猛毒のダイオキシンをふくむ除草剤約26トンが、15道県42市町村の山中に半世紀前から埋められたままになっていることが、林野庁への取材でわかった。うち12道県20市町村の約18トンは、林野庁の通達と異なる方法で出先機関が埋めたままという。 林野庁は地域の安全に問題はないとしているが、近年は豪雨などで土砂崩れが相次いでおり、岩手県や福岡市などは除草剤の流出などを懸念して、撤去を求めている。 除草剤は「2・4・5T系」という種類。林野庁はかつて国有林の植林時にこの除草剤を使っていた。 ネズミの研究で胎児の奇形が指摘されたことなどから、1971年に使用を中止。6割余りはメーカーに返還したが、残った分は処分法がないとして、17道県50市町村の国有林に埋めたと説明している。 拡大する除草剤の埋設地を目視で点検する熊本県芦北町職員。フェンスで囲まれ、立ち入り禁止を呼びかける林野庁の看板が設置されている=2020年11月4日、熊本県芦北町、竹野内崇宏撮影 林野庁「掘りだす際に飛散も…」 埋設方法について林野庁は当時の営林局に対し、除草剤と土、セメントを混ぜてコンクリート塊にし、厚さ1メートル以上の土をかぶせることや、できる限り水源から離すよう通達していた。 その後、コンクリで固めず埋めるなど通達と異なる方法が愛媛県内で取られていたことが愛媛大学の調査などで判明。各地で類似ケースが判明し、一部は撤去された。林野庁の通達前に各地の営林局が独自に埋めたケースが多かったという。国会でも取り上げられ問題になった。 拡大する熊本県宇土市の山中にある除草剤の埋設地=2018年11月1日午後2時27分、熊本県宇土市 林野庁は「安全な無害化方法が確立されず、掘りだす際に飛散も懸念される」と説明。林野庁の専門家委員会は「地域住民の生活に及ぼす影響はない」としている。現在、年2回の目視による点検のほか、大雨や地震の後に異常がないと確認しているという。 だが、一部の自治体は「記録的な豪雨が全国で多発している」(福岡市)として撤去を求めている。 記事の後半に、除草剤が埋められたままの15道県42市町村と埋設量の一覧を載せています。 林野庁の当時の埋設担当者は、のちに林野庁長官を務めた塚本隆久氏(85)。 塚本氏は取材に「誤って使用さ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「コロナに効く」と未承認の薬販売容疑 漢方薬店を摘発
医薬品として未承認の漢方薬を「新型コロナウイルスに効果がある」と説明して売ったとして、警視庁は26日、東京都中野区の「馬場香嶺堂(ばばこうれいどう)薬局」の経営者で薬剤師の宮本篤容疑者(68)=東京都墨田区=を医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の販売など)の疑いで書類送検し、発表した。調べに対し、「金もうけと人助けのために調合して作った」などと供述しているという。 生活環境課によると、容疑は昨年2~8月、埼玉、神奈川、福岡の3県の男女に対し、医薬品として未承認の漢方薬「双黄連内服(そうおうれんないふく)」や「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)」を「新型コロナの抑制効果がある」と説明し、約520袋(約26万円)を売るなどしたというもの。中国で「新型コロナに有効」などとして一時騒がれたものだった。 また、この2種類のほか、10種類の未承認の漢方薬を陳列・貯蔵した疑いももたれており、計12種類の売り上げは昨年1~9月で約1万6700袋(約830万円)という。 警視庁の鑑定で、これらの漢方薬は生薬の比率が低かったり、全く含まれていなかったりしたことがわかった。カビが検出されたものもあったという。 同店は大正時代創業。宮本容疑者は3代目店主という。多くの漢方薬が並ぶ店頭の様子や、「心悩める人の駆け込み寺だよ!」「マニアの間で有名なお店」といった貼り紙、1袋500円の「ワンコイン漢方」などで評判になり、テレビのバラエティー番組でも紹介されたことがあるという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東北一の歓楽街の「締め」復活 コロナで閉店、移動型に
多くのファンに惜しまれながら、昨年4月にコロナ禍で閉店した国分町(仙台市青葉区)の老舗ラーメン店が、3月にも形を変えて復活する。東北一の歓楽街で半世紀近く親しまれてきた「味よし国分町本店」だ。一度は別の職を探した店主の背中を押したのは、かつての常連客や妻の声だった。 「味よしの変わらぬ味を復活させたいという思いで、このプロジェクトを立ち上げました」。20日、味よしの店主の氏家剛さん(56)が、再出発のための資金を募る、クラウドファンディング(CF)サイトで、そう呼びかけた。 氏家さんは、1・5トントラックに厨房(ちゅうぼう)を備えたキッチンカーで移動販売をする計画だ。費用は店舗を再建する場合の半分以下。食事も屋外でとるため、新型コロナの感染リスクも少ないという。 今月末にキッチンカーが完成し、2月11日から勾当台公園であるイベントに出店する。順調にいけば、3月2日から仙台市内の商業施設の駐車場などで、営業を再開する見込みだ。 拡大する昔ながらのあっさりしたみそラーメン=氏家さん提供 「味よし」の代名詞は、みそラーメンだ。氏家さんが、先代の父・孝夫さん(84)から受け継いた味だ。まろやかな仙台みそを使った黄土色のスープに、ニンニク風味のひき肉、もやしなどを盛りつける。 先代が店を国分町に移転したのは1975年。店はにぎわい、長い行列ができた。以来、店は町と共に歩み、東日本大震災にも負けなかった。 だが、昨春、近くの店でクラスター(感染者集団)が出てから客足は「両手の指で数えられるほど」まで落ち込んだ。テイクアウトも考え始めた時、電話で孝夫さんに「借金してまでやる必要はないよ。俺は(閉店しても)いいと思う」と言われ、昨年4月に店をたたんだ。 拡大するキッチンカーでの再出発を決めた氏家夫婦=仙台市宮城野区岩切 その後、氏家さんは、ハローワ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鬼滅効果、出版市場が2年連続拡大 巣ごもりも後押し
出版科学研究所は25日、2020年の紙と電子を合わせた出版市場の推定販売金額が1兆6168億円で前年比4・8%増だったと発表した。電子、紙ともにコロナ禍による巣ごもり需要や「鬼滅の刃(やいば)」の爆発的ヒットが影響した。 19年の出版市場は電子を含めた統計となった14年以来初めて前年を上回ったが、0・2%の微増にとどまっていた。20年は電子出版市場が3931億円で前年比28・0%の大幅増で全体を底上げ。減少が続く紙の出版物は1兆2237億円で前年比1・0%減と踏みとどまった。紙の書籍では、一斉休校で学習参考書や児童書が大きく伸びたほか、文芸書やビジネス書も前年を上回った。「鬼滅」はノベライズなども含め市場全体に効果が波及した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ひっそり生きた30年、「同期」の飼育員が見守るサメ
水温12度の冷たい海水を満たし、深海を模した薄暗い水槽で、国内の飼育記録をひっそりと更新し続けているサメがいる。鳥羽水族館(三重県鳥羽市)で1990年12月から飼育されているヒゲツノザメだ。これまで長寿を祝うイベントさえ催されなかった地味で目立たない存在が、脚光を浴びる日が来るかもしれない。 ヒゲツノザメをはじめとする海洋生物の飼育を任されている飼育研究部課長の高村直人さん(53)が、思わずほっとする瞬間がある。 三枚に下ろしたアジや短冊状にカットしたイカを、細長い棒に突き刺す。 棒が向けられる先は、水槽の「主役」タカアシガニではなく、のんびりと優雅に泳ぐヒゲツノザメの口元だ。 「ピンポイントで口元にエサが行くと、吸い込むように食べてくれます」 体長は1メートルほどあるのに、週3回しかエサを食べない。しかも1回の食事量は、わずか数十グラムという。 「時折、エサに見向きさえしないこともあり、食はとにかく細い」と高村さんは苦笑する。 ヒゲツノザメは、鼻先に名前の由来となった2本の「前鼻弁」を持つ。太平洋に広く生息するものの、大陸棚の斜面や海底など深さ100メートル以上の深海で暮らすため、捕獲されることはめったにない。 国内では鳥羽水族館など4施設で5匹しか飼育されておらず、詳しい寿命も分かっていない。せっかく飼育を始めても、1週間程度で死んでしまうこともあるという。 ただ、鳥羽水族館の1匹だけが、なぜか30年以上も長生きし、国内の飼育記録を更新し続けている。高村さんは「三重県志摩市沖ではえ縄漁船が捕獲した個体で、傷もなく、良い状態で水族館に運ばれてきた。飼育環境に適応してくれたのも大きい」と分析する。 「ストレスが心配、ひっそり生きて」 そんな貴重なヒゲツノザメだが… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
裁判員がコロナ感染、判決期日を取り消し 大阪地裁
大阪地裁は25日、殺人事件の裁判員裁判に参加した裁判員の1人が新型コロナウイルスに感染したとして26日に予定した判決期日を取り消し、発表した。 地裁によると、大阪地裁の裁判員がコロナに感染したのは初めて。この裁判員は18、19日の公判に参加し、22日に抗原検査で陽性反応が出た。濃厚接触者はおらず、ほかに体調不良を訴える裁判員や司法関係者はいないという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
横浜の合同庁舎で火災 一時は2階から黒煙
25日午後4時50分ごろ、横浜市中区北仲通5丁目の横浜第2合同庁舎で「2階から火が見える」と、近くにいた神奈川県警の警察官から119番通報があった。 県警によると、庁舎2階から一時黒煙が出ていたが、火の勢いは間もなくおさまり、けが人はなかった。厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部横浜分室の事務所の一部が焼けたという。消防によると、午後5時半ごろ鎮火した。 同庁舎は、みなとみらい線馬車道駅近くにあり、23階建てのビルに国の出先機関が入っている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大分空港が「宇宙港」へ着々 米企業、打ち上げ試験成功
大分空港(大分県国東市)などを発着点に、航空機からの人工衛星打ち上げを目指してきた米企業ヴァージン・オービットが、米国沖の太平洋上で10基の超小型衛星の打ち上げ試験に成功した。大分発着の打ち上げは2022年に予定されており、大分県は関係省庁との間で国内法の確認や調整を急いでいる。 滑走路の長さやノウハウ評価 広瀬勝貞知事は打ち上げ成功を受けて、「(22年予定の)大分からの打ち上げに弾みがつく結果。引き続き取り組みを進めて参りたい」との談話を発表した。 ヴァージン・オービットは、ボーイング747―400型を改造した航空機を使い、日本時間の18日に試験を行った。米カリフォルニア州のチャンネル諸島沖合の太平洋上で、機体から切り離された小型ロケットは自由落下した後に点火。向きを変えて宇宙空間に飛び出し、米航空宇宙局(NASA)から委託を受けた超小型人工衛星を軌道に乗せた。航空機からの空中発射による打ち上げ成功は世界初という。 大分空港は3千メートル級の滑走路があることに加え、県内企業が連携して人工衛星開発に携わった経験があるなど宇宙産業の発展が見込める点などが評価され、昨年春に拠点の一つに選ばれた。 今後、ロケットを整備したり衛星を搭載したりする施設や、燃料関係の設備などを空港と周辺地に整備する必要がある。県は法令上の課題解決などを支援し、大分空港を「宇宙港」にすることで県内企業の運用面での参画や宇宙関連産業の活性化を期待している。(寿柳聡) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自宅などで死亡、75人感染 警察が今月対応した事案
今月1日から20日までに自宅や高齢者施設などにいる人が亡くなり、警察が事件性の確認などの対応をした事案で、新型コロナウイルスへの感染が確認された死者が75人いることが、警察庁への取材でわかった。自宅療養中に亡くなった人も含まれているとみられる。急増した昨年12月は56人だったが、今年に入ってさらに増加している。 警察は、病院で患者が死亡して明らかに死因が分かっている場合などを除き、対応に出る。警察庁によると、昨年から今年1月20日までに感染が確認されたのは計197人だった。月ごとの推移では、昨年は死者21人の感染が確認された4月を除けば、11月までは10人以下で推移していた。 1月に入ってからの75人のうち、自宅や高齢者施設、宿泊施設などで倒れているところを発見されたり、通報されたりした死者は71人、外出先で見つかったのは4人だった。死亡前に感染が確認されていた人は27人、遺体の状況などからコロナ感染の疑いがあるとして死後にPCR検査をした結果、感染が判明した人は48人だった。 コロナに感染すると、血栓ができやすいとされているほか、急激な呼吸状態の悪化も指摘されている。(田内康介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
明浄学院の元理事長に実刑判決 21億円横領の罪
学校法人明浄(めいじょう)学院(大阪府熊取町)の土地売却の手付金21億円を着服したとして、業務上横領の罪に問われた法人元理事長の大橋美枝子被告(62)に対する判決が25日、大阪地裁であった。坂口裕俊裁判長は「業務上横領の事案において最も高額な部類」と述べ、懲役5年6カ月(求刑懲役7年)の実刑を言い渡した。 判決によると、被告が法人理事長に就任した翌月の2017年7月、明浄学院高校(大阪市)の土地の売買契約を大阪市の地場不動産大手プレサンスコーポレーション側と結び、プレ社側が法人口座に支払った手付金21億円を別口座に移して横領した。 判決は、被告が法人の経営権を得るために、プレ社元社長の山岸忍被告(58)=同罪で起訴=らと共謀したと認定。マンションの用地として学院の土地を取得したがっていた山岸被告から私的に資金を借り入れ、経営権を握った後、手付金を返済にあてる枠組みを発案して犯行を主導したと指摘した。坂口裁判長は「学校経営に重要な財産が売り払われた。理想の経営をしたいという個人的欲求を満たす犯行動機に酌量の余地はない」などと量刑の理由を述べた。(松浦祥子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル