部活顧問の体罰、異例の逆転認定 第三者委、県教委の対応を問題視

 静岡県立高校の運動部顧問を務めた元教諭の不適切言動をめぐり、県教育委員会は23日、部員に対する体罰があったとした第三者委員会の報告書を公表した。体罰を認定しなかった県教委の調査内容に反して逆転認定した格好。文書訓告とした判断も「不適切」と指摘するなど、一連の対応を問題視する異例の判断を示した。 部員に対する体罰が三者委に事実認定されたのは、静岡西高(静岡市)で女子バスケットボール部顧問を務めていた元男性教諭。 報告書によると、元教諭による不適切な指導内容を列挙した調査嘆願書が2021年1月に教委に寄せられ、関係者の聞き取り調査が始まったが、教委は同年3月、「体罰があったと認定できない」として、不適切発言を理由に、懲戒処分に該当しない訓告とした。元教諭は同月に退職した。第三者委、教委の「ガイドライン理解が不十分」 被害を受けた部員の保護者か…この記事は有料記事です。残り487文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

アカハラ処分教員が学会役員に 「ありえない」の声、学会どうする?

 ある文学系学会の東京支部で4月、会員である男性研究者が支部長に再任された。この研究者は3月、所属する都内の大学からアカハラをしたとして停職2カ月の懲戒処分を受けていた。大学院生3人に対し、研究者としての資質がないといった内容のメールを送ったり発言したりしたという。4月末、大学は匿名で処分を公表。男性研究者は現在、「一身上の都合」として支部長の仕事を自粛しているという。 「学会に安心して参加できない」――。アカデミックハラスメントが認定された大学教員が所属大学で懲戒処分されても、学会では役員を継続できる。そんな状況に、被害者を中心に疑問の声があがっています。専門家は「対応に難しさはあるが、学会にハラスメントに関する規定を設けるなど、できることはある」と指摘します。 学会メンバーによると、支部長は4月にあった支部総会で選ばれた。当時は大学の処分発表前だった。停職処分中であることについて、男性研究者から説明はなかったという。 大学の処分公表後に会員の間で問題視する声が上がったが、学会にハラスメントに対する規定などがなく、役員らで今後の対応を模索しているという。朝日新聞は学会と支部、男性研究者に取材を申し込んだが、23日までに返事はなかった。被害学生ら「ありえない」 この男性研究者からハラスメ…この記事は有料記事です。残り1118文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ガーシー容疑者、被害訴えた男性をさらに脅したか 異例の再逮捕へ

有料記事山口啓太 福冨旅史2023年6月24日 5時00分 動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅したとして前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)が逮捕された事件で、警視庁は、この著名人らの告訴を受け、別のSNS動画でさらに脅した疑いが強まったとして、同容疑者を証人等威迫容疑で24日にも再逮捕する方針を固めた。 捜査関係者への取材でわかった。SNSでの発信に証人等威迫容疑を適用するのは異例という。 東谷容疑者は昨年2~8月、ユーチューブ上で俳優、実業家、デザイナーの3人を繰り返し脅迫するなどしたとして、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)容疑などで今月4日に逮捕された。「告訴許さない」と言った動画が捜査される背景 捜査関係者によると、東谷容…この記事は有料記事です。残り520文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

名作のタイトルから「妄想」を広げて 滝沢カレンさんが新著刊行

有料記事文・田中ゑれ奈 写真・山本佳代子2023年6月24日 5時00分 名作のタイトルとあらすじをヒントに、似ても似つかぬ物語を生み出す。『みだれ髪』の主人公は「髪の毛がこんがらにもこんがり合う、絡まりボサボサ頭の女」に、『若きウェルテルの悩み』はコンタクトデビューを恥じらう高校生の話に変身した。モデル・滝沢カレンさん(31)の著書『馴染み知らずの物語』がハヤカワ新書から発売されました。朝日新聞のウェブメディア「好書好日」の人気連載に書き下ろしを加えた1冊です。 読書好きだが、読破した本は多くはない。数十ページめくってはその世界に浸って手が止まり、別の本、また別の本へと興味も移ってゆく。いつしか内容がごっちゃになって、全部読んだ気分になってしまう。 空想は日常生活でも際限なく…この記事は有料記事です。残り550文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

教育現場に向けられた「偏向」バッシング 背後にある政治的意図とは

 「教育は中立でなければいけない」。そんなことをよく耳にする。でも「中立」っていったい何なのだろう。「中立」の裏に政治的意図が隠されていることはないのか。大阪府の公立中学校で社会科を教えるベテラン教師、平井美津子さんに聞いた。     ◇ 大阪府内の公立中学校で社会科を教えて約40年になります。戦争を体験した人たちが少なくなる中、戦争の実態をきちんと生徒たちに伝えたいと思い、授業では「慰安婦」問題や沖縄戦、基地問題などを取り上げています。 大学の教職課程でも非常勤講師として教えています。今の学生たちは、普段からそう教えられているのか、「教師は中立でなければいけない」とよく口にします。中立って何なの、と聞くと「どちらにも偏らないこと」と言いますが、そんなことはありうるのでしょうか。 私たちは日々、情報を取捨選択し生きています。個人的な好き嫌いもあります。「私は中立です」と言った時点で、偏っていることを覆い隠そうとしている気がします。「両論併記」と歴史修正主義のワナ 文部科学省は学習指導要領で…この記事は有料記事です。残り923文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

多様社会の実現へ? 渋谷の公衆トイレ整備完了 6カ所は女性用なし

 性別や障害の有無を問わず、誰もが安心して使える公衆トイレに生まれ変わらせようと、日本財団と東京都渋谷区が協働して整備したトイレが完成した。汚い、暗いなどのイメージを変え、多様性を尊重する社会を実現する試みだ。 プロジェクト名は「THE TOKYO TOILET」。2018年以降、区内の公園など17カ所のトイレを改修し、今年3月に完了した。事業費21億円は、同財団と、プロジェクト発案者でファーストリテイリング取締役の柳井康治さんが個人で出資した。 23日には区への譲渡式があり、財団の笹川順平常務理事は「公共トイレを『みんなのトイレ』にする文化を作ることがプロジェクトの重要な役割」と説明。柳井さんは、多様な社会の実現のため「トイレを通じて新しいアプローチができないかと考えた」と振り返った。プロジェクトで整備されたトイレを巡っては、SNSで批判も起きました。「女性専用」の個室がないトイレも作られたためです。区はどのような姿勢で整備してきたのでしょうか。 トイレのデザインには、安藤忠雄さんや隈研吾さん、佐藤可士和さんら世界的な建築家やクリエーターら16人が参画した。 安藤さんデザインのトイレは「神宮通公園トイレ」(神宮前6丁目)。黒いハットを逆さにしたような円形状のトイレの外壁は、風や光を通す格子の作りだ。 建築家の坂茂さんの「代々木…この記事は有料記事です。残り601文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

実の娘2人に性的暴行繰り返す、男に懲役12年の判決 名古屋地裁

 実娘2人に性的暴行を繰り返したとして監護者性交等などの罪に問われた男に対し、名古屋地裁は23日、懲役12年(求刑懲役15年)の判決を言い渡した。大村陽一裁判長は「2人が実父である被告に厳罰を求めつつ、愛着も捨てきれないのも、犯行がもたらした影響の大きさを示している」と述べた。 判決は、中学校の低学年のころから男から性的暴行を受けていたとする長女と次女の供述が信用できると判断。男の無罪主張を退けた。 その上で、2019年12月の15歳だった次女への監護者性交等未遂▽21年6月の17歳だった次女への監護者性交等▽21年7月の長女(当時24)への準強制性交等▽2人のわいせつな姿が映った画像を撮影などした児童買春・児童ポルノ禁止法違反の全ての罪の成立を認めた。 判決は量刑理由で、長女に対…この記事は有料記事です。残り231文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

江戸期の農民たちが造った石橋、国宝に 災害乗り越え170年間現役

【動画】国宝に指定される見込みの石造りのアーチ橋「通潤橋」=山都町提供、杉浦奈実撮影 土木構造物として初の国宝が今秋にも誕生する見通しとなった。 熊本県山都町の石造りのアーチ橋「通潤橋」。豪快な放水風景で知られるが、江戸時代から利用されてきた現役の水路橋だ。 橋は、熊本地震や大雨の被害を乗り越えて今も台地の約100ヘクタールの水田を潤し続けている。 「国宝の中には時の権力者が権威づけにつくったものもあるが、通潤橋は私利私欲ではなく布田(ふた)さんが農民のためにつくったもの。うれしい」 「通潤地区土地改良区」総括監事で橋を先祖代々管理してきた中村豊光さん(72)は23日の文化審議会の答申に、笑顔を見せた。 「布田さん」とは、地元の惣庄屋(現在の町長)だった布田保之助(やすのすけ)(1801~1873)のこと。通潤橋を企画して工事の責任者を務めた。台地潤すため、近世最大級の橋造り 四方を谷に囲まれた白糸台地は、谷から水を引くことが難しく、農民は慢性的な水不足に悩まされていた。 その台地に約6キロ離れた笹…この記事は有料記事です。残り1007文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

父の「行くな」で生き延びた 沖縄戦の元学徒が誓う平和への願い

 戦後78年の「慰霊の日」を迎えた沖縄では23日、犠牲者を悼み、平和を祈る行事が各地で行われた。沖縄での防衛力強化をめぐり、玉城デニー知事が平和宣言で「苛烈(かれつ)な地上戦の記憶」と重ねたのと同様に、沖縄戦に動員された元学徒らは懸念を示した。 那覇市の上原はつ子さん(94)はこの日、沖縄戦で学徒動員されて犠牲になった同級生ら約60人を悼む糸満市の「梯梧(でいご)之塔」を訪れた。 78年前、那覇にあった昭和高等女学校の3年生だった。授業はなく、陣地構築にかり出されたり、包帯の仕方など看護の講習を受けたりした。帰り道に友人と軍歌を歌い「国や天皇のために私たちも戦う」と疑わなかった。 米軍が沖縄に迫った1945年3月末、空襲があった。兵隊の宿舎になっていた学校に看護のため向かおうとすると、父に「行くな」と止められた。看護に加わった同級生の中にはその後、戦闘に巻き込まれて亡くなった人もいた。「ショックでね。焼け野原を見ていると、自分も死んだ方が良かったんじゃないかと悩んだ」 沖縄戦で戦場に動員された県…この記事は有料記事です。残り561文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

今年も会いに来ました 沖縄「慰霊の日」 激戦地を訪れた人の思い

有料記事棚橋咲月 小野太郎 比嘉展玖 伊藤和行2023年6月23日 23時00分 今年も会いに来ました――。最後の激戦地となった沖縄本島南部の糸満市摩文仁(まぶに)には、約24万人の犠牲者の名前が刻まれた「平和の礎(いしじ)」がある。旧日本軍の組織的戦闘が終わった日とされる「慰霊の日」の23日、多くの人たちが花束や泡盛を手に訪れ、犠牲になった家族に思いをはせた。 「ここに来ると、会いに来たような気がします」 浦添市の安里恵美子さん(79)は、父の名前が刻まれた礎の前にたたずんだ後、そう語った。 防衛隊に召集された当時20代の父は1943年、戦死した。安里さんは翌年に生まれ、父の顔も、どんな人だったかも知らない。 だが、父は戦時中に腕を負傷し、傷痍(しょうい)軍人の申請ができたにもかかわらず再び戦地に赴き犠牲になったと、育ての親から聞いた。なぜ再び戦地に行かせたのか、育ての親は何度も悔やんでいた。 戦争の映像を見るのも、礎に足を運ぶこともつらくてできなかったが、孫が生まれてからは戦時中の出来事と向き合わなければと思うようになった。安里さんは礎を埋め尽くした名前を見渡し、「これだけの犠牲者がいる。伝えなきゃ」と力を込めた。 宜野湾市の福地陽子さん(85)は、平和の礎に刻まれた父、比嘉定昭さんの文字に触れ、つぶやいた。「4人の孫たちに自分と同じような経験をさせたくない」 思い出すのは、明るくユーモ…この記事は有料記事です。残り1028文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル