桜ものがたり2021 京都府向日市に住む上田昌弘さん(77)が、水上勉の小説「櫻守(さくらもり)」と出会ったのは16年前だった。 仕事を引退し、幼い頃から親しんだ向日神社の森をボランティアで整備し始めた頃、地域の古老から土地が舞台になった小説があると聞いた。「桜博士」と言われた笹部(ささべ)新太郎をモデルにした物語で、日本古来の山桜を保護するため向日丘陵に作った苗圃(びょうほ)が美しい桜の園として描かれている。だが、名神高速建設に伴う土砂採取で、桜の園はすでに山ごと失われていた。 それでも、神社奥の雑木や竹、… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
少年法改正、刑法学者ら反対表明「整合性に欠く法律案」
今国会中の成立を目指して審議中の少年法の改正案について、「被害者と司法を考える会」代表の片山徒有(ただあり)さん(64)や刑法学者、弁護士らが6日、都内で記者会見し、反対の意見を訴えた。改正案は18・19歳を「特定少年」として成人の扱いに近づけるという内容。片山さんは「少年が実名報道にさらされ、立ち直りのための資格取得の扉も閉ざされる改正は許されない」などと訴えた。 会見に同席した本庄武・一橋大教授(48)=刑事法=も150人の刑事法研究者の反対声明を紹介。「法案の内容は適用年齢の引き下げを前提とした内容に近い。整合性に欠く法律案だ」と批判した。 改正案に対しては、このほかにも日本女性法律家協会、日本児童青年精神医学会、市民団体「子どもと法・21」、各地の弁護士会も反対意見を公表している。 少年院で矯正教育を受けられた少年が、受けられなくなる恐れ 今回の改正案では、18・19歳については家庭裁判所から検察官に原則送致(逆送)される対象が、現行の故意の行為で人を死なせた罪のほか、強盗や強制性交、放火罪などにも拡大される。逆送後に起訴されれば、実名報道も可能になる。また、逆送にならない場合は「犯情の軽重を考慮して相当な範囲で」保護処分を決めるとされ、少年の特性や家庭環境など要保護性に応じて処遇を決めてきた現行と変わることになる。 たとえば、窃盗を繰り返す少年が、これまでなら被害金額が少なくても要保護性が認められれば少年院で矯正教育を受けられたが、改正後は被害金額が少なければ少年院送致はできず、不処分となって事実上社会に放置される場合もある。さらに、現行は少年の改善が認められなければ少年院の入院期間を延ばすこともできるが、改正案では行為責任に応じて入院期間が決められるため、改善されていなくても期間が終われば退院となる。 反対声明の呼びかけ人の一人、一橋大の葛野尋之教授(59)=刑事法=は、これまで少年院や保護処分が果たしてきた更生機能が薄まることにつながるとして、「再犯増加を覚悟しないといけない。18・19歳で立ち直っていた人がそうならず、累積的に成人犯罪が増える。言い換えれば将来の被害者を増やすことになる」と指摘。少年法が少年の健全育成と再犯防止に有効に機能してきたことは共通の認識とした上で、「少年法の適用年齢を引き下げたかった自民党と18・19歳を少年法の適用内に収めたかった公明党の、政治的な妥協の産物」と批判する。 元裁判官の松原里美弁護士(67)も「やった行為の悪さに応じて処遇を決めるのは成人の刑事司法の基本原則。それを少年法の中に持ってきており、法律の全体構造がゆがめられている」と話す。 2000年以降に繰り返されてきた少年法の改正は被害者の声が反映されて行われてきた側面が強い。かつて少年院に2回入り、いまは非行少年の立ち直りを支援するNPO法人「再非行防止サポートセンター愛知」の理事長を務める高坂朝人さん(37)は「国は非行少年の教育機会を奪うのではなく、被害者支援の充実に力を入れていくべきだ。被害者も加害者も増やさない政策が必要なのに、今回の改正案は逆行している」としている。(編集委員・大久保真紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪の感染者、初の800人台見通し 医療崩壊に危機感
大阪府では7日、新型コロナウイルスの新規感染者が800人台になる見通しとなった。1日あたりの感染者が800人以上となるのは初めて。府関係者が明かした。医療崩壊への危機感が高まる状況となっている。 府内の感染者は6日に過去最多の719人となり、初の700人台に達した。入院中の重症患者は149人で、府が確保している重症病床の使用率は66・5%になった。患者をすぐに受け入れられる重症病床に限ると86・1%。 感染の「第3波」を受けて政府が1月に出した緊急事態宣言は、大阪・京都・兵庫など6府県で3月1日から先行解除された。しかし、大阪府の感染者数は3月下旬から急増。4月1日からは3日連続で600人を超えた。 府は「第4波に入った」との認識を示す。春休みや異動の時期でコンパや歓送迎会が増えたことや、従来ウイルスより感染力が強いとされる変異株への感染が影響していると分析する。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
歓送迎会めぐる島根知事発言 岩田教授「賛成しません」
山陰で新型コロナウイルス感染者が初めて確認されてから、島根では9日、鳥取では10日に1年を迎える。7日夕時点で、鳥取の感染者数は全国一少なく、島根は死者ゼロ。なぜ山陰は感染が少ないのか。行政の対策をどうみるのか。島根医科大学(現・島根大学)を卒業するまで島根県で過ごした感染症内科医の岩田健太郎・神戸大学大学院教授(49)に聞いた。 ――感染者数が山陰で少ない要因は何でしょうか。 山陰地域の特性を吟味した研究を行うべきではあると思いますが、そういったデータがないのではっきりしたことが言えません。ただ、まず流行地との人の出入りが少ないことがあるでしょう。そして、地域内での人と人との距離(ソーシャルディスタンス)が流行地に比べてずっと長い、という地理的取りえがあるでしょう。 ――4月末まで山陰両県の観光業を支援する「#WeLove山陰キャンペーン」が実施されています。感染が抑えられている地域内で、観光促進の施策は歓迎されるべきものですか。 促進してもよいでしょう。ただし、地域外からの人の移動を最低限にし続ける、という前提が重要です。ウイルスを持ち込まれたら、その促進策が感染を広げかねません。 ――島根県では「9人以下」や「県外から来た人がいる場合、来県後2週間経過した後で開く」といった目安を示し、経営が厳しい飲食店の支援のため歓送迎会をできるだけして欲しいと知事が呼びかけました。賛成しますか。 賛成しません。コロナ後の世界… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
口紅・良妻・恋愛…辞書が見直す解釈 簡単でない言葉も
【女】とは、【男】とは――。時代を反映する国語辞典に、変化の波が押し寄せている。ジェンダーにまつわる言葉の解釈が見直されているのだ。それは、辞書の世界にとどまらない。(才本淳子、田中章博、杢田光、田中ゑれ奈) オンラインの画面に、厚さ3センチほどの紙の束が映し出された。「ジェンダー関連で、見直しを検討した言葉です」。三省堂の山本康一・辞書出版部長が取材に答えた。 同社の「新明解国語辞典」は2020年11月、第8版を発売した。改訂は9年ぶり。今回、紙の束に書いた約1千項目のうち、半数の言葉の解釈を改めた。 国内で「ジェンダー平等」をめざす機運が高まり、LGBTQ(性的少数者)への理解を促す取り組みも広がった――。第7版の刊行後、編集者たちは言葉の使われ方を調べるなか、こう感じた。ジェンダーに関する語釈を集中的に見直すきっかけになった。 例えば【口紅】。第7版は「(女性の化粧品で)くちびるに塗る紅」とあった。第8版は「女性の」をなくし、「(化粧品などで)くちびるに塗る紅」に。【手離れ】は「いちいち母親がついていなくてもいい程度に幼児が育つこと」とあったが、「母親」を「親」に改めた。 編集者の吉村三惠子さんによる… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「これからは女性の時代」で船頭20年 最後の舟下り
岩手県一関市の観光名所・猊鼻渓で1日、女性初の舟下りの船頭が惜しまれながら舟を下りた。約20年間、歯を食いしばりながら舟に乗り続けた千葉美幸さん(47)。その棹(さお)と歌声を後輩に託した。 猊鼻渓は日本百景の名勝。石灰岩が浸食されてできた高さ100メートルを超える断崖絶壁の渓谷を、観光客は船頭が長い棹で操る舟に乗って遊覧する。 猊鼻渓のレストハウスで働いていた千葉さんが船頭になったのは2001年秋。舟下りを運営する観光会社の上司に「これからは女性の時代だ。船頭だってできるはずだ」と誘われた。 最大約70人の観光客を乗せた… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
実物大「動くデロリアン」高校に登場 異彩放つ未来の車
和歌山県立田辺工業高校(田辺市あけぼの)で、生徒が自作したモニュメントが異彩を放っている。制作開始から4年。生徒がバトンを渡すようにして作りあげたのは、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する車型のタイムマシン「デロリアン」。付近の住民らの評判も上々で、生徒たちは「学校のシンボルになってほしい」と期待を寄せている。 高校正門の正面にあるロータリーの真ん中で、デロリアンはじりじりと台座の上を回っていた。アルミニウムとステンレス製で、車体は長さ約4メートル、高さ約1メートル。米国の会社が製造した実物とほぼ同じだ。平日の午前9時から午後6時まで3時間ごとに、映画のテーマ曲にあわせて1回転する駆動式になっている。 制作が始まったのは2016年9月。ロータリーに植えられていたフェニックスの木が害虫被害のため撤去された。「モニュメントをつくって跡地に設置できないか」との校長の呼びかけに、機械科担当の高井正人教諭(51)が反応。当時受け持っていた生徒に声をかけ、車体づくりが始まった。工業製品の代表である車の形で、未来を感じさせる作品に出てくることなどから、デロリアンを作ることにした。映画制作会社の許可も得た。 設計図を作り、アルミ板を切断、溶接。約2カ月で形にして文化祭で展示した。以降の作業は後輩に引き継がれた。高井教諭の監修の下、車体の補強や内部の設計、台座づくり、配線工事などを重ねた。4年間で関わった生徒はのべ500人近くにのぼるという。 昨年は、「ものづくり研究部」… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
阪大の天津麻婆丼「豆腐減少」に長文疑義 店長の答えは
大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)に通う学生たちに、長年にわたり「ソウルフード」として親しまれている図書館下食堂の天津麻婆丼。このほど、「16円値上げされたにもかかわらず、豆腐の数が減った」として、丼を愛するという1人の大学院生から「疑義」が申し立てられた。それに対し、食堂の店長が出した答えとは――。 阪大生協によると、総合図書館の地下1階に、食堂は少なくとも30年以上前からあった。いつから丼が提供されてきたか、はっきりしていないという。 ご飯の上にフライパンで焼いた卵約3個分の卵焼きをのせ、中華あん、麻婆豆腐、ネギをかけている。ピリ辛の麻婆豆腐と、ふわふわの卵焼きが口の中で見事に調和する。約1100キロカロリーとボリュームも満点で、特に男子学生に人気が高い。一皿を分け合って食べる女子学生もいる。 拡大する大阪大学の学生に「ソウルフード」として親しまれている天津麻婆丼=2021年3月25日、大阪府豊中市、森直由撮影 3月下旬に丼を食べていた大学院生の男性(23)は、「正直、おいしいと思えるのは一口目だけだけど、量が多いので気に入っている」と話す。 食堂の約30種類のメニューの中で、最も調理に手間や時間がかかる。約800皿を売り上げた日もあり、1日平均では450皿ほど売れる一番の人気メニューだ。 昨年3月、税込み499円から515円に値上げした。それに対して昨年末、基礎工学研究科の院生が阪大生協のホームページに「ひとことカード」を投稿した。 カードによると、値上げ前の2019年4~8月と値上げ後の20年11~12月、院生は「丼の中で7割以上の形状を保持している豆腐の数」を調査。21サンプルずつ数えたところ、豆腐の数は19年が「15・5±3・1個」、20年は「11・9±2・8個」で、「豆腐の数が減少している結果が示唆された」と主張した。 食堂の前川薫店長(30)は「… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長年ひとりぼっちで… 元法相、法廷で明かした「遺言」
巨額の選挙買収で公判中の元法相が、地元議員らに現金を配った心の内を「遺言」と称して法廷で冗舌に語った。弁護人による約30時間の被告人質問で、元法相が語った事件の「実像」とは……。 「妻の当選を得たいという思いがあったのは、否定しない」 公職選挙法違反(加重買収など)の罪に問われた元法相で元衆院議員・河井克行被告(58)は、3月23日に始まった被告人質問でそう述べて無罪主張を一転させた。地元議員や後援会関係者、陣営スタッフ計100人に計約2900万円を配ったとする買収行為の大半を認め、議員を辞職するとも突然表明した。 「(拘置所の)独房で自問自答を繰り返し、逃げることなく認めること」。それが支持者への責任の取り方だと考えたと述べた克行被告は、神父から「自分の内面に誠実に向き合って」と諭されたこともきっかけだったと説明した。 県連会長に就けず「疎外され寂しかった」 地元議員らに渡した現金は、2… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
個人情報保護の原則「吹っ飛ぶ」 デジタル法案の問題点
デジタル庁創設や個人情報保護法改正を盛り込む「デジタル改革関連法案」が6日、衆院を通過した。自治体などが管理する個人情報の取り扱われ方が大きく変わる可能性がある。課題は何か、自治体の個人情報保護審査会の委員などを務めるNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長に聞いた。 ――個人情報保護のルールの何が変わるのですか。 今回の法案では、自治体ごとに条例で定めていた個人情報保護のルールを、規律が比較的緩やかな国のルールに一元化する。自治体が条例でつくってきた個人情報保護の原則が吹き飛ぶもので、個人情報に関する規制緩和だ。 一定の規模の自治体では、個人情報は「本人同意」に基づいて本人から直接集めることが原則だ。国のルールに一元化されると、利用目的を明確にしていれば、個人情報を本人から直接集めることを原則としない仕組みになる。 もう一つは、思想信条や犯罪被害、病歴、犯歴、社会的身分など「センシティブ情報」と呼ばれる要配慮個人情報について、自治体では原則収集を禁止してきた。その情報を知ることが差別や偏見を植え付ける可能性があるという考えに基づくものだった。今回の法改正で、要配慮個人情報を集めてはいけないという原則もなくなってしまう。 ――集めた個人情報をどうするのですか。 匿名加工などによる個人データ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル