静岡県熱海市で発生した土石流は一気に谷をくだり、住宅を巻き込みながら海岸にまで達した。今回の災害にはどんな特徴があったのか。現地調査に入った専門家に聞いた。 土石流に襲われた伊豆山地区。国土地理院の分析では、土石流が流れ下った標高400メートル付近の最上流部から海まで、ほぼ一定の勾配(約11度)だった。通常、勾配が緩やかになると土石流の勢いは弱まる。しかし、今回の土石流は山を下った勢いのまま立ち並ぶ住宅をのみ込んだ。 現地を調査した山口大の山本晴彦教授(環境防災学)によると、土石流は川筋に沿って周囲より低いエリアを流れ下ったため、幅は広いところでも100メートルほどにとどまっていた。このため、谷沿いの住宅は全壊したのに、すぐ隣は被害を免れたという例が多数あったという。 一方、被害を受けた住宅では、2階まで土石流が及んだ建物があった。高さは3~3・5メートルに達したとみられる。道路脇の標識がひしゃげ、屋根がつぶれた乗用車もあった。山本さんは「土石流が横に広がらなかった分、破壊力が集中したのではないか」と話した。 今回の土石流は、火山由来と思われる土砂を多く含んでいた。京都大防災研究所の竹林洋史准教授(砂防工学)が中流部の斜面で含水率を計測したところ、50%を超えていたという。竹林さんは「足下の土砂はぬかるんでいて、水を含みやすい性質の土砂だと感じた。水はけの悪い地盤だったと考えられる。このような水を含みやすい土砂は大雨でなくても水をため込みやすく、地震でも土砂災害が起こりやすい」と解説する。 似た性質の土砂による災害は、2013年の伊豆大島や15年の熊本地震、18年の北海道胆振東部地震でも見られたという。「火山大国の日本は、こうした土石流のリスクが高い土砂の場所が多い。熱海市では発災のほぼ1日前に気象庁と県が土砂災害警戒情報を出していた。日頃からハザードマップで自分の住む場所のリスクを把握し、早めに避難することが必要だ」と話した。 今回の土石流は、不適切に造成された盛り土が崩れたことで破壊力が増した可能性が指摘されている。 土石流の起点と見られる盛り… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:681文字/全文:1578文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
トランスジェンダーの日常描く 当事者俳優と監督の思い
トランスジェンダー役はトランスジェンダー当事者俳優に――。近年、国際的にこうした動きが広がりつつある。日本でもトランスジェンダー役に当事者を公募し起用した短編映画「片袖の魚」が東京・新宿K’s cinemaで公開中だ。活躍の場が少なく、また劇的に描かれがちな現状に一石を投じたいという試みだ。バイセクシュアルを公表し、海外のLGBT映画祭にも詳しい東海林毅監督(46)と、トランスジェンダー女性でモデルとしても活動する主演のイシヅカユウさん(29)に聞いた。 当事者の役ですらチャンスがない ――トランスジェンダー当事者が演じることをめぐっては近年議論になっていますが、今回オーディションで当事者を公募した理由について教えてください 東海林 実は、まだ日本では議論すらないと思っているんです。ハリウッドとかでは実際にそういう流れになっている。 ある当事者の方と話をしていたら「日本でもトランスジェンダー役は当事者が演じるべきだ」とおっしゃるんです。でも僕も最初は、日本じゃまだ早いし、そもそもやってくれる人がいない、興行的に成立するかも分からないものを商業映画でやることは今の日本じゃ無理、と思っていた。 でも、なんで無理と思うんだろう、と。 結局、まだ誰もやらないから、いつまでたっても無理なんだということに気が付いて。だったら最初にやればいい、と思ったんです。 ――なぜそうした取り組みが必要だと考えますか 東海林 雇用機会の不平等をなくすということがまずあります。今の日本においては、トランスジェンダー役ですら(生まれたときの性別に違和感のない)シスジェンダーが演じるのが通例になっていて、当事者の役ですらチャンスがない。そうなると、当然芸能プロダクションもトランスジェンダーは雇えない、という話になってしまう。 まずそこを変えるためには、少なくとも当事者の役は当事者が演じたほうがいい、ということですね。悪循環を断ち切るための一歩です。 もう一つは表象の問題です。僕はバイセクシュアルですが、思春期の頃には、当時はやった(男性同性愛者をからかうような、バラエティー番組の)キャラクター「保毛尾田保毛男」のイメージに傷つきました。テレビやメディアに出てくる性的マイノリティーの表象は、当事者にとってロールモデルになってしまうこともあるし、周りの人間、非当事者にとっては、こういうものなんだと認識してしまう恐ろしさがある。 非当事者を中心に作り上げた時、どうしても喜劇的か悲劇的かどちらかに寄ってしまうことが非常に多い。一般的な存在として描かれにくい側面があって、いつまでたっても社会において異質な存在としてしか描かれないままイメージが再生産されてしまう。 ――イシヅカさんはなぜ応募しようと思ったのですか イシヅカ 普段私はモデルの仕事をしているんですけど、知り合いがこういうオーディションがあるよと教えてくださって、その中身に共感したし、とにかく何か少しでもこの企画に関わりたいという考えでした。 今までトランスジェンダーのことについて取り上げてもらう機会自体がすごく少なくて、それも当事者性がある取り上げ方というより、エンターテインメントとして消費するような取り上げ方しか私は今まで見たことがなくて、嫌な気持ちもすごくありました。 無言のカミングアウト ――今回の映画では、自分に自信を持てないトランスジェンダー女性が周囲の反応に戸惑いながらも前を向き、新たな一歩を踏み出していく姿を描いています 東海林 社会の異物として描くのではなく、一緒に生活しているトランスジェンダーという人なんです、という見え方を必ず守りたかった。そのためには過剰な演出をまず控えることも大切ですし、なるべく街の中の存在として主人公の姿を描くというのがポイントでした。 イシヅカ 本当に日常で生きて行く中で、ちょっと足を踏み出そうという主人公の物語だったというところにすごく共感して、うれしかったです。 ――主人公は、仕事先で性別に関係なく使える多目的トイレを勧められてひそひそ話をされたり、同窓会で特別扱いされたり。日常で感じる違和感のようなものも丁寧に描かれていると感じました 東海林 日本で日常において性的マイノリティーが受ける差別って、いきなり棒で殴られたり暴力を受けたりではなくて、むしろちっちゃいトゲみたいなもので常にチクチク刺される。小さいがゆえにこちらも強く言えない怖さがある。 そういうところが僕は日本の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京で614人感染 22日連続で前週の同じ曜日上回る
東京都は11日、新たに614人が新型コロナウイルスに感染しているのを確認したと発表した。前週の日曜日(4日)に比べ96人増え、22日連続で前週の同じ曜日を上回った。11日までの1週間平均の感染者数は733・9人で前週の126・1%だった。 新規感染者を年代別で見ると、20代が208人で最多。30代119人、40代109人、50代64人と続いた。65歳以上の高齢者は24人だった。 人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO)を使用とする都基準の重症者数は、前日より2人減って61人だった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京で1センチ大の「ひょう」降る 落雷や竜巻にも注意
2021年7月11日 17時04分 上空に流れ込んだ寒気や梅雨前縁の影響で、東京都内では11日午後、一部地域で大雨やひょうに見舞われた。練馬区では午後4時までの1時間で22・0ミリの強い雨を観測。気象庁は東京都や埼玉県、千葉県などに一時、竜巻注意情報を発表した。 気象庁によると、11日午後は日本の上空約6千メートルに零下6度以下の寒気が流れ込んだ。また、停滞している梅雨前線に暖かく湿った空気が入り込んだほか、東京都心で最高気温31・8度を観測するなど日中に気温が上がったことも影響し、大気の状態が不安定になった。東京都武蔵野市では午後4時前、粒の大きさが1センチ以上のひょうが降った。 西日本から東日本の広範囲で13日にかけて、局地的に積乱雲が発達しやすい状態が続く見込み。大雨になる地域もあるといい、気象庁は土砂災害への厳重な警戒のほか、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうへの注意を呼びかけている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
息子の交際相手をハンマーで殴った疑い 89歳の男逮捕
2021年7月11日 12時45分 息子の交際相手の女性(38)を殺害しようとしたとして、大阪府警は11日、大阪市西淀川区の無職の男(89)を殺人未遂容疑で逮捕し、発表した。男は「殺そうとまで思っていなかった」と容疑を一部否認しているという。 西淀川署によると、男は11日午前1時半ごろ、同区の自宅マンションの一室で、50代の息子の交際相手の女性の頭をハンマーで殴り、殺害しようとした疑いがある。女性は頭に軽いけがを負った。 男は息子と2人暮らしで、女性は10日から泊まりにきていた。女性は調べに「寝ている間に殴られた」と話しているという。 女性は負傷後にマンションを出た。通行人の男性が11日午前1時50分ごろ、「女性が出血している」と110番通報した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
木造住宅が全焼、1人の遺体を発見 山梨・南アルプス
2021年7月11日 13時43分 11日午前4時半すぎ、山梨県南アルプス市小笠原の木造2階建て住宅から出火し全焼した。焼け跡から1人の遺体が見つかった。南アルプス署によると、この家の男性1人と連絡が取れておらず、同署は遺体の身元や出火原因を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熱海土石流、女性1人の身元を確認 行方不明者18人に
2021年7月11日 14時00分 静岡県熱海市で起きた土石流で、県は11日、これまでに遺体が見つかっていた1人について、同市伊豆山の古川静子さん(77)と確認されたと発表した。死亡が確認されている9人全員の身元が判明した。 県によると、古川さんは7月6日に死亡が確認された。県が名前を公表した行方不明者に含まれていた。残る行方不明者は18人となった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Olympian Cristopher Mercedes pitches Giants past Tigers
Cristopher Mercedes, one of two Yomiuri Giants imports named to the Tokyo Olympic baseball rosters, allowed a run over 7⅔ innings in an 8-1 win over the Central League-leading Hanshin Tigers on Saturday. The win at Koshien Stadium trimmed the Tigers’ lead over the second-place Giants to 2½ games. Mercedes […]
絶滅危惧種の巨大鳥に命名ファミリア 手賀沼近くで捕獲
大久保泰2021年7月11日 10時30分 千葉県柏市周辺に出現し、6月に捕獲された巨大な鳥「ミナミジサイチョウ」の命名式が9日、市立手賀東小学校で開かれ、「ファミリア」と名付けられた。捕獲したペット業者が、鳥を見守ってくれていた同校に依頼した。 飼育していた茨城県内のペット業者によると、一昨年暮れに店から逃げ、昨年から我孫子市や柏市周辺で目撃され、行方を捜していた。6月5日に同校の近くで捕獲したという。 同校で最初に目撃されたのは今年2月。5年生の青沼正太郎さんが校庭で見つけた。同学年の川村百花さんが図書館で調べ、アフリカに生息する絶滅危惧種に指定されており、危害を加えるような鳥ではないとわかり、見守ってきた。 「ファミリア」という名前は家族を意味し、児童で話し合って決めた。児童代表が「もっとここにいてほしかったけど、いつまでも幸せに暮らしてほしい。手賀沼の宝です」というメッセージを贈った。 同校の児童数は59人。佐和伸明校長は「家族のような学校に大きな鳥が遊びに来てくれて半年間みんなで過ごすことができた。『ファミリア』が過ごしやすい場所だったこの手賀の豊かな自然を守っていきましょう」と児童に呼びかけた。(大久保泰) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アンダーパス水没注意 気づかずに進入、閉じ込め被害も
仙道洸2021年7月11日 10時30分 水害に特に注意が必要な季節になった。天気予報などである程度の予測はできるが、最近では突然の集中豪雨に襲われることもある。そうした時に怖いのが道路の冠水。国土交通省大宮国道事務所によると、埼玉県内の道路の冠水注意箇所は261。このうちアンダーパスが250あり、他県では死亡事故も起きている。 気象庁の統計によると、1時間に降水量50ミリ以上を観測した回数は増えている。1976~85年は年間平均で約226回だったが、2011~20年は約334回と、1・5倍近くになっている。 県内の道路でも毎年、大雨による冠水被害が起きている。県道路環境課によると、県管理道路では台風19号があった19年は85件発生。局地的な大雨も増えており、国交省大宮国道事務所などは県内261の冠水注意箇所をハザードマップにまとめているほか、注意喚起の標識や警報装置を設置するなどしている。 特に注意を呼びかけているのは、このうち250カ所を占めるアンダーパスだ。冠水に気づかずに車で進入して水没すると車内に閉じ込められてしまう危険がある。19年9月には三重県いなべ市のアンダーパスでトラックが水没し、運転手が亡くなっている。 川口市のJR武蔵野線東川口駅付近のガード下には4カ所のアンダーパスがあり、例年、冠水被害が発生している。市によると、昨年8月12日には同駅を含む戸塚地区を中心に1時間に88・5ミリの雨を観測。4カ所すべてが冠水し車が数台水没したが、1台は通行止めになった後に突っ込んでいったという。運転手は窓から脱出した。 市は周辺に看板や電光掲示板、水位が一定に達すると電光掲示板に「通行止め」と表示される仕組みの電子センサーを設置しており、一昨年から23年まで、豪雨の際に雨水を貯留することができる雨水貯留管の設置工事を進めている。市などの関係機関は道路冠水時の無理な通行はやめるよう呼びかけている。(仙道洸) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル