東日本大震災の発生から11日で13年。大切な人を失った悲しみや郷里への思いを抱えながら祈りを捧げます。かけがえのない日常と「次」への備えについて考える、そんな一日に。各地の動きをタイムラインでお届けします。 ■■■3月10日■■■ 18:09 避難指示の一部解除から1年半、駅前でキャンドルナイト 福島県双葉町 東京電力福島第一原発事故で大きな被害を受け、約1年半前に町の一部で避難指示が解除された福島県双葉町で10日、犠牲者への追悼と復興への願いを込めた「ただいま、おかえり 双葉まちキャンドルナイト」があった。 会場となったJR双葉駅前には、町民や来場者がメッセージを書き込んだキャンドルなど約1千本が並んだ。福島市の小学3年生、北山咲良(さら)さん(8)は「またいっぱい人が集まれるようになったらいいなと思う。みんなで助け合う町になったらいいな」。震災当時、いわき市に住み、原発事故で会津地方に避難した経験を持つ母親の愛美(まなみ)さん(42)は「この子たちは震災を知らない世代。自分たちの経験を伝えて、悲惨な出来事を繰り返さないためにどうしたらいいか話していきたい」と話した。 18:00 この日で開館5年となった宮城県気仙沼市の震災遺構・伝承館で、翼のはえたハートをかたどったイルミネーションが点灯された。震災の日を示す「3・11」とともに、能登半島地震が発生した元日の「1・1」の文字も添えられた。 伝承館では約30人の中高生が語り部を務める。ハートは「防災や地域の発展への思いを翼で未来へ届ける」という気持ちを表現した。能登半島の被災地に寄り添う気持ちも込められている。 準備した気仙沼向洋高校2年の語り部、菅原怜志(れいじ)さん(17)は「明かりを見ながら遺構の伝える戒めや教訓を記憶に残してほしい」と話した。 17:00 「希望の灯火」、かつて街があった丘を照らす 宮城県岩沼市 宮城県岩沼市の「千年希望の丘」で、追悼行事「希望の灯火(あかり)」があった。かつて地域に住んでいた住民らによって灯籠(とうろう)に火がともされ、公園を照らした。 市は面積の48%が津波で浸水し、沿岸6地区が大きな被害を受けた。市は「千年先まで子どもたちが笑顔で幸せに暮らせるように」との願いを込め、跡地に緑豊かな公園を造った。震災で生じたがれきを基礎に活用し、津波避難にも使える丘を14カ所整備した。 この日は慰霊碑の周りに約530個の灯籠が並べられた。灯籠には「忘れない」「未来へ」などの文字が書かれていた。 行事の冒頭、参加者は能登半島地震の犠牲者に黙禱(もくとう)した。住民が移転した玉浦西地区の「まちづくり住民協議会」の森博会長(74)は「私たちの復興の取り組みが、能登の皆さんにいくばくかの光明のあかりになれば幸いです」と述べた。(根津弥) 15:15 サッカーJ2ベガルタ仙台は10日、本拠地のユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)で東日本大震災復興祈念試合に臨んだ。試合前には選手や観客ら全員で1分間、黙禱(もくとう)した。スタジアムには、1万3179人が来場し、今季のJ2ホーム開幕戦を勝利で飾った。 対戦相手は水戸ホーリーホック。前半は拮抗(きっこう)した展開が続く。迎えた後半、ホームの大声援を受け、MF郷家友太のパスに抜け出したMF相良竜之介が決勝ゴールを決め、1―0で勝利した。 14:46 「慣れ親しんだ場所だった」荒浜で手を合わせる 仙台市 仙台市若林区の荒浜で、村主香織さん(51)らが、午後2時46分の震災発生時刻に、海に向かって手を合わせていた。 趣味のサーフィンでよくこの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
好天に恵まれ「日本一早い」山開き 諸塚山で400人が山歩き楽しむ
森田博志2024年3月10日 19時00分 【動画】山開きのあった諸塚山の山頂から手を振る登山者たち=加久雅之撮影 山歩きシーズンの幕開けを告げる「諸塚山山開き」(宮崎県諸塚村、同村観光協会主催、朝日新聞社など共催)が10日あり、約400人が諸塚山(1342メートル)の山頂めざし、早春のハイキングを楽しんだ。 今年で39回目を迎えた山開きは、関係者が「これまでの中でも指折りの好天」と話す穏やかな晴れ間に恵まれた。午前9時半から登山口近くの飯干緑地広場で開山イベントがあり、今シーズンの登山者の安全を祈願。諸塚中3年生の綾こはるさんと上原南凪さんが「山を愛することで心身の鍛錬に励み、山のおきてを守ります」などの山の誓いを読み上げた。別々の高校に進む2人は卒業式を前に一緒に登山、「上りが急で滑ったが、楽しかった」と良い思い出にしていた。 「日本一早い」とうたう山開きを楽しみにする登山愛好家も多い。三股町から母と参加した長田小2年生の鳥井夢久さんは「霜柱をたくさん踏めた」と笑顔で話し、大人とかわらぬ健脚ぶりをみせていた。(森田博志) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「希望」を掲げた街、戻らなかった被災者 人口減時代の復興を考える
過疎の進む地域が災害に見舞われ、さらに活力を失う――。13年前の東日本大震災から復興に取り組む被災地が直面する課題だ。元日に起きた能登半島地震の被災地も少子高齢化が進む。被災者が暮らしを取り戻すのには何が大切なのか。 陸前高田 空き地目立つ中心部周辺 海沿いの「奇跡の一本松」から約1キロ。広大な空き地には、震災遺構となった3階建ての「米沢商会ビル」がぽつんと立つだけだ。かつての面影はない。 周囲より一段高い造成地に、真新しい大型商業施設やホール、博物館が立ち並ぶ。2011年の東日本大震災で最大17・6メートルの津波に襲われ、死者・行方不明者が計1761人にのぼった岩手県陸前高田市の中心部。「命を守るまち」をめざし、標高10メートル程度までかさ上げした。 だが、周囲には「貸地」や「売地」の看板が立ち、空き地ばかりが目立つ。 「震災前はみんな近くに住んでいたが、今は夜に歩いている人はほとんどいない。もっとにぎわいが戻ってくれたら」。大型商業施設近くですし店を営む阿部和明さん(70)は肩を落とす。自宅兼店舗は津波で流され、仮設商店街などを経て18年8月に今の場所で店を開いた。人が戻らず、早めに店を閉めることもある。 全世帯の半数にあたる約4千世帯が被害に遭った市が復興に掲げたのは「希望と夢と安心のもてる」計画だ。震災時を上回る「2万5千人台」を目標人口にした。 がれきとなった市街地を再整備するため、総額約1630億円をかけて、中心部約300ヘクタールの「土地区画整理事業」に取り組んだ。 だが、全国の地権者約3千人から同意を得るのに4年かかり、換地などを経て、事業が終わったのは2022年1月だ。 この間、住民は中心部から離… この記事は有料記事です。残り3572文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「奇跡の救出」自分の失敗伝えたい 災害時の行動、考えてほしいから
人前で13年前のことを話すようになってから、もうしばらく経つ。 「ああ、あの時の」という反応が、時々来る。 自分は有名なヒーローなんかじゃない。胸を張って語れることではないと、今も思っている。 それでも、伝える意味はある。 「僕の失敗を、皆さんには生かしてほしい」と。 阿部任(じん)さん(29)は東日本大震災当時、高校1年生。 3月11日は、現在93歳になる祖母と、宮城県石巻市の実家にいた。授業は休みで、昼過ぎまで寝坊をし、布団の中で携帯をいじっていた。 大きな地震が来た。 学校でずっと「宮城県沖地震… この記事は有料記事です。残り1733文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
震災と原発事故から13年、福島県双葉町で追悼と復興願うキャンドル
力丸祥子2024年3月10日 20時11分 東京電力福島第一原発事故による避難指示が約1年半前に一部で解除され、約100人が暮らす福島県双葉町で10日、犠牲者への追悼と復興への願いを込めたイベント「ただいま、おかえり 双葉まちキャンドルナイト」があった。 東日本大震災以来、支援活動を続ける一般社団法人「LOVE FOR NIPPON」が主催した。原発事故後、初めて町に人が住めるようになった2022年8月30日に開かれたイベントも支えた。 会場のJR双葉駅前には約1千本のキャンドルがともされた。キャンドルを入れるカップには「忘れない!あの日の事、涙した日々」や「双葉の明日に幸あれ」などのメッセージが添えられた。 避難先のいわき市から訪れた木幡千賀子さん(73)はカップに「ふるさと とわに あり」の文字と、解体した自宅からよく見えた山並みの絵を描いた。「双葉にいつでも帰ってこられるように、との願いを込めた」 郡山市に避難中の天野優紀さん(29)は「やっと人が町に集まれるようになってうれしいけれど、復興はまだまだ」と複雑な様子。母親は福島市、父親は双葉駅西側の町営住宅で暮らす。「事故がなければ双葉が帰る場所だった。自宅も取り壊し、地元に帰ってきたと思える家がない」と話した。 能登半島地震の被災地から招かれた石川県能登町の池田世志子さん(56)は自宅が被災し、中学校の体育館で避難生活を続けているという。「福島に来て、13年かかっても、少しずつ復興を進めることはできると前向きになれた。戻って能登の人たちに伝えたい」と話した。(力丸祥子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「海ごと揺れた」3.11 ホタテ漁師が見た「映画のような光景」
岩手県大船渡市小石浜でホタテの養殖漁師をする佐々木淳さん(53)は、東日本大震災発生時、沖に設置された養殖棚で作業をしていた。 当日は午前8時ごろ小石浜漁港を出港。貝につくホヤなどの雑物を手で取る作業をしていったん帰宅。昼食をとった後、午後1時に再度出航した。雪が舞い、とても寒い日だった。気温は零下だったと記憶している。小石浜漁港からは佐々木さんの船を含めて4隻が出航していた。海はうねりもほとんどなく穏やかだった。手をかけて育てたホタテの生育状況が良く、夏の出荷に向けて期待を膨らませていた。わくわくした気持ちが抑えられなかった。仕事は順調に進んでいた。 地震が起きた午後2時46分… この記事は有料記事です。残り695文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
J2ベガルタ仙台、東日本大震災の復興祈念試合で勝利
小山歩2024年3月10日 16時56分 サッカーJ2ベガルタ仙台は10日、本拠地のユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)で東日本大震災復興祈念試合に臨んだ。スタジアムには1万3179人が来場し、今季のJ2ホーム開幕戦を勝利で飾った。 試合前には選手や観客ら全員で1分間、黙禱(もくとう)した。 対戦相手は水戸ホーリーホック。前半は拮抗(きっこう)した展開が続く。迎えた後半、ホームの大声援を受け、MF郷家友太のパスに抜け出したMF相良竜之介が決勝ゴールを決め、1―0で勝利した。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】東日本大震災からあす13年 ベガルタ仙台がホームで勝利
東日本大震災の発生から11日で13年。大切な人を失った悲しみや郷里への思いを抱えながら祈りを捧げます。かけがえのない日常と「次」への備えについて考える、そんな一日に。各地の動きをタイムラインでお届けします。 ■■■3月10日■■■ 15:15 サッカーJ2ベガルタ仙台は10日、本拠地のユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)で東日本大震災復興祈念試合に臨んだ。試合前には選手や観客ら全員で1分間、黙禱(もくとう)した。スタジアムには、1万3179人が来場し、今季のJ2ホーム開幕戦を勝利で飾った。 対戦相手は水戸ホーリーホック。前半は拮抗(きっこう)した展開が続く。迎えた後半、ホームの大声援を受け、MF郷家友太のパスに抜け出したMF相良竜之介が決勝ゴールを決め、1―0で勝利した。 14:46 「慣れ親しんだ場所だった」荒浜で手を合わせる 仙台市 仙台市若林区の荒浜で、村主香織さん(51)らが、午後2時46分の震災発生時刻に、海に向かって手を合わせていた。 趣味のサーフィンでよくこの周辺の海に来るといい、毎年祈りに訪れている。「慣れ親しんだ場所が津波で一気になくなったことは忘れられない。海に関わっている限り、来年以降もずっと来ると思います」 13:30 ラグビー追悼試合、釜石シーウェイブスが得点 岩手・釜石市 ラグビー・リーグワンの釜石シーウェイブスの試合が、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで始まり、シーウェイブスが初得点をあげた。「東日本大震災復興祈念試合」と銘打ち、選手たちは被災地に勇気、元気を与えようと躍動した。 試合前には、スタジアム外周で、県立釜石高校の有志でつくる震災伝承グループ「夢団」が、各地から来た観戦客に語り部活動をした。 生徒たちには、震災の記憶がほとんどない。初めて語り部をした1年の森美恵(みさと)さんは「私が話していいのかと葛藤があったが、熱心に聞いてくれたので伝わったと思います」。 13:30 バスケB2の復興祈念試合始まる 試合前に追悼の大合唱 盛岡市 バスケットボールB2・岩手ビッグブルズの「東日本大震災復興祈念試合」が盛岡タカヤアリーナ(盛岡市)で始まった。対戦相手は、青森ワッツ。ブルズの水野哲志社長によると、選手や社員は「絶対に負けられない日」と胸に刻み、試合に臨む。 試合に先立ち、県内の中高生ら約230人と観客が「花は咲く」を合唱した。また会場全体で1分間の黙禱(もくとう)をして、追悼した。 ブルズは震災と同じ2011年にbjリーグ(当時)に参入後、これまで「復興のシンボル」として岩手とともに歩んできた。13年経つ今も、震災で起こったことを忘れないでほしいと、クラブ初の試みとして合唱が企画された。 同じ対戦相手だった前日9日は95―93で勝ちきった。選手は普段の赤色に代え、祈念試合のための特別な青色のユニホームに身を包み、連勝を目指す。 11:00 震災と被災地を記録してきた3人が語り合う 仙台市 せんだいメディアテークでは、震災や被災地をさまざまな形で記録してきた3人の展示が開かれている。この日は3人が集まり、それぞれの記録について話し合った。 震災前から仙台市の風景写真… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ヘイトスピーチ」に市民団体抗議、アイヌ民族テーマのシンポめぐり
上保晃平2024年3月10日 17時30分 札幌市中央区の北海道立道民活動センター「かでる2・7」で10日、日本会議北海道本部が主催して開かれたシンポジウムに対し、市民団体が「アイヌ民族へのヘイトスピーチに当たる」として抗議活動を起こした。 シンポジウムは「改めて問う! アイヌはなぜ先住民族にこだわるのか」と題し、北海道アイヌ協会が入居する建物内で開かれた。「暴走する『先住民族論』、驚愕(きょうがく)の補助金利用の実態! 気鋭のシンポジストがその闇に斬り込む」として、元道議の小野寺秀氏や札幌市議の川田匡桐氏らの登壇が案内されていた。 ヘイトスピーチに反対する市民団体「クラックノース」の呼びかけで集まった約30人はこの日、会場の建物前で「アイヌ差別は違法」などと書かれた横断幕やプラカードを掲げてシンポジウム開催に抗議した。 抗議活動に参加した女性は「アイヌ民族の先住性を否定し、過去の個人的な不正をアイヌ民族全体の問題かのように主張するのはヘイトスピーチだ。差別を可視化するために抗議のスタンディングをした」と話した。 アイヌ施策推進法は、アイヌ民族を「先住民族」と明記し、「アイヌであることを理由として、差別やその他の権利侵害をしてはならない」と規定している。(上保晃平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
私はきょうも語り、涙する 原発事故の「傷」と向き合うために
自らの被災体験を赤裸々に語ること。それは自身を傷つける行為でもある。それでも女性は、今日も人前に立つ。語り部として。何が起きたのか、知っていてほしいから。あの日から、まもなく13年――。 《すみません。能登半島の地震をどうしても思い出してしまって……。ちょっときつくなるんです》 1月下旬、東日本大震災・原子力災害伝承館で開かれていた語り部講話で、高村美春さん(55)はそう言うと言葉に詰まった。 語り部は感情を出してはいけない。そんな考え方があるのは知っている。でも講話中には涙を流し、感情をあらわにする。「私がさらけ出さないと、相手もさらけ出せないから」 あるとき、講話の後で1人の女性がやって来た。 「私はあの時こうだったんで… この記事は有料記事です。残り1799文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル