東京電力福島第一原発事故をめぐり、国の原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)の和解案を東電が拒否し、手続きが打ち切られた福島県浪江町民ら696人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、原告全員と東電の双方が14日、福島地裁(小川理佳裁判長)で和解した。原告の弁護団が明らかにした。国への訴えは取り下げる。 弁護団によると、東電が原発事故について原告らに謝罪し、慰謝料を支払う内容で合意した。金額は非公表だが、2022年12月に国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が賠償額を追加した指針の帰還困難区域で130万円、居住制限区域と避難指示解除準備区域で280万円をそれぞれ上回るという。 記事の後半では、和解に至った経緯や原告の思いを紹介しています。また、東京電力が和解案を拒み続けた理由を編集委員が解説します。 原発事故で一時、全町避難を強いられた浪江町は13年5月、町民約1万6千人の代理人となり、東電の精神的慰謝料(月10万円)が不十分だとして原発ADRに和解の仲介を申し立てた。原発ADRは月5万円の増額を認める和解案を提示したが、東電が拒否。町民の一部が18年11月、国と東電に原告1人あたり1210万円の損害賠償を求めて提訴した。 この日は当初、判決期日が予定されていた。(滝口信之) 原告「闘う気力落ちた」 申し立て11年で900人死去 原子力損害賠償紛争解決セン… この記事は有料記事です。残り1492文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌高裁判決は「異性婚前提の考えと決別した」 早稲田大の棚村教授
憲法24条1項は「人と人との間の婚姻の自由」を定めており、同性婚をも保障する――。踏み込んだ判断を示した札幌高裁判決は、社会や政治にどんな影響を与えるか。早稲田大学の棚村政行教授(家族法)に聞きました。 札幌高裁判決は、憲法24条1項の婚姻の自由に同性婚も含まれると宣言した。しかも、国会に委ねるという消極的姿勢を示さず、全面的な違憲判断とした。同性婚を認められない当事者の甚大な不利益や人権侵害を深刻に受け止めている。 極めて画期的で、各地裁での一連の「違憲」「違憲状態」判決とは質が異なると言える。初の高裁レベルの判決でこうした積極的な判断が出た意義は大きい。 「異性婚前提」の思想との決別 同性婚を巡る憲法議論では、幸福追求権を定めた13条違反、法の下の平等を定めた14条違反といったアプローチがある。本判決は、正面から24条1項違反を判断したものだ。 婚姻に同性婚が含まれると論… この記事は有料記事です。残り659文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同性婚を認めない規定は「違憲」 札幌高裁判決 初めての高裁判断
同性婚を認めていない民法などの規定は憲法に違反するとして、北海道内の同性カップル3組が国を訴えた訴訟の控訴審判決が14日、札幌高裁(斎藤清文裁判長)であった。判決は、規定は「婚姻の自由」を定めた憲法24条1項などに反して「違憲」と判断し、同項は「同性婚をも保障すると解される」とした。 全国5地裁で6件起こされた同種訴訟で初の高裁判決。違憲判断は、札幌、名古屋地裁の判決に続き3件目で、24条1項違反と認めたのは初めて。 婚姻について、24条1項は「両性の合意のみに基づいて成立する」などと定める。24条2項では、婚姻や家族に関する法律を「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」としている。 判決は、1項は「両性」という文言だけでなく、目的も踏まえて解釈すべきだと指摘。「人と人との自由な結びつきとしての婚姻をも定めている」と述べ、同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障されているとした。 同性婚を認めない現行規定は、同性カップルに社会的な著しい不利益を及ぼすだけでなく、アイデンティティーの喪失感を抱くなど、「個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態になっている」と指摘。一方、同性婚を可能としたときの不利益はうかがえないとした。 その上で、世論が同性婚を容認する割合が高まり、自治体のパートナーシップ制度が婚姻の代わりになっていないことを踏まえ、現状は「国会の立法裁量の範囲を超え、憲法24条に違反する」と結論づけた。 「法の下の平等」を定めた憲法14条についても、異性カップルの婚姻は認めているのに、同性カップルには許さないのは「性的指向を理由とした合理性を欠く差別的取り扱い」であり、規定は14条に違反するとした。 ただ、国会が正当な理由なく長期間立法を怠ったとは言えないとして、賠償請求は棄却した。 幸福追求権を定める憲法13条については「人格権として、同性婚の自由を直ちに保障しているとはいえない」として、合憲だとした。 斎藤裁判長は「(同性婚の導入は)国民に意見の統一を求めることを意味しない。異性婚と同じ婚姻制度の適用を含め、早急な対応が望まれる」と異例の付言をした。 同日午前には、地裁で6件目となる東京地裁判決もあり、現行制度は憲法24条2項に反する「違憲状態」と判断した。(石垣明真) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
詐欺重ねた男から「償いとは何ですか」 大学教授に届いた9通の手紙
岐阜地裁で13日、知人から約2500万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた被告の男性(64)=岐阜市=が、懲役3年6カ月(求刑懲役4年)の判決を受けた。男性は昨年、事件での勾留中、読んだ新聞記事をきっかけに「償いとは何か」と大学教授に手紙を出した。「善と悪の心が戦っている」「生涯償っていく」――。心情や更生への思いをつづっていた。 判決によると、男性は2022年11月~23年10月、知人男性に「競馬の八百長レースがある」などとうそを言い、賭け金や手数料などの名目で11回にわたり、現金をだまし取った。 浜口紗織裁判官は「過去にも2回ほぼ同様の手口で詐欺を行い有罪となった」と指摘。「退職金のほとんどを詐取された被害者の怒りは大きいが、弁償の見込みはない」としたうえで、だまし取った金の半分以上を競輪に費やしたとして「酌量の余地はない」と述べた。 検察側の冒頭陳述や論告によると、男性は人材派遣会社を営んでいたが、7、8年前から無職だった。公判では「自分のような被害者が出ないように、少しでも長く刑務所に入れてもらいたい」との厳罰を望む被害者の声も紹介した。(高木文子) 人をだますとき、まず自分自身にウソをつく 「償いとは何ですか」 朝日大学法学部の大野正博教授(刑事法)のもとへ勾留中の男性から手紙が届いたのは、昨年12月初めのことだ。 大野氏は犯罪や非行をした人… この記事は有料記事です。残り1253文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
YKKAPなどに約5千万円賠償命じる 網戸のひもで死亡 大阪高裁
自宅で留守番をしていた女児(当時6)が網戸の開閉用のひもに首を引っかけて死亡する事故が2019年にあり、兵庫県内の遺族が住宅用品大手のYKKAP(東京)と、網戸を取り付けたリフォーム業者に約8千万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。大阪高裁で14日、控訴審判決があり、黒野功久裁判長は「事故防止のための安全対策が十分ではなかった」と判断し、YKKAPと業者に連帯して約5700万円を支払うよう命じた。 網戸は上下に開閉し、子ども… この記事は有料記事です。残り289文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【判決要旨】憲法24条は「人と人との間の婚姻の自由」 札幌高裁
同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反すると判断した14日の札幌高裁の判決要旨は以下の通り。 【憲法13条(幸福追求権)に違反するか】 性的指向は、生来備わる性向であり、社会的には異性愛者と同性愛者それぞれの取り扱いを変える本質的な理由がない。人が個人として尊重される基礎であり、人格権の一内容を構成し得るものだ。 しかし、性的指向や同性間の婚姻の自由にかかる人格権の内容は憲法上、一義的にとらえられるべきものではなく、法制度との関係で初めて具体的にとらえられる。 憲法24条は文言上、異性間の婚姻を定める。これに基づいて定められた各種の法令、社会の状況などを踏まえて検討すると、憲法13条が人格権として性的指向または同性婚の自由を保障しているとは直ちに言えない。本件規定が憲法13条に違反すると認めることはできない。 もっとも、性的指向及び同性間の婚姻の自由は重要な法的利益として、憲法24条における立法裁量の検討にあたって考慮すべき事項である。 【憲法24条(婚姻の自由や両性の本質的平等)に違反するか】 憲法24条1項は文言上、両… この記事は有料記事です。残り1349文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
民営になったので…スマスイ1300円→須磨シーは最大3700円に
小川聡仁2024年3月14日 17時00分 神戸市須磨区の「須磨海浜水族園」(スマスイ)から生まれ変わる「神戸須磨シーワールド」の開業日が6月1日と決まった。運営会社が12日、発表した。シャチのパフォーマンスなどが新たに楽しめるようになる。入園料はスマスイから大きく値上がりする。 運営会社の「グランビスタ ホテル&リゾート」(東京都)によると、目玉は西日本で唯一となるシャチの展示。シャチのパフォーマンスを楽しめるスタジアムや、シャチを見ながら食事できるレストランを整備する。 シャチが展示されているのは現在、国内では鴨川シーワールド(千葉県)と名古屋港水族館(名古屋市)のみという。スマスイ時代の飼育生物のうち、9割ほどの個体を継続飼育する。 須磨シーの入園料は、変動料金制を導入する。高校生以上2900円~3700円、中学生以下1700円~1800円、65歳以上2300円~3100円で、混雑が予想されるお盆期間が最も高くなる。 スマスイ時代の入園料は、大人1300円、中人(15~17歳)800円、小・中学生500円。 例えば大人2人と小学生2人が入園する場合、スマスイでは計3600円だったが、須磨シーでは最大1万1千円になる。 価格設定について、同社の広報担当者は「(市の指定管理者から)民営に変わり、行政の補助金がなくなったため」「シャチやイルカの展示・パフォーマンスなど、料金に見合うご満足いただける施設を予定している」と説明する。 同社によると、民間事業者による須磨シー整備事業の投資額は、周辺施設を含め370億円。 併設の「神戸須磨シーワールドホテル」も6月1日に開業する。今月13日から客室予約が始まった。(小川聡仁) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人事考課が働く人を追いつめる 会社に好都合な「強制された自発性」
有料記事 聞き手・田中聡子2024年3月14日 17時00分 会社勤めの人について回る人事考課。自分への評価に一喜一憂する人もいるかもしれません。労働研究者の熊沢誠さんは、日本企業は人事考課で労働者を追い詰めていると問題視します。労働者が奪われてきたものとは――。 仕事ではなく「人」の評価 人はどんな場でも他人より低く評価されると落ち込むものですが、会社の人事考課や査定は社員の生活の明暗を大きく左右するだけに、そのインパクトは欧米よりもはるかに深刻です。 欧米では査定の対象はエリート層に限られ、普通の労働者に個人査定はありませんが、日本企業の人事考課は社員の全階層に適用されます。もっと重要な日本の特徴は、評価項目の多面性です。職務の実績だけでなく潜在能力も評価され、「やる気があるか」など働く態度まで評価の眼目になります。「仕事の評価」というより「人の評価」ですね。だから低い査定は従業員には全人格的に低いランクの評価をされたと感じられ、打ちのめされるでしょう。 そうなるのは、日本企業が「… この記事は有料記事です。残り1853文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マルク・ミンコフスキ氏指揮、OEKのベートーベンチクルスが完結へ
小崎瑶太2024年3月14日 17時30分 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)は、15日に定期公演を石川県立音楽堂(金沢市)で開く。曲目は「第九」の名で知られるベートーベンの交響曲第9番「合唱付き」。指揮は、フランス出身で、フランス国立ボルドー歌劇場総監督兼音楽監督も務めていた、OEK桂冠指揮者のマルク・ミンコフスキ氏。同氏指揮によるベートーベンチクルスが、ついに完結する。 始まりは2021年7月。ベートーベンの交響曲を第1番から複数回に分けて演奏する「チクルス」と呼ばれる演奏会を始めた。しかし、新型コロナの感染拡大でミンコフスキ氏が来日できず、第8番を最後に同氏によるチクルスが中断していた。 13日、本番と同じホールで公開リハーサルがあり、ミンコフスキ氏の指揮に合わせ、オーケストラが音を響かせた。その前、同氏は会見を開き、「やっとできる。今この時期に演奏できることを誇りに思う」と喜びを語った。能登半島地震について、「衝撃だった。石川県に来るたび、美しい景色を見てきたが、このようなことが起こるとは信じられなかった」と語った。 「第九」は特に最終楽章が「歓喜の歌」として親しまれている。当時病に苦しみながらも光をさがしたベートーベンの思いが込められたこの曲。「平和と希望が込められている曲。本番が楽しみだ」と語る。 18日には東京・赤坂のサントリーホールで、ベートーベンの他の交響曲の演奏を予定している。 演奏会は午後6時開場、7時開演。SS席9千円、S席8千円、A席7千円、B席5千円、スターライト席3千円(いずれも税込み。25歳以下は、前日からの予約で半額)。問い合わせは音楽堂チケットボックス(076・232・8632)。(小崎瑶太) 【動画】マルク・ミンコフスキ氏指揮で「第九」のリハーサルをするオーケストラ・アンサンブル金沢=小崎瑶太撮影 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ガーシー被告に執行猶予付き判決 東京地裁 俳優らをネットで脅迫
ユーチューブ上で俳優ら4人を繰り返し脅迫したとして、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)などの罪に問われた前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)被告(52)に対し、東京地裁(佐伯恒治裁判長)は14日、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役4年)の判決を言い渡した。 起訴状によると、東谷被告は2022年2~8月、俳優と所属事務所の代表、デザイナー、実業家の4人を繰り返し脅迫。俳優には「明日暴露するネタはほんまに激震走ると思います」などと発言。デザイナーには「このブランドやめるまでたたこうと思ってます」などと言い、商品販売を終了させて業務も妨害したとされる。 さらに、俳優とデザイナーから告訴状が出されていると知った23年2月には、告訴を取り消させようと、ネット上で「裁判出てくるってことがどんだけタレントとして致命的か、よう考えて出てこいよお前」などと発言したとして、証人等威迫の罪にも問われていた。 参院選当選の末に「除名」処分 被告はアラブ首長国連邦(U… この記事は有料記事です。残り284文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル