山崎啓介2021年7月12日 21時43分 前回の緊急事態宣言の解除から1カ月も経たず、東京都に12日、4度目の緊急事態宣言が出された。繰り返される宣言の前後で、都内の人口の減少幅はどのように変わっているのか。主な駅付近の人出の変化について、NTTドコモの携帯電話の位置情報から滞在人口を推計するデータで調べた。それによると、昨年4月の1度目の宣言当時と最近とでは、状況に大きな変化があるようだ。 分析したのは1~4度目の緊急事態宣言の初日と、その2週間前の人出の変化。新宿駅(歌舞伎町)、新橋駅、渋谷駅、銀座駅、東京駅(丸の内)付近の5カ所について、日中の7日間平均の推定人口を集計した。 その結果、1度目の宣言が出た前後では約29%、2度目は約20%の減少が見られたが、3度目では約2%、今回の4度目でも約2%減だった。1度目と今回で減少幅が最も変化したのは渋谷駅周辺で、1度目は約40%減だったのが4度目では約1%と、宣言前に比べてほとんど減っていなかった。(山崎啓介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
再び始まったお酒我慢の日々 都が示す要請の「根拠」
新型コロナウイルス対応の4度目となる緊急事態宣言が12日、東京都に出された。前回の宣言解除からわずか21日。感染拡大の「急所」と言われる飲食店には、再び酒類の提供停止が要請された。我慢の日々が、また続く。 東京・新橋の焼き鳥屋「山しな」。仕込みをしていた店主の山科昌彦さん(46)の話に耳を傾けた。 こんなに早く、またお酒が出せなくなるとはね……。これまでの要請は全部受け入れてきた。お酒が出せないと、売り上げは8割減る。開店した2006年以来の危機だね。 【都内の飲食店は昨年4月以降、営業時間の短縮要請を断続的に受けている。3度目の宣言となった4月25日からは、酒類の提供停止の要請も加わった】 要請に従っているのに、「なぜ酒がないのか」と、お店に来ようとするお客さんから毎日のように言われて。時には怒鳴られたことも。気分が落ち込んだし、正直者が馬鹿を見る感じ。宣言の効果が薄れた表れなんじゃないかな。 3度目の宣言が解除された時は、お酒の制限は最後だろうと思ったんだけどね。都が配った「お酒の提供を中止しています」というポスターも、すぐに捨てちゃったよ。 【政府は今回の宣言に際し、協力金の前払いも検討するとしている】 最初からそうしてくれって。協力金は、申請から3~4カ月かかったこともあった。周りの店を見ると、時短営業を受け入れず、酒を提供する店もある。協力金が早ければ、そういう店もここまで増えなかったと思うんだけどね。 【西村康稔経済再生相は酒類を提供する店について、金融機関に働きかけるよう求める考えを示し、批判を受けて撤回した】 上から目線だよ。対策は必要だけど、他の方法があるでしょ。従業員の雇用を守るため、やむなく営業する店があるのもわかる。現場のことをわかっていないから出た発言だろうね。 でも今回も、時短と酒の提供中止を受け入れるよ。要請通りにして、「どこまでできるかやってやろう」っていう、負けず嫌いの意地もあるよね。守り切れば、思いっきり文句を言っても許されるでしょ。(藤野隆晃) 3つの条件で「感染リスクが高まる」 12日に4度目の緊急事態宣言期間に入った東京都では、一部緩和からわずか3週間で再び飲食店に対して、酒類提供の停止が要請された。新型コロナウイルス対策の「急所」とされてきた飲食店でなぜ、酒類提供の停止まで求めるのか。都が要請の「エビデンス」(科学的根拠)として示したのが、これまでの飲食店への営業時間短縮要請の経緯と、1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」との関連性だ。 4度目の緊急事態宣言期間に入った東京都は再び、酒類提供停止を要請。都がその「エビデンス」を示す一方、お酒の小売店からは、反発の声も。記事の後半でお伝えします。 「酒類提供を午後7時まで『… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
解除の福岡、屋台に明かり 再延長の沖縄、「我慢」続く
会員記事 山田佳奈 藤山圭、小川裕介2021年7月12日 22時20分 新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置の期間が終了した福岡県で12日、飲食店の酒類提供や営業時間の制限が約3カ月ぶりに解除された。福岡名物の屋台にも久しぶりに明かりが戻った。ただ、人流増加は感染再拡大につながるとして県は警戒する。一方、沖縄県は宣言再延長となり、苦難の日々はさらに続く。 福岡・天神の屋台「博多っ子純情屋台 喜柳(きりゅう)」は12日夜、2カ月ぶりに営業を再開した。経営者の迎敬之(むかえたかゆき)さん(46)は「全開で店を開けられて本当にうれしい」と話す。 1人客でも仲良く飲める雰囲気が好きで屋台の仕事に就いたという迎さんにとって、休業は苦渋の決断だった。この間、新メニューの開発に取り組んできたが、夜には屋台で客に酒を出す夢を何度も見た。 再開できても心配は尽きない。お盆の時期は書き入れ時だが「福岡でもまた感染者が増えるのではないか」。4月からの時短営業への協力金も届いていない。迎さんは「屋台をやめるつもりはないが、先が見えないのは不安。ワクチン接種を進め、感染拡大、休業要請の繰り返しを止めてほしい」と話す。 福岡市によると、市内に約100軒ある屋台のうち、緊急事態宣言期間中に営業していたのは3軒ほど。重点措置に切り替わっても10軒に満たなかったという。 中洲の屋台「わっぜか」は緊急事態宣言中、酒の提供をやめて時短営業を続けてきた。経営する上赤(かみあか)鴻志郎さん(30)は「緊急事態宣言中、お客さんがゼロの日もあった。重点措置期間中は10組に届くかどうかだった」と振り返る。 通常営業に戻り、「今日からまた頑張ります」。静岡県から旅行で訪れた女性の親子は「川からの風が気持ちよく、屋台は楽しい」と話していた。 天神のなじみの屋台に飲みに… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1126文字/全文:1873文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛知県の半数自治体で接種計画変更 ワクチン供給急減で
会員記事 岡本智、小林圭2021年7月12日 20時30分 政府から自治体への米ファイザー製新型コロナウイルスワクチンの供給量が減った影響について、愛知県は12日、半数ほどの自治体が接種計画を変更、または再検討しているとの調査結果を明らかにした。 計画を変更した、または変更を決めたのは個別接種14市町、集団接種15市町。計画変更を検討するのは、個別接種13市町、集団接種16市町。あわせると県内54市町村のうち、半数ほどが影響を受けている。 名古屋市は12日、区役所などで実施する集団接種の1回目接種の8月分予約枠を半減させ、3万2700人分にすると発表した。9月は1回目の接種を2日間のみ受け付け、あとは2回目接種のみ対象とする。かかりつけ医での個別接種を減らさないための措置という。 市に届いたのは6月が72万… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:276文字/全文:608文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国文化財の発電所遺構が一部倒壊 九州南部の大雨影響か
白石昌幸、藤原慎一2021年7月12日 20時30分 活発な梅雨前線の影響で、9日から10日にかけて記録的な大雨に見舞われた鹿児島、宮崎、熊本の3県では12日時点で、一部破損や浸水した家屋が計105棟確認された。鹿児島県では、鶴田ダムの湖底に残る国登録有形文化財の「曽木発電所遺構」(伊佐市)の一部が倒壊した。 鹿児島県によると、住宅2棟が一部破損し、98棟が浸水。がけ崩れや土石流が11カ所で発生し、北薩地域の養鶏場でブロイラー約2万羽が水死する被害が出た。宮崎県では住宅や店舗5棟が浸水した。熊本県では被害はなく、3県ともけが人はいないという。 伊佐市によると、大雨の後に川内川中流の鶴田ダムの水位を下げたところ、曽木発電所遺構の「機械室」と呼ばれる部分が高さ約8メートル、長さ約30メートルにわたって倒壊していたという。 遺構は、1909年に建造された水力発電所の跡。66年に鶴田ダムが完成して水没したが、梅雨や台風に備えてダム湖の水位を下げる5~9月にかけて、姿を現す。欧州の城を思わせるれんが造りの優美な姿で、2006年に国の登録有形文化財に指定されている。 市の担当者は「倒壊した詳しい原因は不明だが、大雨の影響が考えられる。関係機関と修復に向けて検討を始めたい」としている。 今回の大雨で鹿児島、宮崎両県の4地点で、1時間や24時間などの降水量が過去最多を更新した。一方、九州南部は大雨直後から太平洋高気圧に覆われ、気象庁は11日、九州南部が梅雨明けしたとみられると発表。福岡管区気象台によると、九州北部も近く梅雨明けするとみられるという。(白石昌幸、藤原慎一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不自由展「再開は無理、今後分からん」名古屋の河村市長
関謙次2021年7月12日 21時00分 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展「表現の不自由展・その後」出展作品の展覧会が、会場の名古屋市施設に届いた封筒の破裂事件で事実上中止のまま会期が終了したことについて12日、河村たかし市長は記者会見で、「差し迫った危険を超えた妨害が起きた。市民の安全を守るのは市長の義務だ」と、施設を11日まで臨時休館とした判断を妥当と強調した。 展覧会主催者は展示できなかった4日分の再開を求めているが、河村氏は「無理だ」。再び会場の使用申請があった場合については、「分からん」と市の対応について明言を避けた。 展覧会は6日に同市中区の市施設で始まったが、8日に施設あての封筒が破裂する事件があり、市が11日まで臨時休館とした。封筒には展覧会中止を求める一文が添えられていたといい、市は「一般に向けられていないのは明らか」として、定例休館日明けの13日から通常開館する。(関謙次) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「日本人専用」の貼り紙に批判 五輪関係者宿泊のホテル
東京都内のホテルで、館内のエレベーターや食事会場に、「日本人専用」「外国人専用」と書いた貼り紙を掲示していたことがわかった。ホテル側によると、五輪関係者が宿泊しており、新型コロナウイルスの感染対策として、一般客と接触しないようにするためだったが、「差別的」と批判の声が寄せられ、「誤解を招く表現だった」として11日、撤去したという。 このホテルは千代田区の赤坂エクセルホテル東急。ホテルによると、各階で4基あるエレベーターの前に2基ずつ「日本人専用」「外国人専用」と書いた貼り紙を、9日に掲示。外国人に対し、日本人との同乗を避けるよう案内する貼り紙もあった。食事会場や正面玄関にも同様の掲示をしたという。ホテルには同日から外国からの五輪関係者が宿泊しており、大会組織委員会の指針を踏まえた対応だったという。 この貼り紙とみられる写真がツイッターに投稿され、「人種差別では」と批判のコメントが相次いだ。ホテル側にも11日午前、電話やメールで約50件の批判や意見が寄せられ、同日中に全て撤去したという。 ホテル担当者は「感染対策の一環で、五輪関係者と一般のお客様の動線を分けることが目的だった。差別的な意図は全くなく、配慮が足りない表現となり反省している」と話した。 現在は五輪関係者のスケジュ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:262文字/全文:812文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
性暴力の前に巧みにつけ込む 忍び寄る「グルーミング」
「グルーミング」という言葉をご存じだろうか。動物の毛づくろいという意味の英語だが、子どもへの性犯罪では、犯人が巧みに被害者の心をつかんで接近する準備行動をいう。幼い子どもの従順さや思春期特有の悩みにつけ込み、被害者と「信頼関係」を結ぶため、周囲も気付かないまま加害行為が長期化することもある。 なんでも肯定してくれた「優しい人」 東海地方の10代の少女に話を聞いた。中学生だったとき、SNSアプリを通じて知り合った男から性的被害を受けた。 当時、友人との人間関係に悩んでいた。SNSの掲示板に悩みを書き込むと、男から反応があった。 友人とのいさかいについて打ち明けると、「うんうん、つらかったね」「君は悪くないよ」。どんな愚痴や悩みを書いても、ずっと肯定してくれ、相談に乗ってくれた。男のことを「優しくて良い人」と感じた。 趣味の話もした。少女が好きな歌手やアニメのことを話すと「それわかるわ」。共感してもらえたと思った。 SNS上で1週間ほどやり取りを続けた。男は「今度、ドライブに行こうよ」と言った。 なんでも肯定してくれる男を「自分のことをわかってくれる年上の人」と思い、信頼していた。誘いに応じて、会った。男がホテルの駐車場に車を入れたときも、何も疑っていなかった。 部屋に入ると男が急に強引に体を触ってきた。 見せかけの信頼関係を築いて被害者に近づき、周囲から孤立させる「グルーミング」。日本では米国ほど知られてはいませんが、処罰規定を設ける議論も始まっています。記事後半ではこうした動きや専門家の見方も紹介します。 それまで想像していた人とは… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1417文字/全文:2000文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
こだま、線路を間違える運行ミス JR西「大雨で混乱」
2021年7月12日 17時44分 JR山陽新幹線の新下関駅(山口県下関市)で9日午前8時40分ごろ、博多発岡山行きの「こだま842号」(8両編成)が停車予定のホームがある線路からそれて、駅を通過するための線路に入る運行ミスがあった。JR西日本が12日発表した。 同社によると、前を走る「のぞみ6号」への進路指令を誤ってこだまにも出したことが原因だという。こだまはいったん駅を通過し、後進してホームのある線路に入り直して駅に停車した。この作業のために1時間19分の遅れが生じたという。乗客は73人だった。 9日は大雨の影響でダイヤが大きく乱れていた。同社は「大雨による混乱で、指令員の役割分担の確認が不十分だった」(広報担当者)としている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教員免許更新制、文科省が廃止検討 うっかり失効の原因
伊藤和行2021年7月12日 13時54分 教員免許に10年の期限を設け、更新前に講習を受けないと失効する「教員免許更新制」について、文部科学省が廃止する方向で検討していることが、政府関係者への取材で分かった。教員の資質確保を目的に第1次安倍政権時代の2009年度に始まったが、教員の負担が増え、教員不足の一因にもなっていると、学校現場から批判が出ていた。 更新制については萩生田光一文科相が3月、中央教育審議会に「抜本的な見直し」を諮問した。中教審では廃止論が大勢で、8月にも廃止の結論を出す見通し。これを受け、文科省は廃止を表明し、来年の通常国会で必要な法改正を目指す方向だ。廃止となった場合、教員が受けてきた30時間以上の更新講習の代わりに、オンラインによる教員研修の充実などが検討されている。 更新制は「不適格教員の排除」を目的に自民党などが導入を求め、「教員の資質確保」に目的を変えて09年度に始まった。無期限だった幼稚園や小中高校などの教員免許に10年の期限を設け、期限が切れる前の2年間で計30時間以上、大学などでの講習を受けなければ失効するしくみだ。 ただ、夏休みなどに自費で受ける講習は多忙化する教員に不評で、文科省が今月5日に公表した調査では、約6割が講習に不満を抱いていた。更新期限があるため、定年退職前の教員が早期退職する動機となったり、産休や育休をとる教員の代わりに任用する教員が不足したりと、教員不足の一因とも指摘された。また、制度が複雑なため、現職教員が更新を忘れて教壇に立てなくなる「うっかり失効」も相次いでいた。 これまでの中教審の小委員会で文科省は、都道府県などが行う教員研修をオンラインなどで充実する案を提示した。委員からは「こういうことができれば更新制でなくてもできるのではないか」などと賛同する発言があり、廃止論が大勢となっている。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル