有料記事 板倉大地 榎本瑞希2023年5月8日 7時00分 「朝の時間は貴重なんだよ!」 通勤客らで混雑する北九州市の路線バス。ある運転手は、降車する客からこんな言葉を投げつけられた。 料金を支払うIC読み取り機に、わざと大きな音を立ててカードをたたき付ける客もいた。 こんなことが目立つようになったのは、2021年夏ごろからという。乗客がいら立つ理由を、運転手はこう考えている。 「バスをゆっくり走らせ過ぎているからだ」 「西鉄バス北九州」は、北九州市内で44の一般路線を運行する。21年夏に起きた死亡事故をきっかけに、バスを「ゆっくり」走らせる社内ルールを定めた。「たとえ制限速度が40キロ超の道路でも、原則40キロ以下で走行する」というものだ。 社内ルールとして、バスの運行速度を一律に定めているのは、全国でも珍しい。東京都営バスや近鉄バスといった大手バス事業者も「聞いたことがない」という。 北九州市内のバス路線はもと… この記事は有料記事です。残り822文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
転倒女性助け、つながる心と一歩 サッカー鈴鹿PGの若手選手2人
サッカー日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズ(PG)の若手選手2人が、三重県鈴鹿市内の路上で転倒してけがをした高齢者を助けた。それから、お礼の手紙が届くなど交流が続いている。昨季は不祥事が相次いだクラブだが、「信頼を取り戻す小さな一歩になれば」と関係者はいう。 鈴鹿市内で3月28日の午前中にあったクラブの練習後、今季加入したDF石川竣祐(しゅんすけ)選手(22)とMF小野寺亮太選手(23)は、車で帰宅する途中、市内の旧跡・加和良神社の近くを通りかかった。 そのとき、人が木の根につまずいて転び、顔を地面に打つのが見えた。救急車を呼ぶべきか――。車を止め、2人は慌てて「大丈夫ですか」と駆け寄った。転んだのは鈴鹿市江島本町に住む吉村早苗さん(70)。2人は吉村さんの友人らに頼まれ、約3・5キロ離れた吉村さんの自宅まで車で送り届けた。吉村さんは、あごと右腕にけがをした。 別れ際、名前をたずねる吉村さんに、2人は「鈴鹿PGの選手です」と自己紹介した。翌週、吉村さんはクラブの事務所を訪れ、お礼の手紙とお菓子を届けた。手紙には「感謝しています。ポイントゲッターズ頑張ってください。応援します」と書かれていた。 思いがけない形でサポーターになってくれた――。石川選手は「大学時代はコロナ禍でずっと無観客だったので、地元の人と直接ふれ合えたのがうれしい」と振り返る。 鈴鹿PGは、元日本代表FWで常に脚光を浴びる存在だった三浦知良選手(56)が今季開幕前に退団。今季は平均年齢25歳と若返ったチームで臨み、リーグ戦は3勝2敗2分けで、15チーム中5位(第7節終了時点)。小野寺選手は「ボールを支配して主導権を握る、目標の『JFLで一番面白いサッカー』に近づいている」と手応えを語る。 クラブでは、ピッチ外での信頼回復も急務になっている。昨季は八百長未遂や監督の暴力行為など不祥事が相次いで発覚。クラブ側の資金で市内に建設をめざしていたスタジアム計画も頓挫した。 信頼回復の途上で起きた選手による救助劇。2月に就任した渡辺淳社長は「こうした交流を通して一日でも早く信頼を取り戻し、地域とともに歩むクラブに生まれ変われれば」と話す。 4月下旬、石川、小野寺の両選手が、吉村さんの家族が経営する電器店を訪ねると、すっかり元気になった吉村さんがいた。そして、店内にはチームのポスターが貼られていた。 「もっと若い子だったら助けたかいがあったのにね」と吉村さんから冗談を言われ、はにかんだ2人。 石川選手は「ファンと選手の距離が近い鈴鹿でプレーできてよかった」。小野寺選手は「より多くの人に試合に来てもらい、喜びや悔しさなど様々な感情を共有したい」と話していた。(松原央) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
家事・育児、父の6割「もっとやりたい」けど… 参加阻む事情は?
家事・育児を「もっとやってほしい」母親は7割超で、もっと「参加したい」父親も6割超――。そんな現状が、東京都の調査で判明した。一見、望みは一致しているように見える。では、父親の育児参加を阻むものは何なのか。別の質問への回答から、様々な事情が浮かんできた。 都は4月末、子育て状況や生活実態を調べる2022年度の基礎調査「東京の子供と家庭」の結果(速報)を公表した。1984年度から5年ごとに実施しており、今回は子どもがいる6千世帯1万800人が対象。3013世帯5202人から回答を得た。 現状の家事・育児分担は、父母ともに「父2:母8」と答えた割合が最高だった。ただ、理想の分担を尋ねると、父の41・4%、母の35・8%が「自分5:配偶者5」と答えた。 家事・育児について、母の71・5%は「配偶者にもっとやってほしい」、父の63・2%が「もっとやりたい」と回答した。 父に「どうすればもっと参加できるか」(複数回答可)を尋ねると、「勤務時間を短縮できれば」が61・4%で最も高かった。母に「どうすればもっと参加してもらえるか」(同)聞くと、「配偶者自身の意識が変われば」との回答が52・0%で最高だった。「配偶者の勤務時間が短縮できれば」は46・3%。母側が父に、「意識の変化」も求めていることがうかがえる。 また、「子育てのために勤務… この記事は有料記事です。残り425文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
港区が「子育て送迎ルート」 子乗せ自転車用レーンや案内サイン設置
東京都港区は、区内の幼稚園や保育園に通じる道路を「子育て送迎ルート」と名付け、自転車やベビーカーが安全に通行できるよう整備に取りかかる。車道上に自転車の走行ゾーンなどを明示するとともに、子どもの送迎に利用される道路だということを知らせる独自の案内サインを設置する。こうした取り組みは23区で初めてという。 自転車の利用について、港区は区内を快適に行き来できるよう、2013年に「自転車利用環境整備方針」を策定。国道や都道に加え、区道の総延長約50キロメートルを「自転車ネットワーク」とし、自転車専用通行帯を整備したり、走行場所を明示する「自転車ナビマーク」を設けたりしてきた。 今回、改めて区が「子育て送迎ルート」として整備するのは、幼稚園や保育園などの子育て施設に通じる道路のうち、幅が狭いなどの理由で、自転車ネットワークから外れている道路。45カ所、計約12キロメートルが対象となる。 整備では、自転車は車道の左… この記事は有料記事です。残り286文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消印は1977年、15歳だった私の3千円がもたらした思わぬ宝物
「銀曜日のおとぎばなし」「小麦畑の三等星」などの漫画作品で知られる萩岩睦美さん(61)。 16歳だった1978年に集英社の漫画雑誌「りぼん」でデビューし、今年で画業45周年を迎える。 昨年末に大掃除をしていた時、色あせた茶色の現金書留封筒を発見した。 王貞治さんのサインなどと一緒に宝物箱に入れていたのに、いつの間にかなくなっていた封筒。 普段は開けない戸棚の奥、レターセットなどを入れたプラスチックのカゴの中にあった。 どうやら、結婚して実家から引っ越した際に紛れ込み、そのままになっていたようだ。 「えーっ、こんなとこに? なくしてなくてよかった!」 消印は1977年。数十年ぶりに親友と出会ったような喜びを感じた。 中に入っていたのは、伊藤博文の千円札3枚と明細書。 差出人は「東京都千代田区一… この記事は有料記事です。残り2184文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10年後、桜の下で 元野球少年がタイムカプセルで見つけたものは
【動画】10年前のタイムカプセルを開封した元野球少年たち=矢木隆晴撮影 まだソメイヨシノの花がつぼみだった3月中旬。かつて野球少年だった青年たちが「じいちゃんの桜」と呼ばれる、1本の桜の木の周りに集まった。 10年前、ある野球チームの小学生たちは自分あてのメッセージを書いて、その木の下にタイムカプセルを埋めた。10年後、大きくなったら桜の下で再会して、みんなでそれを開けようと約束した。 そして、約束の日はやってきたが、そこに「じいちゃん」の姿はなかった。 ◇ 大阪府南部に位置する日本最古のため池といわれる狭山池(大阪狭山市)。周囲には遊歩道が整備され、春にはユキヤナギや桜が見事に花を咲かせる。府立狭山池博物館が隣接し、歴史を伝えるとともに、地域の憩いの場となっている。 (桜ものがたり2018)「じいちゃんの桜 再会待つタイムカプセル」 私は2018年3月にこの桜について「じいちゃんの桜 再会待つタイムカプセル」として記事を書きました。10年後に開封するとなると今年にあたるのではと、冬ごろから気になっていました。するとある日、携帯電話に着信。じいちゃんの妻、悦子さんからでした。「お久しぶりです。3月にタイムカプセルを開封します」。私は狭山池を再訪することにしました。 「よし、いい球」「うまくな… この記事は有料記事です。残り2066文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
空の写真を毎日投稿、気象庁の「雲研究者」 事故遺族の思いも込めて
「雲や気象を楽しむことが、防災につながる」 荒木健太郎さん(38)は、「雲研究者」を名乗り、気象庁気象研究所の主任研究官として、雲や気象の研究を続けながら、防災意識を高める活動に力を入れてきた。 茨城県牛久市出身。著書の児童書「すごすぎる天気の図鑑」シリーズ(KADOKAWA)は、累計40万部を突破。2019年公開の映画「天気の子」では、雲の形や雨粒の動きなどの気象を監修した。 「でも、小さいころから空を… この記事は有料記事です。残り954文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
そば打ち最高位、高1が最年少合格 父と一緒に難関突破 豊後高田流
西日本有数のソバ産地として知られる大分県豊後高田市で4月22~23日、豊後高田流そば打ち段位認定会があり、最高位の4段に市内在住で中津南高校1年の安藤智彰さん(15)が合格した。4段では最年少の合格者で、父親の会社員正宏さん(52)とともに難関の実技試験を突破し、笑顔がはじけた。 段位は初段から4段まであり、認定会では段によって使うそば粉の量や制限時間、審査基準が異なる。初段は「家族に」、2段は「知人に」、3段は「お客に」振る舞える腕前とされ、4段は「達人と公言できる」レベル。4段は1・5キロの粉を40分以内で打ち、片付けまで終えることが求められ、今回は県内外から8人が挑んだ。 昨年の認定会では時間オーバーで苦杯をなめた智彰さん。場数を踏み、「工程の間の無駄な動きをなくす」ことを意識したという。小学4年のころ、豊後高田そば道場での親子そば打ち体験に参加したのがきっかけで、楽しさにはまった。今後も趣味でそば打ちを続け、各地のさかんな所の腕利きと知り合いたいという智彰さん。3回目の挑戦となった父の正宏さんは「子どもから『水が多いんじゃない?』とダメ出しされることもある。そば打ちで親子のコミュニケーションが深まります」と話した。 道場の師範で「そば打ち名人」として有名な高橋邦弘さん(78)=杵築市=が審査委員長を務め「水回しが勝負だと思う。ほんのわずかな1振り、2振りで違ってくる。これからも研鑽(けんさん)して下さい」と講評した。 認定会は2012年に始まり、4段は今回合格した6人を含め21人となった。(貞松慎二郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
5割超が高齢者の地で 震度6強の揺れと強い雨、避難指示に住民は
震度6強の揺れが襲った石川県珠洲(すず)市では6日から強い雨となった。地震で緩んだ地盤が崩れて土砂災害の危険があるとして市は同日、1630人に避難指示を出した。高齢者が多いへき地で住民はどう対応したのか。 能登半島の先端にある珠洲市は人口1万2795人(4月末時点)。65歳以上の割合が52・8%(昨年10月1日時点)と県内の自治体で最も高い。 市は6日午後5時すぎ、崖崩れや土石流が起きる恐れがある「土砂災害警戒区域」の約740世帯1630人に避難指示を発令した。だが、7日朝までに20カ所ある避難所を使ったのは最も多い時で計80人。地震で自宅が被害に遭った住民が多かったとみられる。 259世帯が対象の大谷地区で避難したのは2人だった。 「もっと指示が早ければね」。夫と2人暮らしの角和永さん(78)はそう振り返った。大雨で裏山の岩が崩れた経験があり、危険を感じたら徒歩5分ほどの避難所に逃げることにしている。 だが、避難指示は夕方で、家を出るのは夜になりそうだった。辺りに街灯は少なく懐中電灯が必要。出歩く方が危険と判断して避難を諦めた。 同じ地区の男性(71)も徒歩3分の避難所に向かわなかった。自宅のそばに斜面はあるが「角度もなだらか。今まで崩れると感じたことがない」。近くの40代女性は「地震が続いて慣れてしまった。避難指示と言われても、どれほどの人が従うのか」と話した。 一方、119世帯が対象の日置地区で、大野富美子さんは80代の母を連れて避難した。 自宅は山を削った土地にある。体調が悪い母は「自宅で過ごしたい」と訴えた。当初は「家に被害はないし、大丈夫かな」と思ったが、県外の親戚に「絶対に逃げた方がいい」と勧められ、避難を決めた。 市は防災無線などで避難指示を周知したが、戸別に働きかけたり、車で送迎したりはしていない。泉谷満寿裕(ますひろ)市長は6日の発令に際し、高齢者の避難は「隣近所や地域の皆さんにご協力いただけると思う」としていた。7日、避難者の少なさについて「(他人に)迷惑をかけたくないという遠慮がちな地域性があるのでは」と述べた。 災害時の避難に詳しい岐阜大の小山真紀准教授は「避難所以外に上階への移動といった安全確保策もある」と指摘。その上で、自宅がハザードマップ上で危ない場所にないかを把握し、土砂災害に備えた行動計画を作っておくといった点について、「平時から住民が認識するよう自治体などが促す必要がある」と話す。(小島弘之、岡純太郎、菅原普) 能登地方 8日午前まで雨 最大震度6強の地震があった石川県能登地方では7日午後7時までに、震度1以上の地震を78回観測した。気象庁は6日午後9時すぎ、同県珠洲市と能登町に大雨警報を出した。雨による目立った被害は確認されていないが、大きな揺れへの警戒とともに、土砂災害への注意を呼びかけている。 珠洲市は6日夕、約740世帯1630人に避難指示を出したが、7日午後には避難所を14カ所に減らした。今回の地震では珠洲市で1人が亡くなり、32人が負傷。能登町と富山県高岡市でも1人ずつが負傷している。気象庁によると、能登地方では8日午前中まで雨となる見通しだ。(樫村伸哉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京の上野で強盗、貴金属奪って逃走 周辺で似た事件相次ぐ
成沢解語2023年5月7日 22時23分 7日午後6時45分ごろ、東京都台東区上野5丁目の貴金属店の店員から「強盗に入られた」と110番通報があった。何者か1人がバールのようなものを持って押し入り、貴金属類数十点を奪って逃走。店員にけがはなかった。警視庁上野署は強盗事件として捜査を始めた。 署によると、押し入ったのは男とみられ、フルフェースのヘルメットを着用。無言でショーケースをバールのようなもので割り、持っていた袋に貴金属類を入れて1分弱で店外に出て、バイクで逃げたという。当時は午後7時の閉店準備で、店内には店員は1人しかいなかったという。 現場はJR御徒町駅の近く。付近では3月や4月にも似た手口の強盗事件があったという。(成沢解語) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル