阿蘇の山々や、遠くに有明海を望める丘の上に「メルヘン村」(熊本県南阿蘇村)はあった。6軒のペンションが集まる人気の地は、2016年4月の熊本地震で5軒が全壊するなど壊滅的な被害を受けた。唯一、その地での再建をめざすペンションが今春、完成した。5月中のオープンを目指し準備が進んでいる。 メルヘン村は当時の長陽村が誘致した業者の開発で1979年に完成。最初に開業したのが、栗原有紀夫さん(56)の父が始めた「ペンション風の丘野ばら」だった。その後間もなく他のペンションも次々に開業した。 熊本地震では丘の斜面が大きく崩れ、ペンションや住宅のほとんどが全壊。「野ばら」も斜面の崩落とともに建物の一部が落ち込むなどして全壊した。道も寸断され、ペンションの経営者や宿泊客らは声を掛け合って丘の広場に集まり夜を過ごした。 斜面はさらに崩れる心配があり、栗原さんを含む経営者たちは当初、国の事業を活用した集団移転を模索した。だが地震から約1年後の2017年春になって、県が急傾斜地の対策工事を提案。対象となる土地の無償提供を求められて話し合いは難航した。 その間に1軒は廃業を決め、2軒は別の場所の中古ペンションへの移転を選択。栗原さんも他1軒の経営者らと移転先を決め、共同で土地購入の準備を進めていたが、仲間は資金面の問題から断念した。途方に暮れていた20年初め、急傾斜地の対策工事が近く完成することが分かった。現在地での再建を決断した。 ただ、被災中小企業への補助金を受けるには今年3月までに工事を完了する必要があった。まだ銀行の融資も確定していない段階で、建設業者は工事に着手してくれたという。 完成した木造2階建ての新しいペンションは、見晴らしのよい広いデッキや、以前から要望の多かったペット同伴者用の客室を備えた。いまは、備品や予約システムの整備、料理の試作の真っ最中だ。 再建を模索するたびに壁に当た… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛媛県職員、20人以上の会食16件 知事は給与返納へ
愛媛県は、松山市の繁華街で新型コロナウイルスの感染者集団(クラスター)が確認された3月23日以降、県職員20人以上が参加した送別会の会食が16件あったことを、9日公表した。職員に「会食は4人以下」とすることなどを求めた3月25日以降も7件あったという。 中村時広知事は「県民に対し、心からおわびする」と陳謝し、自身の給与を全額(1カ月)、2人の副知事の給与を1割(同)、それぞれ返納すると発表した。会食に参加した職員は厳重注意とする。 県では3月23日、松山市の繁華街の飲食店でクラスターが発生。このクラスターでの陽性者は4月8日現在で200人に上っている。 県によると、3月24日夜、市町振興課が総務省から出向していた課長らを送る会を、道後温泉(松山市)のホテルで開いて30人が参加するなど、20人以上の会食が23日と24日に計9件あった。 県は25日から独自に設けた警戒レベルを「特別警戒期間」に引き上げ、中村知事は当日の会見で「県職員には、日常的な会食は基本的に4人以下、4月以降の歓迎会は10人以下にするよう厳命する」と説明。県民にも宴会やカラオケなどを控えるよう呼びかけた。ところが、25日以降も県職員による20人以上の会食が7件確認されたという。 県は4月8日から2週間、県の警戒レベルを最高の「感染対策期」にし、松山市民に不要不急の外出自粛などを要請している。中村知事は大勢での会食について、「県民から何を言われても申し訳ないとしか言いようのない事実」と謝罪した。(伊東邦昭) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ禍、癒やし求めてペット…数日で飼育放棄する実態
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自宅で過ごす時間が長くなり、ペットに癒やしを求めようと子犬や子猫などを飼い始める人が増えている。一方で、飼ってはみたものの、世話に負担を感じるなどして、わずか数日で飼育を放棄する例も起きている。保護団体は、安易に飼い始めることに注意を呼びかけている。 大阪府能勢町の犬猫保護施設「アニマルレスキューたんぽぽ」。田畑に囲まれた住宅街にある施設を訪ねると、部屋の隅の毛布の横に、茶色い猫がうずくまっていた。コロナ禍で派遣の仕事がなくなった50代の男性から引き取った4匹のうちの1匹だ。男性は収入が激減し、親の治療費も負担しなければならず、飼い猫にかけるお金も時間もなくなったという。 犬と猫を合わせて50匹あまり保護している同施設では、感染が拡大し始めた昨年2月ごろから、ペットを飼いたいという申し込みが急増した。家で過ごす時間が増えたためで、月に数件しか応募がなかったのが、毎日、数件の応募が来るようになった。人気の純血種や、子犬や子猫だけでなく、普段はもらい手がないような、雑種や成猫にまで応募があった。 だが、6月を過ぎた頃、状況は一変した。申し込みはぱったりとやみ、逆に、これまで飼っていたペットを引き取ってほしいという依頼が増え始めた。コロナ禍による経済苦で飼えなくなった人がほとんどで、大阪・ミナミでラウンジを経営する女性や、堺市で居酒屋を経営する男性など、いずれも店が立ちゆかず、えさ代が払えない状況だと訴え、引き取りを依頼した。 飼育希望の申し込みはないまま、収容スペースは10月にはいっぱいになった。代表の本田千晶さん(49)は、「これまでこんなことはなかった。コロナでつらい思いをしている人はたくさんいるが、最初に切られるのはペットたち。命のある動物たちなのだから、責任を持って飼い続けてほしい」と嘆く。 NPO法人みなしご救援隊犬猫譲渡センター東京支部(東京都世田谷区)でも、自宅で過ごす時間が増えたためにペットを購入したものの、「やっぱり飼うのは難しい」と、引き取りの希望が相次いでいる。ペットショップで購入した子犬たちで、それまで、数カ月に1匹のペースだったが、昨年4月の緊急事態宣言以降、週に2匹に増えた。どれも、コロナの感染拡大以降に購入された子犬だった。これまで、30匹以上を引き取った。 5月初旬に保護された生後3カ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
聖火リレーが関西入り 和歌山を走って奈良、大阪へ
東京五輪の聖火リレーが9日、和歌山県南部の新宮市に入り、関西地方を初めてランナーが走った。新型コロナウイルスの感染が急拡大しており、沿道では係員が観客に「間隔を空けてください」「マスクをつけて」と再三呼びかけた。 新宮市では、和歌山県出身で1964年東京五輪体操金メダリストの早田卓次さん(80)らがトーチを持って太平洋が見える高台を走った。 ランナーの知人を応援に来た新宮市の木戸地(きどじ)敏子さん(71)は「感染が怖いので、人が集まってきたら離れます。一生に一度の体験と思うので、来てよかった」。走り終えた早田さんは「感染が広がっているのが気になる。コロナ禍に負けずに五輪を成功させたい。安心安全を徹底し、子どもたちに夢を与えるように、みんなが一つになって大会の成功を祈りたい」と話した。 聖火リレーはこの日、串本町や白浜町など紀伊半島の海沿いを進み、和歌山市へ入る予定。11日に奈良県へ引き継ぐ。13、14日に予定されていた大阪府内は感染拡大のため、公道でのリレーが中止され、代替策が吹田市の万博記念公園で実施される予定だ。(直井政夫) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
三鷹駅北口・南口どっち対象?重点措置の線引き、混乱も
新型コロナウイルスの感染の再拡大を受け政府が12日から適用する「まん延防止等重点措置」をめぐり、東京都内の対象区域で「南北問題」が生じている。JR三鷹駅の北側にあたる武蔵野市は対象となるが、商店街が広がる南側の三鷹市は外れたため、線引きのあり方が議論を呼びそうだ。 東京都内での重点措置は23区と6市が対象となる予定。対象区域に含まれる飲食店の営業時間は今より1時間短い午後8時までとするよう求められ、時短の要請、命令に応じないと罰金を取られる可能性もある。 三鷹駅は武蔵野市側の駅北口にビジネスホテルや官公庁があるのに対し、三鷹市側の駅南口には飲食店などが並ぶ。北口にも飲食店はあり、駅を挟んで南口と対応が異なることで混乱が生じる可能性もある。政府高官も「なぜ東京都は三鷹市を対象に入れなかったのか」と首をひねる。 9日午前の記者会見で、対象地域の選び方に問題がなかったかを問われた加藤勝信官房長官は、「やむを得ないというか、どこかで線を引けば必ずそのようなことが出てくる」と説明。国が対象の都道府県を選び、知事が詳細な区域を選ぶという重点措置の制度に触れた上で、「どう切り分けるかは各都道府県の判断。今回は東京都が判断し今のような対象としている」と述べるにとどめた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
やっぱりあやしい! 20万円分のカード、レジ止め説得
特殊詐欺の被害を防いだとして、宮城県警岩沼署は8日、名取市のファミリーマート名取田高店のオーナーとマネジャーの2人に感謝状を贈った。 署などによると、同店で3月23日夜、同市の70代女性が20万円分の電子マネーカードを購入しようとしていた。レジにいたマネジャーの佐藤綾(りょう)さん(28)は、高額商品の購入に、「詐欺ではないか」と思った。声をかけると、女性は「自分の支払いです」と言う。それでも5分ほど話を聞く。やっぱりあやしい。「たぶん詐欺ですよ。警察に相談したほうがいい」と女性を説得し、110番通報した。女性は来店前に知らない男から、「携帯電話の未納料金を至急支払って」と電話で言われていたという。 佐藤さんはこれまでも「相手が不快に思わないような声がけ」を心がけてきたといい、「自信につながった。他のスタッフの教育にいっそう力を入れていきたい」。オーナーの渡辺博一さん(46)も「お客さんが被害に遭わなかったのが一番。地域密着で、信頼されるお店になれれば」。 菅原優署長は「警察官でも声がけはちゅうちょする。詐欺被害はなかなか食い止めることはできず、最後のとりでが皆さんです」と話した。 県警生活安全企画課によると、昨年の県内の特殊詐欺は180件、被害総額は約2億8千万円(いずれも暫定値)だった。(三井新) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナで中止の「桜の通り抜け」 造幣局がHPに公開
造幣局(大阪市北区)の桜が見頃を迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大で、137種336本の桜が並ぶ、約560メートルの「桜の通り抜け」は2年連続の中止に。開催初日となる予定だった8日、ひっそりとした通りには、淡いピンクや白、黄緑色など様々な色の桜が咲き誇っていた。 今春は、入場を事前申し込みに変え、例年約60万人の来場者を15分の1に減らして開催する予定だった。だが、大阪市が「まん延防止等重点措置」の対象地域になり、直前で中止を決めた。造幣局は8日から、ホームページで桜の写真を公開している。担当者は「来年こそはコロナが収束し、楽しんでもらえたら」と話す。(徳永猛城) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
フォークリフト学科試験、点数水増し 21人が不正合格
フォークリフトを運転するための学科試験の点数を改ざんし合格にしていたとして、長崎労働局は、公益社団法人建設荷役車両安全技術協会県支部(諫早市、石川純一支部長)に対し、3月24日付で労働安全衛生法に基づき、改善命令(行政処分)を出した。 労働局によると、県支部は2012年4月~15年3月、フォークリフトの運転技能講習の学科講習を受けたものの、試験で合格点未満だった少なくとも21人の点数を水増しし、合格にしていたという。昨年12月末に匿名で書面での情報が寄せられて発覚した。 いずれもすでに退職している管理者が担当。改ざんした理由について「数万円かかる試験で、あと数点で落ちるのはかわいそうだと思った」などと話しているという。21人は今後、補講を受けたうえで、再テストに臨むことになるという。(小川直樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
総務省の委託先に不正アクセス 6700人の情報流出か
総務省は8日、業務を委託していた会社のサーバーがコンピューターウイルスによる不正アクセスを受けたと発表した。自治体職員や町内会、NPO関係者約6700人分の個人情報が流出した可能性があるという。 総務省によると、自治体向けのコンサルティング会社「ランドブレイン」(東京)に、災害時に自治体が応援職員を確保するためのシステムに関する業務などを委託していたが、同社のサーバーが2月下旬、データを暗号化するランサムウェア(身代金ウイルス)の被害を受けた。 不正アクセスされたサーバーには、自治体職員ら約6700人分の氏名、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が入っていた。 同社をめぐっては、複数の自治体から業務委託を受けて情報を扱っていたサーバーに対し、不正アクセスがあったことが確認されている。同社によると、約80の自治体の個人情報が流出した可能性があるという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「進撃の巨人」ついに完結 別冊マガジン、連載11年半
人間を襲う巨人と人類の戦いを描いた人気漫画「進撃の巨人」が9日発売の別冊少年マガジン5月号(講談社)で完結した。講談社によると、最終回を受けて通常号の2倍ほどの部数を発行したという。 「進撃の巨人」は大分県日田市出身の漫画家諫山創さんの作品で、2009年9月に連載が始まった。壁に囲まれた世界で暮らす少年エレン・イェーガーらが、人間を食べる巨人たちと戦うダークファンタジー。謎が謎を呼ぶ展開や、巨人との戦いだけにとどまらない人間ドラマなど壮大な物語が話題を集め、11年半にわたる長期連載となった。アニメ化、実写映画化もされた。 講談社によると、電子書籍を含む単行本の累計発行部数が全世界で1億部以上という。最終巻となる34巻が今年6月9日に発売予定。 完結が発表された1月、諫山さんは「決して編集部に引き伸ばされたわけでもなく、むしろ『いつ終わるのか』と急(せ)かされ続けての晩年でした。すいません、ようやく終わります。今まで読んできてよかったと思っていただけるように、最終回に向けて頑張ります」とのコメントを出していた。(黒田健朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル