北九州市が新年度から、暴力団組員の離脱や離脱後の就労を支援する事業に取り組む。相談に乗ったり、資格を取るための費用の一部を補助したりするという。市は2022年度一般会計当初予算案に約1千万円を盛り込む。市町村が直接元組員の就労支援をするのは珍しいという。 市によると、暴力団被害などの相談に応じる市役所内の「安全・安心相談センター」に、離脱や就労に関する窓口を置き、離脱希望者や元組員、その家族らの相談に応じる。 地元を離れ再起したい元組員に引っ越し代補助も 工藤会弱体化で離脱増を想定 また、就労を受け入れる事業者に対し、運転免許など業務に必要な資格取得の費用の一部を補助する。抜けた組織からの報復を恐れ、市外や県外での就職を希望する元組員が多いことから、引っ越し代も一部補助する。 元組員の就労支援については、これまでも福岡県警や県暴力追放運動推進センターも取り組んできた。だが昨年、北九州市を拠点にする特定危険指定暴力団・工藤会のトップに福岡地裁が死刑判決を言い渡し、本部事務所も撤去されたことで、離脱を望む組員が増えることも想定されるという。市も連携して支援に加わることで、暴力団の弱体化を進める狙いがある。 「元組員」 経歴を敬遠する企業も (城真弓 加治隼人) 今回の北九州市の取り組みに、県警組織犯罪対策課は「社会復帰には受け皿が不可欠。自治体として離脱者を受け入れるメッセージを示すことで、離脱を迷う組員への後押しになる」と期待する。 福岡県には、全国最多の五つ… この記事は有料会員記事です。残り581文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
定期購入なのに「初回無料」はダメ 悪質手口排除でガイドライン
ネット通販などで初回だけのお試し購入と思わせて複数回の契約を結ばせる「定期購入商法」の厳罰化を盛り込んだ改正特定商取引法が6月に施行されるのを前に、消費者庁は9日、同法違反の恐れがある表示内容のガイドラインを公表した。 ガイドラインによると、「初回無料」と大きく表示する一方、定期購入であることを小さく表示した場合は、同法違反の恐れがあるとした。また、申し込みボタンより画面を下にスクロールしないと定期購入契約であることが分からない▽いつでも解約可能と強調しながら、実際には解約条件があることを明確に表示していない――などの場合も違反の恐れがある。サブスクリプション(定額)サービスの表示にも適用される。 一方、消費者が契約内容を理解しやすい表示となっている場合には、最終画面に全てを表示せず、解約条件などが表示されていることが分かるようにリンクを示し、別のページで説明してもよいとしている。 定期購入商法をめぐっては… この記事は有料会員記事です。残り195文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
満点の晴天 寒天づくりが最盛期 原料価格上昇の背景には…
冬の寒さが続く中、大阪府高槻市では寒天づくりが最盛期を迎えている。同市北部の田能地区にある食品会社「タニチ」の工場では、ところてんを天日にさらして水分を抜き、寒天にする作業が行われている。 高知や愛媛などでとれたテングサを水につけて釜で煮込み、煮汁が固まってできたところてんを切って、屋外に並べる。夜間に凍り、日中に解けるサイクルを繰り返して徐々に水分が抜け、約20日間で寒天が出来る。 同地区は盆地のため、昼夜の寒暖差が大きく寒天の製造に適しているという。市内の和菓子屋などに計約40キロを出荷する予定で、作業は2月末ごろまで続く。 コロナ禍で買い物客が減った影響で、同社の出荷量は近年減少している。また、原料となる海藻のテングサは水温の上昇で収穫量が減り、価格は年々上昇傾向にあるという。テングサは漁師が漁の合間に採ることが多く、原油価格の高騰で漁師が船を出す機会が減っていることも関係しているとみられる。 市によると高槻の寒天づくり… この記事は有料会員記事です。残り184文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
朝から泣くイヤイヤ期の息子 出社後にすするコーヒーの「幸せ」
午前10時。さいたま市の会社員女性(39)は台東区の勤務先の自席に着くと、ホットコーヒーを飲み、ふぅと息をはいた。疲れた体に、コーヒーが染みる。「温かいコーヒーが飲めることが、こんなに幸せだなんて」。パソコンを開き、メールチェックを始めた。 数時間前、女性は嵐の中にいた。 午前5時半。音量を抑えたスマホの目覚ましが鳴る。横で眠る子どもたちを起こさないよう、そっと部屋を出て台所へ向かった。 昨晩、回しておいた食器洗い機から食器を出し、棚に片付ける。乾燥をかけた衣類を洗濯機から取り出し、残りを突っ込みながら、先に家を出る共働きの夫(38)を見送った。 顔を洗い、化粧など身支度を手早く済ませると、子どもたちを起こす時間だ。 午前6時45分。小4の長男… この記事は有料会員記事です。残り1164文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元サッカー選手ら、給付金100万円を詐取容疑 容疑を否認、黙秘
新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、埼玉県警は9日、会社役員の丸山龍也(りゅうや)(29)=東京都世田谷区三軒茶屋2丁目=と人材派遣業の竹村明人(38)=横浜市金沢区釜利谷南2丁目=の両容疑者を逮捕し、発表した。県警の調べに、丸山容疑者は「身に覚えがありません」、竹村容疑者は「黙秘します」と話しているという。 川越署によると、2人は2020年7月、埼玉県川越市の男性会社員(33)に個人事業主を装って持続化給付金を申請させ、現金100万円をだまし取った疑いがある。昨年4月、男性会社員が「知人から給付金がもらえると話があり、虚偽の申請をした」と署に出頭した。供述やSNSでのやりとりから、2人の関与が浮上したという。 丸山容疑者は出版社を立ち上げた元サッカー選手として、複数のメディアに出演している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「苦情の電話、メンタルやられる」保健所職員、未明に帰ろうとしたら
和歌山市吹上5丁目の坂道にある同市保健所。記者が訪ねた1月26日は朝から夜まで、3階の感染症対策本部の電話が鳴りっぱなしだった。 「陽性の連絡を受けましたので、聞きとりをさせてもらいます」。朝から疫学調査の電話をそうかけ続けていた保健師が、受話器を置いた瞬間、こう言って部屋を駆け出ていった。「私、休憩してくるっ!」。まるで、ようやく固めた決意を宣言するかのような言い方だった。 だが、その「休憩」は3分もなかった。部屋に帰ってきた保健師はまた電話をかけ始めた。 電話がやんだ瞬間があった。回線が混みあったようだ。回復するまでの1分間について、保健師が言った。「こんなに暇な時間、あっていいの?」 鳴り続ける電話の音は、新型… この記事は有料会員記事です。残り3105文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パンクする保健所の昼ごはん、夕方5時の「早弁」 「先進県」ですら
新型コロナウイルス対応で、和歌山県は保健所や病院と協力し、症状によらない全員入院などの「和歌山方式」で感染拡大を抑えてきた。ワクチン接種率では昨年春、全国1位に。しかし、その「先進県」の保健所ですら、オミクロン株による感染拡大で、逼迫(ひっぱく)している。記者が見た職員の「お昼ごはん」は、業務とともに夜まで続くものだった。 和歌山市吹上5丁目の坂道にある同市保健所。記者が取材したのは1月26日。県が全員入院をあきらめ、まん延防止等重点措置の適用を国と協議し始める前日だった。 廊下には、遺体搬送袋、サージカルマスク、手袋などの備品が入った段ボール箱が積まれていた。その隙間に、座りこんで昼食をとっている職員がいた。 上野美知部長がコンビニのおにぎりを一口かじったのは午後0時47分。とたんに卓上の電話が鳴り、携帯電話も鳴動がやまない。そばで待っていた職員が頃合いを見て「もう我慢できないとおっしゃっています」と入院調整の相談を持ちかける。上野部長は書類を手にして話し込む。おにぎりの二口目は34分後だった。 これはマシな方かもしれない。ある職員は、弁当のふたを開けたとたんに、検体が施設から届いたというので席を立った。一口目は1時間後の午後1時すぎだった。 これもまたマシな方だろう。別の職員が昼の弁当を食べ終えたのは午後9時半、また別の職員は午後10時15分だった。 「お昼ごはん」を昼に食べることが珍しく、午後5時に食べると「きょうは早弁だね」と言われる職場。コロナの「波」がくるたびに、体重が3キロ落ちる職員もいる。 夜の「お昼ごはん」を食べ終わった後も、仕事は続く。 2人の若い職員が深夜につぶやく。 「ていねいに対応していると次にいけないし、その判断が難しくて……なにもできないむなしさを感じるというのか。がんばってねと言うしかなくて、するとどんどんクラスターが大きくなって」 「陽性者にも入院できないと言わないといけないのが……でも今はすべての人を病院に入れるなんてできないし」 聞いていた先輩職員は「ほんとがんばってください」と言うしかない。 崩れてしまいそうな心身を支えているのは何か。「使命感? わからないけれど、自分がやらないといけないと思っているので」「とりあえず『波』が収まってほしい」 オミクロン株によってクラスターなど感染拡大の続く「第6波」。その収束を願い、保健所職員はひたすらこらえていた。(下地毅) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学級閉鎖で給食の廃棄が増加 「どうしようもないが、もったいない」
新型コロナウイルスに感染する児童生徒の急増で小中学校の学級や学年の閉鎖が相次ぎ、牛乳など学校給食の廃棄量が増えている。 一斉休校となった昨年春と異なり、登校する児童生徒はいるので給食を続けているが、食材納品や調理の都合で、当日や前日になってからでは提供量の調整ができず、閉鎖になった学級や学年分が残るためだ。 埼玉県内の約8割にあたる約1千校分のパンまたはご飯を製造、配送する県学校給食パン・米飯協同組合(さいたま市)には1月中旬以降、毎日、多数のキャンセルが入るようになった。 注文をもとに毎月初めに日々の生産量を計画しており、材料調達や生産工程の都合でパンは前々日午前中、ご飯で前日昼までのキャンセルなら製造量を減らせるが、それより遅れると計画分を作らざるを得ない。 パンで一日平均約8万食を各地の給食センターや学校へ配送するが、キャンセルは多い日で3千食近くに上り、調整が間に合わず廃棄せざるを得ないのは1200食ほどになることも。 「作り手としては悲しい」 担当者は「毎日、学級閉鎖や… この記事は有料会員記事です。残り765文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
極夜に太陽、見えないはずの輝き、蜃気楼で水平線上に浮き上がる
水平線の上にかすかにオレンジ色の光が見える。2020年7月5日午後0時14分、気温は零下29度、1カ月半続く極夜が明けるまで、あと10日。まだ太陽が見えるはずはないのに……。太陽の蜃気楼(しんきろう)だ! 南極では蜃気楼がよく見える。晴れて冷えた日に、凍った海のはるかかなたに広がる氷山は、浮き上がったり、のびたり、ひっくり返ったり。海氷面近くと、その上の方で、温度が違う大気の層があると、その間で光が曲がって、私たちの目には実際とは異なる像が届く。水平線のすぐ下まで迫った太陽も、浮き上がって見えたのだ。 原理はわかっていても「極夜の太陽」なんて不思議な気分だ。1カ月以上も陽光がなく、ブリザードに見舞われた日々。ひとときの安らぎの中、かすかな一筋の光さえいとおしい。 25日夜、記者サロン「ようこそ!ペンギンワールドへ」 「南極から地球がみえる」シリーズ第8回「ようこそ!ペンギンワールドへ」 25日(金)午後8時~ ペンギンがいるのは南極だけ?どんな種類が、どこでどんな生活をしている?写真や映像とともに紹介します。参加無料。申し込みは募集ページ(https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11007059)またはQRコードから。 南極には芽吹きの春も紅葉の… この記事は有料会員記事です。残り846文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「会社法さえ守られれば」中傷被害の泣き寝入り 弁護士が語る問題点
とにかく時間も手間もお金もかかる――。SNSで誹謗(ひぼう)中傷を受けた人が「被害回復」に向けて裁判手続きを進めようとすると、まず準備段階から様々なハードルが立ちはだかる。 なぜか。そして、改善できないのか。 ツイッターやフェイスブック、インスタグラム、ユーチューブなど、SNSのプラットフォーム企業の多くは米国に本社を置く。動画投稿サイトとして人気のティックトックは中国のバイトダンスが運営している。そこで誹謗中傷や差別などを書かれたり、写真・動画を投稿されたりして受けた被害の回復を進めたければ、米中などの本社を相手取った手続きが必要だ。 SNS上の誹謗中傷――。それが「書き込んだ人の問題」であることは疑いがありません。しかし、ネット上の仕組みや法制度、企業のあり方も、被害の回復をより難しくしています。被害者をさらに追い詰めるものは何か。その構造を追いました。記者によるポッドキャストでの解説もお聞きいただけます。 裁判に必要な「資格証明書」 そうした裁判で必要になるの… この記事は有料会員記事です。残り1722文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル