2019年7月の参院選をめぐって地元議員らを買収したとして、東京地裁で21日、公職選挙法違反罪で懲役1年4カ月執行猶予5年の判決を受けた参院議員の河井案里被告(47)=自民党を離党。地元・広島では批判の声が広がった。 「いけんこと。仕方ない」。案里議員と、夫の衆院議員で元法相の克行被告(57)=同罪で公判中=の地盤である広島市安佐南区に住む自営業男性(40)は、こう語る。19年7月の参院選に立候補したときの案里議員の姿を見て「ハキハキしていて頑張ってくれそう。若い人に国政に出てもらいたい」と思い、一票を投じた。しかしその3カ月後に疑惑が浮上。今回の判決に「政治家だからありうることと思ったけど、やり過ぎたのでは」。 現金受け取った地元議員、判決に反応様々 克行議員の起訴内容で現金を渡されたとされる100人のうち、当時現職の首長・地元議員は40人にのぼる。案里議員はうち4人について、克行議員と共謀して買収したと判決で認定された。 その一人で、克行議員から150万円、案里議員から50万円を受け取ったことを認めた元広島県議会議長の奥原信也県議(78)は、判決後、報道陣の取材に応じた。「反省している。違法と認識しながら金を受け取った」と述べたうえで、進退について「県議として懸命に活動していく。(私の)進退は今後の私自身に対する検察の処分を見てから考えること」と語った。 案里議員から50万円を受け取った下原康充県議(69)は取材に、「コメントする立場にない」。判決では現金のやり取りが買収と認定されたが、下原県議ら買収された側の地元議員は全員刑事処分を受けていない。「まな板の上のコイだ」とも。 河井夫妻や、夫妻側から現金を受け取った地元議員らを刑事告発した市民団体「『河井疑惑』をただす会」は21日正午ごろ、広島市中心部の街頭で横断幕を掲げ、夫妻の辞職や地元議員らの立件を訴えた。同会の山根岩男事務局長は「選挙区の市民として、強い怒りとともに恥ずかしい限り。市民も監視の目を向けていく必要がある」。 案里議員の即辞職を求める声も相次ぐ。自民党の広島県連副会長、中本隆志・県議会議長は「県民、(自民)県連、国民を振り回した。今からでも遅くないので今日中に辞めてほしい」と批判。参院選で案里議員を推薦した公明党県本部の田川寿一代表は「広島の政治不信を広げた責任を取って政治家として即退場すべきだ」と語った。 湯崎英彦・広島県知事は報道陣に、「政治に対する大きな不信、信用をおとしめる事件だと思う。信頼回復に努めていかなければならない」と述べた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
河井案里議員の裁判、有罪判決 失職の可能性をQA解説
2019年の参院選で初当選した参院議員の河井案里被告(47)が、地元県議らを買収したとする公職選挙法違反の罪に問われた裁判で、東京地裁は21日午後、懲役1年4カ月執行猶予5年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡した。 案里議員は昨年6月に逮捕されて以降も参院議員を続けているが、有罪が確定すれば失職する。ただ、仮に最高裁まで争われるとすれば、その前に国会議員の資格を失う可能性もある。 拡大する河井案里議員、午後判決 失職の可能性は Q 河井案里・参院議員を失職させるかどうかの裁判が起こされたんだって。どのような裁判なの。 A 2019年7月の参院議員選挙をめぐる公職選挙法違反(こうしょくせんきょほういはん)事件で、昨年11月に案里議員の秘書の懲役(ちょうえき)刑が確定したんだ。これを受けて案里議員に「連座(れんざ)制」が適用されるかどうかが広島高裁で争われるよ。 Q 連座制って? A ある候補者に一定の関わりを持つ人が選挙で罪を犯した場合に、その候補者の当選を無効にする制度だよ。候補者本人の違反じゃなくても連帯責任をとらせ、お金が飛び交うような選挙を防ぐのがねらいだ。 Q 「一定の関わりを持つ人」って、どういう人? A 選挙運動の全般を仕切る「総括主宰者(そうかつしゅさいしゃ)」や会計を担う「出納(すいとう)責任者」、親族などだ。選挙の腐敗への批判から、1994年に秘書や「組織的選挙運動管理者等」まで対象を広げた。 Q 案里議員の秘書は? A 秘書は選挙の時には陣営幹部だったので、「組織的選挙運動管理者等」だったといえるかどうかが焦点になりそうだ。ビラ配りや遊説の計画、弁当の手配など、前線や後方でリーダー的に立ち回っていれば、該当すると判断されるよ。 Q 結論はいつ出るの? A なるべく100日以内に判決を出そうという努力目標があるんだ。「百日裁判」といって、多くの人に関わる選挙の結果は早く確定させるのが大事だという考え方だよ。連座制の適用が問われる行政訴訟は94年~2019年に152件あったけど、だいたい被告側が敗訴(はいそ)しているようだ。 Q 案里議員は自身も買収の罪に問われているね。 A 21日に東京地裁で判決が言いわたされる見込みで、有罪が確定すれば自動的に失職する。夫の克行・衆院議員も総括主宰者として罪に問われていて、その連座制で失職することもありうるね。(阿部峻介) 拡大する参院本会議場に入る河井案里被告=2020年1月24日午後0時55分、岩下毅撮影 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元日の空に描かれた「ナスカの地上絵」航跡、何のため?
今年の元日、日本各地で同じ地域の上空を繰り返し飛ぶ小型飛行機が何機もあった。その航跡を線でつなぐと、さながら「ナスカの地上絵」。何のために飛んでいたのか。 リアルタイムで航空機の運航情報を提供するネットのサービス「フライトレーダー24」で、ある小型機の1月1日の航跡を調べると、東京都内の上空をぐるぐると飛んでいた。この日、同じような飛び方の小型機は各地で確認できた。ツイッターでは「巨大な牛の地上絵を描いているかと思った」「なんでこんなに飛びまくってるの?」などの投稿が相次いだ。 「元日に決まったエリアの上空を巡回する動きを見る限り、固定資産税の調査用に飛ばした可能性が高い」と話すのは、新潟市の測量会社「オリス」の担当者。同社も東京都の固定資産税調査のため、元日に世田谷や中野など都内5区の上空で小型機を飛ばしていたという。 なぜ、新年早々に調べる必要があるのか。 固定資産税は土地や家屋にかけ… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
案里議員の進退「結論出ていないが検討」 弁護士明かす
2019年7月の参院選をめぐり、21日に公職選挙法違反(買収)罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた参院議員の河井案里被告(47)=自民党を離党=の弁護士のひとりは案里議員の進退について取材に、結論は出ていないとした上で、「検討する」と述べた。 弁護士は取材に、広島高裁で案里議員の失職を求める行政訴訟が進んでいることを踏まえ、「(進退は)検討する。まったく考えていないわけではない」と言及。その上で今後について、「判決に対してどう対応するのか考え、議員の身分についても合わせて考えていかないといけない」と話した。 案里議員は同日、判決について「当方の主張のうち一部しか受け入れられておらず、その点では大変遺憾。いずれにしても判決内容を精査し、今後の対応を検討することとしたい」とのコメントを出した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
3年ぶりの実家、気づいた異変 窓ガラスに目をやった
異変に気付いたのは昨年11月の晴れた日だった。遠藤陽子さん(70)は東京電力福島第一原発から7キロほど離れた福島県富岡町の実家を息子と3年ぶりに訪れると、室内で風を感じた。 住宅街にある2階建て一軒家。2001年に新築した。しかし、原発事故後は帰還困難区域に指定され、手入れができず、庭の木は雑木林のように2メートル以上伸び、室内にはネズミのフンが散らばる。 この日、玄関を開けると棚やタンスが倒され、中身が床にばらまかれていることに気付いた。 戸惑いながら入った居間では、… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不利な証言に「あはは」、突然の涙…法廷で見た案里被告
2019年7月の参院選をめぐって地元議員らを買収したとして、公職選挙法違反罪に問われた参院議員の河井案里被告(47)=自民党を離党=に対し、東京地裁は21日午後、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。記者は事件の舞台となった参院選広島選挙区を取材し、約5カ月に及ぶ案里議員の公判を傍聴してきた。取材や公判での発言から、垣間見えたものは――。 「政治の子」から一転、被告に 18年秋、東京・永田町の自民党本部。案里議員は二階俊博幹事長(81)と面会し、参院選への立候補を打診されたと述べた。「『ぜひ出なさい。まずはのぼり1本を持って、街頭に立つことから始めなさい』と言われた」(被告人質問) 防災、地域活性化、憲法改正……。当時広島県議だった案里議員にとって、求める政治は県政ではなく国政にあった。「国政に最後に挑戦するのもいいかもな。もしダメなら政治を引退しようかな」(同)。 ともに同法違反罪で逮捕、起訴された夫の衆院議員で元法相の克行被告(57)=自民党を離党=からも、「あんたは『政治の子』。国政に出るチャンスがあればやりなさい」(同)と言われたという。 ただ、地元の自民党広島県連は現職の溝手顕正氏(78)を支援することで固まっていた。一方、自民党本部は河井夫妻側に1億5千万円もの資金を提供。こうした資金提供について「知っていたが、いくらかは知らなかった。金の管理は主人に任せていた」(同)。選挙戦では応援のため安倍晋三首相(当時)や菅義偉官房長官(現・首相)、二階幹事長らが続々広島入りした。 その結果、案里議員は溝手氏を押しのける形で初当選。「あの選挙は激烈だった。しかし多くの人に支えられ、正々堂々と戦い勝ったという自信があった」(最終意見陳述)。 「つまはじき状態」を迎え入れたのは 広島県議から初挑戦で射止めた… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
理系から進路変更、音大に 矢沢永吉さんの本からヒント
年が明け、いよいよ受験シーズンを迎えました。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからの、受験生へのメッセージを随時お届けします。 名古屋フィルハーモニー交響楽団(名古屋市)の首席打楽器奏者・窪田健志さん(37)は、大学受験の時に学んだ「細かく目標を立てる」ことが今の演奏家生活に大いに役立っているという。受験生だった時を振り返ってもらい、受験生におすすめのリラックスできる曲を教えてもらった。 窪田さんは長野県上田高校(長野県上田市)出身。理系を選択し、吹奏楽班で打楽器に明け暮れる毎日だった。 進路を大きく変えることになったのは高校2年生の秋。講習会でプロの打楽器奏者に褒められたことで、「音大に進学してプロ奏者になりたい」と考え始めた。国立でなければいけないという条件から、志望を東京芸大音楽学部器楽科に決めた。 「スタートが遅れてしまった」ということに加え、大きな進路変更。さらに音楽学部の受験には楽器の実技、楽典などの音楽基礎、音を記譜する聴音、歌やピアノといった必要な練習や勉強がたくさんあり、時間をいかに有効に使うかを考えた。 成功者にヒントを得ようと、矢沢永吉さんの「成りあがり」やナポレオン・ヒルの「成功哲学」といった本を読んだ。成功するまで何が必要なのか考え、こつこつ目標を達成していくことが大事だと知った。 「春に合格発表のボードで自分の番号を見つけるためにはどうすれば最短ルートかをイメージし、そこから逆算して細かく目標を立てた」と振り返る。そして、家族や先生、友人の助けを借りながら、がむしゃらに突き進んだことで現役合格を勝ち取った。 名フィルの演奏会だけでなく、他の楽団から招待されたり、自身で演奏会を主催したりと多忙な日々を過ごす中で、「今でも演奏会をマネジメントしたり、タイムスケジュールを考えたりする際に同じように逆算し、目標を立てています。受験に成功しても、失敗しても、そのプロセスを忘れないことが大切だと思います」と話した。(小原智恵) 窪田健志さんお薦めのクラシック音楽 フェデリコ・モンポウ「歌と踊り」 大学時代、楽譜を読んで初見で演奏する「ソルフェージュ」の授業で知った曲です。音楽があっても勉強に集中できる、空気のようなリラックスして聴ける曲だと思います。 ◇ くぼた・たけし 1983年、大阪府豊中市生まれ。中学・高校で吹奏楽部に所属し、打楽器を担当。長野県上田高校卒業後、2001年に東京芸術大学音楽学部に入学。ドラマ「のだめカンタービレ」で演技指導にあたり、ドラマにも出演した。2010年から名古屋フィルハーモニー交響楽団員になり、現在は首席打楽器奏者。 昨年6月にソロデビューアルバム「Percussion Pieces 1 ‘…from JAPAN’」をリリース。2月27日に収録曲を演奏する「打楽器レクチャーコンサート」を三井住友海上しらかわホール(名古屋市中区)で開く。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
特別なハリセンで応援も、商売繁盛も バスケB1大阪エヴェッサ
「まだまだ勝手に関西遺産」 ♪大阪エヴェッサ♪ ババン! ババッ! バンッ! アリーナに響き渡る鋭い音。お笑いでおなじみのあの音も、束になるとものすごい迫力になる。プロバスケットボールB1大阪エヴェッサのファンが手に握っているのは、スティックバルーンでも、メガホンでもない。ハリセンだ。 試合中ずっと、MCが先導するかけ声や音楽に合わせて鳴り続ける。今季チームの主将を務めるガード合田怜選手は「いつも背中を押してもらっています」と感謝する。 拡大するハリセンを使って応援する大阪エヴェッサのファン=大阪市此花区、滝沢美穂子撮影 この応援スタイルは2005年… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
核はもはや使えぬ兵器 ICAN川崎氏「安保論は亡霊」
史上初めて核兵器を非人道的として違法化する核兵器禁止条約が22日に発効する。有志国とともに条約制定を先導したのが、2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)だ。条約の発効で世界はどう変わるのか。日本でただ一人の国際運営委員、川崎哲(あきら)さん(52)に聞いた。 条約は「核なき世界へのスタート」 ――2021年は核兵器禁止条約の発効から幕開けすることになりました。 核兵器を全面的に禁止する国際条約が効力を持つ最初の年になります。条約を批准した締約国は、これからは核兵器を作ることも、持つことも、使うことも、頼ることもできなくなります。「核兵器なき世界」を目指すスタートです。条約発効を実現する大きな力になったのは「同じ苦しみを誰にも味わわせてはならない」と訴えてきた広島・長崎の被爆者。今後被爆者が直接体験を語ることができない日が来ても、この条約は残り、世界を縛り続けます。 ――核保有国や「核の傘」などに依存する国は背を向け、「実効性がない」という見方もあります。 条約発効の影響は、批准国を縛る法的拘束力だけにとどまりません。核保有国は政治的、経済的、社会的な圧力に包囲されることになります。対人地雷やクラスター弾の禁止条約では、発効後、批准していない国でも兵器の生産、取引、使用が激減しました。新しい国際規範が成立したことで、金融機関が国際法で禁じられた非人道的兵器を作る企業への融資・投資をやめていったからです。核兵器がこれに加わります。そのような動きが進んでいるからこそ、核保有国が次々と条約を批判する声を上げています。それ自体が、この条約の実効性のあらわれだと言えます。 ――安全保障の専門家は「桁違いの破壊力を持つ核兵器は、対人地雷やクラスター弾、生物・化学兵器と違って他の手段で置き換えられず、同列に考えられない」と指摘します。 同じ非人道的兵器でも、一人ひとりを傷つける対人地雷と、大規模に無差別に殺戮(さつりく)する核兵器とは次元が違うと言うのは一理あります。ただ、ほかの非人道兵器や大量破壊兵器は禁止・廃絶されるべきなのに、核兵器は許される、ということになれば、今まで人類が何のために特定兵器の禁止条約を作ってきたのか意味がわからなくなります。「核兵器は国家の安全保障の根幹」と主張する人もいますが、技術の発展により、国家の中枢を破壊しうる最大の脅威は今やサイバー攻撃になっています。核保有国も、現実に力を入れているのはサイバー対策です。核兵器はもはや「使えない兵器」であるうえに、誤って使用されるリスクが高まっています。時代は変わったのに20世紀中ごろの国家安保論が亡霊のように残っているのではないでしょうか。 日本の条約批准は幻想なのか。日本が核保有国と非核保有国との「橋渡し」を果たすために不可欠なものは―。川崎さんに詳しく聞きます。 ――発効後の課題は何でしょうか。 100カ国・地域がこの条約を… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
軽井沢バス事故、社長ら在宅起訴 業務上過失致死傷の罪
長野県軽井沢町で2016年1月、大学生13人と乗員2人が死亡し26人が負傷したスキーバス転落事故で、長野地検は21日、運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の高橋美作(みさく)社長(59)と当時運行管理者だった荒井強・元社員(52)を業務上過失致死傷の罪で在宅起訴し、発表した。捜査関係者によると、2人は容疑を否認しているという。 長野県警が2017年6月、2人を書類送検していた。捜査関係者によると、元社員は事故で死亡した男性運転手(当時65)の技量を適切に把握しなかったなど安全管理の義務を怠り、高橋社長は元社員に適切な指導や監督を怠ったとされる。 元社員は運行管理の業務を別の社員に「丸投げ」(関係者)し、男性運転手にほとんど研修を行わなかったという。高橋社長はそうしたずさんな実態を知っていたと説明しているといい、地検は2人が事故を予見できたにもかかわらず、回避義務を怠った過失があると判断した。 男性運転手は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで書類送検されていたが、地検は不起訴処分とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル