自分たちは「不要不急」の存在なのか――。新型コロナウイルスの感染拡大で、休園を余儀なくされた動物園や水族館はこの1年、施設の存在意義を自問する日々を過ごしてきました。お客さんのいないなかで試行錯誤した結果、ある「確信」が得られたといいます。 スマトラトラやマヌルネコなどがいる民間動物園「神戸どうぶつ王国」(神戸市中央区)は、兵庫県に3度目の緊急事態宣言が出たことで休業要請の対象になり、25日から臨時休園に追い込まれた。 かき入れ時のゴールデンウイークに合わせて、23日にはアフリカの湿地を再現したエリアをオープンさせたばかり。巨大なくちばしが特徴の鳥「ハシビロコウ」の繁殖をめざす取り組みだ。 感染対策もしっかり行い、準備を進めてきた矢先の休園。佐藤哲也社長は「5月は売り上げがもっとも大きな1カ月。仕方ないとは言え、補償の話もなかなか見えず、受け入れられない思いもある」と語る。一方で、「夏にも同じような状況になれば、(閉園などの)判断を迫られる施設も出てくる。宣言の延長をおそれず、しっかり抑え込んで欲しい」と要望する。 1年前は「ほぼ壊滅状態」 コロナの影響で休園するのは、国内で感染が急拡大した昨年春に続き2度目だ。このときは3月3日から5月28日まで、一時再開をはさみながら休まざるをえず、「ほぼ壊滅状態だった」(佐藤さん)。2014年の開園以来、年間の来園者数はずっと右肩上がり。19年度は100万人突破も見えていたが、初めて前年度を割り込んだ。 公営の動物園などに比べ、同園のような民間施設は入場料と飲食や物販の売り上げが主な収入で、休園すればそのほとんどが消える。昨春は動物の世話にかかる費用や約80人の従業員の人件費を削減せず、借り入れや様々な補助金などを使ってやりくりした。 一方で、同園が大切にしてきた「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みは、岐路に立たされた。国内の哺乳類の中で最も絶滅の恐れが高いとされる「ツシマヤマネコ」の生育環境を守る活動や、日本固有のトゲネズミ類を絶滅から守る活動などだ。「CSR(社会貢献)ではなく、動物園としてしないといけない『責務』」(佐藤さん)と考えていたが、こうした取り組みにお金をかける余裕がなくなった。 窮余の策として、同園は昨年… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1352文字/全文:2312文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
何度も崖っぷちの銚子電鉄 社長がそれでも楽天的なワケ
本業の鉄道事業は万年赤字、売り上げの8割が煎餅(せんべい)販売などの食品事業という千葉県銚子市のローカル線、銚子電鉄が、コロナ禍で再び崖っぷちに立たされている。「今の状態が半年続いたら破産」と話す竹本勝紀社長(58)だが、それでも楽観的な姿勢を失わない。自信の源流は15年前の「奇跡」にあった。 たけもと・かつのり 1962年生まれ。税理士。座右の銘は「疾風勁草(けいそう)」。ダジャレを愛する「ダジャラー」でもある。 2006年11月のある夜、当時経理課長補佐だった山崎勝哉さん(55)=現経理課長=は、ぬれ煎餅の飛び込み営業から疲れ果てて本社に戻った。会社は10年ほど前からぬれ煎餅を製造販売。「あと数日で資金ショートを起こしてしまう。なにかしなければ」と思い詰めて始めた「行商」だった。同僚とともに見知らぬ会社事務所に飛び込んでは、「ぬれ煎餅を買ってください」と頭を下げて回る日々だった。 当時、会社は前社長の1億円を超す業務上横領に揺れていた。行政の補助金が打ち切られた上、国からは老朽化した線路や踏切の改修を命じられ、3カ月以内にできなければ運行停止が待っていた。その費用は約5千万円。さらに1カ月後に迫った電車の法定検査にも1千万円が必要だった。いずれも、1カ月の運賃収入が900万円の赤字鉄道が背負える金額ではなかった。 行商の合間に考え込んでしまうこともあった。「私たちが思うほど銚電は必要とされていないのだろうか」。そんな迷いを振り切るようにこの夜、思いついた言葉を会社のホームページに書き込んだ。 「緊急報告 電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください!! 電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」 断末魔からの逆転、そしてまた自転車操業に 当時は顧問税理士だった竹本… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マスクなし、なじみ客「急いで金を」 違和感に詐欺確信
銀行の窓口で出金や振り込みの処理を担う。高額の場合、用途を確認することになっているが、静岡銀行大船支店=神奈川県鎌倉市=で働く高野やよいさん(45)は、心が折れそうになることが何度かあった。 「自分の金なのになんで使い道を言わないといけないんだ!」 「早く手続きしろよ!」 たいていの客はいい顔をしない。それでも、「お客さまの資産を犯罪から守ることも大事な仕事なんだ」。自分に言い聞かせ、声を掛け続けてきた。 その日は雨が降っていた。なじみの男性客が出金伝票を握りしめ、窓口に駆け寄ってきた。 「急いでお金を下ろしたいんだ」 80代でいつもは息子と車で来店するのに、ひとりでバイク用のヘルメットを抱えたまま。マスクも着けていなかったが、「急いで来たんだ。忘れたよ」。高野さんは違和感をおぼえた。 「今日はどうされました?」… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
静岡の突風「雷のような音」、2階に孫が… 40戸被害
会員記事 和田翔太、魚住あかり2021年5月2日 13時01分 静岡県牧之原市で1日夜に発生した竜巻とみられる突風は、局地的に大きな被害をもたらした。これまでにけが人3人、建物被害40戸などの被害が確認されている。一夜明けた2日、被災地では被害の詳細が明らかになり、地元住民は片付けに追われた。 被害が大きかった牧之原市北部の布引原(ぬのひきはら)地区では電柱が倒れたり、車や家の窓ガラスが割れたりした。屋根の瓦が飛び、トタンが剝がれた家の近くでは、トラックが横倒しになっていた。茶畑にがれきが飛び散るなど、農作物にも被害が見られた。 牧之原市によると、2日午前8時半現在、半壊などを含めて建物被害が40件、電柱の倒壊が18本、倒木が3カ所、通行止めが8カ所、車の横転5台が確認されている。また市内850戸で一時停電しているという。 強風が吹いたとみられる時間、住民たちは、大きな音を聞いていた。 元区長の原田松男さん(77)は、「ゴー」という音を聞いた。当時、外では雷が鳴っており、「近くに(雷が)落ちたのかな」と思ったという。 自宅は屋根の瓦が飛び、ソーラーパネルが壊れ、窓ガラスも全部割れた。 「今、息子が雨に備えてシートを買いに行っている。すぐに復旧は無理だと思う。とりあえず屋根だけでも何とかしなくては」 高校生の孫と動画サイトを見ていたという渡辺公枝さん(68)も「ドーッ」という大きな音を聞いた。屋根や物置の他、1年前に買ったばかりの車のガラスも破損した。「物置に置いてあった長靴が吹き飛んで家の前の電線に引っかかっている」と驚きを隠さなかった。 壁や天井に大穴、横なぐりの雨が室内に 会社員の秋山崇男さん(54… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:429文字/全文:1120文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
スーチー氏から託された日本刀 連絡絶えても修復作業中
高橋孝二2021年5月2日 13時06分 ミャンマー国軍のクーデターで拘束されたアウンサンスーチー氏ゆかりの日本刀の修復が、岡山で順調に進んでいる。今秋の終了が見込まれ、職人らはスーチー氏の身を案じつつ、引き渡しの日が来るのを待つ。 刀は備前伝を得意としていた人間国宝の刀匠・高橋貞次(1902~68)が鍛造したもの。第2次大戦中にミャンマー方面担当に就任する陸軍中将に贈られ、その後、スーチー氏の父で独立運動の英雄アウンサン将軍に渡った。アウンサン将軍が1947年に暗殺された後はスーチー氏が所有していたとみられる。 刀身のさびなど劣化が進み、スーチー氏側から修復依頼を受けた日本財団(東京)が瀬戸内市に相談。県内の職人らが修復することになった。 作業は昨年11月、同市の備前おさふね刀剣の里で始まった。刀を研ぐ工程のうち、最初の段階にあたる「下地研ぎ」を担ったのは研ぎ師の横山智庸(とものぶ)さん(49)。全国的な公募展で優秀な評価を受けた職人だ。横山さんが丹念にさびを落とす作業を続けていた2月初め、スーチー氏の拘束が分かった。それ以降、スーチー氏側からの連絡はないままだという。 刀は4月中旬、刀を保護するハバキと呼ばれる金具の制作に移った。岡山市の白銀師・小池哲さん(59)は「ミャンマーが平和な状態に戻って刀を渡せれば」と願い作業したという。 現在は倉敷市の鞘師(さやし)・石崎三郎さん(70)のもとで白鞘づくりが進む。石崎さんも「スーチーさんの無事を祈りたい」と話す。 刀は8月末ごろから最後の仕上げとして、横山さんが刃文がきれいに出るよう研ぐ予定。引き渡しのめどは立たないが、横山さんは「輝きを取り戻し、備前伝の日本刀らしい華やかさが見えるようにしたい。この刀が日本とミャンマーのかけはしとなれば」と語った。 修復後は市内での公開に意欲を見せていた瀬戸内市の武久顕也市長も、「スーチー氏の安否が何より心配です」と話していた。(高橋孝二) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多業態との連携模索 「行ける所」から「行きたい所」へ
内科医・旅行医 伊藤玲哉さん 医療の世界は治療・治癒が最優先です。その価値観の中で、患者さんが「旅行したい」と漏らすことすらはばかられるのが実情です。大学病院でそれを何度も目の当たりにし「望めばいつでも患者が旅行できる体制を作る。これが医療界での自分の役割だ」と考えました。日本国内に医師の数はざっと30万人といいます。一人くらい、旅行専門の医師がいてもいいではありませんか。 契機は腎臓がんが全身に転移した50代男性の最期の帰宅に同行したことでした。食事はほぼ食べられず、余命は長くて数週間。東京の病院から茨城の自宅に戻るなら今しかないというタイミングでした。そして、帰路に「家族とスカイツリーに上りたい」といいます。 元自衛隊員で元来が寡黙な人でした。ストレッチャーに寝たままエレベーターで上がる間も無言で表情を変えず「本当に上りたいのかな」と感じつつ展望階へ着きました。 快晴で東京の街が一望できま… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【写真まとめ】静岡で竜巻か 家屋が全半壊、電柱倒れる
朝日新聞デジタルに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。Copyright © The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
成人式、参加不可の県外新成人に9万円補助と特産品
2021年5月2日 9時43分 山形市は4月30日、希望しながら成人式に参加できなくなった県外在住の新成人に対し、貸衣装や美容室などのキャンセル料を9万円を上限に補助するなどの対応策を発表した。 補助を受けられるのは、県外在住で成人式への参加を希望し、市からPCR検査キットを送付した人と自前でPCR検査を受けた人、およびその2親等以内(両親、祖父母、兄弟姉妹)の親族。補助のほか、成人式に参加できなくなった県外在住の新成人には5月中旬、米や乾麺などの市特産品を選ぶことができるカタログをおわびの手紙とともに送るという。 佐藤孝弘市長は30日午後の記者会見で、成人式に参加できなくなった県外在住の新成人に対し「たいへん申し訳ない。誠実に対応したい」などと話していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「最終的には生活保護」なのか 老後を描けないコロナ禍
新型コロナウイルスの感染が再拡大するなかで迎えた1日のメーデー。厚生労働省によると、新型コロナの影響で解雇や雇い止めをされた人やその見通しにある人は、4月23日時点で10万人を超える。労働者からは怒りの声が漏れる。 「どこまでギリギリの生活になれば、国は守ってくれるんでしょうか」 東海地方に住む会社員の男性(60)はこぼす。 今年1月、菅義偉首相が国会で口にした「最終的には生活保護」という言葉が忘れられない。感染拡大で生活が苦しい人への対応を問われ、答えたものだ。 男性には、将来のための蓄えも家も全て手放さなければ、国は支援しないという意味に聞こえた。 昨秋、解雇された。コロナ下の不況で、事業の縮小が決まったからだった。 その企業には、2019年秋… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
3度目の宣言、早くも延長論 専門家「連休明けが心配」
3回目の緊急事態宣言が始まって、2日で1週間になる。政府は宣言で感染者を一気に減らそうとしているが、効果はまだ見えていない。重症者の急増で医療現場は逼迫(ひっぱく)するばかりだ。宣言の期限は11日だが、「延長は避けられない」との見方が専門家の中で強まっている。 宣言は東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象に4月25日から始まった。飲食店への時短営業の要請を中心とした「まん延防止等重点措置」では感染者の増加がとまらず、今回の宣言では居酒屋や大型商業施設、テーマパークなどに幅広く休業を求めた。 過去7日間の平均で1日あたりの感染者数をみると、30日は東京で773人、京都で137人、大阪で1111人、兵庫で483人。1週間前と比べ、東京、京都は1割増、大阪、兵庫はほぼ横ばいだ。 新型コロナウイルスは感染から5日ほどで発症することが多く、検査、公表までにさらに時間がかかる。直近の感染者数は1週間ほど前の感染状況を表している。宣言の効果はまだ判断できる段階ではない。 過去2回の宣言では発症日ごとの感染者数で見ると、宣言が出る前に流行のピークが過ぎていた。感染状況の悪化に反応して、多くの人が外出の自粛を始めていたためだ。今回は宣言から間もないため、発症日ごとの感染者数ははっきりしない。 いま、人流はどうなっているのか。東京都医学総合研究所の西田淳志・社会健康医学研究センター長によると、ここ数日で東京と大阪の主要繁華街の人流は急激に減り、「酒類を提供する飲食店の休業要請など宣言に一定の効果は見られている」と話す。 西田さんによると、24日に都内では「駆け込み会食」と見られる人出の増加があったものの、30日までの1週間とその前週の人出を比べると、昼(正午~午後6時)は2割あまり、夜(午後6時~午前0時)は3割近く減っているという。西田さんは「とくに感染リスクの高い夜の時間帯に滞留人口が下がっているかが大事になる」と指摘する。 大阪でも25日と30日を比べると各時間帯とも2~3割減。人出の減少が見られてから1カ月ほどたつという。だが感染の収束は見えてきていない。感染力の強い変異ウイルスが影響している可能性もあり、西田さんは「感染の減少には時間がかかる可能性がある。しっかり下がるのを見てから解除を判断してほしい。リバウンドすれば人流抑制に協力している人の努力が水の泡となってしまう」と話す。 東京の人流が減る一方、周辺の埼玉、千葉、神奈川の3県では減る傾向が見られないといい、「大型連休明けに一気に感染者数が増えないか心配だ」と話す。 宣言の解除は、政府の分科会が示した6指標が、最も深刻な「ステージ4」から脱することが目安になる。指標の一つの病床使用率は50%未満が基準だが、内閣官房のまとめでは、大阪は29日時点で95%。使える病床は使い尽くしている状況だ。治療や療養が必要な人もステージ4の基準の7倍。兵庫も病床使用率が88%。治療や療養が必要な人は基準のほぼ3倍だ。 東京の病床使用率は32%で、関西と比べれば逼迫度は低い。しかし、変異株が急拡大しており、予断を許さない状況だ。 全国の重症者は30日時点で1020人と、「第3波」のピークの1043人に迫る。変異株は20~30代でも重症化しやすい懸念もある。感染者を一気に減らさなければ、コロナ以外の医療も立ちゆかなくなり、宣言が長引くことで経済も甚大なダメージを受ける。連休中は検査数が少なくなる傾向にあるため、感染状況を正確に把握するのが難しいとの指摘もある。 東京医大の濱田篤郎・特任教授(渡航医学)は「連休中にステイホームする人が増え、ある程度は感染者は減るかもしれないが、11日の期限までに流行が収まるとは思えない。延長する場合、単に今の対策を続けるのではなく、より広く休業を要請するなど次の手を考えておく必要があるだろう」と話す。(阿部彰芳、石塚広志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル