有料記事 太田原奈都乃 大藤道矢2023年2月5日 14時00分 全国で相次ぐ強盗事件。それらとの関連が指摘される山口県岩国市の事件で有罪判決を受けた渡辺翼被告(26)=東京都江戸川区=は、もとは普通の会社員だったという。なぜ「闇バイト」に手を出し、犯罪に手を染めたのか。判決前、勾留されている山口刑務所で朝日新聞記者が接見した。 渡辺被告は面会室に現れると、記者を見て軽く会釈した。 上下ともジャージー姿。素朴な若者という印象だ。 接見は30分間。記者とアクリル板越しに向き合うと、被告は落ち着いた声で、事件について語り始めた。 SNSで応募、すぐに来た指示 平日は昼間に働く会社員だった。ただ、パチンコ通いで消費者金融に手を出し、借金があった。 返済のため、仕事を探し始めた。 ツイッターで検索すると、「闇バイト」のハッシュタグの付いた投稿がたくさん出てきた。多くの報酬は10万~20万円。 その中で、「日当100万円以上」という桁違いの求人が目についた。 昨年11月5日。ダイレクトメールを送るとすぐに、男の声で電話がかかってきた。 「動けますか」 山口県での強盗未遂事件で有罪判決を受けた被告。「闇バイト」に応募してから、遠く離れた岩国市で事件を起こすのはわずか2日後でした。接見した記者に、その2日間の出来事を語りました。 一定の時間が過ぎると交信記… この記事は有料記事です。残り1473文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新種のサンショウウオ、過去10年で50種増加 背景に在野の研究家
これまで知られていなかった小型のサンショウウオが近年、日本各地で相次いで見つかっている。DNA解析の進歩もあり、その数は過去10年で倍近い約50種になった。自然が豊かな北陸は、サンショウウオが好む地形や気候がそろった生息域の一つになっている。 岐阜県境に近い福井県南越前町の標高約570メートル。枯れたススキが揺れる山道を昨年11月、福井県両生爬虫(はちゅう)類研究会副会長の川内一憲さん(74)=あわら市=らと車で上った。沢の近くで車を止め、湿った落ち葉や腐葉土の隙間をのぞいた。「いたよ!」。クリッと飛び出た黒い目玉に、炎のような赤い背中の模様。「間違いない。ホムラだ」と川内さんが声を弾ませた。体長約10センチの個体はクネクネと身をよじらせ、落ち葉の奥に潜っていった。 「ホムラ」とは国立科学博物館の吉川夏彦研究員らが昨年2月に論文発表したホムラハコネサンショウウオのことだ。日本固有のハコネサンショウウオ属の新種で、石川や京都など本州中部の涼しい山地に生息する。普段は森にいるが、繁殖期は水場に出る。名前の由来となった炎(ほむら)の模様のほか、細身なのも特徴だ。 新種発表の基礎となっているのは、実は川内さんのような在野の研究家の調査だ。川内さんは機械製造会社員だった1993年夏、子供の理科研究のため、あわら市の山を歩いた。そこで川をのぞいた息子が「魚に足がある!」と言って見つけたのが最初のサンショウウオだった。 その後観察にのめり込み、希少なアベサンショウウオが福井や石川にいることを仲間との調査で初めて確認。学会にも出て京都大の専門家らと交流するようになった。2006年ごろからは南越前町や坂井市、おおい町を歩き回り、珍しい模様の個体を吉川研究員に提供。それが冒頭の「ホムラ」だった。 「ホムラ」の発表で小型サンショウウオは計46種になったが、大半は絶滅しかけている。ゴルフ場や林道の開発で生息地が狭まっているうえ、外来種のザリガニやウシガエルに卵を食われたり、愛好家に捕獲・密売されたりしている。 生き物が年々減ることを危惧する川内さんは、17年から地元小学校の野外授業で里山の生態系を紹介。「どれほど貴重な生き物がいるか、まずは発見し、知ることが保護の第一歩になる」と語る。今年も約100カ所ある調査地点を見回り、34冊目の観察ノートに記録を刻むつもりだ。(乗京真知) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
松山のコインランドリーで高齢女性刺され死亡 交番に電話の男を逮捕
2023年2月5日 15時28分 5日午前10時すぎ、松山市土手内の愛媛県警松山西署北条交番に「コインランドリーで人を殺しました」と電話があった。署員が同市河野中須賀のコインランドリーに駆けつけたところ、背中を刺された女性が倒れており、現場にいた男を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。 逮捕されたのは、近くに住む無職中川晃成容疑者(21)。「間違いありません」と容疑を認めているという。女性は救急搬送中に死亡が確認された。署は、殺人容疑に切り替えて調べる方針。 署によると、女性は70代くらいで、身元を調べている。現場で包丁のようなものを押収したという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
二代目マスターはまだ道半ば 日常に寄り添う味わい求め、学び続ける
有料記事 田中慶一=ライター2023年2月5日 12時00分 喫茶ルプラ(大阪) 店主の西峯雅仁さんが、先代の急逝により家業を継いだのは20代だった10年前。 当時はシェフとして修業中で、コーヒーについては素人。一から学ぶべく、教室やセミナーに片っ端から足を運んだ。 二代目として新味を打ち出すべく自家焙煎(ばいせん)を始め、毎年ベトナムのコーヒー農園を訪問。「日に2、3回飲んでも飽きない、日常に寄り添う味わい」を求め、新たなブレンドをはじめ、豆の種類も10以上に充実させた。 さらに料理の経験を生かして… この記事は有料記事です。残り326文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1杯1千円は安い? 訪日客に人気のラーメンにみる「安すぎる日本」
ラーメン1杯1千円以下は安すぎるのか――。そんな論争がネットを中心に巻き起こっている。きっかけは、海外在住経験の長い、元サッカー日本代表の本田圭佑さん(36)が1月9日、ツイッターに投稿した内容だ。 「ラーメン屋。あの美味(うま)さで730円は安すぎる。もうちょっと値上げするべき。ってか色んな業界がもう少し値上げするべき。高すぎるか安すぎるかの両極になり過ぎ。次ラーメン食うときは2000円支払います。必ず。」 本田さんの投稿は、1900万回以上表示された。ツイッター上では「千円でも高いのに」や「ラーメンが2千円になったら食べられない」と批判的な意見が出た一方で、「先進国では2千円があたり前」という声や、「ラーメンは二千円になっていいし日本人の給料は2倍、いや3倍になっていい…どっちも安すぎるんよ」などと、物価だけでなく賃金が低すぎる日本社会の問題を指摘する声もあった。 日本政府の水際対策が昨秋に緩和されて以降、外国人観光客は戻りつつある。訪日客は日本のラーメンの価格をどうみるのか。 米国からの観光客 「ニューヨークでは倍以上の値段」 「やっぱり日本のラーメンは一味違う」。1月下旬、東京都中央区の一風堂銀座店で、米ニューヨークから訪れた会社員のアンデス・リーさん(23)は、満面の笑みを浮かべて麺をすすっていた。 リーさんが注文したのは、ラーメンとギョーザ、ライスがセットになった定食(990円)だ。「ニューヨークにも一風堂があるが、倍以上の値段でチップも必要。日本の食べ物は安くておいしい」と話す。 水際対策の緩和に加えて円安の追い風もあり、日本で再び増えてきた外国人観光客たちは口々に「日本のラーメンは安くておいしい」と言います。一方で、富裕層の需要に応えようと1杯5千円を超える高級ラーメンも登場しました。記事の後半では、「安すぎる日本」について探っていきます。 一風堂はグループ全体で、国… この記事は有料記事です。残り2017文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熱海の土石流はなぜ起きたか 研究続ける教授、着目した盛り土の由来
2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流の起点とされる盛り土は、どこから持ち込まれたのか。どんな仕組みで崩落したのか――。静岡大学防災総合センター長の北村晃寿教授(60)=地質学=らのグループは発生直後から現地に入り、学術的な観点から研究を続けている。現場に残っていた土砂などの分析から、どんなことが分かってきたのか。 記録的な大雨に伴う熱海市の土石流災害は21年7月3日に発生。災害関連死を含めて27人が死亡し、1人が行方不明になっている。県によると、土石流発生前に盛り土は7万立方メートル以上あったとされる。 北村教授らは土石流が流れた逢初(あいぞめ)川上流部に残った盛り土や土石流から土砂を採取。含まれていた貝殻や化石、堆積(たいせき)岩(チャート)などを調べ、どこから持ち込まれたのかを探った。その結果、熱海市に近い神奈川県小田原市や相模湾の海岸など、同県中部から西部の地域が浮上した。 まず、土砂から見つかったマガキの仲間の貝殻について放射性炭素年代を測定し、約7500年前のものと判断した。この年代で同じ種類の貝殻が見つかる地層があるうえ、1990~2000年代に工業団地や宅地造成で土が採られたことを根拠に、「①小田原市の中村川下流域の可能性が高い」と分析した。 土砂の出どころは複数箇所の… この記事は有料記事です。残り1218文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
火山島でレモンを育てる、全島避難後に戻った故郷で新たな挑戦
緑のまるまるとしたレモンが木に実っている。「この島の土と気温と、相性がいい」と浅沼浩希さん(46)は手にとってほほえむ。収穫量はまだ少なく、都内の飲食店に直売しているが、「これからもっと増やしていきます」と話す。 伊豆諸島三宅島で生まれた浅沼さんは、1983年、小学1年の時に雄山の噴火を体験した。ゴーゴーとすごい音で昼寝から跳び起きた。「『20年おきに来る』と祖父母から聞いたのはこれだ」と思った。溶岩流はゆっくり広がり、阿古地区の400棟以上の住宅がのみこまれた。ただ人的被害はゼロ。パニックになった記憶はない。「経験が受け継がれて、島民は心構えができている」という。 2000年7月の噴火は東京・渋谷の街角のテレビニュースで見た。日大芸術学部で写真を学んでいた4年の時。実家の商店「正大ストア」も大変だろうと島へ戻った。夏休みも終わり、都心へ戻った後に全島避難になった。父と兄は避難先の渋谷区笹塚で新たに店を構えた。 火山島・三宅に魅せられ移住した人、戻った島民たちは様々な分野で活躍する=中山由美撮影 復興作業が始まって02年… この記事は有料記事です。残り800文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
願いは「食」以外にも 患者や家族の本音に耳を傾ける
歯科衛生士 丸岡三紗さん 今回取り上げるのは、山下道治さん(享年72)です。「神経サルコイドーシス」という難病を患っていました。香川県まんのう町の自宅を私は訪問していました。 道治さんには、2017年4月から、関わり始めました。元々は大学病院で治療を受けていましたが、「家に帰してあげたい」と、看護師である妻喜代子さん(75)が自宅での看取(みと)りを決めました。 退院当日に、医師や歯科医、看護師や歯科衛生士、ケアマネジャーなど多職種が自宅に集まって担当者会議を開催。当歯科診療所のある琴南地区は、在宅医療介護連携会議を月1回開いており、いちいち自己紹介から始めなくてもいいメリットがあります。口から食べることについて、ご家族から相談がありました。そこで言語聴覚士につないで、のみ込みの評価をしてもらいました。 でも、ご本人は食べることに… この記事は有料記事です。残り1072文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ネコのペットロス 相棒のハムスターの死で、まるの毛が「抜けた」
「まる」が脱毛症になった。 耳の後ろ、硬貨よりは少し小さい10円ハゲ。 昨年春のことだ。 慌てて獣医師にかかる。 「環境に変化はありましたか?」 思い当たるのは一つしか無い。一緒に暮らしていたハムスターが数日前に亡くなった。 「それですね。ペットロスです」 ネコがペットロス。驚きながらも思い出す。 8歳となる「まる」と2歳を… この記事は有料記事です。残り606文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
おおたとしまささんに聞く 志望校落ちて得る「果実」 入学前の心得
中学受験も終盤です。第1志望に不合格だった家庭の向き合い方や入学までの心得について、中学受験に詳しい教育ジャーナリスト、おおたとしまささんに聞きました。 ――今年の中学受験も終盤を迎えています。 まずは、まだ受験が残っている方。最後まで精いっぱい力を出し切って頑張ってください。これまでの努力が実ることを心から祈っています。 第1志望が残念ながら不合格だった方。思い通りの結果が得られなければ、傷つくのは当然。でも人生において、傷つくことは失敗ではありません。失恋と同じで、悔しさ、ほろ苦さを味わうことは、これからの人生に決してマイナスにはならない。 本人より親の方が引きずって… この記事は有料記事です。残り1969文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル