比嘉展玖、遠藤美波、岩田恵実2022年5月9日 18時52分 東京都東村山市の閑静な住宅街で9日未明に発生した火災。火はあっという間に住宅をのみ込み、この家に住む4人が命を落とした。周辺住民は動揺を隠せずにいる。 東村山署などによると、火災があったのは、同市多摩湖町1丁目の酒井巌さん(65)方。2階建て住宅約80平方メートルが全焼し、酒井さんのほか同居の妻(64)と36歳と26歳の息子2人の計4人が死亡した。 署は焼け方が激しい1階洋室を火元とみているが、亡くなった4人はいずれも2階和室で見つかった。「最初は1階から火が出ていたが、消防車が集まりだしたころには1階と2階から赤い炎が吹き出ていた」。近くに住む男性(80)は出火当時をそう振り返り、火の回りの早さに驚いた様子だった。 周辺住民らによると、酒井さんは元新聞配達員。酒井さんと約10年間一緒に仕事をしていた70代男性は、酒井さんについて「同僚らから慕われ、配達先からの評判も良かった」と話す。しかし足が悪くなり、2020年秋に退職。男性は「退職後、どう過ごしているのか心配していた。まさか火災で亡くなるとは。ショックで信じられない」と話した。(比嘉展玖、遠藤美波、岩田恵実) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
なぜパンつまらせた?保育施設で亡くなった1歳男児 身近に潜む危険
愛知県内の認可外保育施設で昨年6月、1歳5カ月の男児がパンをのどにつまらせた後、亡くなる事故が起きていたことがわかった。施設を運営していた外国籍の園長は、県に設置を届け出ておらず、国の基準で必要な職員数も満たしていなかった。 県の検証委員会が9日までに報告書をまとめた。男児も外国籍だった。県は、再発防止のため、外国語での情報提供に力を入れる考えだ。 報告書などによると、事故は昨年6月23日、愛知県三河地方の保育施設で起きた。男児は、他の園児から渡されたパンを誤ってのみ込んだとみられ、せき込んだ後に倒れたという。園長が口の中を確認したところ、パンのかけらがのどに詰まっていた。園長が病院へ搬送したが、約2時間後に死亡が確認された。 園長は、2012年から無届けのまま自宅で保育施設を運営し、事故当時は1~3歳の子ども7人を預かっていた。国の基準では、6人以上預かる施設は複数の職員を配置し、保育士や看護師の有資格者も一定数確保するよう求めているが、園長は資格がないまま1人で保育をしていたという。事故を受けて、施設は昨年7月に閉所した。 児童福祉法の規定で、16年度からは、預かる子どもの人数にかかわらず、都道府県に届けるよう事業者に義務づけられていた。だが、園長は日本語での意思疎通が難しく、「届け出の義務は、事故の半年ほど前に知人を通じて知り、準備を進めていた」などと検証委に説明したという。 報告書は、届け出がされていれば、行政による指導が行われていた可能性を指摘。「(園児を)複数で見ていれば、事故を防げた可能性は高かった」としている。 また、園児は外国籍の人々が集まるSNS上のコミュニティーなどを通じて集まっていたとされる。 施設があった市の担当者は、「外国籍の人は認可保育所に入る要件を満たしていても、外国籍の人向けの認可外保育施設を選ぶ場合がある」と調査に説明。その理由として、言葉や文化の違いから日本の認可保育所になじみにくかったり、認可外の方が長時間、子どもを預けたりできる点をあげている。 県の子育て支援課は、「事業者に対しても、保護者に対しても、外国籍の方へのサポートが十分ではなかったと考えている。これまでは主に日本語での案内にとどまっており、多言語での情報提供に努めたい」としている。 一方、報告書は、食品の誤嚥(ごえん)事故そのものは家庭を含むあらゆる保育の場で起こり得るとして、広く注意を呼びかけている。 男児が口に入れたのは市販の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「日本最大級」ハプニングバー マジックミラー付き個室提供した疑い
客の男女に公然とわいせつな行為をする場所を提供したとして、警視庁は、東京都渋谷区道玄坂2丁目のハプニングバー「Sleeping Beauty~眠れる森の美女~」の経営者の男(40)と、同店のスタッフで21~42歳の男女9人の計10人を公然わいせつ幇助(ほうじょ)の疑いで現行犯逮捕し、9日発表した。 保安課によると、10人は共謀し、5月7日深夜、同店の利用客の男(34)と女(27)=いずれも公然わいせつ容疑で現行犯逮捕=に個室を提供し、他の客の前でわいせつな行為をするのを手助けした疑いがある。個室は「プレールーム」と呼ばれ、マジックミラー越しに外から様子が見える状態だった。 経営者の男を含む4人が容疑を否認し、残りの6人は容疑を認めているという。 同店はホームページで「日本… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
暖かい南の島で見た日本の矛盾 アナウンサーは映画監督になった
佐古忠彦さん(57) 沖縄の作品を撮り続けるテレビ局員兼映画監督 TBSに入った1988年当時はアナウンサーだった。野球が好きで中継に関われたらと思った。春のキャンプ取材で、さっそく沖縄へ。そこはまだ、暖かい南の島という印象だった。 96年の秋。「筑紫哲也NEWS23」のサブキャスターになる。返還前の沖縄で特派員だった筑紫さんはよくこう言った。「沖縄に行けば日本の矛盾がよく見えるよ」 翌年12月、名護市へ向かっ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
過疎でもにぎわう集落の不思議 日本の原風景、地球の裏側も魅了した
おでかけ関西 ちょっとウラ話 JR姫路駅(兵庫県姫路市)から、世界遺産・姫路城を通り過ぎ、北へ車で約1時間。片側1車線の山道を上ると、途中から左側に山、右側に湖だけの光景になった。民家もない道を3キロほど進むと、小さな集落が現れる。周囲には滝や天然記念物の大木、風穴などがある山奥だ。 人口は9戸の13人。大半が80代以上の限界集落。そこに、県内外から多くの観光客が訪れる。 深い山々に囲まれた兵庫県姫路市安富町の関地区 4月上旬、姫路市内から夫婦で訪れた肥塚弘和さん(83)は、里山の風景を写真に収めていた。5年ほど前から通っているという。「ここに来ると、昔を思い出して心が落ち着きます」 約600メートルの道沿いに、畑で農作業をしている人、バス停に座っている人、納屋の戸を開けようとしている人、ベンチで寝そべる人、虫捕りをしている子どもたちがいた。平屋建ての学校では、ちょうど授業参観をしており、多くの児童や保護者の姿が。民家の縁側には人が集まり、井戸端会議の最中だ。 外国からも注目された姫路の山奥に広がる日本の原風景。背景には、ある男性の古里への強い思いがありました。 でも、何かがおかしい… この記事は有料会員記事です。残り1633文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら #KANSAI 近畿の魅力を再発見する新企画。社会・経済から文化・スポーツまで、地元愛あふれるコンテンツをお届けします。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
指定暴力団極東会の元会長が死去 「事実上のトップ」
2022年5月9日 12時06分 指定暴力団極東会の松山真一元会長(94)が7日に東京都内で死去したことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、事件性はないとみている。 極東会は東京都新宿区歌舞伎町2丁目に本部事務所を置き、勢力範囲は東京や埼玉、山形など1都12県。2021年末現在の構成員は約390人。警視庁は松山元会長が同会の事実上のトップだったとみている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
事故発生数全国「ワースト」の交差点 返上のため全署員が動いた
福岡県筑紫野市に、長年人身事故が多発し、地域住民から「魔の交差点」と呼ばれる場所がある。一時は事故件数が全国最悪にまでなったが、地元の県警筑紫野署員が総出で、制服姿の「見える警戒」を実施。昨年の事故は激減し、ワーストを返上した。 この「針摺(はりすり)交差点」は、大型ショッピングセンター「ゆめタウン筑紫野」の目の前にある変則5差路。中央分離帯には高架道路の橋脚があり、見通しは良くない。 制限速度は40~50キロ。車やバスがひっきりなしに通過する。署によると、1日に約3万8千台が通る。 なぜ事故が多発するのか。交… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
故郷に「フレスコ画」震えた 保存にかかわった洋画家の絹谷幸二さん
高松塚古墳壁画(奈良県明日香村)が描かれた技法は、壁に塗った漆喰(しっくい)の上に顔料で絵を描く西洋の「フレスコ画」と似ていた。壁画発見から1年半後の1973年、文化庁の要請で保存対策委員として調査した洋画家の絹谷幸二さん(79)はフレスコ画の第一人者だ。壁画の美術的価値や、当時考えた保存方法はどのようなものだったか。 ――壁画発見の時はイタリアにいましたね。どういう経緯で知ったのですか。 「東京芸術大学の大学院を修了した後、71年3月からフレスコ画を学ぶためベネチアへ留学しました。漆喰といえば日本では本格的な壁です。私は古都・奈良の生まれということもあって、歴史の厚さというものを感じたかったのです」 フレスコ画(アフレスコ)とは 西洋で古代から用いられている壁画の技法。壁に生乾きの漆喰を塗り、乾かないうちに顔料で絵を描く。乾燥する過程で顔料が吸収され、乾燥後に表面にガラスのコーティングのような層ができて顔料が閉じ込められる。長期間にわたって色あせない点も特徴。 「心置きなく勉強し、画廊などで作品の発表も続けていたところへ、突然、高松塚で極彩色壁画が見つかったという記事(72年3月27日付)が載った新聞が、日本から送られてきました。ニュースを知らせたかったのだろうと思います」 「大きな写真も出ていて『これはすごいものがでたな』と。もう、感動に震えました。当時、日本ではフレスコ画がほとんど知られておらず、私は道無き道を切り開くような、とても孤独な闘いをしていました。だから、私の応援団が、しかも故郷から現れたと思いましたね」 「発掘調査のチームに橿原考古学研究所の伊達宗泰さん(故人)がいました。伊達さんは私が奈良学芸大学(現奈良教育大)附属中学で理科を習った先生だったので『これは、ご縁があるなあ』と思いました」 ――ご自身も調査に参加することになります。 「それから3カ月ほどたって、日本の文化庁の課長さんがベネチアに来られて、修復・保存に協力してほしいと言われました。(イタリア国立の)ローマ中央修復研究所へ留学してほしいと。研究所にはいろんな科があり、フレスコ画の責任者はモーラ夫妻という研究者お二人でした」 心から「力になりたい」 「高松塚の入室調査に向けて1年ばかり修復の仕方を勉強して、73年秋にモーラ夫妻と日本へ帰りました。お国のためにも故郷のためにも、力になりたいと心から思って。ヨーロッパで画家としてやっていける自信をつけていた時期で、個展の開催もいくつか決まっていました。高松塚の壁画が出ていなければ、帰国していなかったですよ」 ――73年10月、文化庁の現地調査でついに石室に入りました。 「中国や北朝鮮などで見た壁画は古墳自体がすごく大きくて、人物像は等身大より大きいくらいでした。ところが高松塚の人物の顔は、これぐらい小さい(人さし指と親指で円をつくって示す)。その中に目があって、まつ毛もまゆ毛もある。中国などの壁画にはないほど見事な筆遣いで描かれています」 絵画として一級品 「似た絵はあるが、これほど絵画として配慮が行き届き、精緻(せいち)を極めた壁画は見たことがありませんでした。顔を一つひとつ見ると表情豊かで余韻もあって、『あ、これはうちのおばさんの顔に似ているな』と遺伝子のつながりのようなものさえ感じました。死者に対する慈愛に満ちている。絵画として一級品です」 ――どのようにして描いたのでしょうか。 「絵によって筆致が違うとこ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「3億円もらえる」「のど手術した」相次ぐ怪電話 店員らが被害防ぐ
高田純一2022年5月9日 9時24分 電話口で親族をよそおってきたり架空の請求をされたりしてお金をだまし取られる特殊詐欺の被害がなくならない。和歌山県警は昨年3月から被害防止の専用フリーダイヤル「ちょっと確認電話」(0120・508・878=これはわなや)を設置し、注意を呼びかけ続けている。 県警によると、2021年の1年間に認知した特殊詐欺の件数は20年より27件多い59件。被害総額は20年より6718万円少なかったが9066万円に上るという。専用フリーダイヤルに相談があり、阻止できたのは21年3月からの1年間で282件だった。 お金を振り込もうとした人がコンビニエンスストアや金融機関を訪れた際、店員らによって未然に防げた事例もある。 3月15日、ファミリーマート和歌山六十谷駅前店の店員が、高齢者の男性から「5千円のプリペイドカードを購入したら3億円振り込んでもらえるので購入の仕方を教えてほしい」と尋ねられた。同店のマネジャーは、以前にも同じような詐欺被害を防いだ経験があり、110番通報したことで防ぐことができた。3月31日にも別の男性の被害をくいとめたという。 3月30日には湯浅町の80代女性宅に息子を名乗る男から「のどの手術をしたので250万円が必要になった。スマホや財布を落とし、声の調子も悪い」と電話が入った。女性が訪れたきのくに信用金庫湯浅支店の職員は、つじつまが合わない言動に詐欺だと疑った。家族に連絡するよう助言すると女性は「急いできたのでスマホを家に置いてきた」という。そこで、別の職員が「家に戻って息子さんに連絡してからでも遅くないでしょう」と説得。一緒に女性宅へ行き、息子に連絡したところ詐欺だとわかった。 県警はこういった特殊詐欺を防いだ店員らに感謝状を贈っている。高齢者の自宅まで付き添って被害を防いだ湯浅町の件について、有田湯浅署の川本恭資・副署長は「一歩も二歩も踏み込んでくれた」と感謝した。県警の遠藤剛本部長は「架空請求料金などの詐欺は、耳元でしゃべり続けて暗示にかけるようにしてくるので、『トイレに行く』などと言って電話をいったん切って冷静になってほしい。その上で家族や専用ダイヤルに相談してください」と話した。(高田純一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ぬくもりも乗せて走るよ広電は 運転士の卵が学ぶ「もう一つのこと」
【動画】「だから私は運転士になる」=遠藤真梨撮影 路面電車の街、広島。「広電」の愛称で親しまれる広島電鉄の運転士養成所を、昨年5月から8カ月間かけて取材させてもらった。 取材前の打ち合わせで、こんなエピソードを聞いた。広島出身の先輩カメラマン(40代)が幼い頃の話。運転席の真横で進行方向をじっと見つめていると、運転士さんが自分の横にある補助席に座らせて、運転席からの眺めを見せてくれたという。「あれだけは覚えているんだよね」。うれしそうに話す先輩に、広電の広報は「おおらかな時代だったのかもしれません」と苦笑した。 確かに、広電はおおらかな気がする。それに、公共交通機関という言葉ではおさまらない、人のぬくもりがある。 【連載】広島電鉄物語 広島の街をいつも黙々と走り続け、親しまれている広島電鉄(ひろでん)の路面電車。被爆電車をはじめ、その車両にちりばめられた様々な歴史や人の思いを伝えていきます。 信号が変わっても一向に電停から動かず、何事?と思えば、乗車したお年寄りが席に腰を下ろすまで待っていた。電停目がけて走って来る人がいれば、発車せずに待っていてくれることもある。いずれの話も、裁量は運転士にあるということだ。一体、どんな環境で運転士は育つんだろう?そんな思いで、養成所をのぞいた。 「コーヒー飲もか?」教習生の心ほぐす1杯 開講式から2カ月後の7月、路上での運転訓練が始まった。車でいえば「仮免運転」だ。訓練車に乗り込むと、これまでの取材のときと、明らかに雰囲気が違う。教習生の顔がこわばっている。すると、「おーい、カメラ回っとるところで緊張すんなよー。教室のときの顔と違うでー」と教師が発破をかけた。どっと笑いが起こると、教習生たちはいつもの顔に戻った。 運転だけでも大変なのに、その上にカメラが入って緊張していることを察した計らいだった。 交代しながら運転が進み、こなれてくると、運転席に座る同期を冷やかすようになった。そこですかさず、「プレッシャーに負けちゃいけんけんね。悪いやつ多いからね」。冷やかしも笑いに変えて励ます。 講習を終えても、目配りは続く。教習生が養成所の事務所に顔を出すと、すかさず「コーヒーでも飲もか?」と呼び止める。返事を待たずに温かいコーヒーを入れ始め「調子はどんなや?」と近況を聞くと、教習生はぽつりぽつりと悩みを話しだした。 教師はいつも、先回りして教習生たちを包み込んでいた。 印象に残っている場面がある。12月、国家試験を翌週に控えた講習で、教習生の1人が試験結果に響く失敗をしてしまった。その時だ。「今日失敗して良かった。今日失敗するのはなんぼ失敗してもええんじゃけ。責任は養成所の先生が見る」。教師たちは温かく、懐も深い。こんな風に育てられているから、人にも温かく接することができるのだと納得した。 他社の運転士も育てる理由 懐の深さと言えば、もうひとつある。他社の教習生も受け入れて育てていることだ。 今期は、2023年に開業す… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル