三重県木曽岬町の鋳物メーカー「錦見鋳造」が、鉄の素材だけなのに焦げ付きにくい鋳物の卵焼き器の量産化に成功した。試行錯誤を重ねること10年。かつて1千個の注文を受けたにもかかわらず量産化に失敗、その苦い経験を乗り越えた。 同社は、20年間で30万個以上を売り上げた「魔法のフライパン」の製造元。鋳鉄に含まれる炭素の遠赤外線効果で、「おいしい料理が作れる」と一流ホテルのシェフも使うという人気のフライパンだ。 フライパンに続くオリジナル製品の「魔法の玉子焼き器」は、板面の長さ約20センチ、幅15センチの鋳鉄製。板の厚さが1・5ミリと薄く、重さも約700グラムと軽い。その表面の特色から焦げ付きにくいのを売りにする。 この卵焼き器の原型モデルが… この記事は有料記事です。残り962文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「すべての被災地を思い」頂点へ 女子バレー JT・高橋茉莉奈選手
バレーボール女子V1リーグが大詰めを迎えている。兵庫県西宮市を練習拠点とするJTマーヴェラスはレギュラーシーズンを首位で終え、3月3日の最終ステージ決勝で3季ぶりの優勝を狙う。入団3年目のミドルブロッカー、高橋茉莉奈(まりな)選手(25)は特別な思いを胸に大舞台に臨む。勝てば自身初のリーグ制覇。この日のために、跳べない日々を何度も乗り越えてきた。 山形県生まれ。6歳で移り住んだ仙台市でバレーと出会った。マンションの廃品回収当番で、地域のスポーツ少年団の関係者から誘われた。恐る恐る練習の輪に加わると、すぐにその楽しさのとりことなった。 そして、13年前のあの日。小学校の卒業式を1週間後に控えていた。近所の公園で友達と鬼ごっこをしていると、木々にいた鳥たちが一斉に飛び立ち、その瞬間、地面が突き上げられるように大きく揺れた。 自宅マンションは一部損壊。ライフラインはすべて止まり、家族と小学校に身を寄せた。「夜がとにかく寒かった。バレーどころじゃなくて、毎日を乗り越えるのに必死でした」 家族を失ったバレー仲間もいた。海沿いに住む友人の家は津波で流された。よく試合をしていた別のスポーツ少年団の監督は津波の犠牲になった。 約1カ月半後、中学に進学し… この記事は有料記事です。残り796文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地震翌日に後継ぎに 妻子と離れてでも 「家業」を担う若者たち
奥能登では世代を超えて親から子へと受け継がれてきた「家業」がたくさんある。輪島塗、海産物を包むパックなどを扱う包装資材、漁業……。能登半島地震の後、そんな営みを途絶えさせまいと立ち上がったのは、若者たちだった。 創業200年を超える老舗の輪島塗メーカー「田谷漆器店」の田谷昂大さん(32)は地震翌日の1月2日、父から代表の座を継いだ。 地震で工場は倒壊し、職人の道具や材料を失った。輪島朝市に建設中だった新ギャラリーも大規模火災で焼け落ちた。そんな状況のなか、「店の復興に向けて自分でかじ取りをしたい」と父に申し出た。 8年前にUターンで地元に戻り、伝統工芸の新しい販路を見つけるために奔走してきた。完成間近だったギャラリーでは一般客に漆器を使ってもらい、魅力を体感してもらおうと考えていた。 「輪島塗は日本のものづくりの縮図。残さなきゃいけない産業なんです」。ギャラリーの構想を引き継ぎ、体験や購入、修繕ができる輪島塗の複合施設を、復興した輪島に造りたいと思っている。 三辻洸二郎さん(31)は昨… この記事は有料記事です。残り580文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
震災つないだ絆「今度は私たちが笑顔を届ける」 輪島に届いた恩返し
大きな拍手が静まると、ピンクのTシャツを着た子どもたちがゆっくりとステージに集まってきた。 中央のマイクを囲んで歌いだした。 《今僕がここにいるのは、僕が自分で決めたこと。だからもう迷わずに生きてゆこう。夢を信じて》 歌の合間、一人の少女が語りを入れた。 「私たちは(東日本大)震災でお世話になった石川県へ足を運び、輪島市でもミュージカルの公演を行いました」 「今度は私たちが笑顔を届ける番です。歌うこと、踊れること、生きていること、伝えたい。『ありがとう』」 1月14日、宮城県内にあるホール。同県名取市の子どもたちによる「名取こどもミュージカル」が、オリジナルの「夢があるから」を歌い、能登半島地震の被災地へエールを送った。 津波にのまれた閖上地区 今から13年前。名取市閖上地区は、最大8メートルの大津波にのまれた。 流される車、家、人。住民の1割にあたる700人以上が犠牲になった。 同市の南部比呂志さん(55)の一家が暮らしていた借家は津波が通り、流れ着いた角材が家を壊した。 一家は約2カ月の避難生活を… この記事は有料記事です。残り1534文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「複線化」する広域避難 生きがいと人間の復興支えるコミュニティー
能登半島地震で被災した多くの人たちが、広域避難をしています。人それぞれ、家族それぞれの事情がある中で、コミュニティーはどう支えになるのでしょうか。東日本大震災の被災者の避難先でフィールドワークをした静岡大学情報学部助教の望月美希さんに聞きました。 ◇ 能登半島地震で、長期にわたる広域避難をしている方たちのケアをどうするか。今後そうした議論が大事になってくるでしょう。 私は東日本大震災と原発事故で静岡県などに避難した人たちのことを調べてきました。広域避難時の心のケアでは、コミュニティーの存在が大切だと言われます。そこでの交流は癒やしになり、「日常」のリズムを取り戻すきっかけにもなり得ます。 しかし、コミュニティーは「作るもの」「与えられるもの」ではなく、「できるもの」ではないでしょうか。各地でコミュニティーは疲弊しています。その意味も念頭に置き、改めて議論する時かもしれません。 1人でいたい人にどう手を差… この記事は有料記事です。残り809文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
千葉市若葉区などで震度4、津波の心配なし 2月下旬から地震相次ぐ
2024年3月2日 3時01分 2日午前1時49分ごろ、千葉県南部を震源とする地震があった。気象庁によると、千葉市若葉区や千葉県のいすみ市、一宮町、睦沢町などで震度4を観測したほか、同県内の広い範囲で震度3を観測した。 震源の深さは約20キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・0と推定される。津波の心配はないという。同県付近を震源とする地震は、2月下旬から相次いでいる。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「茶番」「抜き打ち必要」「首相出席は評価」 政倫審、識者の点数は
岸田文雄首相が現職首相として初めて出席した衆院政治倫理審査会(政倫審)が、2日間の日程を終えた。政治や企業統治に詳しい識者や社会起業家、元国会議員の目に、政倫審はどう映ったか。 社会起業家の石山アンジュさん 10~20点 自民党派閥で慣行化していた裏金について、誰が、いつ、どのように指示を出したのか、問題の根源に迫れないと改革はできない。改革の入り口としての政倫審だったが、結果として何も得られなかった。 期待値が低いところからのスタートであったことを考えれば、岸田首相自らが出席を表明したことは評価できる。 ただし、国会の審議とほぼ同じ内容を繰り返していた印象で、他の5人を出席させたこと以外に首相出席の意味を見いだせなかった。むしろ期待させたことで、マイナスのイメージに働いた面もあったのではないか。 他の出席者についても派閥の責任に踏み込まずとも、冒頭で虚偽の記載や裏金化していたことを認めて、謝罪していた。その点は評価できなくはない。 法的強制力がある場で議論しないと難しいかもしれないと思う一方で、メディアの取り上げ方にも疑問を感じた。出席するか否か、公開するか否かばかりに注目が集まっていたが、国民からすると実態解明できるのか、改革できるのかどうかの方が大切だ。 一番追及すべきは裏金が組織のシステムとして作り上げられていたのかどうかだ。 若者の声を届ける仕事をしていて思うのは、志があって社会を変えたい若者がいても、お金を積まないと選挙に勝てない構造の中で、それに従わなければならない、または機会が巡ってこない状況があるということだ。 強い派閥に入って金を積めば積むほど、能力に関係なく選挙に勝ててしまう構造がある。派閥と裏金の問題を明らかにしていく中で、そうした構造を立て直さなければならない。 改革の先にあるのは、利権政治との決別であり、能力主義かつ公平な政治。それがお金がなくとも能力で評価され、多様な考えを採り入れて意見を述べられる政治家を増やすことにつながる。 民主主義を監視するのは私たち有権者だ。ただ前回の選挙の際に、裏金化していた議員を見抜けたかと言えば、難しい。だからこそ、民間で領収書を電子化するなど工夫しているように、政治の側でも裏金化をさせない改革を進めるよう圧力をかけていく必要がある。 収支報告書をはじめ、お金の流れを透明化して管理する部分については与野党みながやる話だ。与党批判に終始しているように見える野党も改革の議論を詳細化していくべきだ。(聞き手・小早川遥平) 元自民党衆院議員の金子恵美さん 50点 元自民党衆院議員の金子恵美さん 50点 まず評価したい点は公開のあ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ルッキズムを考える 「外見で判断」抜け出すには リロン編集部から
外見で人を評価する「ルッキズム」。最近も麻生太郎・自民党副総裁が上川陽子外相の外見に触れて批判を受けるなど、顔立ちや体形、肌の色などで人を判断する言説は絶えない。インタビュー企画「ルッキズムの向こうへ」で、根底にある偏見や差別を考えた。 2月26日配信の①「ルッキズムで着なくなったピンク 私の価値を決めるのは」では、平均より大きなサイズを着こなすプラスサイズモデルの桃果愛さんが、学生時代に陰で太っていると言われて自分を押し殺した経験を語った。「一つの価値観によって『よい・悪い』を判断する見方はルッキズムにつながる」として、誰かに外見をジャッジされても関係ない、自分が自分のよさを信じることが大事と伝えている。 同27日配信の②「『顔さえ良ければ』SNSが強める序列化 自分の身体好きでいるには」では、社会学者の高橋幸さんが、SNSは学歴など従来の尺度に関係なく「成功」できるルートを作り出した一方、外見がフォロワー数につながる感覚から「外見への評価的まなざし」が増幅され、新たな人間の序列化が起きたと指摘。ルッキズムは社会が抱える問題で「変わるべきは社会の方」だとする。 同28日配信の③「『ハーフ』当事者たち、差別経験の語られ方 SNS分析で見えた葛藤」では、人種やメディアを研究する有賀ゆうアニースさんが、海外にルーツのある人に向けられる「日本人らしくない」という表現について分析。「こういう外見だから、人種だからと判断を押しつけることは、個人の生き方を制約することにつながっているのでは」とし、「アイデンティティーを多元的な視点でとらえる」ことの大切さを語っている。 外見を「評価」するコミュニケーションから抜け出せるのか。私自身も問い続けたい。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Re:Ron 対話を通じて「論」を深め合う。論考やインタビューなど様々な言葉を通して世界を広げる。そんな場をRe:Ronはめざします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ひき逃げで3人けが、過失運転致傷などの疑いで米兵を書類送検
棚橋咲月2024年3月1日 20時41分 沖縄県宜野湾市内でひき逃げをしたとして、県警は1日、米海兵隊の20代の男性隊員を自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(救護義務違反、事故不申告)の疑いで書類送検した。容疑を認めているという。 県警によると、海兵隊員は昨年9月16日未明、宜野湾市真志喜1丁目の国道58号で乗用車を運転中に前方の軽乗用車と衝突し、男女3人を負傷させて逃げた疑いがある。 事故発生前、パトロール中の警察官が速度超過などで海兵隊員の車に停止を求めたが、振り切って逃走して事故を起こしたという。車には計5人が乗っていたが、隊員は車を放置して基地内に逃げたとみられる。県警が車内に残っていた他の隊員らから事情を聴くなどして、任意で捜査を進めていた。 日米地位協定では、容疑者の身柄が米側にある場合、起訴まで米側が拘束することになっている。県警は今回のケースでどうだったかは明らかにしていない。(棚橋咲月) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ベテラン漁師らがなぜ 3人死亡漁船事故、「耳づり」作業前に沈没か
有料記事 鵜沼照都 渡部耕平2024年3月1日 20時45分 青森県の陸奥湾でホタテ養殖漁船が2月29日に沈没し、乗組員の男性ら3人が死亡した事故。乗船していたもう1人の男性は、1日夕の時点で見つかっていない。現場の横浜町の漁港には漁業関係者が駆けつけ、捜索の様子を心配そうに見守っていた。 船に乗っていた横浜町の菊池隆広さん(51)、隆広さんの父の菊池栄次郎さん(87)、竹田武美さん(78)の死亡が確認され、横浜町の太田弘樹さん(43)の行方はわかっていない。 4人を知る横浜町の自営業の男性(73)によると、菊池さん親子はベテラン漁師。どちらもまじめな人柄で知られていた。水揚げも好調で、男性とは近年、500キロ以上のホタテの取引があったという。 漁協組合長「無線までたどり着けなかったか」 竹田さんは町の消防署長だっ… この記事は有料記事です。残り498文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル