ニュース

2児の父が放火殺人を起こすまで 「特異な凶悪犯」と切り捨てられぬ

【動画】ビル火災発生の約30分前、現場から1キロあまり離れた場所を自転車で走る容疑者とみられる男=大阪市福島区内の店舗提供 大阪市北区で昨年12月、クリニックが放火された事件で、大阪府警は16日、谷本盛雄容疑者(当時61)を殺人などの疑いで書類送検した。3カ月間にわたる捜査は実質的に終結した。 府警本部から北西に2キロ余り。現場となったクリニックが入るビルは、繁華街・北新地の一角にある。 今は府警の規制線もなくなったその建物は、目の前に立つと何の変哲もない小さなビルに見える。この4階の90平方メートルのうち25平方メートルが焼け、26もの命が奪われた。 惨事はなぜ起きたのか。私は死亡した谷本容疑者の足跡を同僚と共に追ってきた。 腕の良い板金工だった。25歳で結婚し、大阪市内に家を買い、2児の父になった。48歳で離婚。仕事をやめ、孤独感から自殺を考えるように。51歳の時に長男を包丁で刺した。確定判決は「被害者らを殺害して自殺する踏ん切りをつけようと考えた」と認定した。 判決はこう結ばれている。「…この記事は有料会員記事です。残り616文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「キレイなもんや」一転 街は廃墟と化した 体験記にみる神戸大空襲

 神戸をB29の編隊が襲ったあの日、いったい何が起きたのか。「神戸空襲を記録する会」が作成した「神戸空襲体験記 総集編」から再現した。3月17日 「いっぺん、上がってきて見んか、キレイなもんや」。炎に追われる少し前、父に誘われて2階の物干し台に出た落合重信さんは、高取山の方向で花火のような焼夷(しょうい)弾の光が散るのを眺めていた。 宝塚の航空機工場で働いていた横田正造さんの職場では連日、各都市の空襲のニュースが流れていた。10日に東京、12日に名古屋、13日には大阪が次々と壊滅的な被害を受けていた。 就寝直後に警戒警報のサイレンでたたき起こされた。「今夜はやられるかもしれない…と予感した」 まもなく、空襲警報がけたたましく鳴り始めた。B29の爆音も響いていた。「夜空を望むと照明弾が投下され、それに地上からの探照灯がさまざまに交差してはまばゆく真昼のように光りわたった」 兵庫区の長屋に住んでいた原田憲司さんも照明弾の輝きを見た。頭上ではB29の大編隊が旋回していた。米軍機から神戸港一帯に降り注がれる焼夷弾の雨=1945年6月5日、米軍撮影 外に出ようとした瞬間、天井でバリバリと音がした。「焼夷(しょうい)弾が一発、斜めに畳につきささり、すごい早さでグルグル回転し、白熱の火粉をまき散らしている」。一目散に家から飛び出した。 無数の焼夷弾が降り注ぐ中、狭い路地では右往左往する大勢の人たちの悲鳴と怒号が入り乱れていた。たちまち炎は広がり、立ちこめる煙で見通しが利かなくなった路地をひた走った。 当時6歳だった西村欣也さんは母、祖父、妹の3人の家族と別れて、安全な場所を探し回った。兵庫駅前の広場にたどり着くと、突然気を失った。足に爆弾か焼夷弾の破片が突き刺さったようだった。3月17日の空襲で一面焼け野原となった兵庫駅付近。焼け出された人たちがぼうぜんとたたずむ=1945年3月19日、朝日新聞大阪写真部・平谷一登撮影 翌日、母を待っていた西村さんのそばに、将校のような男性が近付いてきた。「お母さんのところへ連れていってあげるから」と声をかけられ、トラックの助手席に乗せられた。 「これはお母ちゃんと違う」。無残な傷を負って横たわる目の前の女性が、きれいだった母とはどうしても重ならなかった。 母は力の無い声で、祖父と妹がいなくなった理由を教えてくれた。生き残ったのは母と自分だけだった。6月5日 トアロードの近くで医院を営んでいた北義保さんは午前5時ごろ、警戒警報のサイレンで目が覚めた。 枕元のラジオのスイッチをひ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

過疎の市町村、初めて全国の過半数に 再起のカギはITまちづくり?

 人口減少に歯止めがかからない「過疎地域」に、総務省は4月、新たに27道府県の65市町村を指定する。全国1718市町村のうち885団体となり、半世紀前の制度開始後、半数を超えるのは初めてだという。 指定は過疎法に基づき、人口減少率や財政力指数などで決まる。最初の過疎法は1970年に施行された。その後、新たな法律ができ、更新されてきた。「過疎」は寂れた印象だが、国が返済額の実質7割を負担する過疎対策事業債(過疎債)を自治体として発行できるなど優遇措置が受けられる。 過疎地域は面積でみると国土の6割超。都道府県別では北海道が152市町村となり最多。島根県は全19市町村が指定されている。 大都市圏も例外ではない。2…この記事は有料会員記事です。残り717文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

上智大が教授を懲戒解雇 「教え子と不適切な関係」

2022年3月16日 13時29分 上智大学は、国際教養学部教授の林道郎氏を懲戒解雇処分にした。2月28日付。同大は、林氏が教え子と不適切な関係を持ったとし、「高い倫理観に基づき学生の模範となるような教育者の姿から逸脱した行為を行った」と処分理由を説明している。 近現代美術を中心に論じてきた林氏は、2019年の「あいちトリエンナーレ」をめぐる問題で、表現の自由や文化庁の補助金不交付について積極的に発言するなど、美術界では影響力のある存在だった。 林氏は取材に「大学の処分では『不適切な関係』という表現が出ていますが、ハラスメントの認定は一切ありませんでした。にもかかわらず懲戒解雇という判断が下されたことは、いささか不当だと感じています」とコメントした。林氏は20年から務めていた「美術評論家連盟」の会長職を昨年9月に辞任していた。 林氏をめぐっては、教え子だった女性が、指導教官という立場を利用して性的関係を強いられたなどとして損害賠償を求めて昨年4月に提訴。現在も係争中で、林氏は裁判のなかで、女性側が恋愛感情を示し、それにこたえるように恋愛関係になったなどと反論している。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

北海道新聞記者2人を建造物侵入容疑で書類送検 旭川医大内で取材

 国立の旭川医科大学(北海道旭川市)で昨年6月、学長解任問題を取材していた北海道新聞社の20代記者が建造物侵入容疑で現行犯逮捕された事件で、道警は16日、この記者と、建物内での取材を指示した旭川支社報道部の40代記者を同容疑で旭川区検に書類送検した。 同大では昨年6月22日、吉田晃敏前学長の解任申し出に関する審議が行われていた。北海道新聞社によると、同社は旭川支社報道部のキャップら記者4人が大学敷地内で取材。逮捕された記者は入社1年目で、キャップである40代記者から校舎内での取材を指示されたという。 大学側は新型コロナの感染対…この記事は有料会員記事です。残り127文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

認可前なのに受験料など値上げ、140万円誤徴収 「手続きに誤り」

2022年3月16日 10時01分 2月に三重県立看護大学の入学試験を受けた一部の受験生が、正規料金より高い受験料や入学金を払わされていたことが15日わかった。値上げに必要な議会の議決や知事の認可がないまま、42人から約140万円を余分に取っていた。県は「手続きの認識が不足していた」として差額の返金を検討する。 問題があったのは5月開設予定の「感染管理」の認定看護師教育課程。2月7日に入学試験があり、受験生42人から本来は3万550円の受験料を5万5千円取っていた。また、合格者16人には本来は10万1850円の入学金を県内在住者に11万円、県外在住者に16万5千円払うよう求め、14人が誤った額をすでに払い込んでいるという。 「感染管理」は従来の認定看護師教育課程より授業時間や実習が増える。準備費用なども含め、受験料や入学金の値上げを決めたという。ただ、上限額の引き上げには地方独立行政法人法に基づく議会の議決と知事の認可が必要になる。県が議案を議会に出したのは試験後の2月17日で、手続きが進んでいなかった。 医療保健部は「開設が新年度のため、3月中に手続きができればいいとの認識の誤りがあった」とミスを認め、受験生に差額を返金する方向で検討する。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

劇団四季の運営会社に罰金20万円 作業員転落「必要な措置講じず」

三井新2022年3月16日 10時05分 宮城県多賀城市で昨年6月、劇団四季の公演準備中に男性作業員が転落した重傷事故で、労働安全衛生法違反の疑いで書類送検された劇団を運営する「四季」(横浜市)と舞台監督の男性(49)=同市=について、仙台簡裁は8日、それぞれに罰金20万円の略式命令を出したことがわかった。 仙台区検が7日に同罪で略式起訴していた。区検などによると、作業員は昨年6月15日、多賀城市文化センターの舞台セットで2・47メートルの高さから転落し、頭を強く打って脳挫傷の重傷を負った。 区検は「手すりなどを設けず、墜落する危険を防止するため必要な措置を講じなかった」とした。(三井新)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ウクライナの学生70人を受け入れへ 授業料無償 福岡の日本経済大

 日本経済大学(福岡県太宰府市)は16日、学術交流の提携を結ぶウクライナのキエフ国立言語大学で日本語を学ぶ学生70人を、今月末までに受け入れると発表した。 日本経済大は2020年からキエフ国立言語大学と協定を結び、オンラインでの日本語講座や、現地の日本語教師向けの研修、学生同士による「日本語・ロシア語会話クラブ」などを通じ、交流を続けてきた。 今回、日本経済大から、日本…この記事は有料会員記事です。残り126文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「えらいこっちゃ、絵が…」泥靴で駆け込んだ助教授 その日の高松塚

 1960年代、奈良県明日香村内にあった小さな墳丘で、ショウガを貯蔵する穴を掘っていた農家が人工的な切り石を見つけた。 昔から、古墳であることは地元で知られていたが、発掘調査が行われたことはなかった。 「中にはきっと石室があるんやろうなあ」 村議1期目で、後に議会の観光特別委員長も務める関武は、考えを巡らせていた。30代後半のころだ。 飛鳥時代(6世紀末~8世紀初め)、この村は政治・文化の中心地。村内一帯に歴史的な遺産が眠る。中でも蘇我馬子の墓とされている石舞台古墳(国特別史跡)などが脚光を浴び、観光客が急増していた。 村は観光対策や村民の利便性向上のため、史跡などを巡る周遊歩道の建設計画を進めていた。「高松塚古墳のあたりはこれといったものがなくてね。発掘して石棺でも見つかれば、見学してもらう場所が増えるという思いがありました」 村は71年秋、発掘費用として50万円を計上し、奈良県橿原考古学研究所に発掘を依頼した。所員でもあった関西大助教授の網干(あぼし)善教が発掘責任者になった。 網干の実家は村内にある寺だ…この記事は有料会員記事です。残り1706文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

各地で出土の「釘」、実はアジアを変えた鉄? 沈没船からも次々発見

 全国各地の平安~室町時代の遺跡で出土し、これまで釘や農耕具の一部だと考えられていた棒状の鉄製品が、武器や農具の素材としてアジア各地で流通していたものであることが近年の研究で明らかになってきた。沈没船からの発見も相次ぎ、中国で大量生産され、輸出されたとみられる。中世の日本で刀やよろいの原料となって「武士の世」をつくったのは、中国産の鉄だったのかもしれない。 九州国立博物館(九博、福岡県太宰府市)では、13日まで企画展示「アジアを変えた鉄」が開かれた。中国製の青磁皿など希少な陶磁器が並ぶ中、会場中央の展示ケースに置かれたのは、同県朝倉市・才田(さいた)遺跡で出土した赤くさびた鉄製品。12~13世紀の在地領主の館跡である同遺跡では、居館を囲む溝から多数の棒状の鉄製品が出土した。 同展は桃崎祐輔・福岡大教授…この記事は有料会員記事です。残り1583文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル