滝口信之2023年3月10日 14時44分 東京電力福島第一原発事故をめぐり、避難指示の対象外だった福島県いわき市の住民1345人が、国と東電に約13億6千万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、仙台高裁(小林久起裁判長)は10日、国の責任を認めない判決を言い渡した。先行した同種訴訟で国の責任を否定した昨年6月の最高裁判決に沿う結果となった。 今回は、最高裁の判決後、下級審では初めての判決だった。東電に対しては賠償責任を認めた。 一審・福島地裁いわき支部判決は2021年3月、国と東電の責任を認め、約1500人に計約2億400万円の賠償を命じた。原告の住民と、被告の国・東電の双方が判決を不服として控訴していた。 国の責任をめぐる控訴審の争点は、02年に国が公表した地震予測「長期評価」などを踏まえ、①国は巨大津波を予見できたか(予見可能性)②予見可能性に基づき、国が東電に対策を取らせていれば事故は防げたか(結果回避可能性)――の2点だった。 原告側は22年11月の最終弁論で「経済産業相が02年以降に調査・検討していれば、東電に対して有効な対策を取るよう規制権限を行使し、事故の発生を防ぐことはできた」と主張した。 ただ、これに先立つ22年6月、最高裁第二小法廷は同じ争点の4件の集団訴訟について、「実際の地震・津波は想定よりはるかに大規模で、国が防潮堤を設置させても事故は防げなかった」と判断した。予見可能性については明確な判断を示さずに国の責任を否定し、事故の責任は東電だけが負うことになった。(滝口信之) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
親を亡くした2人、アプリで出会った奇跡 親になって気づいた悔しさ
東北一の繁華街、仙台・国分町で飲食関係の仕事をしていたころだった。 片岡祐太さん(23)は暇つぶしで始めたチャットアプリで、九州に住んでいるという女性のプロフィルに目をとめた。 好きなユーチューバーが一緒だったからだが、やりとりをしてみると、音楽から漫画まで、好きなものはどれも同じだった。 なにか縁があるような感じもして、1日に何時間も電話するようになった。 知り合って3日後の夜。 いつものように電話しながらお互いの家族構成の話になったとき、彼女が突然、泣き出した。 「父親は、中学生のときに亡くなったの」 聞けば、彼女は大分県で暮らしていた。 そして2017年に九州北部を襲った豪雨で、父を亡くしていた。 学校になじめず、父を失った悲しみもあって心が不安定なことも打ち明けられた。 電話越しに、祐太さんは驚いた。 「自分とまったく同じじゃないか」 泣きじゃくる彼女に、こう伝えた。 「俺も震災で母親を亡くしたし、学校ではうまくいかなかった。気持ちがすごくわかる」 気づくと、自分も泣いていた。 学校でいじめ、優しかった母の死、高校中退…出会いが変えたこと 祐太さんは、宮城県の南東部… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【あす祈りの日】東日本大震災12年 釜石沿岸で行方不明者の捜索
死者・行方不明者2万2212人の犠牲を出した東日本大震災から11日で12年を迎えます。あすは祈りの日であるとともに、東京電力福島第一原発の事故の影響で、福島ではふるさとへの帰還がなかなか進まない地域があることに改めて目を向ける日です。東北の被災地を中心に、前日の動きをタイムラインでお伝えします。 ■■■3月10日■■■ 14:10 原発事故、国の責任認めず 仙台高裁判決 東京電力福島第一原発事故をめぐり、避難指示の対象外だった福島県いわき市から自主避難をするなどした住民が、国と東電に約13億6千万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、仙台高裁(小林久起裁判長)は、国の責任を認めない判決を言い渡した。 午後2時10分ごろ、高裁から出てきた原告側の弁護人が「国の責任を認めない不当判決」と書かれた旗を掲げると、支援者らから「えー」などと落胆の声が上がった。 原告の根本一市さん(79)は「原発を造る時から国は関わったのだから、事故の責任は東電だけに負わすものではないはず。(判決が)今後、原発を動かすことや、新たに造ることにつながるのではないか。それが怖い」と話した。 先行した同種訴訟では、最高裁が昨年6月、国の責任を否定する判決を出している。今回はこの最高裁判決後、下級審では初めての判決だった。 12:15 福島で原発回帰反対の署名活動 福島市のJR福島駅近くで、岸田政権による「原発回帰」の撤回を求める署名活動が始まった。福島県労働組合総連合(県労連)などでつくる市民団体「ふくしま復興共同センター」の約15人が、原発推進は「福島県民の苦しみを踏みにじるもので許されない」などと訴えた。 マイクを握って訴えた二本松市の井上裕子さん(67)は、東京電力福島第一原発事故から12年がたつ今も県民の避難者が約2万7千人に上ることなどを挙げ、「政府の政策転換は、福島の事故を終わったかのようにするもので、あり得ない。新たな怒りがわく」と話した。 10:00 原子力規制委員長が訓示 東京電力福島第一原発の事故を受けて2012年に発足した原子力規制委員会では、山中伸介委員長が職員ら約50人を前に訓示した。「福島を決して忘れない。私のこの強い気持ちは一時たりとも揺らいだことはありません。原子力規制委員会、原子力規制庁は、事故の教訓と反省を決して忘れてはいけません」と語りかけた。 規制委は、原発の60年超運転を容認する新たな規制制度の方針を決めた。「規制に直接関わる皆さんには、科学的、技術的に判断し原子力の安全性向上に励んでいただきたい。あのような事故を二度と起こさないために、原子力に100%の安全はないということを肝に銘じながら、常に科学技術に基づいた判断をしてください」と話した。 また、震災当時、協力企業の従業員として福島第一原発で被災し、19年に規制庁に入庁して福島第一原子力規制事務所で働く高松宏志さん(50)が録画で登場し、処理水放出設備の設置工事の検査を進めていることなど現地の状況を報告。「設置工事が無事に完了しておしまい、ということではない。今後の運用もしっかり検査で見ていきたい」と話した。 09:55 岩手の釜石沿岸で行方不明者の捜索 岩手県釜石市の沿岸で、行方不明者の捜索が始まった。釜石海上保安部、釜石警察署、釜石大槌地区消防本部の計約70人が参加。警察官や消防署員が浜辺の捜索にあたり、海保の潜水士8人は水温8度の海中に潜った。 岩手県警に昨年入った坂本愛里さん(19)は、初めて捜索に参加した。大きな被害を受けた宮古市の出身で、親戚2人を亡くした。被災者の心のケアをする警察官にあこがれ、この仕事を選んだ。 「ご遺族には12年という年数は関係なく、家族が戻ってくるのを待っている。小さな手がかりでも届けられるように全力を尽くします」と話した。 岩手県内では、1100人が行方不明のままだ。 06:16 「学び、伝えていきたい」 卒業式の前、中学生たちが海で 仙台市若林区の荒浜で10日早朝、卒業式の前に思い出を作ろうと、中学生たちが集まっていた。毎年この時期には、授業で震災のことを学んでいる。「僕らにとって荒浜は身近で大切な場所。過去に何があったのか、これからも学んで伝えていきたい」 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
広島市南区の4階建てアパートで火災 住人9人搬送、うち1人が死亡
2023年3月10日 11時54分 10日午前5時ごろ、広島市南区上東雲町の鉄筋コンクリート4階建てアパートで「けむりが出ている」と近隣の住民から119番通報があった。県警広島南署によると、1階の1室が全焼。アパートに住む男女9人が病院に搬送されたが、このうち男性1人が死亡したという。 全焼した部屋に住む70代の男性と連絡がとれていないといい、署は遺体の身元や出火原因を調べている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女性登用なくして立ちゆかず 中小企業が「右腕人事」から脱するには
女性登用を促す女性活躍推進法は今のところ、従業員100人以下の中小企業は対象外。ところが女性管理職の比率は、データ上は企業規模が小さいほど高くなっています。「女性活躍推進」の実感は、企業規模が小さいほど少なくなるという調査もあります。一見相反する状況を、どう考えればいいのか。ものづくり企業が集積する大阪府東大阪市にある、近畿大学の松原光代・経営学部キャリア・マネジメント学科准教授に聞きました。 ――女性社長は、数としては大企業より中小企業の方が多い。まず、これをどう考えればいいのでしょう。 ファミリービジネスが多く、娘に継がせるケースも多いためです。息子がいれば息子を優先するのですが、いない場合は娘を経営者として育成し、「帝王学」を学ばせる。そうした育成を経ていなくても、「家族の一員だから」と就任するケースもある。トップや役員の女性比率が中小企業ほど高くなるのはそのためです。 ――管理職も同様に、企業規模が小さいほど女性比率が高いデータが出ています。帝国データバンクによると、女性管理職比率は2022年、中小企業が平均9.9%、うち小規模企業は同12.5%と、大企業の同6.8%より高いです。 女性が多い業種が小規模企業に多いため、管理職の女性比率も押し上げているというからくりがあるのだと思います。小売店や、美容院や医療福祉といったサービス業は、働き手に占める女性の割合が多い。看護師や介護福祉士、ケアマネジャー、塾講師といった職も同様です。その中から管理職に上がっていく結果、中小企業の女性管理職の比率が高くなっているわけです。 ――一方、建設業や製造業は女性の管理職比率が少ないですよね。 こうした業種で働く女性の数自体が少ないので、管理職や役員に女性が就くのもまれとなっています。 「舞いあがれ!」でも気になるキャリアアップ ――町工場をめぐって感じるのは、女性が少ないなあ、ということ。なぜこうなっているのでしょう? 中小の製造業の現場は仕事の… この記事は有料記事です。残り1517文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「本物の社長つれてきて」「お前どっち派?」女性社長が変えた町工場
およそ6千の町工場がある大阪府東大阪市。NHKの朝ドラ「舞いあがれ!」の舞台に、女性社長は数えるほどしかいない。 草場寛子さん(49)は「盛光SCM」という町工場の3代目社長である。プレス加工など高い加工技術を持ち、下請けだけでなく自社ブランドの照明器具も作っている。 家業は弟が継ぐものだと思って育った。それでも地元の町工場のおっちゃんたちを支える仕事がしたいと、簿記学校で勉強し、税理士事務所に入った。33歳で父の会社の経理を見るようになる。 ほどなくリーマン・ショックがやってきた。2008年秋。もともと良くなかった家業の業績はガタ落ちで大赤字。巨額の借入金をかかえた。2代目社長である父が、その連帯保証人になっていた。 草場さんは父に提案した。 「私と弟で再建できるようがんばる。見守ってくれへん?」 35歳で社長になる。ただし、あくまでも弟が力をつけて社長になるまでの中継ぎ、だった。 町工場には珍しい女性社長である。取引先から、面と向かってこう言われた。 「製造業の現場、知らんやろ。寛子ちゃんにはムリや」 〈寛子ちゃんはないやろ〉と… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Jean Faut, star pitcher in women’s baseball league, dies at 98
Jean Faut, who pitched two perfect games in a remarkable career with the South Bend (Indiana) Blue Sox of the All-American Girls Professional Baseball League, died on Feb. 28 in Rock Hill, South Carolina. She was 98. Her death, in a hospice, was confirmed by her son Kevin Winsch. Faut […]
東京大空襲の救済「終わっていない」 頭巾で訴え続ける83歳の思い
戦時中、米軍の空襲で、何十万もの人たちが犠牲になった。生き残っても、数えきれない数の人たちが手や足を失い、大やけどを負った。疎開していた子どもたちは親を失って孤児となり、過酷な戦後を生きてきた。だが、そんな空襲の被害者たちには戦後、1円も支払われていない。国の謝罪もない。「戦争被害者の救済は、まだ終わっていません」。1945年3月の東京大空襲から10日で78年。河合節子さん(83)=千葉市=は国会前で防空頭巾をかぶり、道ゆく人たちに国による補償を訴え続けている。 火の海に消えた母と2人の弟 東京大空襲があった日、この8日後に6歳になる河合さんは、茨城の親類宅に疎開していた。東京の方角が赤く染まっているのが見えた。その火の海で、母と幼い弟2人を失った。父は母らと一緒に逃げたが、大やけどを負い、耳や鼻、まぶたがとけ落ちたような状態になった。 現在の東京都江東区深川に暮らしていた両親と弟たち。逃げる際、父は抱いていた長男を落としてしまった。すぐに抱き上げようとしたが、姿がなかった。大きな火災による竜巻のような風にさらわれたらしい。後ろにいるはずの妻と次男も消えていた。 家族の命を守れなかったことを死ぬまで悔やみ続け、たびたび夢にうなされていた父の姿を、いまも思い出す。「本当に苦しかったと思います」。父の思いを振り返り、河合さんは声を詰まらせた。 「残された時間がありません」 国は戦後、軍人や軍に付き従… この記事は有料記事です。残り792文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地に流れる「残酷な天使のテーゼ」 選曲した町職員が残したもの
午前6時、宮城県南三陸町。防災無線から、オルゴールのゆったりしたチャイムが流れ出す。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」だ。 町内の建設会社で働く三浦ひろみさん(63)は、義父母の世話をしながら聞く。役場が流すには風変わりなせいか、時々、町外の人に訳を聞かれる。「作曲者が町出身」と答える。自身のいとこでもある。誇らしい。 選んだのは、夫の毅さん(震災当時51)だった。 防災無線から流れた夫の声 「避難してください!」 12年前のあの日、夫の緊迫した声が防災無線から流れた。町の危機管理課長補佐だった。防災対策庁舎2階で、部下と代わる代わるマイクを握り、避難を呼びかけた。その声に促され、逃げのびた町民は多い。 庁舎は、海岸線から500メ… この記事は有料記事です。残り1077文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「お湯替え年2回」大丸別荘を家宅捜索 福岡県警、虚偽報告容疑で
2023年3月10日 8時48分 福岡県筑紫野市の老舗旅館「大丸別荘」が、大浴場の湯の取り換えを年2回しかせず、県に虚偽報告をしていた問題で、県警は10日、公衆浴場法違反の疑いで大丸別荘の家宅捜索を始めた。 県などによると、大丸別荘は昨年8月、県保健所の調査に虚偽の管理簿を示し、湯の取り換えや塩素注入が適切だったと説明。だが実際は、週1回以上必要と定められた湯の取り換えは年2回のみで、殺菌用の塩素注入を怠っていた疑いがある。 大丸別荘の浴場では、同年11月の抜き打ち検査では、基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌を検出。県は今月8日に、前社長の山田真氏と法人の大丸別荘を公衆浴場法違反の疑いで県警に刑事告発していた。県の調査に虚偽報告をした場合、同法などで2万円以下の罰金が定められている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル