度重なるつきまといなどを取り締まる改正ストーカー規制法が8月26日に全面施行される。GPS機器を使って位置情報を得るなどの行為が新たに規制対象になる。被害者らからは「恋愛感情を満たす目的」でなければ、法の規制対象にならない点を見直すよう求める声が上がったが、今回の改正では見送られた。 「なぜ『恋愛感情』以外の目的によるつきまといは(ストーカー規制法の)対象になっていないのか」 改正案が審議された今年5月の衆院内閣委員会。牧島かれん氏(自民)が政府側の見解をただした。 政府側は「法制定当時、つきまといなどの行為は恋愛感情等に起因する状況が多かった」とし、国民への規制の範囲を最小限にすべきであるという点を考慮して「恋愛感情」の要件を設けた、と説明した。 恋愛感情の要件見直しは国会に出された政府案には盛り込まれておらず、改正は見送られた。ただ衆参両院の内閣委はその他の動機であっても「被害者に多大な恐怖をもたらすものもある」などとし、対象に加えることも検討するよう求める付帯決議を可決した。 内澤旬子さん 「恋愛感情の要件はなくすべきだ」。ストーカー被害を受けた経験がある文筆家の内澤旬子(うちざわじゅんこ)さんはこう訴えてきた。 ストーカーを処罰する際、日本では加害者の「恋愛感情等」が要件とされていますが、国際的にはきわめて異例です。被害者から削除を求める意見が出ている一方、慎重論を唱える専門家もいます。 元交際相手の男からSNSを… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1461文字/全文:1992文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「復興五輪」の裏で進む「棄民」 住まい追われる避難者
この夏、コロナ禍を押して開催されている「復興五輪」のさなか、首都圏に暮らす福島県からの「自主避難者」が住まいを追われようとしている。福島からの県外避難者は少なくとも約2万8千人。自主避難者は、その約半数を占めるという。「棄民は許されない」と訴える原発事故避難者の村田弘さんに聞いた。 帰りたくても帰れないのに「自主避難」とはおかしい 村田弘さん(原発事故避難者) ――政府が「復興五輪」と名付けた東京五輪が始まりました。 「ほとんど関心を持っていない、というのが正直なところです。でも、とにかく大過なく終わって欲しいと願うばかりですね」 選手村の前で=2021年7月15日、東京都中央区、嶋田達也撮影 「震災以降の10年で、夏のオリンピックは3回目のはずですが、僕には過去2回の夏季五輪の記憶はほとんどありません。最初の2年ほどは錯乱状態でしたし、それからも生きることに必死で、目を向ける余裕はありませんでした」 「そもそも『復興五輪』なんて詭弁(きべん)です。原発避難者はまだ全国各地に避難したままで、事故処理の見通しも立たない。それなのに政権は『原発事故の被害は軽かった』と世界に発信したい。その総仕上げがこの五輪です」 「2013年の国際オリンピック委員会総会の招致演説で当時の安倍晋三首相は『福島はコントロール出来ている』と言い、さらに『健康の問題は今までも現在も、将来もない』と断言した。実際は県の検査で子どもたちに甲状腺がんが見つかり、大量の汚染水が海に流れ、問題だらけでした」 ――ご自身は、移住先の南相馬市で被災なさったそうですね。 「はい、東京電力福島第一原発から約16キロの南相馬市小高区で被災しました。妻と子猫と、着の身着のままで情報も無く逃げ惑い、最終的には次女を頼って神奈川県にたどり着いたんです」 「あのとき68歳だった僕たちは78歳を過ぎ、妻は認知症が進んでいる。退職後、田舎で余生を過ごすはずだったのに、人生を破壊されてしまいました。そして僕たちよりもさらに悲惨な暮らしを強いられ、悔しい思いでいる被災者たちが、全国にたくさんいます」 記事の中盤で、村田弘さんは、東京へ避難する人たちに福島県は2倍の家賃を請求し、生活の基盤が脅かされていると憤りを語ります。後半では、元福島大の教授の今井照さんが、「復興五輪は最初からフィクションだった」と語り、法律の不備を指摘します。 選手村を見つめる村田弘さん=2021年7月15日、東京都中央区、嶋田達也撮影 ――復興庁によれば、福島県… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
兵庫県、まん延防止等重点措置を要請へ 感染者急増受け
兵庫県の井戸敏三知事は28日、県の新型コロナウイルス対策本部会議の冒頭で、「国にまん延防止等重点措置の申請をする」と述べた。会議で専門家らの意見を聞き、正式に決める。 県内では28日、2日連続で200人超となる254人の新規感染者の発表がされた。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は18・44人と、重点措置の適用目安となる指標の「ステージ3」(感染急増)を超えている。(武田遼) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ下の結婚式、招待されたら…欠席、親族間で険悪に
皆さんの身近な困りごとや疑問をSNSで募集中。「#N4U」取材班が深掘りします。 招待する側も、される側も悩ましいのがコロナ下の結婚式。式が延期、再延期となった新郎新婦。欠席を伝えると親族間で険悪になったゲスト。困り事をSNSで募る「#N4U」取材班にも、そうした声が寄せられた。11月に式を控える取材班の記者(31)も、葛藤する1人だ。(寺沢知海、朝倉義統、矢島大輔) 5月の夕方、兵庫県西宮市。自宅でタキシードとウェディングドレスに着替えた、新郎の杉本賢吾さん(29)と新婦の千寿香さん(28)は、浜辺の公園に移動した。「ここは石垣島です!」。写真撮影では、結婚式プロデュース会社のスタッフが声をかけた。 「笑いと愛の絶えない温かい家庭を築くことを誓います」 お互いの両親の前で誓い、指輪を交換した。 新婦の母・和田千昭さん(52)はスマホで、その様子をライブ中継した。中継先は、参列するのを楽しみにしていた奈良県に住む新婦の祖父母宅だ。 2人は2019年5月に結婚。20年4月に沖縄県の石垣島で式を挙げ、9月に大阪のホテルで披露宴をするはずだった。だが、緊急事態宣言で延期に。今年に入り同じような日取りで計画していたが、再び緊急事態宣言に阻まれた。 結婚式プロデュース会社エニマリに相談。ゆかりのある近畿大学周辺や、新生活を送る西宮市内で写真撮影をし、両親4人に絞って浜辺で人前結婚式を挙げた。披露宴はあきらめた。 賢吾さんは「本当に疲れた。ゲストにも不安で嫌な思いをしてほしくない。迷惑がかかるから再々延期はしなかった」と言う。 千寿香さんは、「式を挙げるメドが立たず、たくさん悩みました。結婚から2年も経ち、気持ちが新鮮なうちに式をしたかった」と話す。「こんな形じゃないとも思ったけど、こんな機会だからこそ2人の思い出の地をめぐって新たな気持ちでスタートしたかった」と語った。 昨年1月に結婚した東京都の会社員男性(36)は式を2度延期し、いまだに挙げられずにいる。 当初は昨年12月に予定して… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「鬼滅の刃」連想させる品販売した疑い 会社社長ら逮捕
会員記事 高絢実 山崎輝史2021年7月28日 10時41分 人気アニメ「鬼滅の刃」を連想させるデザインの商品を販売したとして、愛知県警は28日、商品卸売会社「レッドスパイス」(横浜市中区)社長の斉藤雪容疑者(52)ら男女4人を不正競争防止法違反(混同惹起(じゃっき)行為)の疑いで逮捕した。 関係者によると、斉藤容疑者らは、鬼滅の刃に登場するキャラクターの衣装の柄に似せた商品を輸入し、各地のゲームセンターに景品を卸す業者に販売した疑いがもたれている。 鬼滅の刃のコピー品をめぐっては、著作権法違反での立件が相次いでいるが、不正競争防止法の適用は全国で初めてとみられる。「鬼滅の刃」の文字は商標登録されているが、レッド社の類似品は、商標登録されていないキャラクターの羽織の柄や文字を組み合わせることで混同させるため、同法を適用した。 同社の商品は羽織やバスタオル、リュックサックなど。アニメの主人公の竈門(かまど)炭治郎の市松模様など登場人物の羽織の柄や、「鬼退治」「滅」の文字をあしらっている。クレーンゲームの景品のほか、ネット販売もしていた。 同社に対しては消費者庁が3月、首にかける携帯型商品について根拠なく「身につけるだけでウイルスが除去できる」とうたったとして、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出している。 鬼滅の刃は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された漫画が原作。単行本の累計発行部数(デジタルを含める)は1億5千万部超。2019年にアニメが放映され、昨年公開された映画は国内での興行収入歴代1位となっている。(高絢実) 緑と黒の市松模様の品物がはみ出ている箱も 県警は4月中旬、横浜市中区の「レッドスパイス」本社など関係先を家宅捜索した。 同市神奈川区にある同社の倉… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:231文字/全文:964文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
昭和初期以来?いないはずの伊豆半島でツキノワグマ確認
岡田和彦2021年7月28日 13時35分 西伊豆町は27日、町内の山中でツキノワグマがシカ用のわなにかかったと発表した。静岡県によると、伊豆半島では昭和初期まではツキノワグマが生息していたと伝わるが、その後は確認されていないという。 町によると26日午前8時ごろ、猟友会員から、同町宇久須の山中の林道沿いにしかけたシカ用のくくりわなにクマらしい動物がかかっていると連絡があった。 現地で調査した県自然保護課によると、若いオスのツキノワグマで、体長135センチ、体重43キロ、年齢は3~5歳。 現在、伊豆半島にツキノワグマは生息していないとされている。若いオスは母親から離れて活発に移動する習性があることから、箱根などの生息地からやってきたのではないかとみている。集落に出没しているわけではないことから、過度に警戒する必要はないとする。 クマは麻酔銃を使って保護し、さらに1キロほど山奥に放った。(岡田和彦) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本で生まれ育ったブラジル代表 すべては五輪のために
日系4世の柔道81キロ級エドゥアルド・ユディ・サントス選手(26)は7年前、単身ブラジルに渡った。日本生まれの日本育ちだが、ブラジル代表として、東京五輪の畳に立つために。27日、その夢をかなえた。 ルーツをたどると、曽祖父母がブラジルに移住した日本人だ。両親が「デカセギ」で1992年に来日。2年後、サントス選手が茨城県で生まれた。 4歳の時、わんぱくさに手を焼いた両親が地元の柔道クラブに入れた。体が大きかったためか、「外国人」だからといじめられた記憶はない。中高で全国大会を経験し、2013年春、国際武道大に進んだ。 順調な柔道人生だった。1年で関東学生体重別選手権2位に。決勝の相手は、27日に81キロ級で金メダルを獲得した、当時筑波大2年の永瀬貴規選手だった。 ところが、強化選手への登竜門である講道館杯への出場資格を得られるはずが、日本国籍がなく、出られないと知った。日本代表を目指せない自分は実業団にも入れないだろう。ブラジル国籍では柔道選手の主な就職先である公務員にもなれない。どうやって生きていこう――。 そんな時、合宿で大学を訪れ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:643文字/全文:1123文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南極で出会う「いにしえの火星」 水の惑星に姿重ねて
南極の短い夏、観測隊員は童話「アリとキリギリス」のアリのように働く。「厳しい冬が来る前に」と沈まぬ太陽の下、作業にいそしむ。2020年1月、そんな姿を取材し、建設作業も手伝い、基地を離れて野外観測の現場も巡った。 昭和基地から遠く離れた各地に地震や地磁気、気象などの無人観測機がある。しらせ搭載のヘリコプターがある夏でなければ行けない所も多い。年に1度は観測データの回収、電源や機器のチェックに隊員が赴く。 同月19日、ヘリコプターで基地から北東へ約90キロ、氷海を越え、大陸沿岸の「明るい岬」に降り立った。まずは小さなアンテナを設置し、人工衛星を使って正確に測地。大陸のわずかな動きの変化をとらえる。次にチェックするのはインフラサウンドの観測機器だ。「人に聞こえない超低周波音をとらえるもので『大気の地震計』みたいなもの」と、野口里奈さんが教えてくれた。はるか遠くの津波や噴火、巨大な氷が割れる時などに大気が震動し、伝わって来るのをとらえるそうだ。 野口さんは、宇宙航空研究開… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:616文字/全文:1059文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学校教諭、ツイッターに女児のわいせつ画像投稿の疑い
2021年7月28日 13時00分 女児のわいせつな画像をネットに投稿したとして、北海道警厚別署などは27日、札幌市立三里塚小学校教諭、村上努容疑者(40)=札幌市厚別区厚別中央1条7丁目=を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑とわいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑で逮捕し、発表した。署は認否を明らかにしていない。 発表によると、村上容疑者は2月27日、ツイッターに道外在住の女児のわいせつな画像3点を投稿した疑いがある。 署によると、同様の事件を調べていた佐賀県警から情報提供を受け、道警サイバー犯罪対策課などとともに捜査し、村上容疑者を特定したという。署は画像の入手方法などを調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
関西電力が1.9億円所得隠し 役員報酬補塡で国税当局
関西電力高浜原発=2021年6月20日、福井県高浜町、朝日放送テレビヘリから、矢木隆晴撮影 関西電力が東日本大震災後にカットした役員報酬を補填(ほてん)した問題をめぐり、関電は27日、大阪国税局の税務調査を受け、2019年3月期までの3年間で約1億9800万円の所得隠しを指摘されたと発表した。国税当局は、役員報酬の減額分を退任後の「嘱託報酬」と仮装して補填していたと認定。経費としての計上は認められないとし、重加算税の対象とした。 関電をめぐっては、元役員らが福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(19年に死去)らから総額約3億7千万円の金品を受け取っていた問題が19年に発覚。役員報酬の補填についても、関電のコンプライアンス委員会が昨年に出した調査報告書が、16~19年に役員ら18人に相談役や嘱託を委嘱する形で計約2億6千万円を支払ったと指摘していた。 関電によると、大阪国税局は、18人のうち、森詳介元会長ら11人の役員報酬の補填分として約1億9800万円が更正処分の対象になったと指摘。本来は役員の退職金とみなすべき給与を嘱託報酬に仮装していたとして、所得隠しにあたると判断したという。重加算税約700万円を含む法人税の追徴課税額は計約3100万円に及んだとみられる。 役員報酬の補填問題では、市民団体が元役員らを会社法の特別背任などの疑いで大阪地検特捜部に刑事告発。特捜部が告発を受理し、捜査を進めている。 大阪国税局は、金品受領問題にからみ、関電が全額出資する子会社の「関電プラント」が森山氏に支払っていた顧問報酬約900万円についても、実態は「交際費」にあたるとし、申告漏れを指摘した。追徴課税額は約100万円とみられる。 関電によると、27日午前に大阪国税局から更正通知を受け取ったという。同社は「更正処分を踏まえ、本日納税した。今後も関係法令に従って適切に対処する」とコメントした。(徳永猛城、室矢英樹) 記事の後半では、補填を受けていた元役員当人への取材内容や、一連の問題の経緯を報告します。 ■金品受領と報酬補填の問題… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1821文字/全文:2605文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル