2023年2月22日 11時30分 全国で相次いだ強盗事件のうち、東京都狛江市の住宅で住人が殺害され高級腕時計などが奪われた事件で、警視庁が22日午前、いずれも埼玉県の野村広之容疑者(52)を強盗殺人容疑、福島聖悟容疑者(34)を強盗殺人幇助容疑でそれぞれ逮捕したことがわかった。警視庁は、他にも関わったメンバーや男らに指示を出した人物がいるとみて捜査を進める。 捜査関係者によると、2人は今年1月19日、ほかのメンバーらとともに狛江市の住宅に押し入り、住人の大塩衣与さん(90)を殺害した上で、住宅内から高級腕時計や指輪を奪った疑いなどがある。 現場付近の防犯カメラには、不審なレンタカー2台が確認されていた。このうち1台は事件翌日に東京都足立区内で見つかり、車内からは大塩さん宅から奪われた腕時計のほか、大塩さんのものとみられる血痕がついた手袋が見つかった。車内にあった携帯電話には、「キム・ヨンジュン」と名乗る人物から大塩さん宅の住所が送られた形跡や、強盗事件への参加をめぐるやりとりが残っていたという。 狛江市の事件をきっかけに、全国各地で同様の手口の事件が相次いでいた疑いが浮上。これまで他の事件で逮捕した容疑者の供述や押収した携帯電話の記録などから、「ルフィ」や「キム」と名乗る人物がフィリピンから指示を出していたことなどが明らかになった。関連するとみられる強盗や窃盗事件では六十数人が逮捕されている。 警視庁は今月、フィリピンの入管施設に収容されていた日本人4人の送還を受け、逮捕。4人は60億円以上の被害を出した特殊詐欺グループの幹部らだったとされている。警察当局は、強盗事件を指示していた「ルフィ」や「キム」が、この4人の中にいる可能性があるとみている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
釜石のシャッター街「にぎわいを再び」 鈴鹿の建築士が奮闘
「うわーん」 人通りのない商店街の、古い木造の建物から、赤ちゃんの泣き声が響いた。 岩手県釜石市の「仲見世通り」。ガラス戸を開けると、1階は子どもの遊び場、2階がテレワークのためのオフィスだった。 2階の床が一部外され、吹き抜けの階段になっていて、子どもの様子が分かる。パソコンの入力作業をしていた母親(43)は「安心して働けます」。子連れ出勤できる職場を作ろうと、東京の不動産情報サービス会社が昨年11月、開設した。 ボランティアで被災地へ 建物のオーナーで改装を手がけたのは、三重県鈴鹿市の建築士、宮崎達也さん(51)。東日本大震災をきっかけに、この12年、鈴鹿と釜石を行き来している。 今は月のうち3週間は釜石、1週間は鈴鹿で暮らす。人通りが消えたシャッター街を「にぎわいのある通りにしたい」と言う。 宮崎さんは、父の代から鈴鹿市で建築設計事務所を営む。2011年3月末、青年会議所のボランティアで釜石市に入り、惨状を目にした。設計の腕を生かして支援しようと決意。12年4月、アパートを借り、地元の設計事務所の下請けに入って、岩手県宮古市の復興住宅や同県大槌町の保育園の設計などに携わった。 従業員3人の鈴鹿市の事務所も維持し、相互に遠隔で仕事をこなせるようにした。 復興の活動で、大勢の支援者と知り合った。情報産業や証券会社のビジネスパーソン、大学教授ら、普段出会わない人たちと議論し、刺激を受けた。誘われて劇団にも参加し、出演するまでに。 人生を変える出会いもあった。全国紙の記者を辞めて移住してきた、8歳年下の女性と結婚した。 そして数年前から、商店街再生の活動に取り組んでいる。古民家に目を向けたのは、津波被災地域に支援が集中しがちな復興のあり方への疑問からだ。 当時、「仲見世通り」の約20店はほぼすべて閉店していた。 客数、30年で10分の1に 釜石市によると、近くの観光… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
難聴の11歳女児が事故死 両親「健常者と同じ賠償を」 27日判決
有料記事 丘文奈 安井健悟 北沢拓也2023年2月22日 11時30分 聴覚支援学校に通う女児(当時11)が2018年、大阪市生野区で重機にはねられて死亡した事故で、将来得られたはずの「逸失利益」をどう算定するかが争われた訴訟の判決が27日、大阪地裁である。 裁判実務では、障害がある場合、低く算定される傾向がある。原告側は「健常者と同様にすべきだ」と訴えている。被告側は、障害などを考慮し、算定すべきだと反論している。 亡くなったのは井出安優香(… この記事は有料記事です。残り1473文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
11票差で当選の村長、住んでいない親族らが投票か 「覚えがない」
2021年7月の山梨県道志村長選で、住んでいる実態がないのに村に転入届を出して投票したとして、県警は21日、長田富也村長(80)の親族ら6人を公職選挙法違反(詐偽投票、詐偽登録)と電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。 6人はいずれも「村長を当選させたかった」などと述べ、容疑を認めているという。 捜査関係者によると、親族と支援者の4人は21年3月、東京都内や都留市に住んでいたにもかかわらず、長田氏に投票するために虚偽の転入届を提出し、選挙権を得て投票した疑いがある。 別の2人は村内に住んでいたが、自らの親族2人に虚偽の転入届の提出と投票を依頼した疑いが持たれている。 公選法によると、地方選挙で選挙権を持つのは、日本国籍がある18歳以上の人で、その区域内に住所が引き続き3カ月以上あることと規定されている。選挙権を得るために虚偽の届け出をし、選挙権を得た場合は詐偽登録、実際に投票すれば詐偽投票の罪に問われる。 長田氏は21日、記者団の取材に「覚えのない話。関与していない」と答えた。 長田富也村長は取材に応じましたが、「覚えのない話」と関与を否定しています。記事後半では一問一答を紹介します。 前回選挙は11票差で当選 容疑者らが転入届を出したの… この記事は有料記事です。残り811文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「全部自分のせい」2児を夏の車内に2時間半 放置死させた母の後悔
「ちょっとだけ待っててね」と言うと、当時2歳の長女は「うん」と返事をし、1歳の長男はニコッと笑った――。 神奈川県厚木市で昨夏、姉弟が車内で熱中症になり亡くなった事件で、保護責任者遺棄致死罪で起訴された母親の長沢麗奈被告(22)が書面による取材に応じ、事件直前の様子を証言した。 収入を増やそうと就職活動中だった 被告は「全部自分のせいです」とし、2月末に始まる裁判員裁判で起訴内容を認めるという。 起訴状によると、長沢被告は昨年7月29日午後、駐車場の車内に2歳と1歳の姉弟を残したまま、知人宅を訪れ、2人を約2時間半放置。長男を熱中症の疑いで、長女を熱中症に伴う多臓器不全で死亡させたとされる。 長沢被告とその母親(54)によると、被告は高校卒業後、デイケア施設で週5回働いていた。2019年に地元の同級生と結婚し、翌年に長女姫梛(ひな)ちゃんを、翌々年に長男煌翔(こうが)ちゃんを出産。絶えず2人の顔をのぞき込み、かわいがっていた。 姫梛ちゃんは活発な「暴れん坊」。煌翔ちゃんは幼い頃の長沢被告に似てよく泣く子だったが、「なんでしゅか?」と声をかけると笑顔になったという。 長沢被告については、この事件の3週間前にも長男を車内に放置し、神奈川県警が被告にネグレクトの疑いがあるとして児童相談所に書面通告していました。2人が亡くなって半年以上が過ぎました。起訴勾留中の長沢被告が書面による取材に応じ、事件の詳細や死なせた2人の子どもたちへの心情を明かしました。 年子の育児に専念するなか… この記事は有料記事です。残り2129文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
半藤一利さんは墨子を勧めて旅立った 「戦禍の子ども」の声を聴く
記者コラム「多事奏論」 駒野剛 ずっと気になって仕方がない。ロシアがウクライナ侵攻を始めて1年、戦禍にさらされ続ける子どもたちのことである。 国連児童基金は昨年末、「ウクライナのほぼすべての700万人近くの子どもが電気、暖房、水を持続的に利用することができず、気温が下がり続け、冬が進む中でリスクが高まっている」と警鐘を鳴らした。 教育の機会は奪われロシアに連れて行かれた子もいる。最大の戦争被害者である。 先の大戦下、日本の子どもも戦禍にさらされた。先だって東京都調布市の半田たつ子さんから一通の手紙をいただいた。戦争末期、4人家族で一番年少の妹が学童疎開で強いられた悲惨な日々をつづっていた。 妹の児玉すみ子さんは194… この記事は有料記事です。残り1294文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
金沢市庁舎前の広場、使用不許可は「合憲」 最高裁「中立性」理由に
金沢市庁舎前の広場を護憲集会で使うことを市が不許可としたのは「集会の自由」を定めた憲法に違反するとして、市民団体が市に賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(長嶺安政裁判長)は21日、不許可を「合憲」とし、市民団体の上告を棄却する判決を言い渡した。庁舎管理権と集会の自由について最高裁が判断を示したのは初めて。市の賠償責任を認めなかった一、二審判決が確定した。 裁判官5人のうち4人の多数意見。行政法学者出身の宇賀克也裁判官は、不許可は違法だったとする反対意見を述べた。 市民団体は2017年5月3日に憲法施行70周年の集会を開こうと、広場の使用を申請した。だが、市は「集会は政治批判や問題提起を含み、市の中立性に疑念が生じるおそれがあり、庁舎管理の規則に反する」として不許可とした。 過去の最高裁判例は、市民会館や公園などの「公の施設」の利用を制限するには、人権や公共の安全が害される「明らかな危険性が具体的に予見される必要がある」としている。「集会の自由」の制限には、厳しいハードルが必要なためだ。 広場は「公の施設ではない」 しかし多数意見は、今回の広… この記事は有料記事です。残り583文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
強盗事件の容疑者、フィリピンから送還の男に270万円送金か
各地で相次いだ強盗事件の一つに関わった疑いのある男が、事件当時フィリピンにいた今村磨人(きよと)容疑者(38)名義の口座に約270万円を送金したとみられることが、捜査関係者への取材でわかった。この男には「ルフィ」を名乗る人物がフィリピンから指示していたとされている。一連の強盗事件と、フィリピンにいた人物との具体的な接点が明らかになった。 男は、東京都板橋区の宮沢優樹容疑者(22)。今月7日、昨年5月に京都市の腕時計買い取り販売店で高級腕時計41点(計約6900万円相当)が奪われる強盗事件に、実行犯らの男女5人と共謀した疑いで京都府警に逮捕された。実行犯らに現金を振り込む役割だったとみられるという。 捜査関係者によると、この強盗事件前後の昨年4~6月、宮沢容疑者は自身の口座などから、北海道内の銀行の「イマムラキヨト」名義の口座に複数回にわたって計約270万円を送金していた。捜査の結果、送金先の口座は今村容疑者本人のものとみられることがわかった。 宮沢容疑者は、通信アプリ「テレグラム」上でフィリピンにいる「ルフィ」を名乗る人物の指示を受け、強盗事件の発生前後に実行犯らに現金を振り込むなどしていたという。 今村容疑者は、フィリピンを拠点とする特殊詐欺グループの一員だったとして、グループ幹部ら3人とともにフィリピンから今月送還され、警視庁に逮捕された。グループでは、うその電話をかける「かけ子」らのまとめ役だったとされる。今村容疑者を含む4人は特殊詐欺事件に関与した疑いが明らかになっていたが、一連の強盗事件への具体的な接点はわかっていなかった。 一連の強盗事件では「ルフィ」や「キム」を名乗る人物が実行役に指示を出していたとされ、警察当局は今村容疑者ら4人の中に指示役がいるとみている。 北海道~兵庫でカード20枚詐取 「ルフィ」の指示で強盗事件… この記事は有料記事です。残り1154文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
農水省「農業集落調査」継続へ 方法変更に「異論」残るも異例の決着
農林水産省は21日、5年に1度全国各地の農林業の実態を調べる「農林業センサス」について、次回2025年の調査方法の最終案をとりまとめた。有識者会議で了承された。センサスの一部である「農業集落調査」について当初は廃止案が示されたが、民間委託を増やすなど方法を変えて継続することになった。新たな方法にも反対意見が残るなか、異例の決着となった。 今後、総務省の承認を経て正式に決める。 農業集落調査は全国約14万ある集落全てを対象に、「寄り合い」の回数や議題などを調べる。政府統計のなかでも特に重要な基幹統計に位置づけられている。 調査方法を議論する有識者会… この記事は有料記事です。残り625文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「物言えば唇寒し」でよいのか…松井市長批判し訓告の元校長が申立書
コロナ禍の教育施策をめぐり、批判的な提言書を松井一郎大阪市長らに送って文書訓告を受けた元市立小学校長の久保敬さん(61)が21日、訓告は不当だとして大阪弁護士会に人権侵害救済を申し立てた。市教委は訓告を「妥当」とするが、教育行政の専門家からは、教育現場への悪影響を案じる声もあがっている。 申立書では「処分を受けた校長として社会に公表されたままで、傷つけられた人格を回復するために取り消しを求める」とし、「独自の意見を述べたという理由で処分を受けるのであれば、私個人の問題ではなく、すべての人に関わる人権侵害」だと主張した。 黙っていたら「息苦しい教育現場に」 申し立て後に市役所で会見した久保さんは「仕事をする中で感じたことを言うのは当たり前だと示さないと、ますます息苦しい教育現場になる」と訴えた。 久保さんは市立木川南小校長だった2021年5月、緊急事態宣言中の小中学校についてオンライン学習を基本とした市の判断を批判する提言を、松井市長と山本晋次教育長(当時)に郵送。通信環境の整備が不十分で現場は混乱を極めたと指摘し、「子どもの安全・安心も学ぶ権利も保障されない状況を作り出している」と改善を求めた。 市教委はこれに対して同年8月、「他校の状況等を斟酌(しんしゃく)することなく、独自の意見に基づき(混乱を極めたと)断じた」などとして地方公務員法上の信用失墜行為にあたると判断。久保さんを文書訓告にした。 救済申し立てを受けた弁護士会は調査し、人権侵害を認定すれば「警告」「勧告」などを出して是正を求めるが、法的拘束力はない。市教委の担当者は申し立てについて「文書訓告が妥当と判断した。取り消しの考えはない」と話した。 大阪公立大の辻野けんま准教授(教育経営学)は、申し立てに添えて提出した意見書で「意見を表明した校長が訓告に処されたことは著しく正当性を欠き、このことこそが教育行政への信頼を失墜させているのでは」とした。 「子どもの将来も社会の将来も心配」 教育行政の専門家は文書訓告をどう見ているか。 久保さんは当時、オンライン学習をめぐって市教委の担当者ともやりとりし、市の窓口にも実名で意見を寄せたが、状況が変わらないために提言書を出したという。愛知県犬山市の教育委員も務めた日本教育政策学会長の中嶋哲彦・名古屋大名誉教授は「保護者や市民から見れば、学校の実態を校長の提言書で知らされた。信用失墜行為でなく、むしろ公務員として住民サービスに努めたと言えるのではないか」という。「今回の訓告は、聞いたことがない対応だ。『もの言えば唇寒し』となれば、教員からの声が上がりにくくなる。それを見て育つ子どもたちの将来も、社会の将来も心配だ」と話した。(宮崎亮) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル