国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で一時中止となった企画展「表現の不自由展・その後」の出展作品を集めた展覧会「表現の不自由展かんさい」が16日、大阪市内で始まった。18日までの3日間。会場外で抗議活動があったが、大きな混乱なく初日を終えた。
展覧会には、2019年の不自由展で抗議が殺到した慰安婦を表現した少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品などが出展された。午前10時の開場前から多くの人が列を作り、午後1時半までに初日の枠だった整理券500人分の配布が終了した。
近畿大学2年の西村有沙さん(19)は「なぜこんなに物議を醸しているのか、自分の目で展示を見たい」と訪れた。少女像などを見て、「色々な歴史の視点を表していると感じた。これらの作品を見たからといって、日本はだめな国だとは思わない」と話した。
会場の大阪府立労働センター(エル・おおさか)の指定管理者は6月25日、抗議が相次いだことを受けて利用承認を取り消したが、大阪地裁と大阪高裁は実行委に会場の利用を認める決定を出した。最高裁は7月16日、指定管理者の特別抗告を棄却した。吉村洋文知事は同日、記者団に「法的な決定には従わざるを得ない」と述べた。
名古屋市で7月上旬にあった展覧会では会場宛ての郵便物が破裂し、施設が臨時休館となって2日間で事実上の中止となった。東京都内で予定されていた展覧会は、大音量の街宣活動を受けたギャラリーの辞退が相次ぎ、延期となった。
大阪市の会場周辺では16日、街宣車や拡声機を使った抗議活動があった。警察官数十人と多くの警察車両が警備し、入り口では施設側が手荷物検査をした。(笹川翔平、比嘉太一)
警察は集音マイクで音声測定
会場前の路上では、日の丸を掲げた人たちが拡声機を使い、「反日的な展示をやめろ」などと抗議活動を続けた。開催を支持する人たちは、「表現の自由を守れ」などと書かれたプラカードを掲げ、会場前に座り込んだ。
周辺には大阪府警の警察官が立ち並び、集音マイクで拡声機の音量を測定した。拡声機を規制する府の条例に基づく監視活動とみられる。大阪地裁と高裁は「警察の適切な警備」によって重大な危険は生じないとして、主催者に施設の利用を認める決定を出している。
出品したアーティストの嶋田…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル