加治隼人2022年10月10日 13時00分 鹿児島県で開催された5年に1度の和牛の品評会「全国和牛能力共進会(全共)」で、最高位の内閣総理大臣賞を鹿児島県と宮崎県が受賞した。鹿児島県は牛の姿・形を審査する「種牛(しゅぎゅう)の部」、宮崎県は枝肉の仕上がりを評価する「肉牛の部」で、それぞれ「日本一」に輝いた。 全共は和牛オリンピックとも呼ばれ、今回は41道府県から計438頭が参加。10日、すべての審査を終えた。 種牛の部では計6部門の各首席のうち、雌牛3頭1セットで出品する第4区「繁殖雌牛群」の鹿児島県代表(拵正人さん、藤山粋さん、落合新太郎さん)が栄誉を受けた。 初出場だった藤山さんは「ずっと日本一をとると言い続けてきて、夢が実現した瞬間でした。まだ信じられません」とすがすがしい表情を見せた。 肉牛の部では計2部門の各首席のうち、第7区「脂肪の質評価群」の宮崎県代表(佐藤孝輔さん、馬場牧場、神田譲市さん)の3頭の枝肉に贈られた。同区は肉の風味や口溶けを重視した今大会の新設区。 佐藤さんは「おいしい宮崎牛と証明できた。ますますブランド確立に貢献していきたい」と語った。 会場では上位入賞を果たした牛たちのパレードがあり、観客席から大きな拍手が送られた。閉会式には岸田文雄首相も出席した。(加治隼人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「それ才能やから」 かまいたち濱家さんの幼なじみを励ました先生
お笑いコンビ「かまいたち」の濱家(はまいえ)隆一さん(38)には、小中高で一緒だった澤井優輔さん(38)という幼なじみがいる。小学校時代、濱家さんと並ぶやんちゃ坊主だった。 小学5、6年で2人の担任をした久保敬さん(60)は、問題児扱いされていた彼らについて「周りがいいところを引き出せていないのでは」と感じていた。 この2人が自分のクラスに来てくれたら――。久保さんはそう願い、2人は5年3組の久保学級で一緒になった。 当初はもめごとを起こしたり、久保さんから叱られて大泣きしたこともあった。しかし、次第にクラスメートと力を合わせて行事に取り組めるようになり、クラスを引っ張る存在になっていった。 久保さんは振り返る。 「学校の先生って、みんなに合わせることが大事やと考えがち。でも、この2人がいることで『いろんな子がごちゃまぜでいることのおもしろさ』をクラスに伝えやすくなるやろなと思っていたんです」 澤井さんが忘れられないのが、学校で健康診断を受けたときのことだ。 「お医者さんから『はいこれ、見える?』と聞かれて『見えへん』と。そしたら『え、うそ!』って言われたんですよ」 結果は「赤緑色弱」だった。俺、アカンのかな……。下を向いていると、久保さんからこう言われた。 「いや澤井君、違う。人と違… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
44万キロ走った住職 散らばった檀家を訪ねて 12年目の寺再建
ふるさとから55キロ離れた中古住宅に落ち着き、各地の檀家(だんか)を日々、訪ねる。数えればこの11年半、車で走った距離は地球11周分にあたる44万キロ。もう5台乗り換えた。自らは元の場所に帰る予定はないが、この夏ようやく寺の再建を果たした。 8月上旬。自性院という寺の住職、山岡観舟さん(48)は、墓に立てる塔婆を供養する法要を斎場で開いた。 「ここで供養するのは11回目。今度本堂ができますので、来年からは向こうでやりたいと思っています」 そして付け加える。 「皆さんに『帰るのか』と聞かれる。向こうで1人でいても寂しいので、拠点はいまのままです」。山岡さんは淡々とした表情で語った。 ■彼岸に埼玉から270キロ … この記事は有料記事です。残り2045文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「体育が嫌い」は子どものサイン ゲートボール授業で先生は気づいた
普段は体育の授業に積極的でない女の子が、楽しそうにボールを追っていた。ボールを打つ順番を待つ列に小走りで戻っていった。 サッカーが得意な男の子は、うまくいかなくても笑顔が絶えなかった。 あちこちで輪が出来ていた。「危ないので勝手にやらないように」という指示が先生から出ていたのに、それを忘れて、校庭の隅へ行って「自主練習」を始める子たちもいた。 みんな、夢中になっていた。 「子どもたちのいつもと違う一面を見られた」。体育科教員の志村美穂さん(39)もうれしそうだった。 昨年9月、甲府市の山梨学院小学校で見た光景だ。 授業が「やりやすかった」理由とは 6年生の体育の授業をキラキラさせたスポーツは、ゲートボールだ。 その理由は、「教える私も子… この記事は有料記事です。残り2035文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
片岡監督「手応え感じている」 国際芸術祭「あいち2022」最終日
佐藤雄二2022年10月10日 16時00分 愛知県内で7月30日から開かれていた国際芸術祭「あいち2022」が10日、最終日を迎えた。「STILL ALIVE」をテーマに「今、を生き抜くアートのちから」を探った3年に1度の祭典(トリエンナーレ)。事務局によると来場者は8日までに延べ44万1千人(推計速報)にのぼった。 この日、主会場になった名古屋市東区の愛知芸術文化センターで記者会見した片岡真実・芸術監督は「コロナ禍で多くの制約があったが、これほどの来場者があり、生きることを追究した物故作家や現存作家の多彩な作品との対話を試みてくれた」「従来の芸術祭ではできなかった、世界とつながっている愛知の文化や伝統を掘り下げる展示もできた。手応えを感じている」などと話した。 会期終盤、愛知芸術文化センターのほか一宮市、常滑市、名古屋市有松地区の各会場で、タイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセタクンさんや、百瀬文さんら国内外の作家によるパフォーマンス公演やトークイベントが集中した。 前回の「あいちトリエンナーレ2019」は、企画展「表現の不自由展・その後」の展示内容がSNSに投稿されて炎上。脅迫事件に発展した。(佐藤雄二) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
真っ赤なモフモフ、空から眺めると コキアが伝える秋の深まり
2022年10月10日 16時00分 【動画】ひたち海浜公園で見ごろを迎えたコキア=遠藤雅彦撮影 秋の深まりにつれ、各地でコキアの色づきが進んでいる。 茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園では、最近の冷え込みで赤みが増し、約3万3千本が園内の斜面を赤く染めた。周辺ではオギやススキが風に揺れ、三分咲きのコスモスは次の出番を待っているようだ。 滋賀県高島市のレジャー施設「びわこ箱館山」でも見頃を迎えた。冬はスキー場のゲレンデになる斜面や広場に、約6千本が植えられている。 大分県杵築市の大分農業文化公園「るるパーク」では、約4200本がモフモフした愛らしい姿を披露している。20日ごろまでは深紅のコキアが楽しめるという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
幻のピアノの音色、復活させたい 91万円を集めた中学生たちの軌跡
【動画】よみがえった「幻のピアノ」 澄み切った音色、修復に生徒ら奔走の中学で演奏会=遠藤和希撮影 ショパンも愛した100年前の「幻のピアノ」はいったいどんな音色を奏でてくれるのか。中学校の階段下で眠ったままになっていたピアノが修復され、かつての音色がよみがえった。「復活」プロジェクトのための資金集めやPRに走ったのは、この中学校の生徒たちだった。 文化祭が開かれた2日、長野県須坂市立東(あずま)中学校の体育館に、プレイエル社製ピアノの澄み切った、純粋な音色が響き渡った。19世紀初めにフランスで創業した名門メーカー、プレイエルのピアノはショパンが愛用したとされ、希少性から「幻のピアノ」とも呼ばれる。 演奏したのは、ショパン国際ピアノコンクールで4位に入賞した長野市出身のピアニスト山本貴志さん(39)。ノクターン第2番や「英雄ポロネーズ」などショパンの6曲を披露した。 「透明な優しい音色だった。ささいなタッチの違いでその音の変化が反映される。一方、ちょっとでも気を抜くとそれを教えてくれる厳しさもある」と演奏を終えた山本さんは振り返った。「この透明感は時を経ても変えられないもの」 階段下に放置されていたピアノ 同校によると、ピアノは地元… この記事は有料記事です。残り1161文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
詩人の新藤凉子さん死去 「歴程」編集発行人 日本現代詩人会元会長
2022年10月10日 18時00分 詩人で詩誌「歴程」編集発行人の新藤凉子(しんどう・りょうこ、本名古屋涼子〈ふるや・りょうこ〉)さんが7日、間質性肺炎で死去した。90歳だった。葬儀は親族で営んだ。「歴程」が後日、お別れの会を開く。 鹿児島県生まれ。1986年に高見順賞、2007年に丸山薫賞、13年に藤村記念歴程賞。日本現代詩人会元会長。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日米の事故炉を見た原発検査官の流儀 トラブルの根を洗い出すには…
世界最悪級の原発事故から11年7カ月。東京電力福島第一原発では今も、ガレキの撤去や核燃料の取り出し、放射性廃棄物の管理といった数多くの作業が同時並行で進む。その最前線に、米国の事故炉を経験し、現場の声に耳を傾けながら安全な廃炉を進めようとする検査官がいる。 「あれっ」。小林隆輔さん(67)は2013年夏、インターネットで、ある募集案内を見つけた。前年に発足した原子力規制庁の職員採用試験だった。 大学院で核融合の研究をした後、原子力事業などに関わるエンジニアリング会社に就職。30代のころ、福島と同じく核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」を起こした米スリーマイル島原発で2年間勤務した。 溶けた核燃料が配管のどこにどれだけあるかを調べ、放射性廃棄物の管理にも携わった。原発の事業者だけでなく、ほかの民間企業が強みを生かしながら一緒に廃炉作業を進める姿が印象に残った。 福島第一原発で事故が起き、事故炉で働いた自分こそ貢献しなければと思った。だが、勤務先では国の研究機関から助言を求められることはあっても、廃炉作業に直接関わらない。 しかも、当時57歳。職員採用試験のページを見つけたのは、そんなころだった。 悩んだ末の応募。「スリーマ… この記事は有料記事です。残り699文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
和牛五輪に5大会連続出場 異色の牛飼いが前回のリベンジ果たす
鹿児島県で開かれた全国和牛能力共進会(全共)で、宮崎県高千穂町の林秋広さん(69)が若雌牛を審査する出品区(3区)で1位の優等賞首席を獲得した。5大会連続出場で最高賞受賞歴もあるベテランだが、前回は本番で牛が動揺して6位。「名誉挽回(ばんかい)」の一念で、5年前の雪辱を遂げた。 林さんは異色の牛飼いだ。 武蔵野美術大を卒業し、油彩画家として生計を立てていたが、農家だった父が倒れ、30代で帰郷。実家で飼っていた牛の世話を始めた。「牛づくりは絵に通ずるものがある」と、次第に理想の体形を追求するようになった。 5年に1度、全国の予選を勝ち抜いた牛たちが集まり、和牛のオリンピックと呼ばれる全共には2002年の岐阜大会で初出場。次の鳥取大会は系統雌牛群で出場して優等1席。内閣総理大臣賞にも輝いた。 その次の長崎大会は若雌の3区で優等2席となり、前回の宮城大会には若雌の2区で首席をめざして臨んだ。 だが、林さんによると、どこ… この記事は有料記事です。残り685文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル