色鮮やかなイタリア野菜をフォークで口に運びながら、横に目をやると、見上げるような巨体がまわし姿でぶつかり合う――。そんな不思議な空間がこの時期だけ、福岡県久山町に現れる。 大相撲九州場所中の宿舎を町に構える湊部屋の稽古場だ。ガラス戸を隔てた隣は、地元でイタリア野菜を作る農家が営む朝食専門レストラン「キッキリッキー」。知らずに食事に来て驚く人もいるという。 家族で訪れた福津市の小学6年小川耕ノ介くん(12)は土俵を動きまわる力士のスピードに驚きながら、「おしゃれなお店のガラスの向こうにこんな世界があるなんて。不思議な境界線」。姉で中学3年のあかりさん(14)は「イタリアンと相撲って、新感覚。でも、案外合う。本場所も見に行きたい」と稽古に見入った。 部屋頭の諒兎馬(あきとば、24)は「最初は戸惑いました。でも、格好つけようと思って、気合が入ります」と笑う。 九州場所は19日で中日。まだしばらく、この光景を楽しめる。(岩田誠司) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
求む! 50歳以上の団員 新設シニア劇団、「もうひと華咲かせて」
「みんなでもうひと華 咲かせましょう」。新たに旗揚げする劇団が求めるキャスト・スタッフは50歳以上。シニア向けの劇団として、メンバーを決めるオーディションを12月2日に開催する。劇団の名前は「百花繚乱(りょうらん)」だ。 新たな劇団づくりは、前橋市の「劇団ザ・マルク・シアター」が呼びかけている。マルクを主宰する生方保光さん(63)によると、シニア向けの劇団の構想は10年ほど前からあった。一度演劇を離れた仲間が戻ってくる受け皿が県内にはなかったからだ。マルク結成40周年の節目を迎えて実現させることにしたという。 マルクは、1983年のあかぎ国体のスポーツ芸術部門の作品「上毛野の里」に参加した人たちが作った。「とにかく楽しかった」と生方さんは結成当初を振り返る。 群馬労働局の1年目で「毎日… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
創価学会の池田大作名誉会長が死去、95歳 教勢を飛躍的に伸ばす
創価学会の池田大作(いけだだいさく)名誉会長が15日夜、東京都内で老衰のため死去した。95歳だった。創価学会によると、近親者のみで家族葬を行った。お別れの会を別途開催するという。 1928年、東京生まれ。47年、戸田城聖(じょうせい)氏(創価学会2代会長)の指導を受け、日蓮正宗(しょうしゅう)の信徒団体だった創価学会に入会。戸田氏の病死から2年後の60年に第3代会長に就いた。会長在任の約20年間で、教勢を飛躍的に伸ばした。 75年からは国際機構「創価学会インタナショナル」(SGI)の会長を務めた。79年に創価学会の会長を退き、名誉会長に就任。その後も教団運営に大きな影響力を持ちつづけた。 創価大学、民主音楽協会、東京富士美術館、東洋哲学研究所などを創立。著書には、小説「人間革命」、対談集「21世紀への対話」などがある。 創価学会によると、「国連平和賞」「ブラジル南十字国家勲章」など諸外国の政府や国際機関から多数の賞を受け、多くの大学から名誉博士号を受けた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
色彩が消えた母は僧侶になった 「一発目があんたやで」息子に語った
「楽しんどいてや」 自宅を出る長男に声をかけた。 大学生になって初めての学園祭。翌朝になっても帰ってこなかったが、友達と一緒にいるんだろうな、と思っていた。 2009年11月2日。まだ早朝だった。 竹下暁代(あきよ)さん(54)=奈良県五條市=は、高校生だった次男の弁当を作り始めた。 携帯電話が鳴った。 「息子さんが心肺停止状態です」。救急隊からだった。 そこからの記憶は途切れ途切れだ。 搬送先の病院に駆けつけたが、最期の言葉も交わせなかった。 関西大1年だった康平さん。学園祭の打ち上げでボウリング場を出た後、同級生たちと車に乗り込んだ。その車が未明の大阪市内を走行中、道路脇の街灯に激突した。 あと4日で19歳の誕生日だった。 ひとり親家庭。ヨガインストラクターの仕事から帰ると、「お母ちゃん、食べてみい」。サプライズで、手作りの夕食が用意されていたこともあった。 近所の子どもにも、お年寄りにも優しくて。通夜で焼香してくれた人は、700人を数えた。 ◇ 「私の世界から色彩が失われてしまった」 心を覆う喪失感。逃れたくて、長い間、思いを巡らせた。 12年かかって、たどり着い… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原料・製法伝わってない古代の甘味料 特産の柿で甘さ再現し商品化
奈良時代の長屋王邸跡で出土した木簡や、平安時代の清少納言の随筆「枕草子」に登場する、古代の甘味料・甘葛煎(あまづらせん)。その独特の甘みを、奈良特産の柿の成分で再現した「甘葛シロップ」が商品化され、奈良市の店舗で販売が始まった。 甘葛煎は奈良時代には税として国に納められていた記録があり、各地で作られていたとみられるが、原料や製法はまったく伝わっていない。奈良女子大学の前川佳代・協力研究員らが、ツタ(ナツヅタ)の樹液を煮詰めて作られたらしいことを突き止め、2019年から「奈良あまづらせん再現プロジェクト」を立ち上げて、スイーツなどへの利用を探ってきた。 だが、最大の問題はその希少… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「京大にミスコン文化を持ち込むな」 卒業生のSNS投稿が議論呼ぶ
「京大にミスコン文化を持ち込むな」――。学園祭にミスコンがない京都大学の卒業生によるSNSへの投稿が議論を呼んでいる。京大の広報サイトが掲載した在学生のインタビュー記事で、外部のミスコンテストに参加した経歴を紹介したことについて、「ルッキズム」(外見至上主義)を助長しているという観点から批判したところ、賛否の反応が寄せられている。 京大広報サイトの記事が発端 投稿したのは、京大卒業生で教育学者の西郷南海子さん(36)。京大広報課が編集して10月25日にネット配信した記事「『ミス・ワールド・ジャパン』で2年連続、日本代表に! 女性リーダーの輩出を目指す京大院生の素顔に迫る!」についてX(旧ツイッター)に投稿した。 記事は、ミス・ワールドを「世界3大ミスコンテストのなかで最も歴史が古く、参加国数が多い」と紹介するところから始まる。その後、イギリスの大学院への留学経験や「グローバルリーダー」についての研究やミスコンの経験、今後のビジョンといった話が進む。 これに対し、西郷さんは京大広報課が記事でミスコンに触れたことを問題視する。京大の学園祭はミスコンをやらないということが長年の慣例で、「女性を見た目で序列化し、商品化することの問題です」と投稿で指摘。「ミスコンがあれば学祭がもっと盛り上がるのに、という意見があるそうですが、その考えこそが女性を見世物(みせもの)にしているのです」とも記した。大学に抗議の電話もしたという。 記事の後半では、西郷南海子さんに投稿した理由を改めてお聞きしたほか、京大広報課の見解を紹介しています。 一連の投稿には、5600件… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「退屈な記憶」エッセーに、離島育ちの書店員 ネット投稿で発掘され
ふるさとの離島で過ごした思い出と、書店員として過ごす現在の日常をリンクさせてつづったエッセーをネットにあげていたら、作家デビューにつながった。作者は「現実味がない」と語るが、自分の文章に読者が共感し、昔の記憶を思い出してくれることに喜びを感じている。 利尻島出身の工藤志昇(しのぶ)さん(35)は「三省堂書店札幌店」の書店員。 新型コロナの流行をきっかけに、エッセーを書き始めた。家の中にこもる時間が多くなり、暇を持て余していたからだ。 仕事中、ふとした瞬間に故郷の島の記憶がよみがえることがあった。 中学卒業まで生まれ育った利尻島は帰省でたまに帰るだけ。島を出てから過ごす時間のほうが長くなった。このまま子どものときの記憶を忘れてしまうのだろうか。 当時の「退屈な記憶」を形に残したくなった。 2021年ごろから、1カ月… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
荒れる尾瀬の登山道 木道以外後回しで…整備イベントやクラファンも
群馬、福島、新潟、栃木の4県に広がり、全国から観光客が集まる尾瀬国立公園で、登山道の整備が課題になっている。尾瀬の代表的な風景とも言える木道に資金が投じられる一方、日本百名山にも名を連ねる燧ケ岳(ひうちがたけ)(福島県)や至仏山(しぶつさん)(群馬県)などの登山道整備は後回しになりがちで、生態系への影響も心配されている。次世代に託すべき道のあり方を探りながら地元関係者らが動き出している。 10月下旬。早朝の冷え込みの中、尾瀬の玄関口・鳩待峠から角材を背負った人たちが至仏山への山道を登っていく。目指すは約3キロ先にある笠ケ岳(群馬県)との分岐点。環境省からの受託事業として地元の尾瀬ガイド協会が一般向けに2日間の日程で開いた初の登山道整備イベントだ。県内外から参加した約20人が標高差約460メートルを歩き、角材160本を運び上げた。 「この先はぬかるみがひどいので気をつけてください」。分岐に到着すると、講師の「大雪山・山守隊」代表理事、岡崎哲三さん(48)が声をかけた。北海道・大雪山を拠点に登山道整備を20年以上続ける「道直し」のプロだ。 ぬかるみが「踏み荒らし」に 分岐から笠ケ岳への登山道は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
誰かの「サンタさん」になりませんか? NPOが本の寄付を呼びかけ
家庭でクリスマスを楽しむことが難しい子どもたちに「サンタクロースからのプレゼント」を体験してほしいと、NPO法人「チャリティーサンタ」(東京都千代田区)が絵本を贈る「ブックサンタ」に取り組んでいる。今年も広く参加を呼びかけ、寄付を募る。 プロジェクトに参加する書店で子どもたちにプレゼントしたい絵本や文庫本、図鑑などを選んで購入し、「ブックサンタに」と店員に伝えて渡すと、クリスマス当日にその本が子どもたちに届く仕組みだ。 2017年に始め、昨年は779店舗が参加し、7万5813冊が集まった。7年目となる今年は参加店舗が全国1683店舗と昨年の2倍以上に増えたのに加え、オンライン書店での購入やクラウドファンディングでの寄付もできる。 チャリティーサンタでは他にも、クリスマスイブにサンタクロースが自宅を訪問したり、サンタクロースからの手紙を届けたりするプロジェクトを運営してきた。「子どものころ、サンタクロースにわくわくした大人は多いはず。どの本をプレゼントしようかと悩む時間も含め、『サンタクロース』になって子どもたちの夢をかなえてほしい」としている。 ブックサンタの受け付けはすでに始まっており、12月24日まで。参加店舗など詳しくは「チャリティーサンタ」のホームページで。(中井なつみ) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「何人殺した?」捜査員が問うと……韓国ドラマが描く弁護士立ち会い
「何人殺した?」 殺人未遂の疑いで逮捕された「マフィアの顧問」の男に対し、捜査員が問う。 男が口を開く前に、隣に座った弁護士の女性が割って入る。「証拠もなく連行したのは違法です」――。 韓国ドラマのヒット作「ヴィンチェンツォ」(2021年、スタジオドラゴン制作)の一場面だ。 エンタメで世界に打って出る韓国のドラマでは、取り調べに弁護士が立ち会うシーンが描かれることが珍しくない。 「もはや当然の手続きとして定着しているということ」。韓国の刑事訴訟法に詳しい安部祥太・関西学院大准教授は話す。 日本の法律がベースになったとされる韓国で、なぜそうなったのか。安部准教授に聞いた。 ◇ ――日本と韓国は法制度が近いと聞きます 1910年の日韓併合で日本が韓国を植民地化し、日本がフランスやドイツから採り入れた刑事訴訟法が韓国にも適用されました。 そして終戦後の韓国は米国の軍政下に入り、日本とほぼ同じ現行の英米法に変わった。だから条文も、仏独法と英米法のミックスという経緯も、とても似ています。 「おいこれ署名するか」「すんのかせんのか、こらぁ」。取調室に響く警察官の怒声。記事の末尾では、違法とされた日本の警察の取り調べの音声動画を紹介します。 日本にならった国で進んだ運用 きっかけは ――日本と制度的に近い韓国では、なぜ弁護士立ち会いの話が進んだのでしょうか まず民主化の過程を理解する必要があります。韓国では軍事政権が倒れて民主化する87年まで、刑事司法が乱用されていました。 日本の最高裁にあたる大法院で死刑判決が出てから18時間後に執行され、「司法殺人」と言われる事件もありました。 そういう歴史があるから、刑事司法を正そうという大きなモチベーションがありました。そして、民主化以前の法制度は日本にならったものでした。これを改めるということは、韓国独自の法制度を整えることを意味します。日本からも脱却し、民主化を真に達成することになる。だから韓国の人たちにとって、司法改革に重要な価値があり、それはいまも進行中のことなんです。 ――民主化の流れのなかで、国民や政治が動いたということでしょうか 直接のきっかけは、実は違い… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル