岡山市南区古新田の国道2号バイパス沿いに「日本最大級の屋根と小屋の展示場」が出現している。ひときわ目を引く外観を手がけたのは、世界的建築家・隈研吾さんだ。地元の板金店とのコラボはどのようにして生まれたのか。 大きな平屋建ての外壁いっぱいに39種類の屋根と外壁が、パッチワークのように貼り込まれている。この展示場を仕掛けたのは、創業48年を迎えた「植田板金店」(同市中区)だ。 自宅の庭や駐車場に小屋を建てる人が増えつつあった2017年にいち早く小屋事業部を設立し、「小屋ブーム」をリードしてきた。小規模な展示場も設けていたが、「2号バイパス沿いでずっと広い物件を探していた」と植田博幸社長(50)は言う。 悪徳商法の被害減らしたい 背景には、屋根業界での悪徳商法の横行があった。突然訪問して「お宅の屋根の様子を見させてもらいました」などと不安をあおって不必要な工事をしたり、高額を請求したりする詐欺の被害が後を絶たない。屋根や小屋の実物を見てもらって、正しい知識を得る場を作りたいと考えた。 見つけたのは20年近く大型飲食店として使われてきた床面積約670平方メートルの平屋で、50台以上の駐車場も込みで約3300平方メートル。「居抜きで簡単にリフォームしよう」(植田社長)と思っていたが、新国立競技場の設計で知られる奇想の建築家にアイデアを求めたことから、事は一気に大きくなる。 若手スタッフの熱意実った 隈さんの事務所との縁は、小… この記事は有料記事です。残り575文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全町民6939人個人情報、HPに2週間誤掲載 防災無線で町長謝罪
吉田啓2024年3月2日 20時04分 宮崎県綾町は2日、町に住民登録している全6939人の氏名や住所、生年月日について、2月16日から29日まで誤って町のホームページ(HP)に掲載していたと発表した。誰でも閲覧できる状態となっており、松本俊二町長が防災無線を通じて町民に謝罪した。 町によると、税務申告の相談に関するページに予約日程表のファイルを掲載していたが、町民の氏名などが載った別のファイルに置き換わっていたという。このページを見た人が26日、HPの問い合わせフォームで指摘。町は3日後にこの指摘に気付き、確認してファイルを取り下げた。 また、このうち297人については氏名などに加え、所得税や住民税の申告相談の電話予約の際に聞き取った「何人で申告にうかがいます」といった内容や、個人の電話番号も掲載されていた。 町は現段階で被害は確認されていないとしており、原因を調べている。(吉田啓) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
卒業式でやっとそろった12人 涙ながら読んだ答辞「もし叶うなら」
3年生12人がやっと顔をあわせられたのが、卒業の日だった。能登半島地震で被災した石川県輪島市の県立門前高校で、卒業式が開かれた。進学のため輪島を離れてゆく12人。答辞で述べたそれぞれの言葉には家族、故郷、そして、仲間への思いがあふれた。 3月1日午前、体育館に並んだ3年生は一人ずつマイクの前に立った。 中角(なかかど)春香さん(17)は、話し始めてすぐ、右手で目頭を押さえた。 「地震が起きた直後……。私の頭に浮かんできたことは……。学年のみんなや、1、2年生、先生方の安否でした」 中角さんは1月1日、自宅団地で被災した。スマホは通じず、友人の安否がわからない不安な日が、続いた。蛇口から水は出ず、今もなお、地元中学校の体育館で避難生活を続けている。 1月下旬に3週間遅れの始業式があり、少しずつ授業も再開。でも遠方に避難して学校に来られない同級生もいた。無事を確認できても12人はなかなかそろわなかった。 「震災前のあの頃に戻りたい」 「高校生活最後の3学期、当たり前に来ると思っていた3学期、もしかなうのであれば、もう一度みんなと一緒に楽しく授業を受けたかった。震災前のあの頃に戻りたい。それが私の正直な気持ちです」 避難所から高校へ向かう途中にある、慣れ親しんだ地元商店街は家屋や店舗が倒壊し、様変わりした。気持ちは沈んだ。 輪島から約100キロ離れた短大へ進学する。夢である保育士になったら地元へ戻ろうと考えていたが、余震への恐怖感が残り、地元を離れたい、という思いも正直芽生えた。それでも涙の後に、答辞の結びで口にしたのは前を向く言葉だった。 「地震の怖さ、傷、生活の不便さ、まだまだこれからも大変な日々は続きます。けれども、きっとたくさんの楽しいこと、うれしいことも待っているはずです。私を含め、みんなの人生はこれからも続いていきます。希望を持って、みんなで復興に向けて一歩一歩前に進んでいきましょう」 過疎化と少子高齢化が進む地域にある門前高。今年度の全校生徒は85人で、3年生は特に少なかったが、その分仲が良く、中沢賢校長は、「先生や地域の方と一緒に家族のように過ごしてきた」とふりかえる。 地震後の大学受験、誕生日に避難 商店街の人も卒業式を見守るなか、大岩紅葉さん(18)は、ふるさとへの思いを口にした。 「私の門前を愛する気持ちは変わらず、これからも帰ってくる場所でありたいと思っています」 地震が起きたのは、大学受験まで2週間を切った頃。障害がある子どもの支援に関わりたいと、受験勉強をしていた。 市内は混乱が続いていた。母… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「四角い顔といじめられ」役者と容姿 片桐はいり×安藤玉恵
もうすぐ「私」は死ぬみたい――。 一人芝居「スプーンフェイス・スタインバーグ」(リー・ホール作、常田景子翻訳)は、7歳のユダヤ人少女である「私」の一人語りで進む。 7歳の「私」は顔が丸い。「スプーンフェイス」と呼ばれている。 ユーモアがあってよくしゃべる。自閉症で他のみんなと同じようにはできないけれど。 「尻軽」「ウォッカ」……。知らなくていい言葉も知ってる。パパが若い女の人の元へ行ったり、ママもお酒と薬に逃げたりしてるから。 ある日、「私」はがんと知る。その日から、ママとパパと私は……。 「殺してやる」と思った 片桐はいりと安藤玉恵がダブルキャストで演じる。お涙頂戴(ちょうだい)にはならない二人。少女時代のこと、家族の思い出、役者の顔、「私」を「私」にするものとは? ――命の終わりと向き合う役ですが 片桐 最初、病気の役は躊躇(ちゅうちょ)して。でも面白い安藤さんが演じるならと。 片桐さんは、子どものころから顔のコンプレックスに悩まされたと言います。舞台役者という顔出しの仕事についたのはなぜか。年をとること、親を看取ること、勇気づけられる言葉との出会い……。安藤さんといろいろ語ってくれました。 安藤 悲しい話だけどそれだ… この記事は有料記事です。残り2496文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地球の営みと人間の営みと 地質学スケールの時間を感じるとき
災害は、日常生活とはかけ離れた地質学スケールの時間を痛感させる。 能登半島地震で、半島北部の海岸が大きく隆起した。最大4メートルにも達し、港の機能も損ねた。だが、地震での隆起は珍しいことではない。南海トラフで起きてきた地震でも、関東大震災を起こした相模トラフの地震でも起きている。 能登半島は、隆起を繰り返して陸地が広がってきた。海底だった平らな部分が階段状の地形となった海成段丘が、数千年規模の地質学的な事件の証人だ。 地震も火山噴火も長い年月に… この記事は有料記事です。残り702文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福竜丸たどるインスタ発信、焼津で伝える「僕でないと語れないもの」
1月22日 およそ2か月の航海を前に家族や親しい人びとは名残惜しそうです 3月1日 空を覆う黒雲から、雨に混じってなにか降ってきます 今年1月、インスタグラムで「第五福竜丸航海記」というアカウントが投稿を始めた。投稿は70年前の同じ日付にあわせて当時の航海を再現するものと、ビキニ事件の背景を解説するものの2種類で、都立第五福竜丸展示館(東京都江東区)が手がける。 「原爆や核と聞いて興味を持ってくれなくても、インスタを通してなら興味を持ってくれるかもしれない。すぐにバズらなくても口コミで広まれば」 そう話すのは、展示館でインスタ投稿を手伝う東京学芸大4年、柳川悠月さん(22)。柳川さんの卒論のテーマは戦争体験の継承だった。「当事者がいなくなる中で次世代にどう伝えていけるか」に関心があった。学芸員の助言を受けながら、イラストや文言を練っている。 第五福竜丸展示館は1976年に開館した。第五福竜丸は東京水産大学(現・東京海洋大学)の練習船「はやぶさ丸」となった後、67年に廃船処分となり、ゴミの処分場だった夢の島に放置された。翌年の朝日新聞「声」欄への「沈めてよいか第五福竜丸」との投書などがきっかけで保存運動が進んだ。入館者はピーク時の92年度には30万人を超えたが、2022年度は6万5千人ほどと大きく減少している。 こうした状況から若い世代に… この記事は有料記事です。残り2014文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「若い世代の意見を」「再生へチャンス」 穴水町長と輪島市長の展望
元日に発生した能登半島地震から2カ月が経った。震災で傷ついた街からは多くの転出者も出るなか、首長たちは新たな復興の形を模索しようとしている。石川県穴水町と輪島市の両首長に聞いた。 「地震前よりも住みやすい町」めざす 穴水町の吉村光輝町長は2月22日の県災害対策本部員会議でこう危機感を訴えていた。「1月の町からの転出者数は前年同月の3倍以上。人口流出が今後の課題となってくる。動向に注視しつつ、今後の復興に取り組んでいきたい」 吉村町長は朝日新聞の取材に、町からの転出者が増えていることについて「予想していたが、それでもやはり結構インパクトが大きい」と語り、人口減少が加速することを懸念する。要因については「通常の生活ができないことが一番大きいのでは。不便さゆえに転出という判断につながっているのだろう」と分析。「まずは生活インフラの復旧と住む場所の確保が一番大事だ」として被災者の生活再建を急ぐ考えを示す。 「穴水にこだわる理由がなけ… この記事は有料記事です。残り1049文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
がれきの街でミルクを飲んでいた1歳は14歳に 記者が再び訪ねると
震災から8日後、まだ1歳7カ月だった鈴木愛華さん(14)は、母の深雪さんに背負われて宮城県亘理町の自宅前にいた。津波に襲われた周囲は、見渡す限りのがれきだった。 自宅は津波で破壊されたものの、深雪さんはまだ使える衣服や生活用品を取りにきたのだ。その場でミルクをつくり、愛華さんに与えた。 3人姉妹の末っ子で、中学2年生になった愛華さんに、当時の記憶はない。その時のミルクの味も覚えていない。 プレハブ仮設住宅での生活は… この記事は有料記事です。残り772文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鳥取の大山で雪崩、2人行方不明か ほか1人は自力で脱出
大久保直樹2024年3月2日 14時47分 2日午後0時10分ごろ、鳥取県大山町の大山(1729メートル)で「雪崩が発生し、3人パーティーのうち2人が巻き込まれた」と、別の男性登山客から110番通報があった。 県警によると、男性3人が雪崩に巻き込まれ、このうち1人は自力で脱出し、ほか2人の居場所がわからなくなっているとみられる。現場は6合目から8合目付近といい、県警や消防が救助活動に向かっている。 同県中西部では、今朝から雪崩注意報が発令されていた。(大久保直樹) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
忠犬ハチ公の故郷、黄金の秋田犬の像購入へ 予算1650万円を計上
滝沢隆史2024年3月2日 10時32分 秋田犬の忠犬ハチ公の故郷で知られる秋田県大館市が、観光誘客の目玉にしようと、金箔(きんぱく)を貼り合わせて作った黄金の秋田犬の親子像を購入する。2024年度一般会計当初予算案に、純金製のミニチュアと合わせた購入費1650万円を計上した。 黄金の親子像は、金製品を手掛ける「SGC」(東京)が、昨年のハチ公生誕100年に合わせて制作した。像の成犬は高さ85センチ、子犬は同36センチで、金箔850枚をぜいたくに使った一点物だ。昨年11月には、市内で開催された記念イベント「HACHIフェスin大館」でお披露目され、来場者の注目を集めた。 市観光課の担当者は購入について「ハチ公生誕100年を伝えるのにふさわしく、観光誘客の効果も期待できる」と説明。時期などは未定だが、金箔の像と同じデザインで、20グラムの純金で作ったミニチュアとともに、市内のイベントなどで展示して一般公開する予定という。(滝沢隆史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル