警察庁の露木康浩長官は22日の定例の記者会見で、都道府県警がつくる要人警護計画案を、警察庁が11月末までの3カ月間で計約1千件審査したことを明らかにした。同庁による審査は安倍晋三元首相銃撃事件をうけて導入された新たな仕組み。同庁によると、審査した計画案の多くで何らかの修正を指示したという。 要人警護は都道府県警が担う。従来、計画案を警察庁が事前に把握するのは、大規模な行事に伴う場合や海外からの要人などの警護に限られていた。しかし、7月8日に奈良市で安倍氏が銃撃された事件を教訓に、警察庁は警護の運用方法などを定めた警護要則を全面的に改正し、8月26日から実施。すべての警護について都道府県警が計画案を事前に警察庁に提出し、警察庁が内容を審査する制度に変わった。 露木氏はこの日の会見で、「安倍元首相銃撃事件の発生を許してしまい、日本警察にとって痛恨の極みだった」と振り返った。事件当時、警察庁次長だった露木氏は警護警備の検証と再発防止策をまとめる作業を指揮。「徹底した検証と反省の上に立たなければ、いつかまた同じような事態が起こるという強い危機感をもって作業に従事した」と述べた。(編集委員・吉田伸八) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「おいらん車」トキめくか? JR西が新潟の鉄道会社に譲渡
2022年12月22日 13時00分 多くのかんざしを挿したような外観で「おいらん車」とも呼ばれたJR西日本のオヤ31形客車1両が、えちごトキめき鉄道(新潟県上越市)に譲渡される。 オヤ31形客車は建築限界測定車といい、かつて、車両が周囲の駅舎などの設備や障害物と接触しないかを「矢羽根(やばね)」と呼ばれる飛び出た棒で測定していた。 えちごトキめき鉄道は鉄道テーマパーク「直江津D51レールパーク」で展示を予定。JR西の担当者は「車両を見た人を魅了して末永く活躍して欲しい」。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪汚職、AOKI前会長らが贈賄罪認める 一連の事件で初の公判
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、スポンサー選定などをめぐって大会組織委員会の元理事に賄賂を渡したとして、贈賄罪に問われた紳士服大手「AOKIホールディングス」側の初公判が22日午後、東京地裁であった。前会長の青木拡憲(ひろのり)(84)、前副会長の青木宝久(たかひさ)(76)、前専務の上田雄久(かつひさ)(41)の3被告はいずれも「間違いありません」と起訴内容を認めた。 計15人が起訴された一連の事件で、公判が開かれるのは初めて。受託収賄罪での起訴内容を否認する組織委元理事・高橋治之被告(78)らの公判日程は決まっていない。 起訴状によると、青木前会長ら3人は2017年1月~21年6月、スポンサーへの選定と迅速な契約締結▽日本選手団の公式服装の受注▽大会延期に伴う追加協賛金の減免▽公式ライセンス商品の速やかな承認――などで便宜を図ってもらうよう高橋元理事に依頼。17年10月~22年3月、謝礼として54回で計5100万円の賄賂を元理事が代表のコンサルタント会社「コモンズ」に送金したとされる。 贈賄罪は3年が公訴時効のため、青木前会長らの起訴内容は19年9月以降に提供した計2800万円とされた。 関係者によると、AOKI側は17年9月、コモンズとコンサル契約を結んだ。コンサル料は毎月100万円で、大会閉幕直後に50万円に半減。検察はコンサル料全額を賄賂と認定した。 青木前会長らは、要望をまとめた書面をもとに元理事に便宜を依頼するなどしたとされる。組織委は18年10月、AOKIをスポンサーの一つ「オフィシャルサポーター」に選定し、五輪エンブレム入りのスーツといった公式商品の販売も認めた。 組織委はスポンサー獲得業務を広告最大手「電通」に委託。公式商品の審査などを担う組織委マーケティング局にも電通社員が多く出向していた。 高橋元理事は電通の元専務で、電通側に働きかけてAOKI側の要望を実現したとされる。組織委会長だった森喜朗元首相と青木前会長らの会食の場も設けたという。 組織委の理事は公務員に準じた扱いを受ける「みなし公務員」で、理事の職務に関して金品を受領すると収賄罪に問われる。 青木前会長はコンサル料について、8月に逮捕された当初は「理事としての行為に支払ったわけではない」と賄賂性を否定していたが、起訴時点では賄賂性まで認めたという。 一方、高橋元理事は「コンサル料は五輪とは無関係の他の業務への対価」「組織委理事として特定企業のための働きかけはしていない」などと一貫して起訴内用を否認。保釈も認められず、8月から勾留が続いている。 一連の事件で高橋元理事は4回逮捕・起訴され、賄賂とされた総額は計約2億円に上る。贈賄側はAOKIを皮切りに、出版大手「KADOKAWA」、広告大手の「大広」と「ADKホールディングス」、大会マスコットのぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」の計5ルートに延びた。最終的に、受託収賄・収賄罪で3人、贈賄罪ではKADOKAWAやADKのトップを含む12人が起訴された。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「大阪梅田を安全安心のシリコンバレーに」 動き始めた大学発の試み
いつか来る大災害。備えの大切さはわかっていても、誰もが実行に移せるわけではない。どうすれば、もっと被害を減らせるか。これまでの「防災」の枠にとらわれず、日常生活や企業の価値を高めながら、災害に強い社会をつくろうという、大学発の試みが走り始めた。 マーケティング視点でアプローチ 今月1日、大阪駅近くのビルにある関西大学梅田キャンパス。集まった企業や行政の担当者を前に、商学部の学生たちが「防災の市場化」についての研究成果を発表した。 「マーケティングの観点で顧客層を分類し、細かなアプローチをしていく」「防災することが当たり前となれば、これまで取り組んでこなかった人にもきっかけが生まれる」 すべての人に向けた従来型の防災啓発では、なかなか人は動かない。そこで商品を売るときのように「顧客層」を分類。身近な情報を発信する「生活インフルエンサー主婦」「防災したいけどできない高齢者」など人物像ごとに手段を考え、全体を底上げしていくことを提案した。 別のグループからは、防災が「裏テーマ」の謎解きイベントのアイデアも。スマホで答えを求めながら街歩きをすると、最後に津波の避難先になるビルにたどりつく。楽しみつつ、気付けば災害時のことも体感しているしかけだ。近くに勤める人が参加すれば、避難の先導者になってくれるかもしれない。 出席者からは、まずターゲットにするなら「関心があり行動を起こしていない層」との意見が出た。身近な相手に防災の話をする人が増えれば「友達から聞いたから」と広まっていく、との発言もあった。 この集まりは、仮称「うめだ南(なん)トラ研究会」。想定される南海トラフ巨大地震を見据え、関大の呼びかけで今年から始まった。不動産会社から菓子メーカーまで、様々な企業と各学部の教員らが顔をそろえる。 大阪・梅田は鉄道ターミナルが集結し、多数の人が行き交う。巨大な地下街が広がり、再開発で高層のオフィスビルや商業施設も増えている。南海トラフ地震では震度6弱の揺れと津波で2メートルの浸水が見込まれ、避難誘導や帰宅困難者などの課題を抱える。 研究会は、防災分野だけでない幅広い知恵を生かして解決策を探り、梅田地区にとどまらず社会全体にも広めることを目指す。 「北風」に限界 「太陽」のアイデアを 「大阪は新しいこと、面白い… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
悪縁が切れる!九州の神社に女性が続々…その「最強」たる二つの理由
大きなクスノキが茂る静かな境内で、30代の女性は一心に祈っていた。 ――どうにかして会社を辞められますように。 パート先の上司が代わり、時短の条件が守られなくなった。子どもの運動会の日にもシフトを入れられた。 「土日は休みという約束でしたが」とその上司に言うと、「わがままだ」と一蹴された。それなら辞めたいと伝えても、「他の社員に迷惑がかかる。無理」と取りあってもらえない。 私が悪いのかな……。どうすればいいんだろう。 ある日、インターネットで見つけた。 「最強の縁切り神社」 その神社は九州・福岡にあるという。次の休日、わらにもすがる思いで車を飛ばした。 社務所で御守(おまもり)を手に入れ、短冊のような「願い文」に願いを書いて結びつけ、小さな祠(ほこら)の前で真剣に祈り……。 御守を肌身離さずもっていようと制服のポケットに縫い付けた。 すると、次第に「わがままなのはこっちじゃなくて、あっちかも」と思えてきた。「もう無理。何を言われても切ろう。お守りを持ってるけん大丈夫」。自然と自信が湧き、気がついたら、上司に言いたいことが言えるようになっていた。 そして3カ月後、スッパリと会社を辞めた。「辞めた瞬間、体が軽くなりました。今は幸せです。御利益がありました」 県外ナンバーも続々 パワハラ上司を異動させてほしい、夫と不倫相手を別れさせてほしい――。そんな「縁切り」に御利益があるという神社が、ネットで話題になっている。 「すっかり悩み相談所になりました」 福岡市から車で約1時間。筑後平野の田んぼに囲まれた福岡県朝倉市林田の美奈宜(みなぎ)神社を訪ねると、内藤主税(ちから)宮司(69)は笑顔で迎えてくれた。 1800年前に神功皇后が創建したとされる由緒ある神社。本殿の裏に、境内社のひとつ・白峯神社が鎮座する。 この小さな社が、話題の「最強縁切り神社」だという。 縁切りをうたう神社は全国にあるのに、なぜ、ここが「最強」と言われるのだろうか。 福岡県朝倉市にある小さな神社が、「最強の縁切り神社」としてインターネットで話題になっているそうです。「最強」と言われる理由を探りました。 参拝客が急に増えたのは20… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「行ってはならない暴力的行為」 松戸の保育施設、事実関係認め謝罪
高橋淳2022年12月22日 10時15分 【千葉】松戸市の小規模保育事業所「コモレビ・ナーサリー」で不適切な保育が発覚した問題で、運営する社会福祉法人「菊光会」が20日夜、会見を開いた。「行ってはならない暴力的行為」と事実関係を認めた上で、「(不適切な保育は)ないとの前提で物事を考えていた」と謝罪した。 会見前にあった保護者説明会には、約30人の保護者らが参加した。立ち会った市によると、子どもをたたくなどした保育士について保護者から「誰なのか知りたい」と求められたが、法人側は応じなかった。 防犯カメラの映像を確認したいとの要望にも「(データは)警察に渡しているので見せられない」と説明した。複数の出席者が「説明にならない」と市に退園の意思を示したという。 その後の会見で、菊光会の佐々木勇人(はやと)事務長(63)は市への内部告発以前に職員らから不適切な保育を指摘する声があったかを聞かれると、「まったくなかった」。保育士の水増しなどで約1200万円の補助金を不正受給したことについても、「会計責任者である私の判断」と話した。 保育現場に詳しい塩谷香・国学院大教授(保育学)は「待機児童解消をめざし、行政は施設を増やすことに躍起になったが、量よりも質を見直す段階にきている」と指摘する。 保育士の専門性を担保して人間性を高めるために、定期的な研修や現場での指導は欠かせないという。塩谷教授は「保護者側も子どもを任せきりにせず、施設と積極的に意思疎通を図ることが大切だ。虐待があれば、子どもの行動に異変が表れる。様子をよく見てほしい」と話す。(高橋淳) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島原発事故の除染土、新宿御苑で再利用へ 環境省が説明会、抗議も
武田遼2022年12月22日 7時00分 東京電力福島第一原発の事故後の除染で出た除染土の再利用について、環境省が実証事業の候補地の一つとして検討する新宿御苑(東京都新宿区内藤町)で21日、周辺住民向けの説明会が行われた。 除染土は2045年までに、福島県外で最終処分することが法律で決まっている。現在は同県内の中間貯蔵施設で保管が続くが、同省は処分量を減らすため、埼玉、東京、茨城にある同省管理の3施設で実証事業を行う方針だ。 新宿御苑内では公道から約30メートル離れた、一般の立ち入りが規制されているエリアで行う。縦3メートル、横10メートルの花壇を1メートルほど掘って集水シートを敷き、2トントラック5~6台分の除染土6立方メートルと、それを覆う土を50センチずつ入れる計画だ。集水シートの水は貯水槽に集められ、安全性を確認した後、下水道へ放流するという。 非公開であった説明会の会場周辺では、約20人が「もっと広く説明会を」「持ち込み反対」と書かれたプラカードを手に抗議活動をした。中井美和子さん(48)はオンラインで集まった事業反対の署名を、同省職員へ手渡した。署名は1040筆が集まったといい、「新宿に持ってくる意味はあるのか」と話した。(武田遼) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
体操の内村航平さん「引退しても体操中心の生活」 北九州でイベント
体操元日本代表の内村航平さんが30日、生まれ故郷・北九州市で体操イベント「体操展~動く芸術~」(内村さん主催、北九州市共催)を開く。21日に、北橋健治市長のもとを訪れ、イベントへの思いや引退後の生活について語った。 内村さんは北橋市長との会談で、「生まれ故郷でイベントができることを幸せに感じている」と話し、「北九州から(イベントを)始め、育った長崎県諫早市でやって、東京でやるのもいいかもしれない。やらせてもらえるならどこでも」と今後の広がりについても期待した。 北橋市長とのやりとりでは… この記事は有料記事です。残り606文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「やってられるか」、戦前の庶民も 便所の落書きにぶちまけた怒り
有料記事 聞き手・中島鉄郎2022年12月22日 7時00分 戦前の庶民が心の底からぶちまけた「やってられるか」「ふざけんな」という不満や怒り。権力へのゲリラ的反撃に有効だったのは実は、便所の落書でした。その記録を調べた28歳の作家・高井ホアンさんに聞きました。 ◇ ネットの掲示板などSNSの品のなさを「便所の落書きだ」と批判することがあります。ただ、戦前の日本では、便所の落書きも、人々の思いのたけをぶつけるコミュニケーションの道具でした。 例えばこんな落書きです。 「特高月報」が残した不満の記録 「隣国友好国に兵を出すとは… この記事は有料記事です。残り1352文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
首都高の老朽化対策 3千億円追加 羽田トンネルなど大規模更新へ
古城博隆2022年12月21日 20時23分 首都高速道路は21日、約22キロの区間で更新や修繕が必要となり、事業費約3千億円を見込んでいると発表した。1号羽田線の羽田トンネル(大田区)や、湾岸線の荒川湾岸橋(江東区―江戸川区)などで大規模な更新事業を計画している。 前田信弘社長が記者会見を開き、昨年12月に設置した専門家による検討委員会の報告を踏まえて発表した。2014年から点検を強化した結果、約22キロの区間で重大な損傷が見つかった。今後の点検で、更新や修繕が必要な箇所はさらに増える見通しという。 運用停止中の可動橋を迂回路に 羽田トンネルは1964年に開通した首都高初の海底トンネル。漏水に伴う緊急規制が増加して交通に影響が出ており、大規模な修繕が必要という。平日の交通量が約9万台と多いため、運用を停止している可動橋を含むバイパスを迂回(うかい)路として活用する。工事後も迂回路を活用して3車線化して渋滞を緩和する計画だ。 荒川湾岸橋は1978年開通。2010年の点検では異常は確認されなかったが、20年の点検で部材の腐食や破断が複数見つかった。鋼板による補強のほか、劣化の要因となっている古い塗装を下地からはがして耐久性の高い塗装に変える必要があるという。 首都高では総延長約327キロのうち、約64キロの区間で約9300億円をかけて更新や修繕を進めている。費用の多くは料金の徴収期間を15年延長して捻出した。首都高に限らず、高速各社で追加の費用が見込まれ、国は無料化をさらに延期する方向で検討中だ。(古城博隆) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル