。 「どんな条件下であっても1匹でも多くの保護猫を譲渡する」 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
【プロンプター】記者会見の時、総理はどこを見ているのか?(婦人公論.jp)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、政治アナリストの伊藤惇夫さんが、「プロンプター」について解説します。 * * * * * * * ◆記者会見の時、総理はどこを見ているのか? 新型コロナウイルスの脅威が続くなか、その対応について、安倍総理がたびたび会見を開き国民に訴える機会が増えたが、ちょっと気になるのがその「視線」の行方だ。安倍総理は質疑に入る前に自ら発言する際、記者のいる正面を向くよりも、左右へ顔を向けることが多い。なぜなのか。実は、総理の左右両側に「プロンプター」が置かれているからだ。 そもそもプロンプターとはなにか。簡単に言うと、「原稿投影機」である。透明な板にモニターの文字を反転させて映し出すもので、その文字は映画の字幕のように流れるため、書かれた原稿を読み上げるよりも自然に話しているように見える。 プロンプターは企業のトップが新製品を発表する時や学術研究でのスピーチなどで使われている。政治の世界で活用する例は、それほど多くないが、安倍総理は以前から使用している。 日本の政界で初めてこれを導入したのは、1993年に誕生した非自民連立政権の細川護熙(もりひろ)元首相だといわれている。ちなみに細川元首相は、それまでの慣例を破って、立ったままで会見を行ったことでも有名だ。 たしかに、重要な方針の発表では慎重に言葉を選ばなければならないし、専門用語や数字の間違いなどがあってはならない。その意味では、プロンプターの活用はありだろう。 ただ、国民に向けて、強いメッセージや、心に届くような言葉を伝える時には、原稿に頼るばかりではなく、自らの「内」から出てくる思いを交えることも大切なのでは。 伊藤惇夫 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース