有料記事 保坂知晃 本井宏人2023年2月15日 21時00分 岐阜県御嵩町の渡辺公夫町長は15日の町議会新庁舎等建設特別委員会で、庁舎の移転事業に必要な農地転用について県への許可申請を取り下げると表明した。県は農地転用の要件として、庁舎の位置を変える条例制定が必要としているが、町議会の同意が得られていない。これまで国の補助金も含めて約6億5千万円(昨年9月時点)がすでに投じられている。 町によると、事業費は約78億円。2012年に現庁舎の耐震性の問題が判明し、新庁舎計画が進められてきた。町は21年10月、移転先の予定地について農地法に基づき、知事に農地転用を申請。22年5月に新庁舎の実施設計を完了した。 地方自治法は、庁舎移転には出席議員の「3分の2以上」が同意(特別多数議決)して制定された条例が必要と定めている。町議11人のうち、4人が昨年8月に「新庁舎移転の白紙撤回を求める声明」を公表し、条例制定は見通せない状況となっていた。 県は、確実な庁舎移転の裏付けとなる条例制定が見込めないことから、今年に入って町の農地転用の申請を不許可とする意向を町に伝えた。 町は建設予定地の地権者の同意を得られれば、申請を取り下げる手続きに入る。(保坂知晃 本井宏人) 甘い見通しで支出 6億円無駄に? 岐阜県御嵩町の新庁舎建設計画が一時ストップすることになった。建築予定地の農地転用について県が許可しない方針のため、移転地を確保できないからだ。町は計画に反対する町議を説得すれば、許可が出るだろうという甘い見通しで約6億5千万円(昨年9月時点)を投入してきたが、血税が無駄になる可能性も出てきた。 15日の町議会新庁舎等建設… この記事は有料記事です。残り510文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多摩動物公園、鳥インフルの疑いで当面休園 カモ4羽から陽性反応
2023年2月15日 21時00分 東京都は、都立多摩動物公園(日野市)で飼育するツクシガモ4羽が鳥インフルエンザの簡易検査で陽性と判定されたと、14日に発表した。国立環境研究所(茨城県つくば市)で遺伝子検査をし、高病原性と判定された場合は、都内で飼育されている鳥類で初の事例になるという。 都によると、11、14の両日、園内のカモ池で飼育するツクシガモ3羽が死亡。同じ池にいた別の1羽も含めて簡易検査したところ、陽性だった。その後この1羽は安楽死させたという。池では同種のカモを含めて計6種31羽の鳥類を飼育していたが、他の鳥に異常は出ておらず、経過を観察するという。 同園は定休日を経た16日から休園し、再開時期は未定。また、上野動物園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園で、一部鳥類の展示中止や野鳥の監視などの対策を強化する。都内では2017年、18年の計2例、野鳥による発生事例があったが、飼育の鳥類で発生した事例はなかった。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
退院した子どもに優しさを 悩みや周りの接し方、子リスの絵本で描く
病気などからの退院後、学校への復帰や友達との再会を喜びながらも、元通りに動けないつらさを抱える。そんな子どもの悩ましさと、周りの優しい接し方で回復する様子を描いた絵本が出版された。2月15日の国際小児がんデーに合わせ、各地の病院に寄贈される。 絵本は「げんきになったよ こりすのリッキ」(偕成社)。かけっこが好きな男の子のリスが病気になり、つらい治療を乗り越えて退院する。ドキドキしながら学校に戻るが、治療で体が弱り尻尾の毛が抜けていて、以前のようにはいかない。それでも周りのサポートで少しずつ元気を取り戻す――という物語だ。 絵本が生まれたきっかけは、静岡県立こども病院(静岡市)の医学図書室で司書をしていた塚田薫代(しげよ)さんが「退院後の子どもたちの苦労が理解できる絵本がほしい」と編集者の千葉美香さんに話したこと。塚田さんは「厳しい治療を終え、やっと家に帰れると喜んだ後に、実は苦労が多いと知って衝撃でした。髪が抜けるなど容姿の変化でいじめられたり、勉強の遅れで自信をなくしたりという話を打ち明けられ、切なくて……。つらい思いをする子が減ってほしいと思い提案しました」と話す。絵本の最後に「アフターホスピタル、退院後の物語を知っていますか?」という一文も寄せた。 実際、退院後も体力やウイルスなどへの抵抗力が戻るには時間がかかるため、しばらくは短時間の登校になったり、体育を見学したりという子どもは多い。通院が必要で、後遺症があるなどの事情を周りの子が理解できず、本人もどう伝えたらよいか困惑し、いじめやからかい、孤立につながる場合もある。 文を書いた竹下文子さんによ… この記事は有料記事です。残り430文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「深刻ゆえに温かい」 さえない独身中年の漫画、被災地でヒット
独身中年の地方公務員のさえない日常を淡々と描いた漫画「みやこまちクロニクル」(リイド社)が、東日本大震災の被災地で話題になっている。作者は岩手県宮古市の元職員。実話に基づいているといい、被災、介護といった重い場面でも、ユーモラスな一瞬を切り取る作風が共感を呼んでいるようだ。 作者で同市出身のペンネームちほちほさん(51)は、子どもの頃から漫画家に憧れていた。岩手大卒業後、宮古市職員になり、仕事のかたわら、同人誌やWEBなどに描き続けた。うつ病で2017年に退職。20年、この作品でリイド社のトーチ漫画賞準大賞を受賞し、09年から22年までの作品を「震災―日常編」「コロナ禍―介護編」の2冊にまとめた。 徹底的に身の回りを描く。SFや不条理ものなど試行錯誤の末に行き着いたスタイルだ。スランプの時に自作を分析し、「結局、描いているのは自分だ」と気づき、開き直った。職場、病院、買い物、ドライブのとき、携帯で写真を撮りまくり、細かくメモを取り、写実にこだわった。 とはいえ、日常は変化に乏しい。行き詰まっていた時、震災が起きた。勤務中の激しい揺れに、「何か起きる」と直感した。真っ黒な津波が堤防を乗り越え、市役所に押し寄せてきた。連絡のつかない自宅の両親や、同県大槌町の姉一家の安否を心配した。その後は震災関連の業務に忙殺された。 「ネタができた」。一瞬、そう思った。 でもどう描けばいいのか。体験者だから描くというのは、傲慢(ごうまん)じゃないか。ずるくないか。自問し、悩んだ。 同級生や同業の先輩に促され… この記事は有料記事です。残り529文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
5歳児餓死、「ママ友」改めて無罪主張 「母親証言は信用できない」
中山直樹2023年2月15日 17時00分 福岡県篠栗町で2020年4月、碇(いかり)翔士郎ちゃん(当時5)を餓死させたとして保護責任者遺棄致死罪などに問われ、一審の福岡地裁で懲役15年の判決を受けた、母親の「ママ友」赤堀恵美子被告(49)の控訴審初公判が15日、福岡高裁(市川太志裁判長)であった。弁護側は一審に続き無罪を主張、検察は控訴棄却を求め、結審した。判決は3月9日。 一審判決によると、赤堀被告は翔士郎ちゃんの母親・碇利恵受刑者(41)=同罪で懲役5年の判決が確定=の生活全般を支配する中で、翔士郎ちゃんの食事量を減らすように指示し、餓死させた。 弁護側はこの日、「赤堀被告からの指示に全て従ってしまった」と訴えた碇受刑者の証言が認められた一審判決について「信用性に問題がある」と訴えた。さらに、「仮に有罪だったとしても、主な養育者だった碇受刑者との均衡が取れていない」と、量刑不当を訴えた。(中山直樹) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「オールみやざき営業課」看板下ろす 東国原色の名残消える宮崎県庁
大野博2023年2月15日 13時37分 宮崎県は新年度からの組織改正で、商工観光労働部の観光経済交流局にある「オールみやざき営業課」の業務を再編し、名称を「国際・経済交流課」に変える。この課は東国原英夫前知事時代の2008年に新設された「みやざきアピール課」が起源。県庁組織から「東国原色」の名残がなくなることになる。 みやざきアピール課は東国原知事就任翌年の08年4月、「知事のトップセールスのサポートや県外へのPRを担当する課」として新設。河野知事1期目の13年に「オールみやざき営業課」と改名された。 河野知事は14日の定例記者会見で「海外の活力を取り込むことも必要だし、ウクライナから避難する方々の受け入れもある。国際関係がより重要視されるということを課の名前の上でも示した」と説明。「宮崎をアピールするだとか、オールみやざきでやっていくべきだという取り組み姿勢には変わりはない」とした。 昨年12月の知事選で東国原氏と激戦を繰り広げたが、「ほかの施策も含め、東国原県政の発展的継承ということにしている。(東国原県政)当時の4年間を消そうというような姿勢で行っているつもりはありません」と強調した。 県の担当者によると、今回の組織改正について、河野知事から「効率的で分かりやすい組織にしてください」との一般的な指示はあったものの、「直接的な細かい指示」はなかったという。(大野博) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山上被告の大阪への移送を不服とする準抗告、地裁が棄却 安倍氏銃撃
渡辺七海2023年2月15日 13時48分 安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人などの罪で起訴された山上徹也被告(42)の大阪拘置所への移送を不服とした弁護団の準抗告について、奈良地裁は15日、棄却する決定をした。弁護団は特別抗告を検討しているという。 弁護団の主任弁護人によると、棄却理由は「同拘置所であれば警備体制のための十分な人員や施設を確保できる」というもの。弁護団は「接見も容易でなくなり、弁護活動に支障を来す」として、奈良拘置支所で勾留すべきだと訴えていた。 銃撃事件をめぐる捜査は、奈良県警が13日に全ての送検を終えた。奈良地検は14日、山上被告を奈良西署から大阪拘置所に移送。弁護団は同日、裁判長による移送の同意を取り消すよう準抗告を申し立てた。 山上被告については、奈良地検が追起訴するか判断した後、裁判員裁判で審理される見通し。(渡辺七海) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
50年前と女性をめぐる状況変わらない 少子化の原因は性別役割分担
有料記事 編集委員・秋山訓子2023年2月15日 14時00分 レナード・ショッパ(60)が家族とともに日本に来たのは1963年、彼が1歳の頃だった。父が宣教師だった。 66~73年に北海道江別市に住んだ。「家族は街で唯一の外国人。私は2年生まで地元の小学校に通いました。友達と毎日チョウやトンボを追い、学校給食でクジラの肉を食べました」 米国で大学を卒業した後、英語教師の助手として熊本県に赴任した。政治に関心があり、その後、英国オックスフォード大で政治学の博士号を取得した。 日本語ができたのに加え、8… この記事は有料記事です。残り1083文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「8ミリ映画小僧」大森一樹監督の作品を追悼上映 ゆかりの関西で
大阪府出身で昨年11月に70歳で急逝した大森一樹(かずき)監督の作品が3月、大阪の映画祭や映画館で相次いで追悼上映される。自主制作映画から大手会社の娯楽作品まで、「8ミリ映画小僧」だった大森監督が手がけた幅広い多彩な作品に触れられる。 エルセラーンホール(大阪市北区)で3月5日に開かれる「おおさかシネマフェスティバル2023」では、大森監督が自主制作した2作品のデジタルリマスター版を続けて上映。追悼トークショーもある。 このうち「暗くなるまで待てない!」は、大森監督が京都府立医大に在学していた1975年、映画好きが縁で知り合った学外の仲間らと、「8ミリ映画づくり」を題材に撮った作品だ。 シネマフェスの実行委員長で映画評論家の高橋聰(さとし)さん(76)=大阪市=は当時、撮影を担当した。そもそもこのシネマフェスは、大森監督らと「映画ファンのための映画まつりを」と70年代に始めたもの。 「今回もあいさつを」と昨秋電話をし、快諾を受けてから間もない悲報だった。高橋さんは「一緒に映画を撮っていて楽しかった。自分の好きなことをやりながらも仲間を引っ張る力があった」と振り返る。 もう1作品は「明るくなるま… この記事は有料記事です。残り665文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
父が危篤でも「仕事続けて」 自由がないセラピスト、女性たちの逆襲
職種:リラクゼーションスタッフ 給料:完全歩合制 時間:実働8~10時間 保障給:日給6千円 未経験者歓迎 大阪府内に住むサチコさん(52)がインターネットで見た求人には、そんな内容が書かれていた。 リラクセーションサロンで施術を担う「ボディーケアセラピスト」。求人を出していた大阪府内の店は、私鉄の駅のそばにあり、自宅からは20分ほどで通いやすかった。 「これ、いいやん」 2年間セラピストの養成学校に通った後、技術が生かせる働き口を探していた。 面接を受けに行くと、働き方は「業務委託契約」で、健康保険などの社会保険は会社が負担しないと伝えられた。「そんなものか」と受け止め、2013年7月に契約を結んだ。 「委託契約書」と書かれた契約書には、「委託時間は1日8~10時間をめどとします」と記されていた。 ほかにも、こんな条項があった。 「委託契約者は、この契約および業務上の指揮命令を遵守(じゅんしゅ)する」 業務委託契約を結ぶということは、社員やアルバイトとしてではなく、フリーランス(個人事業主)として働くということだ。事業主として自己責任で働くかわりに広い裁量がある。会社の「指揮命令」を受けるのは、社員やバイトなど雇用契約の働き方だ。 しかし、このときはそんな知識はなかった。 契約のおかしさに気づいたのは、実際に働き始めた後だった。サチコさんらセラピストの証言から振り返る。 服装も、休み希望も自由にならない。そんな働き方に疑問を持った女性たちは、自分たちで行動を起こします。4年近くに及んだ闘いで勝ち取ったものとは。 細かく指定 メイクは、爪の長さは… 一日の動きは、会社の指示に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル