会員記事 大山稜、土舘聡一2021年8月5日 13時50分 元本保証や高配当を約束し、無登録で出資を募ったとして、警視庁は投資会社リプラス(東京都港区)の幹部ら7人を金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で逮捕し、5日発表した。2017~20年に全国の約1500人から計約80億円を集めたという。運用実態がなかった可能性が高いとみて、同庁は詐欺容疑でも調べている。 逮捕されたのは社長の山下寛子(48)=港区麻布十番2丁目=、運用担当の幹部だった白石勢輔(64)=住所不詳=の両容疑者のほか、元社員ら5人。 生活経済課によると、7人の容疑は2017年4月~19年3月、金融商品の取引資格がないのに首都圏の男女12人から計約3500万円を集めたというもの。認否は明らかにしていない。同社は株や先物取引で運用すると説明し、「毎月最大10%の配当を得られる」「元本を保証する」と出資を募ったという。 同社は13年5月に設立された。出資者によると、白石容疑者を「運用のプロ」とPR。社員が知人を誘ったり、客から知人を紹介してもらったりして顧客を増やした。捜査関係者によると、集めた金は運用せず、別の客に配当として渡す「自転車操業」だった。1人で1億円超の出資をした人もいたという。 ■「毎月10%の高配当」見せられた札束 「元金は保証されています。ご安心ください」 首都圏で会社を経営する50代男性は2018年1月ごろ、社会保険労務士の男からデリバティブ(金融派生商品)取引による投資話を持ちかけられた。 商品は幹部らが逮捕された「リプラス」のもので、100万円単位で出資すれば毎月10%の配当を得られるとの説明だった。「元本が保証されている」と男は強調。勧誘時に札束を見せながら、「私もやっています。配当金です」「安全な投資です」と説明した。 男は経営者団体の仲間で、信… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:591文字/全文:1351文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10日前に児相通告、皮下出血100カ所 大津小1死亡
独自 2021年8月5日 15時00分 小学1年生の妹(6)を自宅で蹴って死なせたとして、大津市内の兄で無職の少年(17)が傷害致死容疑で逮捕された事件で、妹が死亡する10日ほど前、2人が未明にコンビニエンスストアを訪れ、店からの通報で、県警が2人を児童相談所に通告していたことが、滋賀県警への取材でわかった。 県警は5日、少年を傷害致死容疑で大津地検に送検した。県警によると、妹の体には皮下出血の痕が100カ所ほどあり、肋骨(ろっこつ)が複数折れていたという。日常的に暴力を振るわれていた疑いもあるとみて捜査している。 県警によると、兄妹は母親との3人暮らし。7月21日未明、コンビニに兄妹だけで訪れ、不審に思った店の関係者が110番通報していた。警察官がかけつけ、児童相談所に通告したという。当時、妹に目立ったけがは確認できなかったとしている。また、兄妹について、以前に通報などを受けたこともなかったという。 兄の逮捕容疑は、この7月21日未明以降、8月1日までの間に、大津市内の自宅で、妹の腹や背中を蹴るなどして内臓破裂などの大けがを負わせ、1日に外傷性ショックで死亡させたというもの。県警は認否を明らかにしていない。 妹は1日朝、地元の児童公園から救急搬送されたが、すでに意識がなく、病院で死亡が確認された。公園にいた兄が、近所の人に「ジャングルジムから落ちた」という趣旨の説明をし、119番通報を頼んでいた。県警は、転落事故を装った疑いもあるとみて、詳しく事情を聴いている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上皇さまが名付けたハゼ2種 由来はまだらと染みでも…
宮内庁は6月、上皇さまが同庁上皇職生物学研究所の職員と共著で書かれた論文(https://doi.org/10.1007/s10228-021-00817-2)が、日本魚類学会の英文誌オンライン版に掲載された、と発表した。ハゼの研究者として知られる上皇さまの前回の論文は2019年の4月25日発行。同年5月に天皇を退位する直前だから、上皇として出される初めての論文となる。 論文では、40種程度を含む、オキナワハゼ属というグループの2種を新たに発表した。世界中で通じる科学的な名前である学名は「属名+種小名(しゅしょうめい)」で表す。2種の場合、属名はCallogobiusで、種小名はそれぞれ、albipunctatusと、dorsomaculatusと付けられた。 論文には種小名について、前者はラテン語で「白」と「まだら」などを意味する言葉が、後者は「背部」と「染み」や「おでき」を意味する言葉が由来とあった。 ただ、生き物の名前には、色や形などの特徴だけでなく、遊び心や命名者の思いが感じられるものも少なくない。最近も、中国で見つかった恐竜の足跡化石に、研究者がファンだというドラえもんの主人公、のび太君にちなむ種小名が付いた。 今回のハゼの日本語の名前、和名は、それぞれアワユキフタスジハゼとセボシフタスジハゼだ。共著者の池田祐二さんによると、両種とも、特徴的な色彩から付けられたという。 アワユキは「淡雪」。ひれと体に小さな白い点がたくさんあり、淡い雪が降っているように見えることによる。セボシは「背星」だ。第1背びれに黒色の斑があることからだという。ラテン語の「まだら」や「おでき」よりは、生物への愛情のようなものが感じられて、味わい深い名前だと思う。 生き物取材の現場では、こうした上皇さまのエピソードに出合うことがある。 記者が以前聞いたのは、上皇… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:311文字/全文:1102文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
エルメス、現金…長崎の会社で1.5億円相当盗んだ疑い
2021年8月5日 16時19分 長崎県の不動産会社から計1億5千万円分の現金やブランド品を盗んだとして、警視庁や長崎県警などは、名古屋市の男4人を建造物侵入と窃盗の容疑で逮捕し、5日発表した。東京都目黒区で2019年9月、マンションから計約17億円分の貴金属などが盗まれた事件があり、捜査の過程で男らが浮上したという。 警視庁によると、逮捕されたのは中古車販売業榎村勲武(31)=名古屋市守山区=、衣類店経営浅野翔(32)=同市千種区=、無職前田昴輝(31)=同=、職業不詳木村優一(32)=同市名東区=の4容疑者。 4人は4月12日未明、共謀して長崎県佐世保市の不動産会社の事務所に侵入。休憩室にあった現金約2900万円のほか、「パテック・フィリップ」などの高級腕時計やエルメスのブランドバッグなど76点(時価計約1億2千万円)を盗んだ疑いがある。前田容疑者は容疑を否認し、3人は黙秘しているという。 4人は中学時代からの友人で、現場周辺の防犯カメラの映像などから浮上した。事件の数日前に下見をした可能性があるという。警視庁などは目黒区の事件についても関与を調べる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
競技場前で、24時間営業続けた 老舗・ホープ軒の一日
会員記事 伊木緑、増山祐史、藤野隆晃2021年8月5日 16時25分 東京オリンピック(五輪)のメイン会場である国立競技場の向かい側。ラーメン店の「ホープ軒」(東京都渋谷区)は、1975年にいまの場所に店を開いて以来、年中無休・24時間営業を続けてきた。五輪が変えた風景と変わらぬ日常。4日朝からのまる一日を追った。 午前6時過ぎ。 個人タクシー運転手の山吹昇さん(62)が券売機の「もやしラーメン」を押した。「こってりしているけど、脂っこすぎない。無性に食べたくなる味なんだよ」。38年間、週に1度は欠かさず朝食にしてきた。タクシー仲間が多かった店に工事の作業員が目立つようになったのは、2015年に競技場の建て替えが始まったころからだという。「五輪が始まったらどれほど盛り上がるんだろうって、みんな期待を抱いてたよね」。でもコロナ禍もあって売り上げはさっぱり。「もっと忙しい夏になるはずだったのに」 午前9時過ぎ。 競技場で陸上が始まった。ア… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:2105文字/全文:2498文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「つくる会」系の中学歴史教科書は選ばず 横浜市教委
松沢奈々子2021年8月5日 10時35分 横浜市教育委員会は4日、定例会を開き、市立中学校の歴史教科書について、「新しい歴史教科書をつくる会」系の自由社版は不採択とした。2022年度から3年間、現行の帝国書院版の使用を継続する。 定例会では、校長や保護者らでつくる教科書取扱審議会の答申が報告された後、5人の教育委員が発言、全会一致で決まった。帝国書院版を評価する声のほか「すでに教材研究や授業計画が作成されている観点から(昨年採択した教科書と)同一が望ましい」として、教材の変更で生じる教員への負担を考慮する意見が目立った。自由社版については「配置や色使いなどでユニバーサルデザインの配慮が欠けている」などの指摘があった。 市教委は昨年、21~24年度に使う教科書を帝国書院版と決めたが、自由社版が今年3月、新たに検定に合格していた。(松沢奈々子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京タワーの下で追った白球 母校8強に「勇気」
コロナ禍で店の経営は苦しい。五輪は世界の人々が集う祭典のはずなのに、街には華やぎがない――。そんな心晴れぬ日々を変えてくれたのは、東京タワー(東京都港区)の足もとにある母校の後輩たちの奇跡のような活躍だった。 東京都中央区のそば店「築地さらしなの里」の4代目店主の赤塚滋行さん(47)は築地で生まれ育ち、港区にある中高一貫の芝中学・高校に進学し、硬式野球部で青春を過ごした。 東京タワーを仰ぎ見る校庭は狭く、外野フライの練習もままならない。進学校ゆえに練習時間が限られる。日が暮れるとタワーにともった明かりを頼りに道具を片付けた。 当時は同学年の部員が3人だけ。チームは弱く、進んでも2回戦までだった。ガールフレンドとのデートを楽しむ部員もいた。 だが、その後、チームは強化が進められた。シニアリーグに加盟し、中学の3年間も選手が試合に出られるようにした。 そして今年、夏の甲子園・東東京大会で野球部史上初の8強に進出した。先月29日、関東第一高校と対決した準々決勝、赤塚さんも店を抜け出し、江戸川区球場に駆けつけた。 芝高校側の三塁側スタンドは卒業生や在校生らでほとんど満員。芝の好プレーのたびに歓声があがり、ピンチの場面では励ますように手拍子がおこった。 5回に連続安打に失策もからんで8点を失い、7回コールドで敗れたが、4回までは両チームともに0点で互角の闘いぶりだった。「よく鍛えられた強いチーム。僕らの頃とは雲泥の差がある」。目を細めた。 30年前、1991年の東東京大会。1回戦の足立高校との試合で、背番号1を背負った高校3年の赤塚さんはマウンドに立った。 球威はそれほどなかったが… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1311文字/全文:2019文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
保育園バス死亡事故、炎天下で再現実験 温度上昇調べる
西田慎介、加治隼人2021年8月5日 11時38分 福岡県中間市の双葉保育園で倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)が送迎バスに閉じ込められ死亡した事故で、福岡県警は5日午前、車内の温度が当時どれくらい上昇したかを調べる再現実験を園の駐車場で始めた。午後までデータの収集を続ける。 冬生ちゃんを乗せたバスは7月29日午前8時35分ごろに園の駐車場に到着。冬生ちゃんはバス内に約9時間にわたって閉じ込められたとみられる。死亡推定時刻は午後1時ごろで、死因は熱中症だった。県警は業務上過失致死の疑いで調べている。 気象庁によると、事故当日は、中間市に隣接する北九州市八幡西区の観測地点で午前11時に33・1度の最高気温を観測。実験が行われた5日も、朝から強い日差しが照りつけ、園の駐車場に日陰はほとんどなかった。駐車場の一角に止められたバスの周りには警察車両が止められ、目隠しのブルーシートが張られた。 実験は事故当日と同様の気象条件のもと、ドアが施錠され、窓が閉められていた当時の状況を再現。車内の温度がどう変化するかを調べる。(西田慎介、加治隼人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多様性失った自民党、夫婦別姓議論はどうすれば進展する
夫婦別姓、決めるのは国会か司法か… 夫婦の姓を同じにしなければ結婚できない今の制度について、最高裁大法廷は2015年に続いて再び、憲法に違反しないと判断した。決定は「制度のあり方を考えるのは国会だ」としてボールを国会側に投げた。決めるのは国会か、それとも司法か。ボールはどこにあるのか。 元厚生労働相・舛添要一さん「やっぱり選挙 野党は公約掲げて争点化を」 ――選択的夫婦別姓をめぐる司法の合憲判断は、国会や行政にはどんな影響を与えるでしょうか。厚労相時代に薬害C型肝炎訴訟の和解合意などに携わった立場から、どうみえますか。 「C型肝炎訴訟は、大阪高裁の和解勧告により救済法の成立に至りました。また、同じく私が厚労相だった時には、国が敗訴を重ね、最終的に国が原告の『全員救済』に踏み切った原爆症認定集団訴訟もありました。これら二つについては司法の判断は大きかったといえます」 「二つの訴訟では、司法が証拠をよく研究して科学的なデータをもとに判断を下しています。これに対して、国会も行政も司法が間違っているとはなかなか言えません。肝炎の賠償額にしても、原爆症の認定範囲にしてもまず裁判所が土俵をつくり、被告である国側と原告ですりあわせていった。司法が調整役を担っていたのです」 「ただ、今回は、私が担当した訴訟とは違います。科学的なデータはありませんし、求められているのは基本的な仕組みづくりですから」 ――どういうことでしょう。 「たとえば、選択的夫婦別姓を導入すれば、姓の違う夫婦のもとで育つ子どもに悪影響を与えるという指摘がありますが、実際に影響があるのかも含めて検討し、それを防ぐための仕組みづくりまで司法がやるのでしょうか。こうしたことは、唯一の立法機関である国会がやるべきことでしょう」 ――司法の判断を待っているのではなく、国会が動くべきケースだということですか。 「2017年に内閣府が行った世論調査では、選択的な夫婦別姓を導入してもよいと答えた人が半数近くを占めました。世の中の流れは変わっており、国際的に見ても、夫婦同姓制を採用しているのは日本だけだと上川陽子法相が明らかにしています。国がつくった制度で不利益を被ることがあるのなら、制度を改めなければなりません」 「それに、今回の判断は国会に対する『最後通告』のような形で出されたと私は感じました。違憲とした判事は、国会で選択的夫婦別姓の具体的な検討をしてこなかったと批判しています。合憲とした判事も、同姓制で不利益を被る人がいることは認め、『立法機関である国会が不断に目を配り、対応すべきだ』としている。国会の怠慢という点では一致しています」 ――13年の違憲判決を受けて法改正された婚外子の相続差別訴訟などがそうですが、国会は司法が違憲と判断するまで動かない印象があります。 「婚外子の差別問題では、選挙で票にならないという意識が長く、国会議員の側にあったのでしょう。問題が注目されておらず、当事者も少ない段階では、国会で取り上げても当選できるほどの票の獲得は期待できません。全国各地で裁判が起こされ、メディアも報道し、違憲判断が出て、となってようやく動くものです」 司法からボールが投げられ、別姓に前向きな政党もあるのにどうして国会は動かないのか。記事後半で、舛添さんは自民党内に流れる空気感を理由に挙げます。また、元最高裁判事の櫻井龍子さんは、今回は司法から国会へのボールの投げ方が違ったと指摘します。そして、あと数年すれば「違う判断が出るはずです」と語ります。 ――野党や公明党は、選択的夫婦別姓の導入に前向きです。 「そうですね。それでも議論… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
容疑者の有力情報を今年入手 11年前の神戸の高2刺殺
神戸市北区の路上で2010年10月、近くの私立神戸弘陵高校2年の堤将太さん(当時16)が刺殺された事件で、兵庫県警が今年に入り、事件当時17歳だった愛知県のパート従業員の男(28)=殺人容疑で逮捕=が事件に関与していたことをうかがわせる有力な情報を入手していたことが捜査関係者への取材でわかった。 男は当時、現場近くに住んでいたとみられ、県警は堤さんとの接点を詳しく調べている。 男は10年10月4日午後10時45分ごろ、北区筑紫が丘4丁目の路上で、堤さんの体を刃物のようなもので複数回刺すなどして殺害した疑いがあるとして4日に逮捕された。県警は男の認否は明らかにしていない。 警察庁は12年12月、容疑者逮捕につながる情報提供者に最高300万円を払う捜査特別報奨金の対象とした。県警は目撃証言から作った似顔絵を公表して情報を募ってきた。それ以降、約920件の情報が県警に寄せられていたという。 捜査関係者によると、今年以降に入手した情報に、容疑者特定につながる有力な内容が含まれていた。県警は男が住む愛知県に捜査員を派遣して裏付け捜査を進めてきた。4日午前に男の自宅を訪れて任意同行を求め、愛知県警小牧署で逮捕した。 兵庫県警によると、堤さんは事件当時、中学生だった女性と自動販売機の前に座って話していた。約10メートル離れていたところで座っていた男が近づいてきて突然刃物で襲われたという。 堤さんは女性に逃げるよう指示した。その後、堤さんは約70メートル離れた横断歩道上で倒れている状態で見つかった。女性は当時、「知らない男だった」と話していたという。 「明るくて元気な将太さんへ」 現場で人々が祈り 神戸市北区の路上で2010年10月、私立神戸弘陵高校2年の堤将太さん(当時16)が刺殺された事件で、当時17歳だった愛知県のパート従業員の男(28)が4日、殺人容疑で逮捕された。事件現場には5日にかけて多くの人が訪れ、堤さんを改めて悼んだ。 事件現場では殺害された堤将太さんを悼み、手を合わせる人の姿があった=2021年8月5日午前8時15分、神戸市北区筑紫が丘4丁目、井岡諒撮影 容疑者逮捕が報じられた4日夜以降、神戸市北区の事件現場には花や飲み物などが次々と供えられた。 近くの主婦、高尾祥枝さん(… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル