東京都大田区には蒲田駅が二つある。 両駅を結ぶ通称「蒲蒲線」計画が、構想から40年を経て大きく動いた。 ただ、羽田空港へのアクセス向上を事業推進の最大の理由としながら、最終目的の「空港直通」には大きな障壁が残っている。今のところ、見通しは両駅の直結にとどまっている。(細沢礼輝) 「空港直通」には、線路の違いという問題が残っています。詳しくは記事後半で。 「長年の悲願である新空港線(蒲蒲線)実現に向け、会社設立は大きな前進だ」と昨年10月の記者会見で語ったのが同区の松原忠義区長。 蒲蒲線を建設・保有して鉄道事業者に貸し出す第三セクター「羽田エアポートライン株式会社」が同月に設立され、社名の披露とともに喜びを表現した。資本金2億9500万円は、区が61%、東急電鉄が39%を出資する。 二つの蒲田駅とは、東急多摩川線と池上線、JR京浜東北線が通る「蒲田駅」と「京急蒲田駅」。東西に約800メートル離れており、歩いて10分以上かかる。両駅を地下の新線で結び、羽田空港に向かう京急空港線と東急をつなぐ全長約4キロの構想が「蒲蒲線」だ。 区の基本構想に位置づけられたのは1982年までさかのぼる。事業採算性や空港線への接続方法が課題とされ、停滞してきた。 それが、外国人観光客の急増で羽田空港へのアクセス強化が重視されるようになり、2016年に国土交通省の交通政策審議会が「国際競争力の強化に資するプロジェクト」の8路線の一つに選んだ。 さらに、この答申で、計画が京急蒲田駅までの「第一期」と、同駅から空港線乗り入れまでの「第二期」に分割され、一気に具体化した。 昨年6月には、第一期の総事業費1360億円を国、三セク、地方(都と区)が3分の1ずつ負担し、地方分(約450億円)は「都3割、区7割」とすることで都と区が合意した。 羽田空港へのアクセスが向上する東急は「第一期整備を実現し、将来的な第二期整備実現に向けた弾みにしたい」と意気込む。 切り札あえなく頓挫 ただ、空港直通の前に立つ壁は高い。 東急と京急は線路幅が違い… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子牛の価格暴落、1頭たったの1100円…「三重苦」に悩む酪農家
熊本空港に隣接する熊本県家畜市場に、大人の腰までほどの大きさの子牛がひしめいていた。 セリ人の声が市場に響く。 「ホルス(タイン)の雄、1千円からです。1千円……」 「ほか、いないですか。1千円」 値段を引きあげる声は聞こえないまま、ひもで引かれてセリ場に出てきた子牛の値段が、10秒ほどで決まっていく。 酪農家たちは新型コロナ対策のためセリ場には入らず、出番をまつ牛たちの頭上にあるモニターでその様子を見守っていた。 「厳しかですよ」 熊本市で酪農を営む米野博明さん(72)は、ため息をついた。 子牛の価格が暴落している。 熊本県畜産農業協同組合によると、取材した12月のある日のセリでの値段は、乳用牛・ホルスタインの子牛の雄が1頭あたり平均4万5千円ほど。半年前は平均価格が10万円ほどだったから、半分ほどだ。 生育状況などによって値段も変わり、最低価格は税込みで1100円。体重70キロ台まで育った子牛が、わずかな価格で売られていった。 F1と呼ばれる、乳用牛と黒毛和牛の交雑種も、やはり下がっている。 酪農家にもよるが、子牛の販売は収入の2割ほどを占める貴重な収入源だった。 米野さんは「生乳が厳しいときでも子牛は高く売れて、それで生活しているようなところもあった」と話す。 子牛の購入意欲が低下? なぜ、子牛の値段がここまで下がったのか。 値段が下がっているのは、と… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海辺の凧揚げはどこかむなしい 遊びは思うままにならぬからこそ
毎年正月は須磨海岸で凧(たこ)揚げをしている。 海からの風が吹いているので、ぼんやり立っているだけで凧が勝手に上がっていくからラクなのだ。初めて体験した時にはこんなに簡単に上がるなんてと感動し、聖地を見つけたぞ、誰にも教えてなるものかと固く誓った。 しかし……。 海辺の凧揚げは不思議と盛り上がらない。いつも空に舞い上がった瞬間だけは気分が良いのだが、数分もすれば子は糸巻きを私に渡し他の遊びを始めてしまうし、私もまたパタパタ派手な音をたてて元気にはためく凧とは対照的に、どこかむなしさを感じている。 それでも年に一度のことだか… この記事は有料記事です。残り595文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 #KANSAI 近畿の魅力を再発見する新企画。社会・経済から文化・スポーツまで、地元愛あふれるコンテンツをお届けします。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高速道路、2115年まで有料へ 老朽化対策費を確保 遠のく無料化
古城博隆2023年1月15日 21時23分 高速道路の老朽化対策費を確保するため、国土交通省は、利用者からの料金の徴収期限を最長50年延長して2115年までとする方針を固めた。徴収した料金をトンネルや橋の更新や補修の費用にあてるが、無料開放の時期は大幅に遠のき、見通せなくなった。23日召集の通常国会に関連法案を提出する。 05年の道路公団民営化に伴い、政府は2050年までは料金を徴収して建設費を返済し、その後は無料開放する方針を掲げた。ただ、12年に中央道の笹子トンネルで天井板が崩落する死亡事故が発生。巨額の老朽化対策費を確保する必要が生じ、期限を2065年に延長した。その後も大規模な更新や補修が必要な箇所が次々と判明し、国交省の有識者会議が期限の再延長を求めていた。 料金の値上げや増税に比べて… 一定期間ごとに高速道路各社が事業計画をつくり、更新・補修費用を料金で返済できるかなどを国交省が審査しながら進める方針。同省幹部によると、老朽化対策費の確保をめぐっては、料金の値上げや増税も選択肢になり得るが、「道路を長く使うための投資は、将来世代を含めた受益者で負担するのが妥当」と判断した。ただ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、国内の人口は2065年に約8800万人、2115年に約5千万人に減少。交通量も減少が見込まれ、徴収期間も長期化せざるを得ないという。 一方、国交省は徴収する料金は、老朽化対策のほか、暫定的に2車線で整備した路線の4車線化など新たな投資にも回す方針だ。(古城博隆) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
共通テスト数学、2人が定規を使用か 全教科・科目の成績無効に
桑原紀彦2023年1月15日 21時46分 大学入試センターは15日、同日に実施された大学入学共通テストの東京都と静岡県の2試験会場で、数学Ⅰ、数学Ⅰ・Aの試験時間中に定規を使ったとして、受験生2人の全教科・科目の成績を無効にしたと発表した。センターは、定規の使用を不正行為と規定している。 発表によると、2人とも定規を使って線を引いているところを監督者が発見した。静岡の受験生は使用を認めたが、東京の受験生は否定しているという。センターは不正行為として、試験時間中の定規、コンパス、電卓、そろばんなどの使用を挙げている。 センターによると、テストの1日目、2日目とも、試験時間中のスマートフォンやタブレット端末の使用は確認されなかった。昨年の共通テストでは、受験生がスマートフォンとイヤホンを使い、外部から解答を得ていた問題流出事件が起きている。(桑原紀彦) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
共通テストの化学と生物、今年も難易度高め? 昨年は平均点過去最低
上野創2023年1月15日 21時58分 大学入学共通テスト2日目の生物と化学。昨年、平均点が過去最低で、問題量の多さが指摘されていたが、今年は? 大手予備校の分析やSNSの反応を見ると、今年も読解力や分析力などが問われる問題が多く、難易度は低くはなかったようだ。 今年の生物について、代々木ゼミナールは「文章量の多い実験の説明や、長い文章の選択肢など、昨年に引き続き相応の読解力が必要な問題が随所にみられた」と講評。「選択肢が絞りやすく取り組みやすい問題があった一方で、読み取る文章が長く解答に時間を要する問題もみられた」と分析した。 化学について、河合塾は「全範囲からまんべんなく出題された。与えられた条件や図・グラフを正確に読み取り、計算も交えて分析する力を試す問題が多く、問題の情報と知識を組み合わせて判断する力が重視された」と解説した。 SNS上では受験生から「生物やばいわ」「化学が壊滅的」など、両教科が「難しかった」という感想がいくつも出ていた。 昨年の生物の平均点は48・81点と、前年より23点以上低く、化学も47・63点で前年より約10点低下した。 大学入試センターの外部評価分科会は昨年、生物と科学の両科目の問題の難易度を「ある程度適切」と評価したものの、生物については「個々の問題についての難易度は適当であったが、問題の文量が多すぎたため、思考する時間が十分に確保できなかったのではないかと懸念される」としていた。化学についても「一定数の受験者にとってすべての問題を時間内に解答することは難しい構成であった」とし、「他の科目と平均点に差があり、科目間の難易度の調整をお願いしたい」と注文も付けていた。(上野創) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
恋愛成就の願い ろうそくに込めて 岐阜・飛驒で「三寺まいり」
山下周平2023年1月15日 22時00分 恋愛成就を願う岐阜県飛驒市の伝統行事「三寺まいり」が15日、市中心部であった。季節外れの雨のなか、観光名所の瀬戸川沿いでは、晴れ着姿の女性が思いを込め、ろうそくに火をともしていた。行事は3年ぶりにコロナ禍前の規模で開催され、ろうそくのあかりが風情のある町並みを温かく照らした。 飛驒市古川町で200年以上続く行事。親鸞聖人をしのび、町内の三つの寺を詣でる。明治以降、長野県諏訪地方の製糸工場に奉公に出ていた女性たちが着飾ってお参りし、男性との出会いが生まれたことから縁結びの行事となった。(山下周平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
物理、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
物理 大問として原子分野からの出題がなくなり、代わりに波動分野からの出題となった。昨年に引き続き考察力を試す出題が目立った。 ―概評― まず、原子分野から出題された設問が小問集合の中の一つになったのが目を引く。また、実験および実験データの分析など、探究活動を意識したと思われる出題が目立った。さらに、第4問問1のガウスの法則は1990年以降、初の出題と思われる。 【大問数・設問数・解答数】 ・昨年と変わらず4。 ・昨年と変わらず20。 ・昨年から1増加して26。 【問題量】 ・問題記載ページは昨年の24ページから4ページ増えて28ページとなっている。読む分量も増えたので試験時間に対してやや多い印象である。 【出題分野・出題内容】 ・第1問は物理の複数分野(力学、熱、電磁気、原子)からの小問集合形式による出題。 ・第2問は抵抗力を受けて空気中を落下する物体の運動に関する仮説と、それを検証する実験についての考察問題。 ・第3問は音源が等速円運動する場合、および観測者が等速円運動する場合のドップラー効果に関する問題。 ・第4問は平行平板コンデンサーを含む回路に関して、電流の時間変化を表すグラフから帯電量および電気容量を考察させる問題。半減期に関する知識があると考えやすい。 【出題形式】 ・昨年と同様に大問をAとBに分けての異なる項目からの出題はなく、ひとつながりの問題で幅広い項目を扱っている。実験や数値計算など、探究活動を意識した出題といえる。しっかりした物理の実力がないと対応が難しいと思われる。 ―難易度(全体)― 難易度は昨年並み。実験に関して考察したり結果を解釈したりする問題が多く、考える力が試される共通テストらしい出題であった。小問集合中ではあったが、昨年に引き続き原子分野からの出題も見られた。 ―設問別分析― 第1問 ・小問1 力のモーメント 難易度:やや易 ・小問2 熱機関 難易度:やや易 ・小問3 運動量と力学的エネルギー 難易度:やや易 ・小問4 荷電粒子の運動 難易度:やや易 ・小問5 光電効果 難易度:やや易 昨年同様、小問集合であった。計算量もなく考えやすかった。問1は力のモーメントについての問題で、板にはたらく力のモーメントのつり合いを考えればよい(体重計の表示は板にはたらく力の反作用によるものである)。 問2は圧力と体積のグラフが与えられた熱機関に関する問題。熱力学の第1法則や気体のする仕事について定性的に理解できていればよい。 問3は、運動量や力学的エネルギーが保存するための条件が聞かれている。 問4は磁場中の荷電粒子の運動についての問題で、ローレンツ力の方向さえ誤らなければ直感的に回答することもできる(質量の大きい粒子は曲がりにくく、回転の半径は大きい)。 問5は光電効果の問題で、原子分野の知識が必要。内容は基礎的なので、油断することなく原子分野を学習していれば平易。 第2問 ・抵抗力を受けた物体の運動 難易度:標準 速度によって変化する抵抗力について考察する問題であった。問1は物体の運動と抵抗力について概観を把握するための問題であり、平易。 問2は与えられた数値から終端速度を計算する問題。20センチ落下するのに0.13秒かかったと考える。単位に注意。 問3は仮説と実験結果の齟齬(そご)について考察する問題。終端速度がアルミカップの枚数に比例するのなら、実験結果は原点を通る一つの直線上に乗るはずである。 問4は何が聞かれているか把握しづらいか。直前の会話文から何が聞かれているのかしっかりと読み取り、比例関係に着目したい。 問5はどうすれば抵抗力が求まるか考察する問題。加速度は、その物理的意味が理解できていれば、求めるための操作もおのずとわかってくる。抵抗力の大きさは運動方程式を用いればよい。 第3問 ・円運動・ドップラー効果 難易度:標準 円運動する音源や観測者を題材にしたドップラー効果の問題であった。問1は円運動についての力学的な問題。向心力は物体の速度と直交しているため仕事をしないことに注意。 問2は円運動している音源から聞こえる音について、ドップラー効果を起こさないのはどこで出た音か問われている。経験があった受験生も少なくないだろう。 問3は点Aで出た音の振動数と音源の速さを求める問題。他の設問と比べると少し計算量がある。 問4は音源ではなく観測者が円運動する場合を考える。この場合でも同様に、観測者の速度の音源に向かう方向の成分がドップラー効果に寄与する。 問5は、音源が円運動している場合と観測者が円運動している場合について正しい文章を選ぶ問題。静止した立場では音の速さが変化しないことがわかっていれば考えやすい。 第4問 ・コンデンサー 難易度:やや難 コンデンサーに関する総合的な出題であった。問1は平行平板コンデンサーの電気容量の公式を導く問題。真空の誘電率を用いた公式であれば覚えている受験生も多かったと思う。 問2はRC回路の問題。充電が終わり、スイッチを開いた直後のコンデンサーの電圧とオームの法則を考える。 問3は電流の時間変化のグラフから物理量を適切に読み取る問題。1ますの面積が1目盛り当たりの電流値と時間の積(電気量)に対応していることに気づきたい。 […]
被害男性の妻殺害容疑で再逮捕へ 手袋はめて襲ったか 埼玉3人死亡
埼玉県飯能市の住宅で昨年12月、親子3人が殺害された事件で、県警は、3人のうち男性1人への殺人未遂容疑で事件直後に逮捕した近くの無職、斎藤淳容疑者(40)=殺人容疑で送検=を、男性の妻への殺人容疑で16日に再逮捕する方針を固めた。斎藤容疑者は事件への関与を一貫して否定しているという。捜査関係者への取材でわかった。 また、現場の住宅から約60メートル離れた斎藤容疑者宅の捜索で、血の付いた手袋が発見されていたことも捜査関係者への取材でわかった。県警は、斎藤容疑者が事件当時、この手袋をはめていたとみている。 ■取り調べに容疑者は…… この記事は有料記事です。残り579文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地学、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
地学 問題数は減少したが、図表問題が全体の3分の2を占め、読解や考察問題の占める割合が大きくなった。 ―概評― 設問数と解答数がともに、総合問題と固体地球分野と大気・海洋分野が1題ずつ減少し、全体では3題の減少となった一方で、図表問題が3題増加したことで、問題量は昨年並みだった。計算問題は昨年並の分量で、正答は選びやすかった。 【大問数・設問数・解答数】 ・昨年と変わらず5。 ・昨年に比べ3減の27。 ・昨年に比べ3減の27。 【問題量】 ・下書き用紙を除いた全体の分量は昨年より1ページ増加した。 ・全体の文章量は昨年並みである。 ・全体の問題量は時間に対して適量である。 【出題分野・出題内容】 ・第1問は例年通り分野横断型の総合問題で、読図自体をテーマに全分野から出題された。 ・第2問は地球分野から地球表面の高度分布、地震波、海嶺(かいれい)、沈み込み帯について出題された。 ・第3問は固体地球と地質地史からの出題で、マグマ、地質断面図、人類の進化について出題された。 ・第4問は大気・海洋分野からの出題で、オゾン層の破壊、亜熱帯環流について出題された。 ・第5問は宇宙分野からの出題で、惑星と地球の運動、太陽と天体の運動、HR図について出題された。 【出題形式】 ・6択形式の問題が1題で、それ以外は4択問題だった。 ・全体の3分の2が図表問題で、高度な考察を要する読図問題も複数あった。 ・計算の分量は昨年並で、正確に計算すると複雑だが、正答を選びやすいように選択肢が工夫されていた。 ―難易度(全体)― 設問数と解答数は減少した一方で図表問題が増加し、考察を要する問題も多く、単純な知識問題が減少した。全体の難易度はやや難化したと思われる。 ―設問別分析― 第1問 ・二次元情報の三次元情報への変換 難易度:やや難 問1は東北地方の東西断面における太平洋プレート上面の深度分布を選ぶ問題で、海溝の位置は示されていないが、震源の深度分布の読図で正答できる。問2は薄片上の断面の形状と2方向に発達したへき開から、一般的な外形も鉱物名も正答できる。 問3は模式的な谷地形の地質図問題であり、南北断面図を描けるようにしよう。問4は気温分布が正しい温帯低気圧の東西断面図を選ぶ問題で、前線の南側が暖気で上空ほど低温な図を選べばよい。 問5はリゲルとアルニタクの遠近関係の読図が難しいが、破線に平行な等距離線を引けばよい。 第2問 ・小問A 地球表面の高度分布、地震波と震源距離 難易度:標準 ・小問B プレート境界の断層、火山前線、マグマの発生 難易度:易 Aの問1は地球表面の高度分布図に関する正誤の組み合わせ問題で、大陸棚を陸地に含めても海洋の面積を上回らないことは図1から読み取れる。問2は地震波形から震源距離の遠近を読図する問題で、地点AとCの初期微動継続時間の大小がやや読み取りにくい。 Bの問3は海嶺とトランスフォーム断層における断層の種類の読図問題、問4は日本列島の東西断面における火山噴出物の堆積(たいせき)分布と火山前線の位置関係を選ぶ問題、問5は中央海嶺と海溝付近におけるマグマのでき方を選ぶ知識問題で、いずれも基本的な知識さえあれば正答できる。 第3問 ・小問A マグマ混合・結晶分化作用・造岩鉱物 難易度:やや易 ・小問B 地質断面図と示準化石、褶曲(しゅうきょく)と断層の種類 難易度:やや易 ・小問C 人類の進化の時間スケール 難易度:標準 Aの問1と問2は安山岩質マグマがマグマ混合と結晶分化作用でできるときの鉱物と化学組成の変化を問う問題で、いずれも火成岩の造岩鉱物の知識から正答できる。 Bは地質の読図問題で、問3のデスモスチルスの歯の化石が産出した地層の候補は示準化石の知識と不整合による時代の隔たりから、問4は褶曲の向斜・背斜と断層の正逆についての知識から正答できる。 Cは人類の進化の時間スケールについての問題で、問5の読図問題ではホモ・サピエンスの出現時期についての知識も求められる。問6は新生代のできごとを選択肢から選べばよい。 第4問 ・小問A 成層圏、オゾン層の破壊 難易度:標準 ・小問B 亜熱帯環流、地衡流、海水の密度構造、西岸強化 難易度:やや難 Aのリード文はオゾンホールの形成に雲の発生が果たす役割について述べられており、問1は成層圏の名称を答える平易な問題で、問2は雲が発生する温度条件ではオゾン層の破壊が促進されると考えればよい。 Bのリード文では亜熱帯環流における海水面の高度分布について述べられており、問3は圧力傾度力の名称を答える平易な知識問題、問4は鉛直断面における海水の密度分布を選ぶ読図問題、問5は西岸強化についての知識問題である。問4は昨年の第4問Bと同様に、海面下におけるアイソスタシーの成立と海水の密度分布が題材となっている。 第5問 ・小問A 火星から見た惑星現象と年周視差と年周光行差 難易度:やや難 ・小問B 太陽活動、天球、天体の運動、HR図 難易度:標準 […]