京都の師走の風物詩「吉例顔見世(きちれいかおみせ)興行」の開幕に向けて、劇場の南座(京都市東山区)で26日、出演する歌舞伎役者の名前を掲げる「まねき上げ」があった。 歌舞伎発祥の地にある南座では、毎年12月に東西の役者が一堂に会する興行をしており、今年は第13代市川團十郎さんの襲名披露の舞台となる。 大入りを願って、「勘亭(かんてい)流」ですき間なく記した「まねき看板」は72枚。26日午前、最後の1枚となる團十郎さんの看板が、共演する息子の新之助さん、娘のぼたんさんの看板と並んで掲げられると、一足早く師走を告げる華やかな装飾が完成した。3人は南座の前であいさつし、團十郎さんの手締めで興行の成功を願った。顔見世興行は12月1日から24日まで。(西田健作) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「芸名でなく本名」の柿木さん、放置柿で事業 クマ被害最多の秋田で
オレンジ色のつなぎに、頭には柿のデザインの帽子。11月のある日、秋田県能代市の民家の庭に、全身オレンジ色の格好をした男性が現れた。 庭には、収穫されずに放置された柿が、住宅2階の高さまで鈴なりにぶら下がっている。 男性は枝ごとのこぎりで切り落とし、手際よく実をもいでいく。1時間もすると、約80キロの柿が集まった。 収穫を依頼した女性(86)は一人暮らし。 「昔は家族と干し柿にして食べたけど、いまはもう収穫する体力はない。今年はクマが柿を食べに来る様子をニュースで見て怖かった。ご近所さんに心配をかけてもいけないので、本当に助かった」と感謝した。 県内では、クマに襲われて負傷した人が過去最多の3倍を超える70人(22日現在)にのぼり、クマの異常出没が続く。収穫されずに放置された柿の実は、クマを人里に引き寄せる要因の一つになっている。 柿を収穫していたのは、柿木(かきのき)崇誌(たかし)さん(36)。 依頼を受けて放置柿を無償で収穫し、商品化する事業に取り組んでいる。 全身オレンジ色、靴下まで 「よく芸名と間違われますが… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
よいタッチ?悪いタッチ? 小1が学ぶプライベートゾーンの約束
大阪市立田島南小学校の「生きる」教育では、1年生はプライベートゾーンを学ぶ。9月、養護教諭の木田実佐子先生(26)がプリントを配りながら、「今日のめあては、自分の体と心を大切にする方法を考えよう、です」と呼びかけた。 黒板の左側に男の子と女の子の絵を貼ると、ナオトさんが一番前の席で「ね~。女の子の足、傷ついているよ」と声を上げた。 木田先生が、同じ絵が入ったプリントで、危ないと思うところに○をつけるよう指示してから、「聞いていこうかな~」と言うと、パッと手が上がった。 リンさんが「(持っている)傘が上を向いていて危ない」と発言すると、ナオトさんが「下に向けないと危ない」と口をはさむ。ショウさんが「くつひもとれてる」と言うと、「ちゃんと結ばないと簡単に脱げちゃう」とナオトさん。「くつのかかと踏んでる」「帽子かぶってない」「名札つけてない」などの指摘も次々と出た。 木田先生が「この子たちのお顔はどうなっている?」と問うと、リンさんが「女の子が悲しい顔している」。すかさずナオトさんが「男の子は怖い顔」と続けた。「なんでこんな顔をしているのだろう?」と問うと、「しんどいから」「イライラしている」「だれかとケンカした」「人に嫌なことされたから」「こけたから」と次々と答えが返ってきた。 「いやな気持ちでなくなることを安心というよ。安心するためにはどうする?」と問うと、タカさんが「ママに言う」。タイチさんが「みたらし団子を食べる」と言うと、笑い声があがった。 水着で隠れている体の大切な場所 続いて、木田先生は黒板の右側に、体操服を着た男の子と女の子の絵を貼った。手足や服についた汚れを清潔にする方法を話し合った後、女の子の服がはがれ、一瞬パンツ一枚の姿になった。 「キャー」 教室中に悲鳴が上がった。 「生きる」教育は、大阪市立生野南小学校(現・田島南小)で開発された、独自の教育プログラムです。自己肯定感を高め、自分と相手を大切にする方法を学ぶことを目指しています。9、10月に各学年で行われた授業を取材しました。9回にわたってお届けします。 木田先生が尋ねる。「なんで… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京・原宿に銭湯がやってくる?創業90年、「小杉湯」3代目の挑戦
全国で銭湯の数が減るなか、東京・原宿のど真ん中に「2号店」を出そうと計画している老舗銭湯がある。地元で90年間愛されてきた「小杉湯」(東京都杉並区高円寺)だ。 「銭湯が今の社会にこそ必要だということを、原宿で証明したい」。小杉湯3代目の平松佑介さん(43)は意気込む。 2号店を出すのは、大勢の買い物客や観光客でごったがえす原宿中心部。来春開業する商業施設内で、その周辺に目立つのはカフェやアパレル店。ここに、なぜ銭湯を作るのか――。 若者に人気…でも 数年前、渋谷・原宿で再開発を手がける不動産事業者から、出店を持ちかけられた。もともと入浴客の4割が20~30代と、小杉湯が若者から人気を集めていたことから声がかかった。 ただ、すぐには返事ができなかった。 小杉湯には90年間、地元の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
冬の大地震、津波でぬれると命取り 過酷な寒さ、低体温症を防ぐには
冬の厳しい寒さの中で災害に遭うと、温暖な時期と比べて状況はより過酷となる。地震などの直接の被害を受けなくても、零下の寒さで体温が低くなり死亡する――。そんなリスクのある「低体温症要対処者数」は、内閣府の試算では日本海溝地震で最大4万2千人、千島海溝地震で最大2万2千人に上る。災害時の寒さへの備えをどうしたら良いのか探った。(石倉徹也、グラフィック=米澤章憲) 冷却はぬれると4~5倍速く進む 低体温症は、寒さで体の中心部の体温が35度以下になる状態。プールなどで寒くて歯がカチカチするのは、軽い低体温症だ。中等症以上になると意識が遠のき、重症で心肺停止の恐れもある。基礎代謝が低い乳幼児や高齢者は熱を奪われやすい。 特に危険なのは、ぬれること。北海道や東北の海面水温は冬、15度を下回る。体や衣服がぬれると、乾いた状態より4~5倍速く冷却が進む。15度以下の水につかると数時間で死亡するとの研究データもある。東日本大震災で津波による溺死(できし)とされた人の中にも、低体温症の人がいたと指摘されている。 日本海溝地震と千島海溝地震に関して内閣府が発表した低体温症要対処者の数字は、津波に襲われ、屋外に逃げた人を対象とする。「停電した地域は含まれていない」(内閣府の担当者)ため、大規模な停電が起これば、人数はさらに増える。 2018年9月の北海道胆振東部地震では、道内ほぼ全域で最長2日間にわたって停電する「ブラックアウト」が起きた。同様の停電が冬に起これば、屋内でも暖房なしで寒さをしのぐ必要がある。 「私たちは近年、停電を伴う真冬の地震の経験がない。寒冷期の災害で何が起きるのか、考えておかないといけない」と日本赤十字北海道看護大の根本昌宏教授は警鐘を鳴らす。 積雪も大きな障害になる。豪雪地帯の新潟県は昨年、冬季の地震被害想定を初めてまとめた。 積雪の重みが屋根にかかり建物被害が拡大▽灯油を蓄える住宅が多いため火災が拡大▽停電やガスの供給停止により、暖を求めて避難所に人が殺到▽倒壊家屋からの救出が遅れ、凍死者が発生――。 想定に関わった新潟大災害・復興科学研究所の河島克久教授(雪氷防災学)は「ここ数十年ほど大雪のさなかの地震はほとんどない。だが最悪の場面を考え、身の回りのリスクを考えておく必要がある」と指摘する。 ■すばやく身支度、すぐ逃げる… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
フリースクール選び、子どもの「通いたい」大切に NPO代表に聞く
不登校になった子どもにとって必要なのが、親・教師以外の大人や、同年代の子どもと関われる自宅以外の「居場所」です。各地にフリースクールなど様々な施設がありますが、適する居場所をどう選べばいいのでしょうか。全国の居場所の情報を発信しているNPO法人「多様な学びプロジェクト」(川崎市)の代表理事、生駒知里(ちさと)さんに聞きました。 子どもが学校に通いたくないと訴えたり、登校できなくなったりしたら、保護者の皆さんには、まずは子どもの様子を丁寧に見てもらいたいです。学校で深く傷ついた子は、大人への不信感が強かったり、同じ年頃の子どもたちの輪の中に入ることに怖さを感じたりすることがあります。 そのような状況で、フリースクールなど民間施設に「すぐに通わせなければ」と焦る必要はありません。エネルギーをまずは家の中で時間をかけて蓄えることを優先したほうがよい場合もあります。 フリースクール選び ポイントは そのうえで、もし子どもが関… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
フリースクール選び、子どもの「通いたい」大切に NPO代表に聞く
不登校になった子どもにとって必要なのが、親・教師以外の大人や、同年代の子どもと関われる自宅以外の「居場所」です。各地にフリースクールなど様々な施設がありますが、適する居場所をどう選べばいいのでしょうか。全国の居場所の情報を発信しているNPO法人「多様な学びプロジェクト」(川崎市)の代表理事、生駒知里(ちさと)さんに聞きました。 子どもが学校に通いたくないと訴えたり、登校できなくなったりしたら、保護者の皆さんには、まずは子どもの様子を丁寧に見てもらいたいです。学校で深く傷ついた子は、大人への不信感が強かったり、同じ年頃の子どもたちの輪の中に入ることに怖さを感じたりすることがあります。 そのような状況で、フリースクールなど民間施設に「すぐに通わせなければ」と焦る必要はありません。エネルギーをまずは家の中で時間をかけて蓄えることを優先したほうがよい場合もあります。 フリースクール選び ポイントは そのうえで、もし子どもが関… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「もののけ姫」の世界、白神山地の奥へ 待っていた樹齢1千年の巨木
青森県と秋田県にまたがり、東アジア最大級のブナの原生林が広がる白神山地は、ユネスコの世界自然遺産に登録されて12月で30年になる。その深遠な魅力に触れようと11月初旬、山地の中央部にある世界遺産地域を、記者3人が2人のガイドの案内でめざした。 今回歩いたのは青森県西目屋村内で、山地の東部を流れる大川沿いに林道をさかのぼり、標高1千メートルの青鹿岳のふもとに続くルート。観光用の登山道ではなく、より人の手が及んでいない自然の姿を見られる。 午前8時半、ヘルメットとレインコートを身に着け、クマよけの鈴を付けたザックを背負う。トレッキングシューズでは未整備の斜面や沢は滑ると聞き、ホームセンターで買ったスパイク付き地下足袋をはいて出発した。 同行した鵜沼照都記者(60)は10年前に山地を取材した経験があるが、野田佑介記者(42)と私(古庄暢=37)は初めてだった。 先導するのは、山地で代々クマを狩ってきたマタギの一族の末裔(まつえい)で、鰺ケ沢町で温泉宿を営む吉川隆さん(73)と、かつて環境省のアクティブレンジャーを務め、いまは弘前市で自然学校を開いている谷口哲郎さん(43)だ。 「道が荒れているので気をつけて」。歩き始めてすぐ、吉川さんから注意が飛んだ。昨年8月に津軽地方を襲った大雨で土砂崩れが起き、路面が陥没しているという。山地周辺は被害箇所が多く、「復旧工事の手がまだ届いていない」と谷口さんが教えてくれた。 落ち葉が降り積もった林道を進むこと1時間。吉川さんが突然、ミズナラの木を指さした。 高さ10メートルほどのところに生えている枝に、枯れた枝の束が引っかかっている。クマがドングリを食べるため、よじ登った際にできた「クマ棚」だという。近くにクマが潜んでいないか。一瞬、緊張が走った。 今年は各地で市街地にクマが… この記事は有料記事です。残り2165文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国宝・重要文化財候補も眠っている? 皇居三の丸尚蔵館、活用めざす
皇室から国に寄贈された美術品や工芸品など約6100件、2万点を収蔵する「皇居三の丸尚蔵館」(東京都千代田区)が、管理運営を宮内庁から文化庁所管の独立行政法人に移し、今月、一部が新装開館した。収蔵品には、国宝や重要文化財に指定される可能性があるものも多く眠っているとみられ、文化庁は積極的な公開や活用を狙う。 「新たな皇居三の丸尚蔵館としてリスタートした。今までと違う尚蔵館を見ていただきたい」。今月2日にあった内覧会で、島谷弘幸館長(前九州国立博物館館長)はこう呼びかけた。 来年6月までの開館記念展では、歴史教科書でもおなじみの元寇(げんこう)を伝える絵巻「蒙古襲来(もうこしゅうらい)絵詞(えことば)」や伊藤若冲(じゃくちゅう)の「動植綵絵(さいえ)」をはじめ収蔵する国宝8件のうち6件などを4期に分けて展示。天皇や皇后が着用した装束など、皇室ゆかりの品を紹介する記念展示も12月まで開催する。 尚蔵館は宮内庁の施設として1993年に開館した。宮家からの寄贈や遺贈によって収蔵品が年々増え、床や棚の上にも置くなど、収蔵スペースが不足。来館者の過密状態も問題視された。2018年、宮内庁の有識者会議が、スペースの確保や情報発信の強化などを提言。19年から新装工事が始まり、21年から一時休館していた。 今年10月、管理運営が文化… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元タカラジェンヌとGⅠ馬との出会い 行き先ない競走馬に安住の地を
ファンの夢を乗せて走る競走馬。引退後、セカンドキャリアを歩めるのは一握りで、行方がわからなくなる馬も多い。息子とともに引受先のない引退馬を預かる牧場を立ち上げた元タカラジェンヌの岩崎美由紀さんに思いを聞いた。 ◇ ――競馬に携わるようになった経緯を教えてください。 「夫が亡くなり、2015年に夫が経営していた競走馬の牧場を引き継ぎました。もともとは、競走馬の生産と育成をしていたのですが、経営状況がとても厳しくて、生産一本に絞って再出発しました」 「それまでは、牧場に行っても馬たちにニンジンをあげるくらいで、競馬のことは全然知りませんでした。だから、経営を始めた頃はわからないことばかりでした」 ――馬には興味があったのですか。 「もともと大好きでした。子どもの頃から写生で馬の絵を描いたり、引き馬に乗ったり。息子に乗馬もさせていました。あんなに大きな動物ですが、目に通じ合うものがあって、癒やされますよね」 ――生産者として馬と一緒に過ごすようになり苦労もあったのではないでしょうか。 「出産のときが一番気をつかいますね。すんなり生まれる子だけではなく、逆子でなかなか出てこられない子もいる。出産時に親子が亡くなってしまうという経験もしました。生まれても、初乳を飲んで1~2カ月は小さくて弱い。本当に手がかかるのですが、その半面、とてもいとおしいんですよね」 引退後、役目があるのは一握り ――ご自身のキャリアと重ね合わせる部分はありますか。 「私も宝塚歌劇団にいたとき、つらいこと、やらないといけないこと、色々ありました。でも、舞台に出て、お客様の拍手をもらったり、喜んでくださったりするとそういうものが全部すっとぶんですよね。競走馬も頑張って走って、みんなを喜ばせてきたんだと思うと同じだなと感じるところはあります」 ――現役を引退した馬について考えるようになったのはいつごろですか。 「息子も馬が大好きで、牧場の経営を始めた頃から『引退して行き先のない馬はどこに行くのだろう』とか『引退馬が暮らせる牧場ができたらいいね』と話していました。ここで生まれた子たちを見てなおさら、最後まで面倒をみたいという気持ちは強まりました。生産牧場の経営に少し余裕が出たあと、息子が引退馬のための養老部門を立ち上げました」 「競走馬の寿命は25~30年です。現役の競走馬でいられる期間は短い。引退後に競走馬の親となる種牡馬(しゅぼば)や繁殖牝馬(ひんば)になったり、乗馬に転用されたりするのはほんの一握りなんです」 ――役目を終えた馬を養うのは難しいのでしょうか。 「飼料も必要ですし、馬が寝起きする馬房も用意して、手入れもするとなると、やはり費用がかかる。預託料をもらうのならいいですが、自分たちだけで面倒をみるとなると、なかなか難しいです。周囲からは『割に合わないからやめたほうがいい』とか『馬は経済動物だから』と言われたこともあります」 まともに歩けず、唇からはよだれ きっかけの名馬 ――本格的に引退馬の牧場を始めたきっかけは。 「ローズキングダムという馬… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル