サザエさんのオリジナル漫画をもとに、掲載当時の世相を振り返る朝日新聞土曜版beの連載「サザエさんをさがして」。今回は1946年5月掲載の漫画を題材に、馬車輸送について掘り下げました。サザエさんは道ばたで馬に出くわしてもなぜ驚かないのか? 取材を進めると、戦後復興を支えた馬たちの姿が浮き彫りになってきました。 英会話のテキストを歩きながら読みふけるサザエ。前を見ていないのだから事故が起きる。荷車をひく馬に衝突してしまう。 注目すべきはサザエが馬の存在を自然に受け入れていること。サザエ一家は東京都内に住んでいる。道ばたで馬に出くわしたら、まずそのことに驚くのでは? 漫画の掲載は1946(昭和21)年5月。そういえば昭和20年代の「サザエさん」にはよく馬が描かれている。その頃の東京では馬が珍しくなかったのだろうか。 物流の歴史などを専門に扱う… この記事は有料記事です。残り1537文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発賠償の指針、9年ぶり見直しへ 国の審査会、確定判決受け
東京電力福島第一原発事故による損害賠償の指針を決める国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審、内田貴会長)が10日開かれ、原賠審の専門委員はいまの賠償指針に示されていない損害も賠償の対象に含めるよう求める報告書を示す。原賠審は、金額を含めた指針の見直しに向け、9年ぶりに具体的な議論に入る。 原発事故の賠償問題では、7件の集団訴訟の賠償額が今年3月に確定した。そのほとんどが、国の指針を上回る慰謝料の支払いを東電に命じた。このため原賠審は法律の専門家5人を専門委員に選び、判決内容から指針に盛り込める損害がないか検討を求めた。 専門委員が集団訴訟の判決などを調べ、最終報告をまとめた。国の指針にはない精神的な損害として、①過酷避難状況による損害②故郷喪失・変容による損害③自主避難等による損害④放射線量が相当程度高い地域に一定期間滞在したことによる健康不安に基づく損害――の四つを挙げた。最終報告はこれらを「指針に取り込む努力・工夫が求められる」とした。 ②の故郷・喪失による損害は… この記事は有料記事です。残り451文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
7月参院選の一票の格差 6件目の「違憲状態」 名古屋高裁金沢支部
有料記事 川辺真改 森下裕介2022年11月10日 13時38分 「一票の格差」が最大で3・03倍となった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが「投票価値の平等を定めた憲法に違反する」として、選挙の無効を求めた訴訟の判決が10日、名古屋高裁金沢支部であった。吉田尚弘裁判長は「違憲状態」と指摘したうえで、原告側の請求を棄却した。 二つの弁護士グループが全国14高裁・高裁支部に計16件起こした一連の訴訟で、判決は13件目。これで「合憲」と「違憲状態」が各6件、「違憲」が1件となった。高裁判決は15日までに出そろい、最高裁が来年にも統一判断を示す見通し。 最高裁は、最大格差が5・00倍、4・77倍だった2010年と13年の参院選について、違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断した。一方、島根と鳥取、徳島と高知での合区採用などで3・08倍に縮まった16年、3・00倍となった19年の参院選については「合憲」とした。 ただ、今年7月の参院選では… この記事は有料記事です。残り578文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪マネーへ迫った「横展開」捜査 最後の焦点、竹田恒和氏の関与は
「捜査の過程で、高橋(元理事)に一番力があると分かった」 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之・元理事(78)を4回逮捕した長期捜査を、検察関係者はそう振り返った。 端緒の一つになったのは、高橋元理事のコンサルタント会社「コモンズ」の銀行口座だった。 2018年、フランス司法当局は東京大会の招致で国際オリンピック委員会(IOC)の委員側に賄賂が渡った疑惑の捜査を本格化させた。コモンズにも招致委員会から億単位のロビー活動費が送金されたといい、東京地検特捜部は口座を調べていた。 東京大会が21年に終わると、特捜部は捜査態勢を整えた。コモンズには、紳士服大手「AOKIホールディングス」からの不自然な入金が確認された。 大会組織委の理事は公務員に準じた扱いを受ける「みなし公務員」で、贈収賄事件の対象になる。 ただ、高橋元理事は非常勤の理事で、担当の職務は定款に明記されていない。「職務に関して賄賂を受け取る」という収賄罪の立証で要になる、職務をめぐる権限が「非常に薄かった」(検察関係者)。 計15人が起訴された五輪汚職事件。巨額の五輪マネーはどこまで解明されたのか。そして、「負のレガシー」から何をくみ取るべきなのか。 そこで特捜部が取った手法が… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ禍の浅草 歌って踊る人力車夫グループ「東京力車」が育んだ絆
全国有数の観光地、浅草の魅力と文化を発信する人力車夫の音楽ユニット「東京力車」が、勢いに乗っている。コロナ禍による観光客の激減で、大きなダメージを受けた浅草。そんな街での音楽活動が成功した裏には、窮地だからこそ生まれた地元商店主らとの絆があった。 10月上旬の夜、浅草のライブハウスに、約100人のファンが集まった。ほとんどが20~50代の女性だが、男性の姿もある。ステージ上のメンバーが歌いながら、扇子を激しく動かす。空中で前回りしたり、騎馬戦のようにメンバーを担ぎ上げる技を披露したりすると、観客がペンライトで応える。 メンバーは、リーダーで静岡県出身の石橋拓也さん(30)、滋賀県出身の白上一成さん(28)、兵庫県出身の田井裕一さん(28)。人力車を引きながら、歌手活動もする「二足のわらじ」だ。 浅草の人力車観光会社「東京力車」が2015年、東京五輪に向け、浅草の魅力や文化をアピールしようと結成した。その後、オーディションを通じてメンバーを再編成した。18年、CD2020枚を半年間で売ればメジャーデビューできるというレコード会社の企画に、手売りなどで3千枚以上を売り上げ、翌年6月にデビューシングルをリリースした。その後に出した3曲は、週間演歌・歌謡ランキングで1位になっている(オリコン調べ)。 しかし、その年末から新型コロナが蔓延(まんえん)。20年春には五輪延期も決まった。最初の緊急事態宣言が出されると、浅草から観光客は消え、商店街や飲み屋街もシャッターを下ろした。台東区によれば、18年に5583万人いた観光客は、20年、1631万人にまで激減した。 人力車観光会社の東京力車も、19年は月平均4500人だった利用客が緊急事態宣言中はゼロが続き、営業を休止。グループもライブができず芸能活動の先行きが見えなくなった。それでも、人力車に乗って名所を巡り、スマホで発信する「オンライン人力車」や、オンラインライブなどでファンとの交流を続けてきた。 苦しいことばかりのコロナ禍。しかし、同じく窮地に立たされていた浅草の人たちとの信頼関係は、逆に強まっていった。 ライブハウス「浅草ゴールド… この記事は有料記事です。残り763文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東名高速下り線で4台からむ事故、3人が死亡 一部で通行止め
2022年11月10日 8時03分 10日午前3時半ごろ、神奈川県厚木市船子の東名高速下り線で、トラックなど4台がからむ事故があり、計3人が死亡した。 県警高速隊などによると、「高速道路からドーンと音がして火が見える」と高速道路近くの会社にいた男性から110番通報があった。大型トラック2台、大型トレーラー1台、乗用車1台が関係し、大型トラック1台と乗用車が炎上。亡くなったのはトラック2台と乗用車1台を運転していた人とみられる。 現場は片側3車線で、厚木インターチェンジ(IC)の近く。10日午前7時現在、厚木ICと伊勢原ジャンクションの間の下り線が通行止めになっている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元は出稼ぎ、今はアーティスト 逆境超えた在日ブラジル人の作品とは
出稼ぎ目的で来日し、工場などで働きながら、今ではアーティストとして活動する在日ブラジル人たちの作品展が東京都内で開かれている。世界で活躍するブラジル人の才能に、光を当てるのが目的。逆境を乗り越え、今ではアートで生計を立てる人もいる。 「フォーカスブラジル」という財団などの主催。世界7カ国で開催され、日本では2011年から続く。17人が描いた油絵など約百点が展示され、在日ブラジル大使館(東京都港区北青山2丁目)で11日まで開かれている。 動物や自然などを描いた20点の絵を出展したアーティストのパウラ柿原さん(41)=愛知県碧南市=は05年に来日。最初は愛知県西尾市のピザ屋や碧南市のねじ工場などで働いた。3人の子育てにも追われ、絵は趣味で描く程度。ただ作品をSNSに投稿すると、友人から「買いたい」との反応があり、口コミで広がって絵が売れるようになった。 その後、絵の描き方を教えて… この記事は有料記事です。残り661文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
検察側の実験でも「赤み残らず」 袴田事件再審で焦点の衣類血痕
村上友里2022年11月10日 7時00分 静岡県で1966年にあった強盗殺人事件で死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の再審請求審で、焦点になっているみそ漬けの衣類に付着した血痕の変色について、弁護団は9日、「検察側が実施した実験でも赤みが確認できなかった」と明らかにした。 事件では、袴田さんの逮捕から約1年後にみそタンクから赤みのある血痕のついた衣類が見つかり、「犯行時の衣類」とされた。 弁護側は「みそに長時間漬けた場合、赤みは残らない」とし、証拠は捏造(ねつぞう)だと主張。一方、検察側は「赤みが残る可能性はある」とし、約1年2カ月にわたり、実際に血痕の色の変化を見る実験を行っていた。 高検に即時抗告の取り下げを要請 審理を担当する東京高裁の裁判官が1日、この実験結果を視察したところ、布についた血痕の赤みが消えていたという。視察に同席した弁護団は9日の会見で「赤みが失われていることは裁判官にも感じてもらえたと思う」と話した。 この衣類をめぐっては、最高裁が2020年、血痕が変色する要因に絞って審理をやり直すよう高裁に命じ、東京高裁で審理が続いている。 この結果を受け、袴田さんの支援者は9日、東京高検に対し、再審開始決定への即時抗告を取り下げるよう求める要請書を提出した。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「路上生活は自己責任?」 講談師が見たビッグイシュー販売者の人生
「お金返すためにお金借りている状態」「返済日には、ぐるぐるぐるぐる消費者金融を回る」。関西を拠点に活動する講談師、玉田玉秀斎(ぎょくしゅうさい)さん(45)は、ホームレスの経験者に取材を重ね、その人生を語ってきた。活動を通して感じたのは、「ほかの選択があったのかも?と思う人もいれば、どうすることもできない状況の人もいる」ということだ。 「その男性は、高校卒業して就職することになります。写真の現像商。いまはスマホの時代ですが昔は写真機……。いま、写真機って言わないそうですね」 10月7日夜、大阪市中央区のカフェ「周(あまね)」で開かれた講談会。玉田さんは約40分間、テンポのいい一人語りを披露した。参加者約10人が時折静かな笑い声を上げながら、聴き入った。 この記事のポイントは?→玉田さんが活動をひらめいたきっかけは、あるNPOが作るビールのキャッチフレーズでした。 注目したのが雑誌「ビッグイシュー」。 雑誌の販売者と講談部も作ってしまったそうです。 講談とは、張り扇(おうぎ)などで釈台をたたきながら歴史物語や人物伝を語る伝統話芸だ。玉田さんは京都発祥の玉田家の4代目を務める。 きっかけは英語のフレーズ 路上生活の経験者への取材をもとに講談作りを始めたのは3年前のこと。漠然と社会貢献を考えていたとき、百貨店のフェアで、米国のNPOが販売するビールのキャッチフレーズを知った。 「Drink Beer Do Good(ビールを飲んで、良いことをしよう)」。楽しんだお金が、公益活動に使われる。その気軽さに興味を持った。 すぐに「Watch Kod… この記事は有料記事です。残り1093文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
一時保護中の15歳、3階トイレ窓から転落死 名古屋の児童相談所
2022年11月9日 20時30分 名古屋市中川区の西部児童相談所で7日夜、一時保護されていた市内の無職女性(15)が窓から転落し、8日未明に死亡した。橋本好司所長は同日会見し、「子どもの命や安全を守る児相として大変重く受け止めている」と述べ、検証と対策を進めるとした。 市によると、女性は7日午後10時10分ごろ、警察官に付き添われて児相に到着。直後に「トイレに行きたい」と話し、男性職員が3階建ての建物の3階にあるトイレに連れて行った。数分経っても出てこなかったため、女性職員がトイレを確認すると、個室の内外に面した窓(縦145センチ、横77センチ)が開いていて、約10メートル下の駐車場に女性が倒れていたという。 西部児相では、一時保護した子どもが生活するスペースや一部の面接室の窓には全開しないストッパーや音が鳴るセンサーを設置しているが、3階のトイレにはないという。 女性は家庭内トラブルで3月、児相が一時保護。9月に解除され、施設に入所した。今月3日に保護者が自宅に引き取ったが、翌日行方が分からなくなり、行方不明届が出されていた。7日夕、愛知県内で県警が保護し、西部児相に引き渡した。市は「(保護者が引き取る際にも)面接したが、自宅にいたくないという話はなかった」としている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル