東郷隆、武田遼2021年5月10日 21時47分 広島県の湯崎英彦知事は10日、県内で17、18日に予定されていた東京五輪の聖火リレーについて、新型コロナウイルスの感染が急拡大しているとして、公道で行わない方針を示した。 聖火リレーは両日に計12市町を巡り、広島市の平和記念公園や福山市内で式典を行う計画だった。しかし県内の感染状況は「ステージ4(感染爆発)」に相当する深刻さで、県は8日から県民に外出半減なども呼びかけている。 湯崎知事は10日の会見で「公道で行わないのは間違いない」と明言。県によると、式典会場内で聖火ランナーが走ったり、ランナーが並んで「トーチキス」をしたりするなどの代替案が挙がっているという。 兵庫県も10日、23、24日に予定する聖火リレーについて、公道での実施を中止することを正式に決めた。姫路城(姫路市)と篠山城跡(丹波篠山市)の2会場で代替の催しを検討している。(東郷隆、武田遼) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本にワクチンなぜ来ない 愛知の大村知事、政府に苦言
新型コロナウイルスワクチン接種の電話予約をめぐり混乱が続くなか、感染拡大も止まらない状況にあって、愛知県の大村秀章知事が政府への不満と苦言を述べた。 「昨年8、9月に諸外国は必死に交渉してワクチンをかき集めた。なぜ日本だけできなかったのか。問われるのはそこじゃないか」 10日、愛知県の大村秀章知事は記者会見で、政府の責任論に言及した。 県内は感染拡大が止まらない。8日に過去最多575人の感染を確認、10日も4日連続の400人超えとなる426人となった。入院者数も9日夜時点で最多の782人にのぼった。 4月20日から名古屋市の飲食店で営業時間短縮などの「まん延防止等重点措置」に取り組んだが効果が出ず、12日から「緊急事態宣言」で県下すべての飲食店が時短や酒類提供をやめる要請の対象になる。 大村氏は「『人流』が明らかに起こっていることの表れ。行動の自粛、変容を丹念にお願いすることに尽きる」と手詰まりの状況を認めた。その上で「ワクチンを打たない限り感染拡大が収まらないのは、天然痘撲滅以来わかっていることだ。何でもっとワクチンをくれないのかと言いたくもなる」と政府への不満は止まらなかった。 ワクチンは政府の供給を待つしかないが、県は接種を加速化させるため大規模接種会場の設置を進める。24日に県営名古屋空港ターミナルビル(豊山町)、藤田医大(豊明市)に開設予定だ。大村氏は、両会場では承認申請中の米モデルナ製ワクチンを「必要数提供すると政府の確約を得ている」と話し、「届き次第、打って打って打ちまくる」と息巻く。 名古屋市も自民党市議団の提案を受け、大規模接種会場を瑞穂公園陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)に設ける検討を始めた。建て替えに向けて閉鎖中で、7~9月、会議室やトレーニング室などを開放する想定だ。3カ月で数万人規模の接種を見込めるという。(岡本智、関謙次) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奄美の誤解「手つかずの自然広がる」 これ以上失うまい
「手つかずの大自然が広がる」。よく耳にするうたい文句は誤解だと感じている。6年に及ぶ島暮らしを経て、奄美の自然に対するイメージは変わった。ほとんどの森に伐採された過去があり、海岸にも開発の手が入っているからだ。 奄美の自然を否定したいのではない。この島の素晴らしさは、人の営みのすぐそばに、多様な生き物がいることだ。 絶滅危惧種の花が裏山で咲き、生活道路にアマミノクロウサギが現れる。国の天然記念物のルリカケスやアカヒゲは、民家の軒下にも巣をつくる。奄美最高峰の湯湾岳は694メートル。駐車場から木道を登れば、頂上まで1時間とかからない。国内最大級のマングローブ林は国道から見下ろし、全景を撮影できる。 「屋久島の縄文杉のような目玉がない」。島でそんな声を何度も聞いたが、それも勘違いだ。足元の自然のすごさを教えてくれる翻訳家(ガイド)さえいれば、山歩きの経験がなくても、世界遺産級の生き物を体感できる。貴重な自然との距離の近さこそが、奄美の特徴、売りだと思う。 ただ、身近さは、危うさを伴う。 島内の山という山はかつて… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奄美は「オンリーワンの島」 身近に世界遺産級の生き物
【動画】「最後の自然遺産」登録へ 奄美大島の貴重な自然に出会う ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関から、世界自然遺産への「登録」が勧告された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表(いりおもて)島」。4島の中でも奄美大島(鹿児島県)は、固有種や絶滅危惧種の数が多く、「オンリーワンの島」とも呼ばれる。2020年まで6年間、奄美支局長を務めた記者が、その魅力を紹介します。 「キョー」。春の夜、島の渓流には、鳥のような美しい鳴き声が響く。声の主はアマミイシカワガエル。緑の体に金のしずくをちりばめたような姿から「日本一美しい」とも言われるカエルだ。林道沿いで草をはむのは、真っ黒で耳も足も短い国の特別天然記念物アマミノクロウサギ。樹上では野鳥ルリカケスが瑠璃色の羽を休め、アマミエビネが白や赤紫の美しい花で林床を彩る。山奥の渓流では「幻の花」と呼ばれるアマミスミレがひっそりと開花する。 いずれも世界でこの島周辺だけに生息する「固有種」。「奄美の自然の魅力は多様性。驚くほど多くの種類がいて、固有種や絶滅危惧種だらけ。世界でここだけの『オンリーワン』の自然がある」。島で約40年、撮影を続ける自然写真家常田(つねだ)守さん(67)は言う。 環境省などによると、奄美大島の固有種(亜種を含む)の数は、コケや藻などを除く維管束植物125、脊椎(せきつい)動物52、昆虫838。環境省レッドリスト(2018年版)に記載された絶滅危惧種は、維管束植物193、脊椎動物76、昆虫20にものぼる。 そんな特異な自然の背景は、島の成り立ちにあるという。自然遺産に勧告された奄美大島などの島々はかつて、ユーラシア大陸と陸続きだった。それが約170万年前までに、地殻変動や海面上昇により、古いタイプの生き物を封じ込めたまま島として孤立。大陸で絶滅した種が生き残ったり、隔離後に島で複数の種に分かれたりして、固有種になったとされる。近くを流れる黒潮は、奄美大島で年間降雨量2800ミリ以上、平均気温20度超という温暖湿潤な気候をもたらし、「命のゆりかご」となる豊かな森を育んだ。 そんな貴重な自然が人の営みのすぐそばにあることも奄美大島の特徴の一つだ。絶滅危惧種の花が裏山で咲き、ルリカケスは民家の軒下にも巣をつくる。「屋久島の縄文杉のような目玉がない」と誤解されがちだが、山歩きの経験がなくても世界遺産級の生き物を体感できる。今回の勧告は、その価値の高さが世界的に認められた証しだ。 一方で「近さ」は「危うさ」を伴う。山は伐採によって手が入り、遺産の「核心地域」にも外来種が茂る。身近で希少な自然を楽しみながら、どう守るか。今後の課題だ。(外尾誠) ◇ ほかお・まこと 1971年長崎市生まれ。99年に朝日新聞記者となり、鹿児島総局や西部本社社会部、東京本社国際報道グループ、熊本総局などで勤務。2014年4月~20年3月に奄美支局長を務め、その間、奄美群島地域通訳案内士にも合格した。現在は大牟田支局長(福岡県)。著書に「患者さんが教えてくれた 水俣病と原田正純先生」(フレーベル館)。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「五輪、諸悪の根源みたい」土俵際の都、ちらつく幻の案
その数字を見た東京都の幹部らは目を疑った。大型連休の5月1日。都内で確認された新型コロナウイルスの新規感染者数は1050人にのぼり、同じ土曜日だった前週の4月24日から174人増えていた。 3度目の緊急事態宣言が出た4月25日以降も、感染拡大は収まらない。29日に1027人と、3カ月ぶりに1千人を超える。5月5日、都幹部と対策を協議した小池百合子知事はその会議後、「なかなか厳しい状況が続いていると考えざるを得ない」と語った。 感染者数が収まらない理由のひとつは、抑制できない人の流れだ。ソフトバンクの子会社「アグープ」が公表した午後3時台のデータでは、5月5日までの1週間と、同様に緊急事態宣言が出ていた昨年の同時期を比べると、新宿201%▽渋谷182%▽銀座210%▽浅草125%▽高尾山126%と大幅に増えていた。 「解除できる状況でない。延長が必要と考えている」。11日が期限だった緊急事態宣言について明言を避けてきた小池氏は、6日にそう語り、政府に宣言延長を要請した。 コロナ禍、その対策の影には常に五輪がちらついていました。記事の後半ではそうした経過を振り返りつつ、追い詰められた東京都が見据える緊急事態宣言後の出口戦略について触れていきます。 3度にわたる緊急事態宣言を出しても、収束の出口が見えないコロナ禍。都関係者の脳裏には、7月23日開幕の東京五輪がよぎる。 「国と都が早いうちから連携… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
米軍普天間飛行場の有刺鉄線6本が切られる? 沖縄
2021年5月10日 13時57分 10日午前9時ごろ、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場のフェンスの有刺鉄線が切られていると、在沖米軍から県警に連絡があった。県警によると、敷地内の金網フェンス上部にある有刺鉄線計6本が切れていたという。 宜野湾署によると、普天間飛行場を囲う金網フェンスは、市道沿いに張り巡らされている。そのフェンス上部の有刺鉄線が計6本(長さ約1~約2・9メートル)切れていた。腐食などは確認されておらず、切断された可能性がある。同署は、米軍側から被害の訴えなどがあれば、捜査するという。現場は、沖縄国際大学(同市宜野湾2丁目)の北東側にある市道沿い。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
介護会社発、健康志向の手作りコーラ「高齢者雇用にも」
手作りのコーラ「クラフトコーラ」を三重県伊勢市の福祉介護会社が作り、販売を始めた。着色料、保存料、香料を使用せず、3年がかりで開発。値段は少々お高いが、健康志向が受けて、予想以上の売れ行きを見せている。 開発を手がけたのは、車いすやベッドのレンタル事業を展開している「グッド・ナル」。社長の成瀬和久さん(43)は以前から、農業に携わっている高齢者は元気だと感じていた。休耕地を利用して農作物を栽培し、高齢者の雇用につなげられないか検討していた。 社長以下12人の零細企業。漢方薬や青汁などの原材料の栽培が候補に挙がった。社員と話し合った結果、たどり着いたのが、ショウガや唐辛子を栽培し、それらを原材料にしたクラフトコーラを製造、販売することだった。 同社の営業担当、倉田敏明さ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
職員採用で収賄容疑、町議を逮捕 受験者両親らから現金
加治隼人2021年5月10日 15時00分 福岡県みやこ町の町職員採用試験をめぐり、特定の受験者が有利になるよう町幹部に働きかけた見返りに受験者側から現金を受け取ったとして、福岡県警は10日、男性町議をあっせん収賄の疑いで逮捕した。また、町議に便宜を依頼して現金を渡した疑いで、受験者の両親と知人の男の3人についても贈賄容疑で逮捕した。捜査関係者の話でわかった。 逮捕されたのは、福岡県みやこ町上原の同町議、上田重光容疑者(72)。捜査関係者によると、上田容疑者は2019年秋の町職員採用試験で、受験者の両親らから試験で便宜を図ってもらえるよう依頼を受け、町幹部に働きかけて事前に試験内容を不正に漏洩(ろうえい)させ、その見返りに両親らから現金を受け取った疑いがもたれている。 県警は、受験者の両親が、共通の知人だった男を通じて上田容疑者に便宜を頼んだとみている。10日朝から上田容疑者ら4人が県警から任意で事情を聴かれていた。 上田容疑者は、旧豊津町時代から町議を務め、合併後のみやこ町では現在5期目。議長経験もあり、現在は特別委員会の委員長などに就いている。 みやこ町によると、19年秋に行われた職員採用試験には大卒、高卒予定など102人が受験し、採用されたのは6人だった。(加治隼人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
市場のタンクに白いムラソイ 4年前も…「まるで五輪」
唐沢俊介2021年5月10日 11時00分 「白いムラソイ」が岩手県立水産科学館=宮古市日立浜町=にやってきた。ムラソイはカサゴやメバルの仲間で、暗色系の魚だが、色素の減少、あるいは遺伝情報の欠損で白化したとみられる。「白いウニなどはよく来るが、白いムラソイは珍しい」と同館の宇都宮俊彦さん(54)は話す。 同館は30年ほど前から、宮古市魚市場にタンクを置き、同館の展示用に地元の漁師から魚の提供を受けている。4月17日、いつものように飼育係の男性がタンクの確認に出かけたところ、普段見かけない白色の魚が入っていた。同館はすぐにスペースを設け、披露し始めた。 4年ほど前にも白いムラソイが入っていたことがあり、「オリンピックみたい」と宇都宮さん。白い魚は目を引き、来館者にも人気だという。(唐沢俊介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
世田谷一家殺害現場に落書き 容疑の少年「事件知らず」
2021年5月10日 11時17分 東京都世田谷区で住宅を囲うフェンスなどに落書きをしたとして、警視庁は10日、都内の男子高校生(17)を器物損壊容疑で書類送検した。成城署への取材で分かった。 住宅は2000年に会社員宮澤みきおさん(当時44)の一家4人が殺害された現場。生徒は「事件を知らなかった。こんな大事になるとは思わず、反省している」と供述したという。 署によると、男子生徒は昨年11月29日夕、世田谷区上祖師谷3丁目で、住宅を囲むフェンスや近くの公園の遊具に落書きをした疑いがある。ペンを使い、縦60センチ、横35センチのサインや数十センチ四方の人の顔などを描いたという。 署は周辺の防犯カメラの映像から男子生徒を特定した。男子生徒は「ユーチューブなどで壁に絵を描く動画を見て、描いてみようと思った」などと話したという。 現場の住宅をめぐっては、警視庁が昨年2月、証拠保全のために続けていた24時間態勢の警備をやめた。土地を所有する東京都と建物を所有する遺族側が取り壊しについて協議を続けている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル