繊維業界では悩みの種になっている、生地や衣類をつくる過程で余ってしまう大量の糸や布。福岡県筑後市の老舗織元「宮田織物」では、毎月大量に出ていた糸くずに光を当て、カラフルな商品に生まれ変わらせた。きっかけは、異業種からやってきた若手デザイナーの「気付き」だった。 同社は1913(大正2)年創業。主力商品の綿入れはんてんや作務衣、甚平などの衣料品を製造・販売し、使う生地は自社の工場で織り上げている。縦じま、千鳥格子、七宝など年間で100種類の柄を織る。使う糸は、年間でおよそ500色に及ぶ。 それだけに、余る糸も大量だ。織り機で使う糸の重さは1本につき約1キロ。織る布の長さは決まっているため、工程の最後には必ず糸が残り、その量は月に60キロになる。生地を織るのに使う糸は染色されたものだ。同じ色でも染めた時期や気候、湿度が異なると色合いも変わるため、余った糸を商品に使うことは難しい。廃棄処分にするのが常だった。 「残った糸をどうにかできないか」。企画課テキスタイルデザイナーの沢田久美子さん(31)は、入社以来、ずっと工場の倉庫に残った糸が気になっていた。2016年に福岡市の映像制作会社から転職してきた。 解決のヒントになったのが、全国のテキスタイルデザイナーが集まる展示会だ。兵庫県の播州織の生産者が、余った糸で編んだ綿織物のサンプルを来場者に配っていた。余った素材を、新たな価値のある製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」という手法の一例だ。 沢田さんの提案を元に、隣接する久留米市の軍手メーカーと手袋を開発した。素材は、本来なら廃棄に回す余った綿糸を使った。商品名は、英語で「奇数、奇妙な」の意味がある「odd(オッド)」。同じ系統の4色の糸を一本にして編んでおり、不均一な色の混ざり具合が楽しい。片手が破れても、また両手で使えるよう5枚1組にした。 20年10月に100セット分を発売すると、予想以上に好評で、生産を重ねて860セット以上が売れた。現在ではシリーズ化して、足袋や腕や脚、首に着用できるカバーも商品に仲間入りした。 吉開(よしがい)ひとみ社長(61)は繊維くずの廃棄について「恥ずかしい話だが、感覚が鈍り問題視できていなかった」と振り返る。業界の「当たり前」に染まっていない沢田さんの気づきは「いい形で課題を表面化してくれた」と話す。 沢田さんは「限られた資源の中でも、何かできないかと常に考える。それが『新しいものづくり』だと思う」。今後もラインアップを広げていく予定だ。 「odd」の手袋と足袋は990円、カバーは2420円(すべて税込み)。問い合わせは同社(0942・53・5181)。(横川結香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
特別支援学校のバスで生徒1人が取り残される 車庫に戻る途中で発見
2022年10月20日 12時23分 埼玉県加須市の県立騎西特別支援学校のスクールバス内で18日、知的障害のある中学部の生徒1人が発見までの30分間取り残された。県教育委員会が19日、発表した。 県教委によると、バスの運行業者は生徒の乗降時に氏名を確認し、降車時には教員に引き渡す契約になっていた。だが業者は降車時の氏名確認を怠り、学校側も1人で降車できる生徒を各自教室に向かわせていた。 普段1人で教室に来る生徒が来なかったため、担任がバスに向かったが、運転手と担任は車内を確認しなかった。バスが学校を出て運行業者の車庫に戻る途中、後ろから3列目の座席で眠っていた生徒が発見されたという。 県教委は今後、バス送迎に関する県統一のマニュアルを作り、全県立特別支援学校に周知するとしている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1個7千円アリ飼育ケースが人気 年1500個製造も売り切れ続出
アリ探究家、アリマスター、アリ捕り名人――。そんな呼び方をされる島田拓さん(40)は高校を中退後、東京の都心でアリ専門の通信販売会社を立ち上げ、今年で21年になる。妻の「アリだけで食べていけるの?」という心配をよそに、今も注文はひっきりなしだ。 東京都内の近所の公園に朝晩通うのが日課だ。首に手製の吸虫管をぶら下げ、草むらに入り込む。接写用のマクロレンズを付けたカメラを手に、地面にはいつくばる。目当てはアリだ。44種のアリの生息を確認した。 「ただの小さな虫と思われているかもしれませんが、巣の中で子育てをしたり、仲間同士で助け合ったり、人間と同じように暮らしているんですよ」と目を輝かせる。 アリの巣は土の中ばかりではない。樹木や地面に落ちた木の実の中にも。地面をじっと観察し、様々な種類を見つけ出す。 アリ探究家、アリマスター、アリ捕り名人――。そんな呼び方をされる。2001年にはアリ専門の通信販売会社「アントルーム」を設立し、撮影した写真の貸し出しや本の執筆、講演活動も引き受ける。 会社では捕った女王アリを扱うが、主力商品は「蟻(あり)マシーン」と名付ける手作りの飼育ケースだ。粘土で大小の巣穴の型を作り、石膏(せっこう)を流して固める。一つずつヤスリで削って丁寧に仕上げる。ガラスをはめ込んであり、巣の中の生活が観察できる。 週30~50個のペースで作り、年間1500個前後売れる。一つ7千円以上するが、サイトに「入荷」と書き込んだ直後に売り切れとなることもしばしば。だが、「商売は得意ではないし、売り上げももっと伸ばそうという気はないんです」と謙遜する。 アリに強い関心を持ったのは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人恐れないヒグマ、春先の猟を検討 北海道、被害「危機的」
有料記事 平岡春人、新田哲史2022年10月20日 9時00分 ヒグマの市街地への出没や人身被害を減らすため、道が春先のヒグマ猟の本格実施を検討している。春は狩猟期間ではないが、人への警戒心をヒグマに与える機会を増やす狙いだ。かつて道内で「春グマ駆除」が行われていたことも背景にある。ただ、担い手となるハンターの確保や報酬をどうするかなど課題も多い。 道は19日、野生動物管理に詳しい研究者や猟友会の幹部らを招いて有識者会議を開いた。 議題は春のヒグマ猟をどう実施するかだ。鳥獣保護法により、道内ではヒグマの狩猟期間は10月1日~1月31日と定められているが、その後も猟をできるようにするという。 近年、本格的には実施していなかった春のヒグマ猟に踏み切るのは、「危機的だ」と出席者が口をそろえる状況が背景にある。 背景には、30年前の決断 昨年度は札幌市東区で4人が… この記事は有料記事です。残り1114文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旧統一教会めぐる山際氏、地元の受け止めは 不信感、ポスター撤去も
「確認できない」と言っていたのが「出席したと考えるのは自然」になり、「全て書いた」はずは「速やかに訂正」――。 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐって記録や記憶がないという説明を続ける山際大志郎経済再生相。国会の予算委員会では、自ら「これから何か新しい事実が様々なことで出てくる可能性がある」とも発言した。地元の人たちはどう受け止めているのか。 「必要最小限の資料しか残していないため、外部からの指摘を受けて出席が明らかとなったイベントが複数あった」 17日の衆院予算委員会。教団トップが参加した2018年の会合出席などの公表が遅れたことを野党議員に問われ、山際氏はこう釈明した。 さらに「指摘されるまで忘れていたのか」と追及されると、「(教団トップを)お見かけしたというもの以外は記憶にない」などとの答弁を繰り返した。 19日の参院予算委では別の野党議員から、今後教団側との新たな接点が明らかになる可能性について問われ、こう応じた。 これまでの山際氏の対応について、地元の川崎市の人たちからも、厳しい声が聞こえてきました。記事後半には、山際氏のこれまでの発言もまとめています。 ■支援者らへの説明会、「諸般… この記事は有料記事です。残り1448文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国内感染者は4万3989人、死者は71人
2022年10月19日 20時02分 新型コロナウイルスの国内感染者は19日午後7時半現在、新たに4万3989人が確認された。前週の同じ曜日(12日)より2369人少なく、8日ぶりに前週を下回った。死者は71人だった。 新規感染者を都道府県別にみると、最多の東京都は4204人で前週より586人少なかった。19日までの1週間平均の感染者数は1日あたり3398・7人で、前週(2729・9人)の124・5%となった。2番目に多かったのは北海道の3912人、3番目は大阪府の2876人だった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長崎県知事選めぐる告発状を地検が受理 現職陣営の公選法違反容疑
寺島笑花2022年10月19日 20時07分 長崎県の大石賢吾知事が当選した今年2月の知事選をめぐり、長崎地検は19日、元検事らから提出されていた、大石氏陣営の出納責任者と選挙コンサルティング会社社長の2人への公職選挙法違反(買収)容疑での告発状を同日付で受理したと明らかにした。 告発したのは、元東京地検検事の郷原信郎弁護士と神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)の2人。選挙運動費用収支報告書によると、大石氏側がコンサル会社に「通信費(電話料金・SMS送信費ほか)」として402万円を支出し、その領収書を添付している。告発状では、コンサル会社の事業内容に電話に関する業務は含まれておらず、402万円に選挙運動の対価が含まれている可能性があると主張している。 知事選をめぐっては別の政治団体も同じ容疑で2人に対する告発状を県警に提出したと発表している。大石氏は12日の定例会見で「公選法にのっとり適切に対応してきた。捜査には全面的に協力する」と述べている。(寺島笑花) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ディープな名物で予想外の人気 「ご当地ガチャ」が次に進出したのは
埼玉発の「ご当地ガチャタマシリーズ」が、今度は静岡に進出した。 10月20日に発売するのは静岡市でも浜松市でもなく「沼津ガチャタマ」だ。 企画したアルシェ(さいたま市大宮区)のスタッフのつながりで、地元のクリエーターに協力してもらい、ディープなカプセルトイが誕生した。 沼津ガチャタマは全9種類(レアアイテム含む)で1個300円。沼津在住のクリエーター・よたさんと協力して商品開発に取り組み、半年以上かけて販売にこぎつけた。 ラインアップは、沼津を代表するブランドみかん「西浦みかん寿太郎」、歴史のある「アーケード名店街」、沼津市民の子どもの成長などを撮り続けてきた「つじ写真館」、1932年に静岡県内で初のコーヒー卸店として創業したトミヤコーヒーのシンボルキャラクター「トミーちゃん」。この4点は、地元密着型の定番アイテムと言っていい。 水が流れるカウンターで、おけにパフェやあんみつが置かれて出てくる昭和レトロ感満載の「甘味処どんぐり」や、プラモデルや鉄道模型を求めて遠方からマニアが訪れる模型の総合販売店「マルサンホビー」、工場の老朽化で一時生産中止になったもののファンの要望で2008年に復活した沼津市民のソウルフードの「のっぽ(パン、全長34センチ)」の3点は、全国の「通」には知られた存在になっている。 沼津特産品の干物をモチーフにした非公式キャラクター「ひものん」はかわいいが、欲しい人はいるのだろうか……。 極めつきは、レアアイテム「沼津みなと新鮮館の飯田さん」。沼津魚仲買商協同組合に勤める飯田徳孝さんという実在の人物だ。地元を盛り上げようとライブ活動を展開し、「ご当地ソングの雄」として知られている。 埼玉では浦和、大宮、川越などのガチャタマを売り出し、予想外の人気を博した。アルシェの中島祥雄社長は「埼玉と静岡は県民性も規模も違うので、どのような結果が出るか全く不透明。沼津市民の地元愛にかけるしかない」と話す。 発売場所は甘味処どんぐり、沼津みなと新鮮館、つじ写真館、沼津コート(ららぽーと沼津内)の4カ所。(佐藤太郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「日本の屋根」槍・穂高連峰を一望 展望デッキ「槍の回廊」オープン
2階建てゴンドラで知られる新穂高ロープウェイ(岐阜県高山市)の西穂高口駅近くに19日、槍・穂高連峰を一望できる展望デッキがオープンした。運行する奥飛観光開発の宮川学社長は「世界水準の山岳リゾートをめざしたい」と意気込みを語った。 標高2156メートルの駅周辺は「頂の森」と名付けられ、今年5月からテラスやデッキを整備する工事が始まった。ブーメラン状に張り出した「槍の回廊」からは槍ケ岳(やりがたけ)をはじめ3千メートル級の北アルプスの峰々を望むことができる。 この日は天候に恵まれ、多く… この記事は有料記事です。残り73文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上皇后美智子さま、88歳の誕生日 4年ぶりに祝賀行事も
【動画】上皇后美智子さまは20日、米寿となる88歳の誕生日を迎えた=宮内庁提供 上皇后美智子さまは20日、88歳の誕生日を迎えた。仙洞御所の庭や赤坂御用地内で、上皇さまと散策をするなどして過ごしている。今年は新型コロナの感染予防に配慮した上で、2018年以来4年ぶりとなる祝賀行事を簡素な形で行う。 宮内庁によると、美智子さまはこの1年も新型コロナの影響で、外出を控えることが多かった。 仙洞御所では、規則正しく過ごし、上皇さまとともに朝夕の散策をはじめ、新聞に目を通し、興味深い記事を伝え合っている。転居前に地元の保育園児から贈られた「ふうせんかずら」の種を大切に育てているという。 今年1月に亡くなった児童文… この記事は有料記事です。残り313文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル