福岡市は公立小中学校などの教員採用で、筆記試験と面接を省く新たな採用方式を2022年から導入する。代わりに教育実習の評価と大学の推薦だけで採否を決める方式は全国でも異例。教員のなり手不足を背景に、適性のある学生を確保する狙いがあるが、専門家は学生を評価する基準のあり方を課題に挙げる。 代わりに教育実習の評価と大学推薦 福岡市教育委員会は昨秋、2020年の教員採用試験の終了後、教育実習を活用した採用について検討を始めた。採用試験の受験者が減少傾向にあるなか、「今の方式では適性のある学生を十分採用できない」(担当者)との考えからだった。同年12月には福岡県内の大学と協議を開始。教育実習の評価方法などへの意見を踏まえ、今年3月に筆記試験と面接を課さない特別選考の導入を決めた。 これまでは1次で教養などの筆記試験、2次で面接と模擬授業を行い、採否を決めていた。特別選考では従来の試験をしない代わりに教育実習の評価と大学推薦で合否を決める。九州大や福岡大など提携を結ぶ県内15大学の学生が対象で、22年実施の採用試験(20年の試験では約600人採用)の2~3割を切り替える。15大学の採用実績(同約80人)を元に、各大学の推薦数の上限を決める。 特別選考の導入に伴い、市教委は今年から、これまで採用と無関係だった教育実習の仕組みを抜本的に見直す。実習の内容と評価基準は市教委が一律で定める。その上で4週間の実習期間を通じて受け入れ先の校長が学生の指導力や協調性を評価するという。 大学推薦を受けた学生の試験を一部免除する自治体は多いが、筆記試験と面接を免除する採用方式は「聞いたことがない」(文部科学省)。国は社会人採用など教員の多様化をめざしており、福岡市の特別選考についても文科省は「自治体の工夫の一つ」と容認している。 福岡市教委の宮原章・教職員第1課長は「筆記試験と数十分の面接では教師としての適性を見抜くのが難しい。教育実習や大学での評価をもとに教師として活躍できる学生を採用したい」と語る。 囲い込みの狙い 課題も 導入の背景には、教員のなり手… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「冬装備 まだまだ必要」関越道に続く表示、いつまで?
街中の雪はほぼ解けたが、関越道を走ると電光掲示板に「冬装備 まだまだ必要」の文字。そろそろ冬タイヤからはき替えようと思っていたのだが……。 13日、関越道を東京方面に向かった。最初に見つけたのは小千谷インターチェンジ(IC)を過ぎた辺り。鉄パイプで組まれたヤグラの上に設置された黄色い枠の電光掲示板で太陽光パネルを備える。谷川岳パーキングエリアまでに12基で同じ表示を確認できた。 NEXCO東日本新潟支社によると、これらは「雪氷対策用簡易情報板」。関越道長岡ジャンクションから群馬県の月夜野ICの上下線に計37基設置している。「4月も降雪や凍結の可能性があるので表示しています」。長岡~小千谷間も情報板はあったが、表示はなかった。「各事務所が運用しており、表示を終了したところもあるようです」。関越道だけでなく、上信越道で10基、北陸道で14基、磐越道で12基、日本海東北道で1基設置しているという。 雪が降り始める前の昨年11月20日に設置。時期や状況にあわせ「早めの冬タイヤ」「この先積雪あり」「吹雪注意速度50km/h」などの表示を行い、3月ごろから現在の表示にしている。「この表示も雪氷対策期間の4月15日まで。その後、順次撤去していきます」。新潟地方気象台によると、今後は暖かい日が続き、降雪や路面凍結の可能性は低いという。 ただし、気象庁のデータでは今年も14日に湯沢で1センチの降雪があり、NEXCOによると昨年は関越道で4月19日に降雪があった。「走行する前に天気予報をチェックしてほしい。降雪予報があれば情報板などでも案内する」(伊丹和弘) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「冬装備 まだまだ必要」関越道に続く表示、いつまで?
街中の雪はほぼ解けたが、関越道を走ると電光掲示板に「冬装備 まだまだ必要」の文字。そろそろ冬タイヤからはき替えようと思っていたのだが……。 13日、関越道を東京方面に向かった。最初に見つけたのは小千谷インターチェンジ(IC)を過ぎた辺り。鉄パイプで組まれたヤグラの上に設置された黄色い枠の電光掲示板で太陽光パネルを備える。谷川岳パーキングエリアまでに12基で同じ表示を確認できた。 NEXCO東日本新潟支社によると、これらは「雪氷対策用簡易情報板」。関越道長岡ジャンクションから群馬県の月夜野ICの上下線に計37基設置している。「4月も降雪や凍結の可能性があるので表示しています」。長岡~小千谷間も情報板はあったが、表示はなかった。「各事務所が運用しており、表示を終了したところもあるようです」。関越道だけでなく、上信越道で10基、北陸道で14基、磐越道で12基、日本海東北道で1基設置しているという。 雪が降り始める前の昨年11月20日に設置。時期や状況にあわせ「早めの冬タイヤ」「この先積雪あり」「吹雪注意速度50km/h」などの表示を行い、3月ごろから現在の表示にしている。「この表示も雪氷対策期間の4月15日まで。その後、順次撤去していきます」。新潟地方気象台によると、今後は暖かい日が続き、降雪や路面凍結の可能性は低いという。 ただし、気象庁のデータでは今年も14日に湯沢で1センチの降雪があり、NEXCOによると昨年は関越道で4月19日に降雪があった。「走行する前に天気予報をチェックしてほしい。降雪予報があれば情報板などでも案内する」(伊丹和弘) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「隣人」の心地よさ ドブさらいで見えたコミュニティー
近藤康太郎の「多事奏論」 溝浚(みぞさら)へして隣人となりにけり 中村正幸 溝浚へ、つまりドブさらい。下水が発達していなかったころ、隣近所が協力してドブをさらい、夏の悪臭を防いだ。 百姓も、田植え前は丁寧に溝をさらう。長崎・旧田結村で、わたしは棚田を耕している。今年は耕作放棄地を新たに開墾し、当初の10倍に増やした。沙汰の限りである。鍬(くわ)で溝を掘り、水を含んだ重い泥をかき上げるのは、背中が割れる重労働だ。勉強を教え、ただめしを食わせている塾生たち、他社の若い記者やカメラマンが見かねて手伝いに来てくれる。「溝さらいは、初夏の季語ですからね」。俳句に凝って勉強している芳一(35)が、鼻の穴を膨らませて、きいたふうなことを言った。 ひとつの棚田で溝さらいをさぼれば、山水は上から下へきれいに流れない。とくに取水口付近の溝は利用する百姓全員でさらう。草刈りする。集落全体でひとつの「生き物」なのだ。溝をさらい、草刈りする。しぜん、コミュニティーの生態系に組み込まれる。ご近所さんが塾生のために駐車場を貸してくれる。昼の弁当を差し入れてくれる。げに「隣人となりにけり」である。 持続可能な地域社会総合研究所… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「隣人」の心地よさ ドブさらいで見えたコミュニティー
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天童よしみ×コロッケ=? 本人もびっくり舞台で初共演
演歌歌手の天童よしみとものまねタレント・コロッケが、舞台で初共演する。4月22日から大阪市の新歌舞伎座で始まるスペシャルコンサートで、どんな化学反応を起こすのか。21日には新譜も出す天童が、意気込みを語った。 拡大する自身もものまねされることの多い天童。一番似ていると感じたのは、お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおのものという。「あれは最高でしたね! 特徴をとらえてる」=西岡臣撮影 天童自身、最初に共演の話を聞いたときは驚いたという。「え、コロッケさんと!? 私、ものまねできませんよ、って」 異色のとりあわせだが、共通点は芸に対して生真面目なところ。かつて「天童さんのものまねは、歌がしっかりしていないとダメなんですよ」と言われたことが印象に残っている。「コロッケさんは基本がしっかりしていて、幅も広い。エンターテイナーとして尊敬している」 「珍島物語」から最新曲まで コンサートは2部形式。1部はコロッケのものまねが中心。300種類以上のレパートリーをもつという名人芸と天童のコラボに注目だ。2部は天童のオンステージ。ヒット曲「道頓堀(とんぼり)人情」「珍島(チンド)物語」にアルバムからの最新曲も織り交ぜる。新型コロナへの不安が世の中を覆う今こそ「おなかの底から笑えて元気になれる、最高のステージを届けたい」と意気込む。 自身もつらい1年を送った。コ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
天童よしみ×コロッケ=? 本人もびっくり舞台で初共演
演歌歌手の天童よしみとものまねタレント・コロッケが、舞台で初共演する。4月22日から大阪市の新歌舞伎座で始まるスペシャルコンサートで、どんな化学反応を起こすのか。21日には新譜も出す天童が、意気込みを語った。 拡大する自身もものまねされることの多い天童。一番似ていると感じたのは、お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおのものという。「あれは最高でしたね! 特徴をとらえてる」=西岡臣撮影 天童自身、最初に共演の話を聞いたときは驚いたという。「え、コロッケさんと!? 私、ものまねできませんよ、って」 異色のとりあわせだが、共通点は芸に対して生真面目なところ。かつて「天童さんのものまねは、歌がしっかりしていないとダメなんですよ」と言われたことが印象に残っている。「コロッケさんは基本がしっかりしていて、幅も広い。エンターテイナーとして尊敬している」 「珍島物語」から最新曲まで コンサートは2部形式。1部はコロッケのものまねが中心。300種類以上のレパートリーをもつという名人芸と天童のコラボに注目だ。2部は天童のオンステージ。ヒット曲「道頓堀(とんぼり)人情」「珍島(チンド)物語」にアルバムからの最新曲も織り交ぜる。新型コロナへの不安が世の中を覆う今こそ「おなかの底から笑えて元気になれる、最高のステージを届けたい」と意気込む。 自身もつらい1年を送った。コ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
絶対泣かない、決めたあの日 したたか知事の復興10年
公用車の窓の外の景色が、突然震えだした。道路が波を打ち、沿道のビルが音を立ててしなっている。 2011年3月11日午後2時46分。宮城県知事の村井嘉浩(60)は、仙台市青葉区で、県庁から東に200メートルの路上で車中にいた。 助手席の秘書が「きたーー」と叫んだ。瞬間、村井は「宮城県沖地震が来たな」と思った。近い将来、間違いなく起こると言われていたからだ。だがこれは、その予想をはるかに上回る、未曽有の大震災だと後に分かる。 拡大する津波で船や家屋が押し流された宮城県気仙沼市の市街地=2011年3月12日 揺れがいったん収まると、すぐに県庁1階の正面玄関前に車をつけた。職員たちがぞろぞろと外に出てくる。その中を、村井はロビーへと入った。 その時、天井からこぶし大のコンクリートが落ちてきて、そばにいた秘書の脇すれすれをかすめた。村井が「危ない!」と声を上げるのと同時に、パカーンと床で砕けた。危機一髪だった。 この揺れでは、エレベーターは使えない。4階の知事室へと階段を駆け上がった。知事室に並べていた県内各地の特産のこけしが、床に散らばっていた。そのまま防災服に着替えると、5階の災害対策本部事務局へ急いだ。 散乱する書類 入らない情報 部屋に入ると村井は、「すぐに自衛隊に派遣要請を」と、災害派遣要請するよう指示を出した。「まだ被害状況が全く分かりません」と言う職員もいた。だが1995年の阪神・淡路大震災で、自衛隊の出動が遅れたという教訓が頭にあった。 村井は自衛官出身。拙速でもいいから、とにかく早く対応した方がいいとの判断だった。 拡大する朝日新聞のインタビューに答える村井嘉浩知事=小玉重隆撮影 午後3時2分。地震発生から16分後に、県は陸上自衛隊東北方面総監部に電話で災害派遣要請を行った。 災対本部では、書類が床に散乱していた。大津波警報が出され、職員たちは手書きで全市町村に避難指示を衛星無線ファクスで送った。だが市町村の詳しい情報は、まったく入ってこなかった。 午後3時10分。村井の携帯電話が鳴った。官房長官の枝野幸男からだ。「政府からすぐに人を派遣します。全力を挙げるので、なんでも言ってください」 村井は「まだまったく状況が分かりませんが、相当大きな被害が出ていると思います。全力でお願いします」と短く答え、電話を切った。 災害対策会議 「フルオープンでいく」 午後3時半。幹部を集めた初めての災害対策本部会議が、4階の庁議室で開かれた。事前に「マスコミどうしますか」と問われた村井は、「フルオープンでいくぞ」と答えた。 村井がこの時一番恐れたのは、不正確な情報が口コミで広まり、略奪や暴動が起きることだ。 拡大する津波で壊滅状態になった町で、泣きながら抱き合う人たち=2011年3月13日、女川町 いまは電気が止まり、被災者はインターネットで情報をとるのも難しい。ならば、テレビや新聞に流してもらった方が早く正しく伝わる。情報を加工しているなどと疑われないように、ストレートに流そうと判断した。 この時から、12年3月まで計95回に及ぶ災対会議は、すべて公開で開かれることになった。これが後に、思わぬ副産物を生むことになる。 県が後日、会議の記録を調べたところ、大混乱の中で、記録が残っていないことが分かった。そこで県は、取材していたマスコミに音声記録の提供を依頼。これらを基に、議事要旨を作ることができたのだ。 話は午後3時半に戻る。 村井は災対会議に臨むため、庁議室に入った。室内にはテレビが置かれ、被災状況を知らせるニュースが流れていた。 すると、黒く巨大な波が目に飛び込んできた。沿岸部をどんどんのみ込んでいく。大津波警報が出ており、大きいのが来ると思っていたが、それ以上の大きさだった。「これは大変なことになった」。村井の顔がみるみる青ざめていった。 2011年の東日本大震災で、未曽有の被害を受けた宮城県。復興に向かって県のトップはこの10年、何を見て、どう考え、いかに行動してきたのか。およそ5時間に及ぶインタビューをもとに、克明に記録します。記事の後半では、震災当日の夕方からの村井知事の動きを追いました。(文中敬称略) 午後5時ごろから、災対本部に… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
昼カラオケに自粛要請 経営者は複雑「また休まないと」
食事や飲み物を出す店で日中に歌を楽しむ「昼カラオケ」。高齢者のファンが多いが、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が各地で発生しているとして、国は「まん延防止等重点措置」の対象区域で、埼玉県は県内全域で、こうした店で歌うことを自粛するよう呼びかけている。県内のカラオケ喫茶の経営者らは複雑な思いを抱いている。(丸山ひかり) ◇ 14日の昼下がり、さいたま市内のカラオケ喫茶を訪ねた。客は、仕事の休憩中にほぼ毎日来るという70代の常連男性が一人だけ。クリームソーダを飲み終えソファでくつろいでいた。 「もう3時。歌おう」 男性は店の中央に置かれたモニターの前に立ち、店が常備する除菌シートでマイクをふいた。口を近づける先端をそのシートで覆うと、マスクをしたまま演歌を朗々と歌い始めた。 モニター前には飛沫(ひまつ)防止の大きなビニールシート。歌い終え、マイクからシートを外してゴミ箱に捨てると「ご飯を食べて2、3曲歌う。これがあるから仕事ができる」と笑った。 店主の70代女性は「常連は70、80代がほとんど。コロナ前より9割減った」。コロナ前は深夜まで営業していたが、今は夕方まで。グループ客は激減し、店としても一度に数人しか受け入れていない。入店時の検温・消毒や客の記録などもしている。 ただ、女性は以前、コロナに感… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
イノシシ「北上」で被害急増 目撃されなかった青森にも
東北地方でイノシシの被害が急増している。イノシシの活動範囲が「北上」し、これまで目撃されてこなかった青森にも出没。山形では被害額が10倍に増えた。農業関係者らは対策を急ぐが手探りの状態で、追いつかない状態だ。 ◇ 「このままじゃ根っこが全部掘り返されて、木が倒れちまう」。3月下旬、岩手県一関市の民家の裏庭で地元猟友会の佐藤律衛(りつえい)さん(71)がつぶやいた。南高梅の木の根元が、泥で真っ黒になるほど掘り返されていた。大きなイノシシの足跡がいくつもある。 佐藤さんは住人に、黒いビニールやトタンで柵のように囲うようアドバイスをした。イノシシは透明なビニールや網では突破するが、前が見通せない柵があると入らないという。佐藤さんは「理由はよくわからん。俺らも対策は手探りだ」と話す。 県南部の一関市で、イノシシは100年以上前に姿を消したと言われていた。再び目撃され始めたのは2005年ごろ。11年に初めて捕獲され、19年度は58頭を捕獲、農作物の被害も182万円にのぼった。 佐藤さんが1カ月ほど前に設置した箱わなを見に行くと、近くにイノシシの足跡があるだけだった。警戒心が強く、数カ月たたないと中に入らないという。地元猟友会にはイノシシ猟のノウハウがなく、わなの仕掛け方はネットなどで調べて試行錯誤する。「この捕獲ペースじゃ増える一方だ」と佐藤さんは言った。 雪の積もった土地でも生息 環境省の資料によると、イノシシによる農業被害額は19年度に東北全体で約2億7800万円。12年度の1億1400万円から2倍以上に増えた。イノシシが生存していないとされていた秋田では17年度に、青森では19年度に初めて農業被害が確認された。 全国的には、19年度の農業被害額が11億円を超える九州地方や中四国地方など、西日本でイノシシの被害が大きい。 野生動物の研究をする岩手大農学部の山内貴義准教授は、イノシシの「北上」が進んでいると指摘。これまで、イノシシは足が短く、雪深い場所は移動できないと考えられていたが、GPSを使った最近の生態調査などで、雪の積もった土地も動き回っていることが確認されたという。山内さんは「温暖化で雪が減り、さらに北上が進んでいくだろう」と分析する。 福島県では、特に東京電力福島第一原発の事故で避難指示が出された地域で、イノシシが繁殖している。20年夏から、ICT技術を使い、イノシシが近づくと犬の鳴き声が鳴るシステムの実証実験が行われている。実験を企画した東京農工大学の金子弥生准教授は「実際に音が鳴るとイノシシが逃げる効果が確認できた。人手不足の解消にもつながるはず」と実用化をめざす。 12年度に比べ、19年度のイノシシによる農業被害額が10倍以上に増えた山形県。同年度の電気柵設置の予算は約4300万円で、前年度から大幅に増やした。県の担当者は「特効薬はない。駆除と侵入防止策を地道に続けていくしかない」と話す。(中山直樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル