足利の山火事、鎮圧までの8日間 「戦場のようだった」

 栃木県足利市の山火事に「鎮圧宣言」が出た。和泉聡市長は1日夕の会見で「午後4時に『鎮圧』と決めた。305世帯に出していた避難勧告も解除する」と述べた。鎮火までには、あと数日かかる見通しだ。  和泉市長は「鎮圧できたのは市民の協力があってのこと」と強調。応援に駆けつけた県内外の消防職員や消防団、自衛隊員らに「勇敢さと、市民に安心を与えてくれたことに感謝したい」と繰り返した。  この24時間で白煙が3カ所から上がったが、すぐに消し止められた。1日、足利市消防本部の大美賀裕消防長から鎮圧の上申を受けた和泉市長は、東京消防庁のヘリで現場上空から状況を確認した。今後は鎮火に向けて、佐野、栃木両市と群馬県太田、館林、伊勢崎各市の応援を得て、残り火を消す作業を続ける。 広がった三つの要因  今回、ここまで山火事が拡大したのには、いくつかの要因が考えられる。  一つ目は、今年に入って現場となった両崖山などでボヤが起きていた。労災の経験則「ハインリッヒの法則」では「1回の重大事故の前には29回の軽微な事故がある」とされる。今回も火の取り扱いについて、もっと山に入る人たちに注意喚起すべきだった。  二つ目には山林火災への備えだ。この時季、両毛地域は「赤城おろし」と呼ぶ北西の季節風が吹く。今回も2月23、24日に強風が吹いた。一時はヘリからの散水もできなかった。強風時の対応策も必要だった。  三つ目は「魔の13時間」と呼ぶ夜間対応だ。ヘリは夜間飛行できず、地上からの消火活動も困難。今回は夜を徹して消防隊員が警戒に当たった。  県南部や両毛地域は広域で森林が多い。鎮火までの丁寧な対応と同時に、今回教訓をどう生かすか、残された課題は多い。(根岸敦生) 土日も「ぱちぱち」と音が  避難勧告が解除された両崖山に接した足利市西宮町。「助かってよかったです」。栗田恵美子さん(57)はほっとした表情を見せた。目の前で山の斜面が燃えさかり、一時は白煙が自宅周辺を包んでいたという。  21日夕、数十人の消防隊員が… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会…

ゴーン氏の逃亡支援か、米国の親子逮捕 東京地検特捜部

 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)の海外逃亡を助けたとして、東京地検特捜部は1日(米国時間)、米国から米国籍の親子2人の引き渡しを受け、犯人隠避と出入国管理法違反幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕した。米東部ボストンの空港から移送しており、日本時間の2日午後に日本に到着する予定だ。関係者への取材でわかった。  逮捕されたのは、米軍の特殊部隊「グリーンベレー」元隊員のマイケル・テイラー容疑者(60)と、その息子ピーター・テイラー容疑者(28)。2人は、海外渡航禁止の条件で保釈中だったゴーン元会長=会社法違反罪などで起訴=の逃亡を計画。2019年12月29日、音響機器用の箱に元会長を隠すなどし、関西空港からトルコ経由でレバノンに逃亡させた疑いがある。  特捜部はピーター容疑者について、19年7月以降に何度も来日してゴーン元会長と逃亡の相談をし、逃亡当日は元会長の自宅から都内のホテルに荷物を運搬したとみている。マイケル容疑者は、今も身柄が拘束されていないジョージ・ザイエク容疑者(61)と逃亡当日に来日し、元会長をホテルから関西空港まで護衛し、一緒にプライベートジェットで出国したという。  特捜部は20年1月に逮捕状を取得。米捜査当局は5月、日米間の犯罪人引き渡し条約に基づき、米国にいたテイラー親子を逮捕した。米連邦地裁は9月に引き渡しを認める判決を出し、国務省も10月に引き渡しを承認した。  親子の弁護側は「日本の刑事制度は劣悪で、人権侵害を受ける」などと反発し、移送の差し止めを申し立てた。移送手続きを停止して審理が行われたが、連邦最高裁が今年2月に棄却していた。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「久しぶりの飲み会」「再燃しないか…」先行解除の街で

 10都府県に出されていた緊急事態宣言が首都圏を除く6府県で先行解除された。大阪、京都、兵庫の3府県は1日から飲食店への営業時間の短縮要請を緩和し、繁華街には仕事帰りの会社員らの姿が目立った。  3府県の時短要請は1時間延びて午後9時までとなり、対象地域は京都府、兵庫県が全域のままだが、大阪府は大阪市のみとした。  時短要請の対象外となった大阪府吹田市。大阪メトロ御堂筋線江坂駅前はこの日、にわかに活気を取り戻した。緊急事態宣言中の閉店時間だった午後8時を過ぎても、次々と電車を降りた会社員らが居酒屋などに入る姿が見られた。  駅前の「江坂海鮮食堂 おーうえすと」は約3カ月ぶりに深夜0時までの通常営業に戻した。代表の大西僚太郎さんは「緊急事態宣言が長引いたらどうしようと思っていた」と喜びつつ、「先が見えず手放しでは喜べない」と話した。  近くの別の居酒屋はこの日、通常より仕入れ量を増やして開店。従業員の女性は「府内全域で段階的に営業時間を戻していけばよかったのでは」と感染拡大への不安を口にした。  午後7時ごろ、江坂駅近くで待ち合わせをしていた40代の会社員の男性は「すっかり飲み会のない日々に慣れてしまっていたが久しぶりに同僚に誘われた」。解除については「感染対策をしていれば問題ないのでは」と語り、「送別会など飲み会の予定は、これから少しずつ増えそう」。出張で大阪を訪れた神奈川県横須賀市の女性会社員(26)は「日常が戻ってきた感じ。お酒が大好きなので飲みに行けるのはうれしい」。午後9時過ぎに大阪市に住む友人らと3人で居酒屋で飲んでいた会社員の男性(47)は「久しぶりに店で飲んだ。日常が戻ったようで楽しい」と声を弾ませた。 「大阪市外での感染拡大が予想される」  大阪府内の飲食店は最大で10… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

JR西、無事故表彰を見直し 脱線事故が契機、意義低下

 JR西日本が、旧国鉄時代から続く運転士らを対象にした「運転無事故表彰」を、3月で廃止することがわかった。4月からは対象の職場を大きく広げ、急病人への適切な対応や車両不具合の早期発見など、乗客の安全・安心に関わる活動をたたえる表彰を新たに始めるという。  同社によると、「運転無事故表彰」は、運転士や車掌ら運転に関わる社員が対象だった。「無事故」を数年間続けるごとにメダルなどが贈られた。年間1700~2500人が受賞してきたという。  新しい名称は「安全考動(こうどう)表彰」で、電気や施設系の社員、駅の改札係員らも新たに加えた「現業機関の全社員」を対象にする。考動とは、安心・安全なサービス提供のために、社員自らが考えて行動することを指す。同社は「『全員参加型の安全管理』を実現するため、能動的な成果や優れたプロセスを評価することが必要。現場の社員一人ひとりを積極的に褒めていく」としている。  表彰の見直しの背景には、20… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

クラシックと現代性、相反が融合したプラダの変化と変容

 プラダの2021年秋冬レディースコレクションが、無観客のショー映像で発表された。ミウッチャ・プラダと、ベルギー出身の人気デザイナー、ラフ・シモンズの協業による2度目のレディース作品となる。クラシックなスタイル中にも、身体性の表現や華やかな装飾性、相反する要素の融合などを取り込んで、現代的な服の可能性とは何かを問いかけるようなコレクションだった。  今回のインスピレーション源は「変化と変容、開かれた可能性というコンセプト」。それを実現するためにキーアイテムとしたのは、1月に発表したメンズと同様に、体の自由やエネルギーを表すストレッチジャカードのボディースーツ。レトロな幾何柄を施し、伝統的なテーラードジャケットやコートに重ね着されて、不思議な存在感を漂わせる。  コートは黄色など明るい色で、まゆのように身体を包みこむビッグシルエット。内側をカラフルなフェイクファーやスパンコールで飾ったアウターは、前を手で閉じるモデルのしぐさによってさらに優雅なムードに。  素材はこのブランドが得意とする再生ナイロンが多く使われ、フェイクファーなどの異なる質感の素材と組み合わされた。ブランドによると、「シンプルさと複雑さ、優雅さと実用性、制限と解放など両極の間にある点を探った」という。  ショーの後にはミウッチャ・プラダとラフ・シモンズが、米デザイナーのマーク・ジェイコブスや、オランダの建築家レム・コールハース、米国の俳優で映画監督のリー・ダニエルズらと対談をする様子が流された。世界的なコロナ禍の下で、生活者にとって今後重要になるものとして、文化やアートが挙げられ、そんな流れの中でファッションが成しえることなどが話し合われた。(編集委員・高橋牧子) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

全国で最も人口少ない町、初めて1千人割る 山梨・早川

 全国の町で最も人口が少ない山梨県早川町の人口が1日、初めて1千人を割り、同日付の住民基本台帳の人口が994人になったことがわかった。2月1日時点では1千人だったが、1カ月間で6人減った。6人の内訳は、死亡数から出生数を引いた「自然減」が4人、転出者数から転入者数を引いた「社会減」が2人。(三ツ木勝巳) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

冨永愛さん「ファッションが発信できることは、希望」

 ファッションや生き方は、コロナ下で変わりましたか? トップモデルの冨永愛さんと、DJや着物スタイリスト、モデルとして活躍するマドモアゼル・ユリアさんが、日本の伝統文化からファッションの未来まで語り合った。3月1日から開かれる2021年秋冬のパリ・ファッションウィーク(PFW=通称パリ・コレクション)で、朝日新聞は冨永さんを、日本におけるPFW公式アンバサダーとして迎えている。  冨永 ユリアちゃんはパリ・コレに行き続けている。パリ・コレがデジタルでの発表になって、どのように感じていますか?  ユリア 世界観がはっきりしているブランドは、映像でもそれがぶれず、逆にランウェーでできなかったことを表現していた。有名ではないブランドが、映像によって注目を浴びることもある。そういう新たな楽しみもあったけど、そろそろパリに行きたい。  冨永 そうですね。やはり、現場の臨場感と緊張感を感じたい。幻想的な映像を作るなど、デジタルでも伝わるものがあって素晴らしいけど、リアルで見る感動のほうが身にしみる。  ユリア パリ・コレ自体が一つのカルチャー。どういう形であれ続いてほしい。見せ方をどうするかはブランド次第なのかな。  冨永 コロナで、私は服を着ることに対して、思いは変わったかもしれない。外に出る機会は減った。そのなかで、明日何を着ていこうか、って考えるのがより楽しくなった。  ユリア 私は、「これを着てどこに行くんだろう?」という服をたくさん持っていて、それを着て行く場所はなくなった。ちょっとさみしい。でも、SNSの発信の場で、そういう服を着てみることはできる。  冨永 マスクにも慣れた。  ユリア 私、着物を結構着るけれど、不織布のマスクが着物に合わない。足袋屋さんとかみんなが布マスクを作り始めて助かった。  冨永 着物、よく着てらして、素敵。  ユリア 母と祖母が着付けをやっていて、身近だったけれど、日本の伝統文化を仲介する人になりたいなと思って着付けの教室もやっています。着物ってサステイナブル(持続可能)なこととつながっている。  洋服は生地を曲線的に裁断するから余り布が出るけれど、着物は直線でぴったりに裁断するから余りが出ない。それに、昔は古着を着ている人がたくさんいたらしい。生地を無駄にせず、自分が着なくなったら子供に着せて、その次は雑巾にして……というサイクルができている社会だった。  冨永 そう考えると、日本は昔からサステイナブルな精神があった。  ユリア 昔の良いところを見直… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource…

コロナで変わった暮らし、自分の幸せとは? 冨永愛さん

 ファッションや生き方は、コロナ下で変わりましたか? トップモデルの冨永愛さんと、DJや着物スタイリスト、モデルとして活躍するマドモアゼル・ユリアさんが、日本の伝統文化からファッションの未来まで語り合った。3月1日から開かれる2021年秋冬のパリ・ファッションウィーク(PFW=通称パリ・コレクション)で、朝日新聞は冨永さんを、日本におけるPFW公式アンバサダーとして迎えている。      ◇  冨永 パリ・コレがデジタルでの発表になって、どのように感じていますか?  ユリア 世界観がはっきりしているブランドは、映像でもそれがぶれず、逆にランウェーでできなかったことを表現していた。有名ではないブランドが、映像によって注目を浴びることもある。そういう新たな楽しみもあったけど、そろそろパリに行きたい。  冨永 そうですね。デジタルでも伝わるものがあって素晴らしいけど、リアルで見る感動のほうが身にしみる。  ユリア パリ・コレ自体が一つのカルチャー。どういう形であれ続いてほしい。  冨永 コロナで、外に出る機会は減った。そのなかで、明日何を着ていこうか、って考えるのがより楽しくなった。  ユリア 私、着物を結構着るけれど、不織布のマスクが着物に合わない。足袋屋さんとかみんなが布マスクを作り始めて助かった。  冨永 着物、よく着てらして、素敵。  ユリア 母と祖母が着付けをやっていて、日本の伝統文化を仲介する人になりたいなと思って着付けの教室もやっています。着物ってサステイナブル(持続可能)なこととつながっている。洋服は生地を曲線的に裁断するから余り布が出るけれど、着物は直線でぴったりに裁断するから余りが出ない。それに、昔は古着を着ている人がたくさんいたらしい。  冨永 そう考えると、日本は昔からサステイナブルな精神があった。  ユリア それにしても、コロナで生活は変わりましたよね。密になるイベントができないから、私はDJの仕事がなくなった。でも、さらに勉強する時間もあったし、有意義な時でもあった。  冨永 自分自身の生き方や暮らし方を考えさせられた。何が必要で何が不要か。自分の幸せとは何なのかをきっとみなさん、考えたのだと思う。(構成・高橋牧子、神宮桃子) Source :…

自殺した町職員、公務災害と認定 残業月平均146時間

 2019年7月、北海道標津町職員の鈴木雄大さん(当時24)が過重業務などの末に自殺した問題で、遺族の弁護団が1日、労災にあたる「公務上の災害」と認定されたことを明らかにした。地方公務員災害補償基金が2月15日付で遺族に通知した。  鈴木さんの両親は昨年8月、自殺の原因究明などを求め、法的責任を認めている町に公開質問状を提出したが、町側は「回答を差し控える」と返答した。このため遺族側は、公務災害認定を受け、再発防止に向けた全体像解明のため提訴する方針だ。  町によると、鈴木さんは亡くなる直前の2カ月間の時間外労働は月平均146時間に上った。うつ状態となり自殺したという。(高田誠) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

福岡に屋台のあかり戻る 緊急事態宣言解除、初日の夜

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が1日、福岡県など6府県で解除された。福岡県の飲食店への時短要請は午後8時から午後9時に。酒は午後7時までの提供から午後8時半までの注文に緩和された。福岡市では、名物の屋台が一部営業を再開した。  九州最大の繁華街・福岡市の天神。大通りの一角にある屋台「喜柳」には、久しぶりに常連客たちが集まっていた。店長の迎(むかえ)敬之さん(46)は「来てくれてありがとう」と声をかけ、手際よく客の注文をさばく。「福岡に屋台のあかりを戻せるのはすごくうれしい」  宣言が出た1月中旬以降、休業を続けていた。屋台は市のルールで午後5時以降しか開店準備ができないため、午後7時までの酒の提供では「お客さんにも申し訳ない」と考えたからだ。解除を見据えて5日前からラーメンの仕込みやチャーシュー作りを始めていたが、客足がすぐに戻るとは思えず、営業は赤字覚悟だ。天神地区の屋台48店のうち、この日店を開けたのは3店だけという。一方で時短営業への協力金は、1日6万円から4万円に減額される。「お客さんが前のように戻るのか。コロナが再燃しないか……。期待と不安が半々です」  店に立ち寄らず、足早に帰宅する人たちも目立った。同僚と2人で歩いていた福岡市の男性会社員(48)は、「まだ営業時間も短い。飲みに行くのは、時短要請が終わってからでしょうか」と話していた。(宮野拓也) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル