有料会員記事 吉川喬 岡山県警や岡山市児相への取材による2022年2月18日 18時58分 岡山市で5歳だった女児を鍋の中に長時間立たせる虐待をしたとして母親と交際相手の男が逮捕された事件で、市こども総合相談所(児相)が虐待リスクを「軽度」と判断し、深刻な虐待事案を把握した後も判定を変えていなかったことが分かった。市は18日、外部有識者の審議会を開き、児相対応の検証を始めた。 女児は西田真愛(まお)ちゃん。昨年9月に搬送され、今年1月に6歳で死亡した。県警は2月9日、実母の西田彩容疑者(34)と内装工の船橋誠二容疑者(38)を強要容疑で逮捕した。 児相に「男が真愛ちゃんに暴力を振るった可能性がある」と通告があったのは2019年4月。職員は西田容疑者宅を訪れ、真愛ちゃんの額にあざを見つけたが、西田容疑者は暴行と男の存在を否定した。児相は同7月、「第三者の暴行を止めていない」として西田容疑者を育児放棄と判定。一方で、日常的な暴力が確認できないとして、虐待リスクは4段階のうち一番低い「軽度」と判定した。 岡山県警に20年9月、2人が真愛ちゃんを全裸で目隠しをして夜の墓地に立たせ、叱責(しっせき)していると通報があった。県警は虐待と判断して児相に通告。児相は真愛ちゃんを一時保護し、両容疑者と面談したが、反省を示したとして保護を14日間で解除した。 船橋容疑者は岡山市内に妻子が住む自宅があり、西田容疑者宅に通っていた。児相は墓地の虐待で初めて船橋容疑者を把握。西田容疑者は船橋容疑者を「友人」と説明した。児相は「心理的暴力のレベルが上昇傾向にある」などと判断したものの、軽度の判定は変更しなかった。 厚生労働省は指針で内縁関係… この記事は有料会員記事です。残り576文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大型車のタイヤ脱落急増、原因は「さび」の可能性 国交省が調査
磯部征紀2022年2月18日 14時01分 大型トラックやバスのタイヤが走行中に外れる事故が相次いでいる問題で、国土交通省が昨年秋以降の事故車を分析したところ、タイヤを固定するワッシャー付きホイールナットがさびなどで滑らかに回らなくなっている事例が複数確認された。国交省は、事故多発の要因となった可能性があるとみて、近く専門家の検討会を立ち上げる方針。 大型車のタイヤ脱落件数は2011年度の11件を底に増加に転じ、20年度に131件と過去最多を更新した。直近の4年間でも約2倍に急増していた。 大型車のタイヤは重さ100キロ、直径1メートルにもなり歩行者などにぶつかれば命に関わる。02年には横浜市で、部品の欠陥でトレーラーのタイヤが外れ、母子3人が死傷する事故が起きている。 国交省によると、タイヤは、ボルトとワッシャー付きナットでホイールを挟み込んで車体に固定する。ナットを回して締め付ける際、ワッシャーとの間がなめらかならナットだけが回って奥まで締まる。だが、さびなどで摩擦が生じるとワッシャーも一緒に回転してナットが締まり切らず、緩みの原因になる。ボルトとナットを清掃し、潤滑油を塗る必要があるという。 このワッシャー付きナットは、10年以降にホイールの取り付け方式が国内規格から国際規格に変わってから導入された。以前の国内規格ではワッシャーはなかった。脱落事故が増加が始まった時期とも重なるうえ、調査では古い車で脱落が起きるケースが多い傾向も確認されたという。 整備関係者の間では、ワッシャーとナットの間に潤滑油をさす必要があることは知られているが、国交省は個人や運送業者、タイヤ販売店では十分認識されていないおそれがあるとみており、業界やドライバーらに注意を呼びかけている。(磯部征紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「災害は必ずどこかで」気仙沼市出身の海保部長、被災地に寄せる思い
【熊本】海の安全を担う酒田海上保安部(山形県酒田市)の部長、梶原主税(ちから)さん(60)が3月末、定年を迎える。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市の出身。実家は津波にのまれ、多くの友人を失った。被災地の割り切れない思いを知るからこそ、自分なりに何ができるか。若手とともに熊本豪雨のボランティアにも駆けつけ、経験を引き継ごうと心を砕いた。 この冬の日本海は大荒れだ。沿岸の安全のため気が抜けない日々が続く。梶原さんは酒田港など山形4港の港長も兼務しており、船舶に対し、昨年11月から今年1月までに8回の警戒勧告を発出。前年同期の3回に比べて大幅に増えた。「地元の人も今季は雪が多いと言っている。同じ東北でも、晴天が多い太平洋側と全然違いますね」 その太平洋側、気仙沼の漁師町に梶原さんは生まれた。家の裏は気仙沼湾に注ぎ込む鹿折(ししおり)川の河口。当時は堤防が低く、平屋の自宅の窓から釣りができた。父親の正男さんは遠洋マグロ漁船の乗組員。周囲も多くが船乗りで、自身も自然と船乗りを志した。 地元の高校を卒業すると専門学校で無線通信を学び、国家資格を取得。マグロ漁船からの勧誘もあったが、海上保安庁で働く友人の勧めで海保に入った。 海上保安官は、海上保安大学校(広島県呉市)や海上保安学校(京都府舞鶴市)で、無線通信や船舶操縦などの資格を取りながら数年かけて養成される。すでに資格がある人は、海上保安学校門司分校(北九州市)で半年間の研修を受けて現場に配属される。梶原さんも分校を経て、初任地の第2管区海上保安本部(2管、宮城県塩釜市)で通信士として働き始めた。1991年には海上保安大学校の特修科を修了。幹部としてキャリアを積んできた。 実家には1人で暮らす母が 東日本大震災が起きた201… この記事は有料会員記事です。残り1563文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
寂聴さんの言葉に導かれ 震災で両親亡くした教師が文化財の守り手に
東日本大震災で被災した文化財の修復と保存に奔走する高校教師がいる。両親を津波で亡くした喪失感から自身の心を復元するため、そして復興への道しるべとするため。支えになっているのは、親交があった瀬戸内寂聴さんの言葉だ。 岩手県陸前高田市にあった江戸時代に徴税や簡易裁判を担った仙台藩の役人の邸宅「旧吉田家住宅主屋」。津波で基礎を残して流されたが、復興のシンボルとして復元されることが決まった。4月の上棟式に向け、作業が進められている。 1千個のパーツ集め復元 復元を呼びかけたのは、盛岡市の高校教師、佐々木勝宏さん(60)だ。ばらばらになった吉田家住宅の姿に心を痛め、「復元すれば住民を元気づけられ、地元の大工の技術伝承にもなる」と考えた。研究者らとかやぶき屋根や柱など1016個の部材を集め、作業の開始にこぎ着けた。 流失した文化財を復元する試みに没頭するきっかけとなったのは、寂聴さんの一言だった。 交流が始まったのは2008… この記事は有料会員記事です。残り891文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪など17道府県のまん延防止措置、来月6日まで延長へ 5県解除
政府は新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」の期限が20日に迫る21道府県のうち、大阪など16道府県と、27日が期限の和歌山県への措置を3月6日まで延長する。沖縄など5県は2月20日の期限で解除する。この案を18日、専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮問し、了承された。同日夜の政府対策本部で決定する。 重点措置が延長されるのは北海道、青森、福島、茨城、栃木、石川、長野、静岡、京都、大阪、兵庫、和歌山、岡山、広島、福岡、佐賀、鹿児島の計17道府県。山形、島根、山口、大分、沖縄の5県は解除される見通しで、適用地域は21日から31都道府県になる。 岸田内閣は重点措置の延長期間を原則3週間としてきたが今回は2週間にとどめ、3月6日が期限の東京など14都県と期限をそろえる形にした。分科会で黄川田仁志内閣府副大臣は「国民の命を守ることを第一に、強化してきた医療提供体制をしっかり機能させ、社会経済活動をできる限り止めないよう対策を進めることが必要だ」と述べた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
キッチンの鍋の中に白い結晶 組員ら、マンションで覚醒剤作った疑い
マンションの一室で覚醒剤を作ったとして、警視庁は、指定暴力団住吉会の傘下組員3人と20代の周辺者の男1人を覚醒剤取締法違反(営利目的製造)の容疑で逮捕し、18日発表した。 逮捕されたのは、組員の平田弘二容疑者(41)=東京都新宿区新宿1丁目=ら20~40代の男4人。 組織犯罪対策5課によると、4人は昨年10月、ほかの人物と共謀し、新宿区北新宿3丁目のマンションの一室で、覚醒剤約90グラム(末端価格534万円)を営利目的で製造した疑いがある。平田容疑者と別の1人が否認し、ほかの2人は黙秘しているという。 同課は、4人が覚醒剤をより… この記事は有料会員記事です。残り225文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
金の延べ棒4本、高齢女性からだまし取った疑い 19歳を逮捕
「オレオレ詐欺」の手口でお年寄りから約3千万円分の金の延べ棒をだまし取ったとして、警視庁はアルバイトの少年(19)=東京都江東区=を詐欺容疑で逮捕し、18日発表した。同庁の調べに「今は話したくありません」と話しているという。 麻布署によると、少年は1月7日深夜、ほかの人物と共謀し、東京都港区の80代女性宅に息子を装って電話をかけ、「印鑑が入ったかばんをなくしてお金をおろせない。お金を貸してくれなか」と説明。約1時間半後に女性の家で金の延べ棒4本(計約4キロ、約3千万円相当)と現金60万円を詐取した疑いがある。 署は、少年が息子の勤務先の… この記事は有料会員記事です。残り157文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同僚にキス、元警官に有罪判決 裁判官、捜査への影響を踏まえて説諭
柳川迅2022年2月18日 9時49分 同僚の女性警察官にキスをしたとして強制わいせつの罪に問われた元福井県警警部補若松隆男被告(61)=同県敦賀市=の判決公判が17日、福井地裁であった。河村宜信裁判官は懲役1年2カ月執行猶予3年(求刑懲役1年2カ月)を言い渡した。 判決によると、若松被告は2020年10月23日夜、敦賀市内の飲食店で女性警察官のあごをつかんで唇にキスをするなどわいせつな行為をした。河村裁判官は「被害者が警察内で勤続年数的にも階級的にも下位で、弱い立場にいることを背景にしており、やり口は卑劣だ」と指摘。一方で「事実を認め被害を弁償している」と執行猶予の理由を述べた。 若松被告は当時、県内の警察署で刑事課の係長として勤務し、犯罪の捜査に従事する立場だった。被害者は交番勤務で、飲食店では他県警へ派遣される警察官の激励会が開かれていたという。 判決後、河村裁判官は「警察の捜査に協力したくない人が出て捜査に難渋する警察官がいたらそれはあなたのせいだ。警察官が犯罪に手を染めることがどういうことか考えて生活していってもらいたい」などと説諭した。(柳川迅) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
武術、陸上から… 国家戦略で五輪選手「急ごしらえ」当事者の胸の内
4年前にはハードルの選手だった少年が、北京冬季五輪ではスキージャンプ選手に――。北京五輪の開催国として「冬季スポーツ大国」を目指す中国は、別の競技の若手選手を冬季競技に転向させ、ゼロから「急ごしらえ」する国家プロジェクトで、選手たちを大舞台に送り出している。 スキージャンプ混合団体があった今月7日、宋祺武選手(20)は伸び悩んだが、直後の取材には充実感をにじませた。「初めて五輪に出られた。一流選手の技が見られて、いい勉強の機会をもらった」 ジャンプ 手と足が無事なら… 4年前、宋選手は雪を見たことすらなかった。 成都と重慶という中国南部の二つの大都市に挟まれた、四川省資陽市の出身。小さい頃から陸上に親しみ、13歳でハードルの省代表に選ばれた。 2018年の暮れごろ、コーチから「五輪に挑戦してみないか」と転向を打診された。陸上の成績が伸び悩んでいたこともあり、試してみようと思った。 当初は恐怖との戦いだった… この記事は有料会員記事です。残り815文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
還付金なのに振り込む? 聞こえた携帯越しの男の声、JA職員動く
上田真仁2022年2月18日 10時14分 【福島】会津若松署は17日、なりすまし被害を未然に防いだとして、JA会津よつば湊支店(会津若松市)の窓口係、室野井佑介さん(23)に感謝状を贈った。ATMで「還付金」を振り込もうとしていた60代女性に声を掛けて説得し、被害を防いだ。その一連の経緯は次の通りだったという。 9日昼過ぎ、店外のATMに女性が訪れ、携帯電話で話しながら現金を振り込もうとしていた。「還付金を払い戻す」「振り込みを押せばいいんですね」。携帯のスピーカー越しの男の声と、答える女性の声が店内にいた室野井さんの耳に届いた。「還付金なのになぜ振り込むのか」。不審に思い、女性に声を掛けた。 女性は、介護保険の払い戻しがあると市役所から電話があり、手続きにきたと言った。その間も、矢継ぎ早にATM操作を促す男の声が聞こえる。女性が「市役所の電話だ」と言い張るため、室野井さんは市役所の担当課に電話して確認をとり、電話は詐欺だと女性に告げた。女性は「あー詐欺なんですね」とようやく納得したという。警察へ届けるよう伝え、その日のうちに女性から感謝の電話が入った。 室野井さんは感謝状を受けた17日、「地元で被害が広がらなくてよかった」と喜んでいた。(上田真仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル