クレジットカードを使った副業ビジネスを展開した「西山ファーム」(岡山県、破産手続き中)をめぐる投資詐欺事件で、同社が投資者らに、カード会社からの問い合わせに虚偽の説明をするよう指示していたことがわかった。売り上げが特定の店舗に集中しないよう、代理店の設立を求められた人もいた。愛知県警は、規約に反したカードの利用実態を隠す狙いだったとみて調べている。
複数の投資者によると、西山ファームは2018年、カード会社が投資者へ問い合わせる場合を想定し、「『転売』『投資』の言葉を出すな」といった具体的な指示を投資者に送っていた。朝日新聞はメッセージの画像を入手した。
大阪市の女性会社員(30)は18年11月、LINEのメッセージで指示を何度か受けた。
女性は西山ファームに指定されたネット店舗でカード購入を繰り返していた。商品は桃やブドウ、野菜や米だったが、届いたのは納品書のみが入った空の段ボール箱が2回だけ。女性は「今から思えば、実際に商品が動いているように見せる偽装工作だったのだろう」。商品は香港で転売し、その利益で農場を広げると聞いていたという。
カード9枚限度額まで、月の決済400万円
メッセージでは、カード会社に購入商品の使用目的を尋ねられたら「自身のため或(ある)いは家族のためにまとめて購入したことを伝え、あくまで自身で消化するための決済であることをお伝えください」とあった。
カード会社の質問に答える際、使ってはいけない「NGワード」も具体的に列挙した。「転売、投資などのお言葉、西山ファームの名前を出すのは呉々(くれぐれ)も控えて」。後に「利益」も加えた。預金通帳のコピーや口座の取引明細も渡さないよう求めた。
女性は指示に従い、カード会社に「自分用にまとめて買った」と伝えたという。女性は「西山ファームが疑われないほうがいいと思って指示に従ってきたが、もっと早く気づくべきだった」と悔やむ。
女性は西山ファーム側を相手に投資家らが大阪地裁に起こした集団訴訟の原告の一人で、約740万円の損害賠償を求めている。カード9枚を限度額まで決済し続け、決済額は月に約400万円に達していた。女性は自己破産も検討している。
「代理店をやらないと利率を下げる」
関係者などによると、西山フ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル