国土交通省への直接取材を行った3日後。2021年8月20日。同省から総務省へ何通かのメールが送られていた。 添付されていたのは「取材対応概要メモ」だった。 新聞記者から、調査票の合算処理や二重計上について指摘された▽回答として「ダブルカウント(二重計上)による影響は微々たるものという認識」「実態として数値が分からない以上、調べることは困難」と伝えた――。こんな内容だった。 調査票というのは、建設業者が受注額を毎月記入し国交省に提出する紙。つまり、同省が長年にわたり無断で書き換えていた、そのもののことだ。 メールには、会計検査院が書き換え行為を問題視し、調査していることをうかがわせる内容も記されていた。 ◇ 朝日新聞が昨年12月に報じた国土交通省による統計不正のスクープは、結実するまでに半年の時間を要しました。あまり明かされることがない新聞記者の「調査報道」の裏側を、ぎりぎりまで公開します。連載の3回目です。 「報道されても国交省の方で淡々と」 受信した総務省側では、職員… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東名あおり運転 被告に懲役18年求刑 横浜地裁で差し戻し審
神奈川県大井町の東名高速で2017年、あおり運転でワゴン車を停止させ、大型トラックによる追突で一家4人を死傷させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩(かずほ)被告(30)に対するやり直しの裁判員裁判が30日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。検察側は懲役18年を求刑した。 起訴状によると、事故は17年6月5日夜に発生した。石橋被告が萩山嘉久さん(当時45)からパーキングエリアでの駐車方法を非難されたことに憤慨。萩山さん家族が乗ったワゴン車に妨害運転を繰り返して停車させ、トラックの追突で萩山さんと妻友香さん(当時39)を死亡、娘2人を負傷させたとされる。 差し戻し前の一、二審と同様、1月に始まった差し戻し審でも危険運転致死傷罪が適用されるかが争点となった。石橋被告は「危険な運転はしていない」と起訴内容を否認し、改めて無罪を主張。弁護側は後続のトラックが法定速度を超えて走っていたことが追突の原因と訴えている。 一審・横浜地裁はあおり運転… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
警察庁が直接捜査のサイバー特捜隊、4月1日発足 改正警察法が成立
サイバー攻撃などのサイバー事案に対応する体制の強化を図る改正警察法が30日、参院本会議で可決され成立した。警察庁サイバー警察局や、同庁が自ら捜査するサイバー特別捜査隊が4月1日に発足する。 今回の組織改編は、社会のデジタル化が進む中でサイバー犯罪やサイバー攻撃が多発し、深刻化している状況をふまえた対応だ。 従来、生活安全局と警備局、情報通信局にまたがっていたサイバー事案に関する業務をサイバー警察局に一元化。情報の収集・分析などを担当するサイバー企画課、捜査の指揮や海外の治安機関との連絡を担うサイバー捜査課、データなどの解析を行う情報技術解析課で構成する。また、情報通信局を廃止し、長官官房に技術部門を設けて警察通信や業務のデジタル政策などを所管する。 サイバー特捜隊は、組織上は警察庁の地方機関である関東管区警察局に置くが、全国を管轄する。自ら捜索や逮捕、送致など捜査に携わるほか、海外の機関との国際共同捜査にも参加する。東京都内に拠点を置き、4月中に警察官や技術系職員の約200人の態勢を組む予定という。 特捜隊は「重要サイバー事案」に限って捜査する。重大事案は▽国や地方公共団体、重要インフラに重大な支障が生じる▽ウイルスなどの対処に高度な技術が必要▽海外の攻撃集団が関与――のいずれかにあたる場合と規定した。 衆参両院の内閣委員会では、改正法案の可決に際してそれぞれ付帯決議がつけられた。重大事案の捜査に関する国民からの苦情の申し出に真摯(しんし)に対応する▽国際共同捜査に積極的に参加する▽専門人材を確保し、民間の技術や知見も活用する――ことなどを求めた。 警察庁が新たな局を設置するのは、1994年に生活安全局と情報通信局をおいて以来、28年ぶり。(編集委員・吉田伸八) 最近の主なサイバー攻撃やサイバー犯罪 ・2017年 身代金ウイルス… この記事は有料会員記事です。残り1188文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
建設業者と指南役、4200万円を脱税容疑 国税が告発
架空外注費を計上して法人税約4200万円を脱税したとして、東京国税局査察部が、川崎市宮前区の建設業「江藤機工」と同社の竹田芳彦役員(50)を法人税法違反容疑で横浜地検に告発したことがわかった。脱税を指南したとして別のコンサルタント会社の小形尚己社長(48)も、同じ容疑で告発した。 関係者によると、竹田役員と小形社長は共謀し、下請け先に設立させた法人に、江藤機工が業務を発注したと装う方法で架空外注費を計上。2020年9月までの3年間で約1億7700万円の所得を隠し、法人税約4200万円を脱税した疑いがある。設立させた法人の預金口座は竹田役員が管理し、外注費として振り込まれた資金を自分に還流させていたという。 同社は、リニア中央新幹線などのトンネル工事に使われる掘削機の設置や解体業務を行っていた。(中野浩至) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学生のいじめ、「重大事態」認定まで3カ月、市教委が不備認める
仙台市内の市立小学校で男子児童がいじめを受けたとされる問題で29日、仙台市議会の市民教育委員協議会で質疑があった。発生から「重大事態」の認定まで3カ月かかったことについて、市教委は対応の不備を認め、「児童が登校できていないことや保護者の思いを受け止めるべきだった」(福田洋之教育長)とした。 市教委によると、学校側から… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
シングルモルトが影の立役者に オスカー受賞のドライブ・マイ・カー
妻を突然亡くした演出家・家福と、妻と関係のあった若手俳優・高槻。それぞれ西島秀俊さんと岡田将生さんが演じる因縁の2人が酒を酌み交わすという緊張感のある場面が、映画「ドライブ・マイ・カー」には2回ある。 登場する店の一つが、「BAR CEDAR(シダー)」(広島市中区袋町)。2人は薄暗いこの店のカウンターで、チェーホフの作品についての演技論を語り合う。 店は30席ほどで決して大きくはない。撮影に協力した「広島フィルム・コミッション」の西崎智子さんによると、撮影隊が40人ほどになることもあり、当初はロケ場所の候補になっていなかったという。 濱口竜介監督のイメージに合… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「さらばセノハチ」名脇役が引退 「西の箱根」で日本支えた機関車
急勾配の坂があり、国内屈指の鉄道の難所として知られる広島県のJR山陽線瀬野―八本松間(通称セノハチ)で旧国鉄時代から活躍してきた名脇役が3月29日、引退した。そのままでは坂を上がれない貨物列車を後ろから押す専用の補助機関車(補機)だ。 JR貨物は「日本の大動脈を陰で支えた功績は大きい」として保存し、イベントなどで一般公開する。 29日午後2時過ぎ、JR貨物広島貨物ターミナル駅(広島市南区)。最後の仕事に臨む補機の「EF67形」が、福岡貨物ターミナル駅から群馬県の倉賀野駅に向かう貨物列車の最後尾に増結された。多くの鉄道ファンがカメラを構えるなか、約30キロ離れた西条駅(広島県東広島市)までの間、重さ約800トンの貨車16両を後ろから押し続けた。 明治以来、欠かせぬ「補機」 この区間にあるセノハチは、10キロの間に高さが約200メートル上がる急坂だ。通常の機関車1台の牽引(けんいん)力では安全に越えることができないため、明治時代の開業以来、貨物・旅客列車とも補機が使われてきた。 電車の動力が向上した現在は一般の旅客列車に補機を付ける必要はなくなったが、セノハチを1日あたり約30本通過する上り貨物列車は重いため、補機を増結することで対応している。日常的に補機に頼っている区間はいま、全国でセノハチだけだ。 EF67形は1982年に当時の国鉄がセノハチ専用として投入した。広島ゆかりの赤と黄の「モミジ色」の車体で親しまれてきた。 前の連結部は上り坂で貨車の重みがのしかかってきても耐えられる特殊な形状になっている。坂を上り終えた後、走行したまま貨車と切り離すことで時間を短縮できる機能も備えていた。 冷房なし「運転難しいが、楽しかった」 EF67形はこれまで8両が… この記事は有料会員記事です。残り504文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「夢と魔法の王国」従業員にも 女性が改善訴えたTDLの過酷な環境
職場環境を調整する義務に違反していたとして、東京ディズニーランド(TDL)の運営会社「オリエンタルランド」に88万円の損害賠償を命じた29日の千葉地裁の判決。原告の女性契約社員(41)は言い渡し後に千葉市内で会見を開き、職場環境の改善を訴えた。 千葉地裁の601号法廷。裁判長が判決主文を読み上げ、閉廷を宣言すると、女性は机に突っ伏し、嗚咽(おえつ)を漏らした。女性は会見で「おかしいことはおかしいと声を上げることを認めてもらい、本当にうれしい気持ちになった」と声を震わせた。 上司から「とっとと辞めちゃえよ」 判決によると、女性は業務中… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジェンダーギャップのリアル、物理でも歴史でも 変わる高校教科書
歴史のなかで、女性たちはどのような状況に置かれてきたのか。日本のジェンダーギャップ(男女格差)の現状は――。来春から主に高校2、3年生が学ぶ教科書では、地歴・公民を中心に、多くの教科でジェンダーに関する話題が登場する。現代のさまざまな課題を、教科をまたいで学ぶことを重視する新学習指導要領もふまえ、教科書各社は日本の課題の一つであるジェンダー問題をさまざまな角度から取り上げた。 東京書籍の「世界史探究」は、学習内容とジェンダーを関連させた説明を随所に盛り込んだ。 「人権」は男性のもの、か 「啓蒙(けいもう)とジェンダー」と題したコラムでは、啓蒙主義の時代に政治の舞台で活躍した女性を紹介する一方で、「女性の役割を限定し、家庭内にとどめようとする考え方が強まった」と説明。別のコラムでは、フランス革命の「人権宣言」について、主に男性の権利だけをうたっていたことに対し、「女権宣言」で男女同権を訴える動きがあったことに言及した。 担当者は「(2022年度か… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「クッションかと…」泥酔して犬をたたきつけて死なせた男に有罪判決
飼い犬を床や壁にたたきつけて死なせ、妻にもけがを負わせたとして、動物愛護法違反と傷害の罪に問われた無職の男(45)に対する判決が29日、名古屋地裁岡崎支部であった。溝田泰之裁判官は「あまりに無思慮かつ粗暴な行動だ」と述べ、求刑通り罰金30万円を言い渡した。男は被告人質問で、「犬をクッションか何かかと思ったのかもしれない」などと話していた。 判決によると、男は1月25日夜、愛知県豊田市の当時の妻の自宅で、妻の顔を複数回殴るなどして軽いけがを負わせた。また、飼っていた犬1匹を床や壁にたたきつけて殺した。 公判での検察側の説明によると、男は事件当日の昼過ぎからスナックで飲酒。午後6時ごろにタクシーで帰宅すると、知人に電話をかけたが、つながらないことに腹を立て、犯行に及んだ。 判決の後、男は取材に応じ、目を潤ませながら「あの子」について語りました。 被告人質問で、男は当時の状… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル