「全盲の写真家が、欧州とアジアへ単独で撮影旅行に行く」という知らせを同僚からもらった。が、一瞬理解できなかった。視覚を失った全盲の人が視覚芸術である写真を撮影できるのか。記事にできる話題なのか。疑問を抱えつつ、北海道名寄市まで会いに行った。 この写真家は大平啓朗さん(43)。山形大学の大学院生だった24歳のとき、薬品の誤飲で視神経を損傷、明暗も分からない完全失明となった。 道の駅のカフェで、向かい合って座った。 「両手をパーにして、前に伸ばしていただけますか」と大平さん。 大平さんも手を伸ばし、私の手に触れた。手持ちのコンパクトデジタルカメラをこちらに向け、カシャッ。戸惑う私が写った。 小学生のころからコンパクトカメラを操り、高校では写真部員。「自分でモノクロフィルムを暗室で現像、焼き付けたりしていた。写真少年でした」 誤飲したのはメタノール。致… この記事は有料記事です。残り1709文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐川急便社員、顧客女性に電話で付きまとい 面識なしで「会いたい」
吉沢英将2022年11月7日 17時36分 勤務先の顧客の女性に繰り返し電話をかけて付きまとったとして、警視庁は宅配大手「佐川急便」社員の男(38)=東京都北区=をストーカー規制法違反容疑で逮捕し、7日発表した。男は容疑を認め、「女性と仲良くなりたかった」と話しているという。 麻布署によると、男は東京都港区内の営業所に勤務。同社の顧客で管轄外に住む女性の携帯電話に、9月5~11日、私有の携帯電話から8回にわたって非通知で電話をかけ、「会いたいからデートをしよう」と言ったほか、ひわいな言葉をかけるなどのストーカー行為をした疑いがある。2人に面識はないという。 女性の携帯電話には、逮捕容疑となった8回の電話以外にも約30回の非通知の着信があった。 男は数年前から今回の被害女性を含む複数の女性に対し「数え切れないくらい電話をした」と供述。自宅からは顧客データを印字した紙も見つかったといい、同署は、男が顧客データから女性を抽出し、同様の電話を繰り返していたとみている。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
お金?性欲?消えない「なぜ」 座間事件の被告、一度だけ荒らげた声
「どんなモンスターなんだろう」。そんな思いで臨んだ初めての接見では「普通の人」に見えた。ただ、9人もの殺害を「普通」に語る態度には違和感があった。 20年余りの弁護士人生で、大森顕さん(51)は120件以上の刑事弁護に携わってきた。接見時には泣き叫ぶ人や、言葉を発してくれない人もいる。 だが、2017年12月30日に接見した白石隆浩容疑者(呼称は当時)はその殺害方法、遺体の解体手順を明瞭かつ詳細に、そして淡々と語っていった。 そんな白石容疑者と、この日から約3年にわたって向き合うことになる。 弁護人解任を続けた容疑者の求めは… 事件が発覚したのはその2カ月前。神奈川県座間市のアパート一室で、15~26歳の男女9人の遺体が見つかった。遺体は解体され、一部はクーラーボックスに入れられていた。逮捕されたのが、この部屋の住人の白石容疑者だった。 当初から犯行を認めて事件の全容を詳しく供述した白石容疑者は、自分の意に沿わずに取り調べで黙秘を勧めるなどした2人の弁護人を相次いで解任した。 そんな中、弁護士会から国選弁護人になるよう要請を受けた大森さんは「腹をくくる気持ちで引き受けた」。黙秘することを拒み、「争点を作らないでほしい」と求めてきた白石容疑者に対し、「弁護人として何もしないまま、自分の被告人が死刑判決を言い渡されるのを法廷で聞くことはどうしてもできない」という思いを内に秘めて応対することにした。 開示された証拠は8千点 「検察が提出した証拠については無条件ですべて同意してほしい」。白石被告はそう語っていた。 極刑が予想される中、弁護を引き受けた大森さん。被告の要求とは反対に、死刑回避のための弁護活動を始めます。そして、決裂したまま裁判に突入していきました。 白石被告の場合、起訴された… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「防弾チョッキ」まとった避難小屋が完成 御嶽山噴火の教訓ふまえて
大雪山国立公園の十勝岳連峰にある上ホロカメットク山避難小屋(標高1810メートル)の建て替え工事が完了した。老朽化で心配されていた避難小屋としての機能が回復した。いまも活動を続ける十勝岳の噴火対策として、屋根には、あの「特殊素材」が使われた。 避難小屋は十勝岳(2077メートル)と富良野岳(1912メートル)の縦走路(約5キロ)の途中にあり、北海道が1980年に建設した。悪天候やけがなど不測の事態が生じたときに避難する無人の施設だが、厳しい気象条件にさらされ、破損した板壁や窓を補修してしのいできた。 7月4日に着工し、総事業費は2億2千万円。重機や建築資材などはヘリコプターで運び、旧避難小屋の解体後、コンクリートの基礎も含めてすべて造り直した。10月上旬にほぼ完成するまで、作業員は別に建てた小屋に寝泊まりするなどして建築にあたった。 新しい避難小屋は旧避難小屋と同じ2階建て(延べ47平方メートル)。1階も2階も板間になっており、30人が寝泊まりできる。電気も飲み水もないが、強化プラスチック製のスモーク窓を透明にし、室内を明るくするなど工夫した。 噴石、屋根を貫通せず 安全対策として、期待される… この記事は有料記事です。残り795文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
準強制性交罪で起訴の渋谷区職員、コロナ対策支援金の詐取容疑も
高嶋将之2022年11月7日 14時24分 新型コロナウイルスの影響で生活が困窮した人に自治体が支払う支援金を詐取したとして、警視庁は7日、東京都渋谷区生活福祉課職員の男(29)を詐欺容疑で逮捕し、発表した。男は「間違いありません」と容疑を認めているという。男は交際相手に対する準強制性交罪で起訴されている。 目白署によると、男は今年3~6月、自身が居住する豊島区に対し、無職であるなどと偽って「生活困窮者自立支援金」を申請し、現金18万円を支給させてだまし取った疑いがある。この支援金は、収入や資産などが一定限度を超えない世帯を対象に、世帯人数に応じて1カ月当たり6万~10万円が3カ月間支給される。 男は今年4月、別のコロナ対策の給付金を不正に得ようと豊島区に申請したが、区に虚偽と見破られた。その際の調査で男が無職ではなく渋谷区職員だとわかり、昨年3月の支援金の新生もうそだと発覚したという。 男は、交際相手の女性に睡眠薬を混ぜたミルクティーを飲ませた上で、性的暴行を加えたとして10月に準強制性交等容疑で逮捕、その後起訴されている。(高嶋将之) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ゆっくりジェットコースター、「壊れるんじゃ」半世紀 愛され引退へ
そのジェットコースターに乗れるのは一度に最大14人。最高速度は時速50キロしかでない。でも、50年以上、無事故で走り続け、世代を超えて多くの子どもを楽しませてきた。丁寧に車体や設備をメンテナンスしてきたが、老朽化は隠せず、引退が決まった。14日、ラストランを迎える。 ゴー、ガタガタガタ――。 10月最後の週末、仙台市の老舗遊園地「八木山ベニーランド」のジェットコースターは、レールを走る車両のけたたましい騒音をあげていた。いつもと変わらない子どもの歓声が響く。 市内の公務員阿部ゆかりさん(41)は35年前、母親の敦子さん(67)と一緒に、ここで初めてジェットコースターに乗った。農作業を手伝ったご褒美だったという。 いまから3年前には、母として長女の楓(かえで)さん(10)を連れて一緒に乗った。引退のことは耳にしており、「ジェットコースターデビューの子どもに付き添って、一緒に乗ってきた親の優しさも詰まった場所だと思う」。 東北初のコースターとして1968年の開園時につくられた。当時、他に似た遊具も少なく、その名も「ジェットコースター」。特別な名前をつける必要がなかった。 保護者同伴なら3歳から乗れ、全長約300メートルのコースを90秒で駆け抜ける。高さ8メートルから駆け下りる最高時速は50キロ。53年生まれで浅草花やしき(東京)にある日本現存最古の「ローラーコースター」の最速42キロよりは速いが、いま国内にある多くのコースターの半分もでない。 ただ、いまでは珍しくなった「チャンネル型」という鉄道レール状の構造を採用。あまりに音と揺れが激しく、「このまま壊れるんじゃないか?」と、実速以上にスリルを味わえるのも特徴だ。 青い機関車風のいまの車両は82年に導入した3代目。令和の子どもたちからは「機関車トーマス?」とよく尋ねられる。「それも時代の流れです」と八木充幸園長(68)は目を細めるが、当時大人気だったアニメ「銀河鉄道999」をイメージしたものだ。 半世紀を超える時を経て、東北初のコースターはいつしか東北最古のコースターとも呼ばれるように。数年前から検討を重ねてきたが、園はこの8月、ジェットコースターの引退を発表。丁寧に管理してきたが、今後も維持していくのは難しいと判断した。引退が発表されると、SNS上では引退を惜しむ50件以上のメッセージが園に寄せられた。 ジェットコースター愛好家の渡辺直太さん(36)は「チャンネル型のコースターは日本からもほとんどなくなり、当時のまま残っているのは奇跡に近い。大事に整備をされて、お疲れさまと言いたい」。 ゆっくり走るジェットコースターの人気は、時代の荒波の中でも不思議と衰えませんでした。その秘密の答えを元従業員の男性が明かしてくれました。 走り始めてから無事故を続け… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
仕切りの低いボックス席で性的サービスか 渋谷の飲食店を摘発
店内で他人から見える状態で従業員と客にわいせつな行為をさせたとして、警視庁は、東京都渋谷区道玄坂1丁目の飲食店「スッキリ」店長の男(29)のほか、従業員の男4人の計5人を公然わいせつ容疑で現行犯逮捕し、7日発表した。同庁は、この店が性的サービスを売りにして、今年5月からの約5カ月間で約1億5千万円を売り上げたとみている。 保安課によると、5人は共謀して5日、同店内のボックス席が周りから見える状態にもかかわらず、その中で全裸の20代女性従業員と30代男性客にわいせつな行為をさせた疑いがある。ボックスには仕切りがあったが高さが低く、店内にいれば中の様子を誰でも見ることができたという。 逮捕された5人はいずれも容疑を認め、うち1人は「公然わいせつ行為を営業システムの一環として行っていた」と話しているという。この店は飲食店として届け出されているが、同課は、営業実態が「ピンクサロン」だったとみている。 店長の男は調べに、店には18~25歳の女性従業員約70人が在籍し、1日あたり約150人の客を9席あるボックス席で回していたなどと供述。同店はJR渋谷駅のすぐ近くにあり、客の半数が20代だったという。(御船紗子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
三陸鉄道ゲリラガイドは非公認ゆるキャラ、復興へかけ声「オイッス」
【動画】三陸鉄道で出会ったオイッスさん=東野真和撮影 休日、岩手県の沿岸を走る三陸鉄道(三鉄)に乗ると、運が良ければ会える。山田町特産のカキをイメージしたゆるキャラ「オイッスさん」。10月末、SNSでこれから乗車することを知った記者は、大急ぎで山田町に向かった。 海の幸を味わいながら車窓の眺めを楽しむ「秋のプレミアムランチ列車」。三鉄が休日に走らせている。 正午前、列車が陸中山田駅に着くと、オイッスさんが乗り込んだ。カキの殻を模した体に、大きく満面の笑みが描かれている。 「オイッス!」と、手を上げてあいさつした。乗客には事前に知らされていない。「何だあ?」と驚くお年寄り。「可愛い!」と喜ぶ子ども。「山田町といえば、カキ。英語でオイスター。で、私が生まれました」と明るくあいさつした後、ガイドが始まった。 「あの島はオランダ島。鎖国していた江戸時代にオランダ船が来たことに由来します」「この駅は本州最東端の駅です」――。列車が隣町にさしかかっても、勢い、山田町をPRする。 35分後、釜石市の鵜住居駅に到着。ホームで乗客と記念撮影に応じ、手を振って見送った後、今度は反対側に来た復路の列車に乗り込み、驚く一般客と世間話に花を咲かせた。 陸中山田駅に戻った。記者が待合室までついていくと「すみません。脱ぐのを手伝ってください」。着ぐるみを引っ張ると、中から汗だくの男性が出てきた。 知名度じわじわ、非公認のわけ 男性は、山田町でスーパー「… この記事は有料記事です。残り636文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ただごとではない」分団長は走った 響いた半鐘の音、避難の合図に
豪雨災害や津波で命に危険が迫っているのに「まだ大丈夫」と避難を選ばず、逃げ遅れてしまう――。なぜ避難を促す情報が行動に結びつかないのか。そんな課題を解決しようと、京都大防災研究所の矢守克也教授(防災心理学)は、避難行動を始める基準や合図を事前に決めておく「避難スイッチ」を提唱する。各地の実例などから、その取り組みのねらいを探った。 3年前の10月13日未明、台風19号による増水で長野市の千曲川堤防が決壊した。その数時間前に、普段はめったに使われることがなかった火事を知らせる半鐘が長沼地区に響き渡った。 当時、長野市消防団長沼分団の分団長だった飯島基弘さん(50)は、堤防決壊の前日午後9時半ごろ、自宅に一度戻り、家族を避難させた。そして自身は市消防局の分署に走り、最新の水位情報を収集した。地区の災害対策本部で耳にした水位標の、堤防高を越えるほどの水位が頭をよぎっていたからだ。 「5分だけ、たたけるだけたたいてくれ」 雨はあまり降っていない。普段、長沼地区では浸水に備えて、激しい雨の時は農機具を堤防の上に避難させる。そうした農機具は少なく、災害対策本部で抱いた危機感が地域の住民に伝わっていない、と感じていた。 日付が変わったころ、事態は… この記事は有料記事です。残り1362文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ご難続きの伊勢神宮前”無人ビル”に入居が 2年遅れで全面開業へ
三重県伊勢市の玄関口、伊勢市駅前にある再開発事業で造られた12階建てのビル。市と、手がけた業者との「決裂」で、完成後も長らく無人状態となっていたが解決にめどがつき、ようやく各フロアへの入居が進みつつある。ただ、全面開業は当初予定より2年あまりも遅れる見込みだ。 1年前は、夜になると暗闇に包まれていた再開発ビル「MiraISE(ミライセ)」。いま、賃貸住宅がある最上階をはじめ、明かりがともる。今春以降、入居が始まっている。 ビルの運営会社・未来伊勢(みらいせ)によると、賃貸住宅20戸が入る11、12階で12戸が埋まり、2~4階は有料駐車場で稼働中。空いている1、9、10階については9、10階はホテルと、1階は薬局などと入居に向けて交渉中だという。 8階で12月に業務を始めるのが伊勢公共職業安定所(ハローワーク伊勢)。現庁舎の老朽化のため移転するが、本来の入居は昨年4月で内装工事も終えていた。それが2年近くも待たされた形だ。三重労働局の総務課は「市の福祉拠点と同時に入居することになっていたため」と説明する。 その福祉拠点は5~7階に入り、来年5月に業務を始める。近く内装工事に入る。高齢者らの暮らしを支援する福祉総合相談センター、妊婦らの健康管理に関わる窓口といった部署で、現在、市役所本庁舎などに分散しているのを集約し、約100人が働く予定だ。 「今は順調だと思っているが… この記事は有料記事です。残り1179文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル