【動画】西日本豪雨から3年。家族と離れても故郷で農作業を続ける須増国生さん=白井伸洋、小林一茂撮影 6月中旬。岡山県倉敷市真備町は、昨日から続いた雨が昼前にようやく収まった。曇り空から光が差し始めると、一面に広がる田園地帯に張られた水がきらきらと輝き始めた。 そのなかを兼業農家の須増国生さん(60)が乗る田植え機が悠々と進んでいく。「だんだん、腕が上がってきたかな」。水害後、父は農業の一線を退き、手伝いだった須増さんが引き継いだ。1人での苗作りは1年目は失敗。2年目は集落の仲間からアドバイスをもらい、なんとか自前の苗を植えることができた。 田んぼの端に行き着くと、手伝いに来てくれた集落仲間が苗を手渡す。「以前は妻や子どもたちも手伝ってくれていたんだけど」 3年前の西日本豪雨。1級河川の高梁川や支流が氾濫(はんらん)。複数の堤防が決壊し、流れ込んだ濁流が住宅地をのみ込んだ。町内の3割にあたる約1200ヘクタールが浸水。約5500戸が全半壊し、51人が犠牲になった。町内の人口は水害前の2018年6月末と比べ、約1割減った。 西日本豪雨から3年。故郷で農業を続ける須増国生さん=2021年6月19日午後、岡山県倉敷市真備町、小林一茂撮影 当時、父母と須増さん夫婦、3人の子どもの計7人が一緒に暮らしていた。集落を囲む堤防が相次ぎ決壊し、辺り一帯を川から流入した泥水が覆った。一家は避難できたが、田んぼ計約8千平方メートルがつかり、農機は全滅。浸水した自宅は解体し、更地になった。足が不自由だった母は体調を崩し、翌年亡くなった。須増さんはいま、自宅跡から30分ほど離れた市南部の仮設住宅で暮らす。昨年まで妻と子どもたちも一緒に暮らしていた。 「もう真備には戻りたくない」。被災直後、妻から唐突に告げられた。水害への恐怖を子どもたちも忘れられないようだった。話し合いは平行線のまま。妻と子どもたちは昨春、仮設から10キロほど離れた倉敷市中心部に引っ越していった。それから連絡はほとんど取らなくなった。60歳を前に初めての一人暮らしが始まった。 農作業は夜まで続く。帰宅し、引き戸式の玄関を開けると、真っ暗な部屋の電気をつける。手と顔を洗い、庭に干していた洗濯物を取り込んでたたみ、風呂のスイッチを入れた。リビングのテーブルには次男のプレゼントにと、出張先で買い集めた飛行機の模型が残され、ほこりをかぶりながら所狭しと並んでいた。 台所で、スーパーから買ってきた焼きそばを袋から取り出した。料理は苦手だったが、焼きそばとカレーだけは得意になった。「以前は奥さんが作ってくれたんだけどね」。ため息のような笑いが部屋に広がった。20分ほどでできあがると、静かなリビングに、ドラマと、焼きそばを口にかき込む音だけが広がる。「疲れて帰っても、話せる家族がいない。何のために働いているのか」。缶ビールをごくりと飲み干した。 記事の後半では、須増さんが故郷の未来と家族の不安を取り除くために考えたアイデアを実行に移します。また、3年前の水害発生時から須増さんを取材してきた小林一茂記者の取材後記も紹介します。 寂しさとむなしさが募り、一… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
故郷で家族と暮らしたい 葛藤の3年間 西日本豪雨
小林一茂2021年7月6日 7時00分 西日本を中心に、甚大な被害を出した豪雨災害から6日で3年。住民51人の命が奪われた岡山県倉敷市真備町で、農業を続ける男性がいる。自宅を失い、家族とも離ればなれの生活を余儀なくされた男性の3年間とは――。 須増国生さん(60)。昼間は会社員として働きながら、週末を中心に農業をしている。「真備には戻らない」。被災直後、水害の再発を恐れた妻と子どもたちはそう告げて、昨春、市中心部に移った。人生初の一人暮らしを始めた須増さん。当たり前の存在だった家族の大切さに気づいた。 一方、生まれ育った集落は、にぎわいを失った。豪雨後、自宅の再建を断念し、離れていく住民も現れた。活気を失っていく故郷を自分の代で捨てることはできないが、再び家族とも暮らしたい。葛藤に苦しむ須増さんは近所の仲間たちと協力し、自宅があった周辺をかさ上げする計画を立ち上げた。故郷で家族と暮らせる日々が戻ることを信じて。(小林一茂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
担当者に「あなた誰?」 コロナが奪った高齢者との時間
札幌市内で高齢者の介護レクリエーション事業に携わるシニアライフカウンセラーの有馬敬子さんは4月、民間のサービス付き高齢者住宅(サ高住)に数カ月ぶりに出かけて、がくぜんとした。 以前は有馬さんを「先生」と呼んでいた女性は、顔を見ても「あなた誰?」という表情を見せた。施設内を歩き回る人が出たり、転倒して骨折・入院した人が出たりしていた。 有馬さんは業務委託を受け、市内のサ高住3カ所でレクリエーションを受け持っている。ゲームや塗り絵、体を動かしたりすることで高齢者の健康維持を助けてきた。しかしコロナ禍でそうした業務はままならなくなった。高齢者の楽しみの一つだったカラオケは一切できなくなった。 新型コロナウイルスの感染拡大は、高齢者が過ごす施設にも大きな影響を与えています。高齢者と接する業務が感染対策でできなくなり、高齢者の心身に影響を与え、こうした業務を担う人々の生活にも打撃を与えています。関係者は政府のきめ細かな対応の必要性を訴えます。 施設に移動販売の車が訪れることもなくなった。ちょっとした食料品や日用品の買い物は入居者の楽しみの一つで、レクリエーションのスタッフが買い物を手伝うこともあったが、その機会も失われた。 こうした小さなコミュニケーションの積み重ねで支えられていた高齢者の心身の健康に、少しずつ異変が出ている。「部屋にただいるだけになってしまっている高齢者をなんとかしてあげたい。ワクチン接種をもっと進めてほしい」 高齢者施設の経営に打撃も 道央圏を中心に訪問介護や居… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1350文字/全文:1877文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「母は行けない」と病院に電話 生存偽装か 冷蔵庫遺体
板倉大地2021年7月5日 20時23分 福岡市西区横浜2丁目の住宅の冷蔵庫から夫婦の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された次男の松本淳二容疑者(59)が、母親の通院先や市の福祉施設などに両親の生存を装う電話をしていた疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかった。淳二容疑者が事件を隠そうとした可能性があるとみている。 県警は5日、淳二容疑者を同容疑で福岡地検に送検した。 捜査関係者によると、死亡した松本満喜枝さん(87)の通院先の病院に6月21日、淳二容疑者とみられる男から「母親が入院するのでリハビリに行けない」と連絡があった。23日には、自宅を訪問する予定だった市の福祉施設に「24日に延期したい」と電話があったという。 淳二容疑者の父の博和さん(88)と母の満喜枝さんは、29日に冷蔵ショーケース内で死亡しているのが見つかった。司法解剖の結果、2人は21日ごろに亡くなったとみられ、電話があった時にはすでに亡くなっていた可能性があるという。 捜査関係者によると、淳二容疑者は6月23日に山口県へ移動。その後、秋田や岩手、神奈川などにも行き、今月4日に京都市内で逮捕された。各地を転々としていた理由について「現実逃避したかった」と供述しているという。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
九州北部豪雨4年、毎年続く浸水被害 筑後川に募る不安
42人が死亡・行方不明となった九州北部豪雨から5日で4年がたった。大きな被害を受けた筑後川流域では、その後も毎年7月に浸水被害が出ている。流域の住民は、雨量の多さに加え、山から流れた土砂が筑後川にたまっているためではないかと不安を募らせる。 「ハウスが水につかるのはもう4年連続。雨も多いけど、あの災害で筑後川にえらい土が来とって、水かさがすぐ上がるとよ」 福岡県朝倉市古毛のビニールハウスで6月下旬、田中好美さん(73)がこぼした。30年前から特産の博多万能ねぎを育てる。4年前の豪雨でハウス20棟が冠水した。その後も毎年7月に大雨でハウスが水につかり、ネギを廃棄してきた。「今年も不安ですたい。いつ水が来るじゃろうかって」 近くの朝羽大橋の下にはこんもりとした中州があり、下流側にも50メートルほど張り出す。「前は上流だけだったのに、広さも厚みも増した。こんな光景は初めて。豪雨以降、土砂がたまって、川幅が狭くなっている」。朝倉地域コミュニティ協議会の井上博之事務局長(66)は危機感を募らせる。 2017年の豪雨以来、筑後川沿岸は毎年浸水被害に見舞われています。住民は川にたまる土砂が原因ではと心配していますが、国や専門家はどうみているのでしょうか。 この地域に降る雨や水路の水… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1079文字/全文:1548文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「コンビニで酒買い車内で飲んだ」と供述 八街の事故
会員記事 多田晃子、上保晃平 伊藤繭莉2021年7月5日 21時00分 千葉県八街(やちまた)市でトラックが小学生の列に突っ込み児童5人が死傷した事故で、呼気から基準値を超えるアルコールが検出され、自動車運転死傷処罰法の危険運転致死傷容疑で送検されたトラック運転手梅沢洋容疑者(60)が「事故前にコンビニで酒を買って車内で飲んだ」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。車内からは焼酎の空の容器が見つかり、県警は事故前にどこで酒を飲んだかなどを調べている。 捜査関係者によると、梅沢容疑者は事故当日の6月28日、東京都内の建設現場に資材を運んだ後、八街市内の勤務先に帰る途中、コンビニで焼酎を購入。都内から勤務先に帰るまでに高速道路を利用しており、パーキングエリアに立ち寄ったとみられる。県警は、梅沢容疑者が車内などで飲酒した可能性もあるとみて、場所の特定を進めている。 事故は同日午後3時25分ごろ発生。下校中の八街市立朝陽(ちょうよう)小の児童5人が巻き込まれ、男児2人が死亡。女児1人が意識不明の重体となり、男児2人が重傷を負った。梅沢容疑者は同法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕された。 捜査関係者によると、現場近… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:730文字/全文:1216文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
最上流に大量盛り土なぜ 「強度十分」施工時から市認識
静岡県熱海市伊豆山で起きた土石流をめぐっては、最上流付近にあった盛り土の崩落で規模が拡大した可能性が指摘されている。盛り土はなぜ造られ、崩落したのか。同様の災害は過去にも相次いでおり、対策の強化を求める声も上がる。 「山が膨大な水を持ちきれなくなって噴き出て、その上にあった盛り土を押し流して被害を大きくした」 静岡県熱海市伊豆山で起きた土石流の最上流付近を視察した川勝平太知事は5日、発生の原因について報道陣にこうした見方を示した。「原因が、長雨の蓄積であることは間違いない」 盛り土は土砂を人工的に固めたものだ。熱海市によると、現場はもともと谷だったが、土砂が階段状に固められ、盛り土になったという。県によると、2010年以降の国土交通省のデータなどから、盛り土は約5万4千立方メートルあったと推定され、この盛り土を含めた10万立方メートルが崩落した可能性があるとしている。 この盛り土はどういった経緯でできたのか。 市によると、崩落現場を含む一帯の土地(約116ヘクタール)を神奈川県小田原市の不動産会社が06年9月に取得。「宅地開発をする」などと説明があったという。 約半年後には、崩落現場周辺… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1276文字/全文:1784文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教員免許に10年の期限「廃止して」 現場から多数の声
伊藤和行2021年7月5日 22時48分 教員免許に10年の期限を設け、講習を受けなければ失効する教員免許更新制について、文部科学省が現職教員2108人に行ったアンケートの結果が5日、公表された。自由記述の回答が1693人からあり、そのうち約50%の853人が「制度自体を廃止すべきだ。制度に意義を感じない」という趣旨の答えだった。 調査は文科省が委託した民間調査会社が4月28日~5月11日、全国の幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校の教員にインターネットで実施。結果は5日にあった中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教員免許更新制小委員会に報告された。小委員会はこの結果もふまえ、制度の存廃について結論を出す。 制度全般への自由記述(任意回答)は「廃止すべきだ」が最多を占め、理由として「研修がたくさんあり(更新講習は)必要ない」「経済的・時間的な負担、受講内容の有効性など様々な問題がある」などが挙がった。自由記述で次に多かったのが「受講料の支出(交通費を含む)が負担」で335件(19・8%)、「多忙・負担増の要因」が140件(8・3%)だった。 免許更新のため、2年間かけて30時間以上を受講しなければならない講習の総合的な満足度については、「不満」「やや不満」が計58・5%で、「満足」「やや満足」の計19・1%を上回った。一方、制度の目的である「最新の知識・技能を修得できる講習内容か」の質問には、「思う」「やや思う」が計52・6%で、「思わない」「あまり思わない」の計44・8%を上回った。ただ、「教育現場に役立っているか」という質問には「役立っている」「やや役立っている」が計33・4%で、「役立っていない」「あまり役立っていない」の計37・8%を下回った。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
安否不明64人、静岡県が氏名・性別を発表 熱海土石流
村野英一、藤牧幸一、黒田壮吉2021年7月5日 23時37分 安否不明者について、静岡県熱海市は当初、市への問い合わせなどから約20人としていた。ただ、正確な把握が困難として、伊豆山地区の住民基本台帳をベースに確認を進めている。安否が確認されていないのは5日午後8時すぎ時点で64人。4日午後8時時点では147人が判明していなかったが、その後、83人の確認が取れた。 県は5日夜、この64人の氏名や性別を発表。発表を通じて情報を募り、不明者数をさらに絞り込むためとしている。県はホームページでこの情報を公表した。県は「避難所に誰が避難し、誰が連絡が取れないのか明確にしたい」としている。(村野英一、藤牧幸一、黒田壮吉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【5日の詳報】ホテルに560人避難 安否不明者64人
【動画】静岡・熱海市伊豆山地区の土石流。海岸線まで爪あとが残る=熊倉隆広撮影 静岡県熱海市の住宅街を土石流が襲ってから丸2日。伊豆山地区では少なくとも約130棟の建物が被害を受け、いまだ安否不明の人も多くいるとみられます。5日の動きを詳報します。 土砂崩れが起きた現場の周囲には、消防や自衛隊など多くの車両が集結していた=2021年7月5日午前8時9分、静岡県熱海市、角野貴之撮影 20:10 きょうの捜索終了 安否不明者64人に 熱海市の斉藤栄市長が市役所で記者団の取材に応じ、午後6時にこの日の救助作業を終えたと発表した。 また、市が住民基本台帳に基づいて確認を進めている住民の安否では、安否が確認できていない人は64人に減ったことも明らかにした。避難所を集約した市内2カ所のホテルでは、560人超が避難を続けているという。 18:00 取り残された猫1匹を救出 警視庁の救助隊員が被災した集合住宅から猫1匹を助け出したことを同庁が明らかにし、当時の状況を説明した。 1階部分に土砂が流れ込んだ集合住宅。「中に猫がいるんです」。飼い主の女性の通報を受け、鍵を預かった救助隊員は4階の部屋に向かった。 押し入れに置いてあった棚の上に、猫の姿が見えた。手を伸ばしたが届かない。猫も棚から動こうとしない。 玄関に引き返した隊員は固形の餌を手にとり、猫の前に置いた。するとまもなく猫は餌に体を寄せ、待ち構えていた隊員に抱き寄せられた。発見から6分間の出来事だった。 猫はケージに入れられ、飼い主に引き取られていった。取材に応じた警視庁の担当者は「飼い主にとっては家族同然なので、救助できてよかった」と目を細めた。 土石流に襲われた集合住宅の室内から、警視庁の救助隊員が助け出した猫=2021年7月5日、静岡県熱海市、寺沢知海撮影 16:25 加藤長官「心温まるメッセージ、支援の姿勢に感謝」 加藤勝信官房長官は5日午後の記者会見で、今回の大雨による被害に対し、同日正午現在で台湾、豪州、韓国、英国など、14の国・地域や機関からお見舞いのメッセージや支援の申し出があったことを明らかにした。加藤氏は「日本国民、また日本政府に対して心温まるメッセージ、支援の姿勢を示して頂いたことに対して心から感謝申し上げたい」と述べた。 会見する加藤勝信官房長官=2021年7月5日午前11時24分、首相官邸、上田幸一撮影 16:00 1人の死亡確認、死者は計4人に 熱海市は、同市伊豆山で心肺停止の状態で見つかった1人について、死亡を確認したと発表した。性別は分かっていないという。 死者は計4人となった。 14:45 土砂から1人発見、心肺停止 2人は無事 熱海市は、同市伊豆山で土砂の中から1人を発見したと発表した。心肺停止の状態で、性別はわからないという。ほかに男女2人が救助され、命に別条はないという。 土砂や倒壊した家屋が国道に流れ込んでいた=2021年7月5日午前11時23分、静岡県熱海市、福留庸友撮影 14:00 「少しでもお役に」県内外から物資続々 熱海市役所には、県内外から救援物資が続々と届いている。庁舎内の会議室には飲料水やカップ麺、トイレットペーパー、マスク、消毒液などが入った箱が所狭しと積み上げられている。 市によると、土石流が起きた翌4日から届き始め、5日午前までに約300件を数えたという。送り主は県内と県外が半々。県外では首都圏からの支援が目立つという。 市内の女性(38)は、自家用車で介護用オムツや除菌シートなど100点余りを市役所まで運んできた。「被災地の伊豆山には知人も多い。少しでもお役に立てれば」 被災者の大半は避難所の学校や公民館から市内のホテルに移っており、生活環境は改善されつつあるという。市の担当者は「善意の品々が届き、感謝申し上げたい。長期戦の可能性もあるので、ホテルに輸送するなどして役立てさせていただく」と話していた。 市役所に届けられた救援物資=2021年7月5日午後2時24分、静岡県熱海市、中村純撮影 12:50 亡くなった女性の氏名公表 熱海市 土石流で倒壊した逢初(あいぞめ)川上流の住宅から救助され、後に死亡した高齢女性について、熱海市は同市伊豆山の鈴木チヨセさん(82)と発表した。 鈴木さんは4日朝に救助され、病院に運ばれた。搬送時は重症だったが、同日午後に死亡が確認されたという。 土石流による死者は計3人が確認されている。2人の身元はまだ分かっていないという。 12:10 熱海市長「不明者80人に」 熱海市の斉藤栄市長が市対策本部会議の冒頭、「3人の救出作業を進めている」と説明した。安否が確認できていない人は、5日朝時点の113人から「80人に減った」と述べた。 11:30 静岡県、不明者の氏名公開へ 土石流の被災地で、住民基本台帳に記載され所在が分かっていない人について、静岡県が氏名や住所、年齢などを公開する方針を明らかにした。県は熱海市と連携し、名簿を作る。県は「なるべく早く公表したい。避難所に誰が避難し、誰が連絡が取れないのか明確にしたい」としている。 11:30 菅首相「救命救助と被災者支援に全力を」 大雨により静岡県熱海市伊豆山で大規模な土石流が発生したことなどを受け、政府は5日、菅義偉首相を本部長とする「非常災害対策本部」を設置し、同日午前に1回目の会議を開いた。 会議で首相は「熱海市の調査に基づき、いまだ100人を超える方について安否確認を実施中だ。二次災害にも注意し、一人でも多くの命を救い、暮らしを守るため、速やかな救命救助と被災者支援に全力を尽くして頂きたい」と求めた。 また、「今回の梅雨前線は引き続き各地で大雨をもたらす可能性がある。地盤が緩んでいることから、雨が収まっても、土砂災害が発生するおそれがある」と指摘。国民に向け、「土砂災害を厳重に警戒し、お住まいの地域のハザードマップを改めて確認し、危険な場所に近づかないようにして下さい。気象情報や避難情報などに十分に注意し、早め早めに命を守る行動を取って頂きますようお願いします」と呼びかけた。 […]