映画を無断で短く編集した「ファスト映画」をネットに投稿したとして、著作権法違反で有罪になった3人に対し、大手映画会社など計13社が5億円の損害賠償を求めた訴訟で、3人の被告のうち2人に対する判決が17日、東京地裁であった。杉浦正樹裁判長は2人に請求通り計5億円の賠償を命じた。 ファスト映画をめぐる民事訴訟の判決は初めてとみられる。 被告らは2021年6月に宮城県警に逮捕され、同年11月に仙台地裁で有罪判決を受けて確定した。民事訴訟では事実関係は争われなかったが、ファスト映画で被った損害額を裁判所がどう算出するのかが注目されていた。 映画会社側は「損害は再生1回あたり200円を下らない」と主張。被告らがアップしたファスト映画64本の再生回数は計約1千万回に上り、約20億円相当の損害が生じたとして、その一部を請求していた。 損害の算出根拠としては、ユーチューブで配信される映画の価格(おおむね400円以上)をもとに、デジタルプラットフォームに支払う手数料や、映画が丸ごとアップされたわけではないことを考慮した、としていた。 訴状によると、被告側はユーチューブにチャンネルを開設。「シン・ゴジラ」や「おくりびと」などを、10~15分程度にまとめたファスト映画を公開していた。東宝や東映、日本テレビなど、大手の映画会社やテレビ局などが、今年5月に提訴していた。(田中恭太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「東大生ばかりではダメ」 林業の常識覆す「怠け者」のスギ3本作戦
「怠け者の森林経営」と呼ばれた森林管理のやり方が注目されている。 そのやり方は、林業の常識とは異なるスギの育て方だ。小さな女の子がくれた一言がヒントになった。 11月上旬、秋田市の郊外。秋田杉を生産する佐藤清太郎さん(78)に案内され、所有する「健康の森」に入ると、驚かされた。 明るく「紅葉するスギ林」 本来は暗さで覆われる常緑針葉樹のスギ林が明るい。 混ざって生える広葉樹のコナラやカエデが色づく。葉が落ちたすき間からは、光が差し込む。ちょうど同じ時期に遊びに来た園児たちが楽しそうに歓声をあげていた。 「紅葉するスギ林です」と佐藤さんは表現する。 この森は林業の常識から外れる、スギ6割と広葉樹4割の針広混交林だ。佐藤さんが40年ほどかけて育ててきた。 日本の森は元来、その土地にあった木々が育つ。だが戦後、復興のために木材需要が急騰した。そこで国は、広葉樹林を伐採し、建築用材として需要が見込まれ、成長が比較的早いスギなどの人工林を広げる拡大造林政策を進めてきた。 秋田県も毎年1万ヘクタールを造林する運動を展開し、スギ人工林の面積が日本一を誇る。 代々農林業を営む佐藤さんも長い年月をかけて、スギを一面に植えてきた。 最初は一般的な造林法にならっていた。スギの植林は1ヘクタールあたり3千本を碁盤の目のように1.8メートル間隔で植え付け、雑木を取り除く除伐のほか、間伐(間引き)を数回繰り返す。こうした保育作業を重ね、最終的に2千本を切り捨てて、70~100年かけて大木を育てる。 しかし、木材価格が1980年をピークに下落すると、山からの収入では造林や保全の費用を捻出できなくなった。人口減少で山村の働き手も減り、いまでは秋田県の人口減少率が全国一になっている。 佐藤さんはその頃から、山林をもっと生かせないかと、森の一部を一般の人たちに開放した。医師や学者、街に住む市民ら県内外の幅広い人と知り合い、長い目で森と人の関係を一緒に探った。 そして40年以上前から、森林浴をしたり、生物多様性を意識した森作りをしたり、子どもたちが森で遊びながら学んだりする「森の保育園」を開いてきた。 記事の後半では、佐藤さんが挑戦する、林業の常識とは外れた植林法について紹介します。そして、その森に列島に大きな被害をもたらす台風が襲来します。 そこで心に響いたのが、間引… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
店の名は「不真面目商店」 店主は現役東大生、生まれる出会いの場
有料記事 ライター・田中泰子2022年11月17日 10時00分 鳥取市中心部の閑静な住宅街に今年8月、風変わりな店がオープンした。店名は「不真面目商店」。 築約70年の空き家を改装した1階の土間と奥座敷には、38個の棚。それぞれに並ぶのは、アクセサリーや雑貨、古着、本などさまざま。 すべて、棚ごとにレンタル料を払って「たなオーナー」になった地域住民が、手作りしたり、愛用したりしていたものを販売や展示している。 営業は週4日。毎週木曜には午前7時から投げ銭方式でコーヒーがふるまわれ、通勤前に立ち寄る人、おしゃべりを楽しみに来る人でにぎわう。 店主を務めるのは、東京大工学部4年の藤内道広さん(23)。縁もゆかりもなかった鳥取で、地域活性化の「実践」に取り組んでいる。 藤内さんは北海道出身。10… この記事は有料記事です。残り924文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
笠松競馬場の馬が逃走、ゲート突破し一般道に 厩務員ら2人けが
松永佳伸2022年11月17日 10時13分 岐阜県地方競馬組合は、運営する笠松町の笠松競馬場でオスの競走馬(4歳)が逃走して一般道に出る事案があったと、15日に発表した。約50メートル走ったところで捕まった。オス馬に乗っていた厩務(きゅうむ)員ら2人が腕の骨を折るなどのけがをした。 組合によると、15日午前8時50分ごろ、専用馬道で調教を終えて厩舎(きゅうしゃ)へ向かっていたメスの競走馬(3歳)が暴れ出した。厩務員の手綱を振り切って走り出し、前方を歩いていたオス馬に衝突。メス馬はその場で確保されたが、オス馬が驚いて逃げ出し、馬道東端のゲートを突破して一般道に出たという。 組合は「放馬事案は重大な事故に発展する危険性があり、今後も関係者一同、より一層気を引き締めて再発防止に努めていきたい」とコメントしている。 笠松競馬場では2013年10月、逃げ出した競走馬が軽乗用車と衝突し、運転していた男性が死亡する事故があった。また、19年6月にも競走馬が施設外へ逃げ出したことがあり、ゲートの強化など対策に取り組んでいた。(松永佳伸) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
久子さまがコロナ感染、皇族で5例目 18日の行事出席取りやめに
多田晃子2022年11月17日 6時30分 宮内庁は16日、高円宮妃久子さまが新型コロナウイルスに感染したことが確認された、と発表した。今は36度台の平熱で、のどの違和感が残っているだけといい、宮邸で療養するという。皇族の感染は5例目。 同庁によると、久子さまは15日夜に38度台の発熱があり、16日にPCR検査を受けたところ、陽性と判明した。18日に予定していた東京都内での高円宮杯第74回全日本中学校英語弁論大会決勝大会及びレセプションへの久子さまの出席は、取りやめるという。(多田晃子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旧統一教会への質問権行使、21日にも審議会に諮問へ 文科省方針
文部科学省は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に「報告徴収・質問権」を行使して調査に入るため、21日にも宗教法人審議会に質問事項などを諮問する方針を固めた。文科省は審議会の了承を得たうえで質問を教団に送って調査を始め、集まった証拠を基に、裁判所に解散命令を請求するか判断する。 宗教法人法は、報告徴収・質… この記事は有料記事です。残り330文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
発表2日前、日銀局長からの電話 拓銀破綻、受け皿の北洋銀で何が
有料記事 聞き手・日浦統2022年11月17日 7時00分 1997年11月17日、北海道拓殖銀行は破綻(はたん)した。道内の店舗網を北洋銀行が譲り受けることはその2日前に決まっていた。信用不安を引き起こさないため、金融当局が調整したからだ。札幌商工会議所の高向巌名誉会頭(83)は当時、北洋銀の副頭取として最前線で陣頭指揮をとった(その後同行頭取)。「北海道経済を支えるという大義」があった25年前を振り返り、得るべき教訓を語ってもらった。 ――破綻前の拓銀をどう見ていましたか。 「やはり道内ナンバーワン・バンクで非常に力もある。ただ、(財務状況が)だいぶ弱っていることはわかっていた」 「営業譲渡の話は15日に来た。午前11時に日本銀行の増渕稔信用機構局長(当時、以下同じ)から私に電話が入り、大蔵省の内藤純一銀行課長から拓銀が事業継続を断念し、北洋が受け皿になるということを初めて知らされた」 「それ以前から、万が一の場合、拓銀と合併できるかという話はあった。(元日銀マンの)武井正直頭取と私、日銀の本間忠世理事と増渕局長は恒常的に接触していた。ただ破綻後の処理ではなく、合併を申し込まれたらどう対応するかという話だった。日銀という組織は長い目で物事を見る。私は道銀との合併交渉が頓挫する前の、もっと早い段階から、もし合併になるとこういうことが起こるといった頭の体操はしていた」 「北海道経済のため」決断 ――当時は北海道銀行と拓銀の合併交渉も進んでいました。 「あの2行が合併すれば、圧… この記事は有料記事です。残り2610文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旧統一教会、子どもがいない信者に養子紹介 都道府県への届け出せず
2022年11月16日 20時16分 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が子どもがいない信者に別の信者から養子を紹介していたことが明らかになった。教団も取材に認めている。養子縁組あっせん法では、あっせんは都道府県の許可を受ける必要があると定めており、厚生労働省は近く教団に事実関係を確認する。 教団によると、希望する信者から本部に問い合わせがあると、子どもを養子に出してもいいという信者を紹介していた。ただ20年前からは、養子に出してもいいという家庭がなく紹介もしていない、と説明。教団側は、対価は受け取っておらず、都道府県などへの届け出はしていなかったとしている。 教団は、信者に子どもができた際に教団側への報告を求めており、1981~2021年に745人の養子を迎えたと報告があったという。この中に教団が紹介した例も含まれるという。教団の広報担当者は「お子さんがほしくて困っている家庭のためにやってきた。何らかの法律に抵触する意識はなかった」と話している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
就学援助の生徒、修学旅行でクーポン受け取れず 「対象外」告げられ
鈴木剛志2022年11月16日 20時16分 北海道余市町の町立中学校が10月に実施した3年生31人の修学旅行の際、経済的な理由で町の就学援助を受けている7人に対し、政府の「全国旅行支援」で飲食などに使えるクーポン6千円分を配っていなかったことがわかった。旅行会社の担当者が二重に公費援助を受けられないと制度を誤って解釈していたことが原因だった。 町教育委員会と日本旅行(東京都)によると、修学旅行は日本旅行北海道(札幌市)が手配し、2泊3日で岩手県を訪れた。学校は同県発行のクーポン(1人6千円分)を生徒31人全員に配る予定だった。ところが出発直前に同社担当者から、町の就学援助を受けている生徒はクーポンの配布対象にならないと伝えられた。これを受け、教員が、宿泊先で就学援助を受けている7人に「対象外」であることを伝えたという。 担当者は、生活保護世帯など公費の就学援助を受けている生徒はクーポン配布の対象外だと思い込んでいたという。 旅行後に、クーポンを受け取れなかった生徒の保護者が学校に苦情を寄せて発覚。学校と町教委は10月中に個別に生徒に謝罪した。同社側は今後、クーポンと同額の商品券を配ることを検討している。 町教委は「生徒へのケアを含めて再発防止に努める」、同社は「中学校生活の集大成の修学旅行で悲しい思いをさせてしまった。心よりおわびしたい」としている。(鈴木剛志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
有害鳥獣駆除の猟師32人、計1.7億円の申告漏れ 大阪国税局指摘
2022年11月17日 2時00分 有害鳥獣としてのシカやイノシシなどの駆除数に応じて支払われる「報奨金」を巡り、滋賀県長浜市と米原市の猟師32人が大阪国税局の税務調査を受け、2020年までの5年間で計約1億7900万円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材で分かった。 関係者によると、報奨金は1頭(匹・羽)あたり900~2万3千円。猟友会などを通じ、自治体から半年ごとに支払われる。事業所得や雑所得として確定申告をする必要があるが、32人のうち多くは無申告で、申告していても額が不正確だったという。 百数十万円の申告漏れを指摘されたという80代男性は「数年前に市から申告を促された記憶はある。うっかりしていた」と話し、修正申告を済ませたという。 猟師らは県から「鳥獣捕獲等事業者」としての認定を受け、両市で計約220人が活動している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル