2022年3月22日 17時30分 技術職から記者職に転向し、情報セキュリティーを専門に取材する須藤龍也編集委員は、ハッカージャーナリストとしてサイバー事件の取材を続けてきました。 最近、ウイルスを使って組織のデータを暗号化し、解除に必要な身代金を要求する「ランサムウェア」により、医療機関が攻撃されるケースが相次いでいます。一体何が起きているのか。何か対策はできるのか。TBSラジオ「荻上チキ・Session」パーソナリティーの荻上チキさん、南部広美さんと語り合いました。 朝日新聞ポッドキャストでは、TBSラジオで放送された「朝日新聞ポッドキャスト in Session」のディレクターズカット版をお聞きいただけます。放送では流せなかった部分も含めた特別バージョンです。 Apple Podcasts や Spotify ではポッドキャストを毎日配信中。音声プレーヤー右上にある「i」の右のボタン(購読)でリンクが表示されます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
節電量が目標の3分の1、使用率103% 東電管内で夕方停電の恐れ
長崎潤一郎2022年3月22日 13時11分 東京電力は22日、夕方に停電が発生する可能性があると明らかにした。節電の効果が想定を下回っているとして、このままでは、電力需要をまかなえなくなる可能性があるとしている。 東電のホームページによると、22日午前11時台の電力需要は4515万キロワットで、供給力(4355万キロワット)に対する「使用率」は103%に達した。本来は100%を超えることはないが、企業の自家発電分などが加わることで、なんとか供給力を確保している状況だという。 経済産業省や東電が22日昼に開いた説明会によると、これまでに節電による需要減は150万キロワット程度で、目標量の3分の1程度にとどまるとしている。経産省と東電はさらに300万キロワット程度の節電を求めている。さらなる節電がなされないと、22日夕方に電力需要に必要な供給力を確保できなくなるおそれがある。 仮に電力の需要と供給のバランスが崩れれば、一部の地域を強制的に停電させる措置が発動される可能性がある。(長崎潤一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
幻の「東大法学部5年制」 60年前の問いが生んだ、二つの波の先に
21世紀に、司法はどうあるべきか――。この根源的な問いに対し、有識者からなる司法制度改革審議会は2001年6月に意見書を公表した。「国民の社会生活上の医師」として、大幅に数が増えた法曹(弁護士、裁判官、検察官)が様々な分野で活躍する姿を描いた。その成否を握る存在として位置づけられたのが、「法科大学院」だった。 法的な知識や思考力はもちろん、豊かな人間性を養うため、合格率3%前後だった司法試験による「一発勝負」からの脱却を目指し、真摯(しんし)に学んだ学生の7~8割が合格できる「プロセス重視」に転換を図るのがねらいだった。 それから20年。法科大学院の半数以上が撤退・募集停止に追い込まれるなど、理想の姿は崩れつつある。司法制度改革を問う連載「テミスの審判」第2部は、法科大学院構想に関わったキーパーソンの証言から、その過程を追う。 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手にてんびんと剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。 「原点にあったのは、東京大学法学部の5年制案でした」 有識者らからなる司法制度改革審議会の会長として、法科大学院構想を牽引(けんいん)した京大名誉教授(憲法)の佐藤幸治(84)は、こう述懐する。この言葉を理解するには、時計の針を1960年代半ばに戻さねばならない。 医学部が6年かけて医師を育てているのだから、法律のプロを育てるのに、もっと時間をかけていい――。こんな発想を根底に、このころ東大法学部で議論されていたのが「5年制案」だった。 改革への熱意、そしてブレーキ ちょうど、戦後の新制大学が… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新藤宗幸さんが死去 75歳、行政学者 市民主体の地方自治を説く
2022年3月22日 14時37分 「地方分権」などの著書で知られる行政学者・政治学者で千葉大学名誉教授の新藤宗幸(しんどう・むねゆき)さんが13日、肺がんで死去した。75歳だった。葬儀は近親者で行った。喪主は妻絹代(きぬよ)さん。 専門は行政学・地方自治論。官僚制や予算・財政などをめぐって旧来の行政のあり方を批判し、市民主体の地方自治を説いた。住民投票制度の法制化を進める市民団体の共同代表なども務めた。 立教大学教授、千葉大学教授を務めたほか、日本行政学会理事長、日本自治学会会長、後藤・安田記念東京都市研究所理事長などを歴任。「政治主導」「官僚制と公文書」など著書多数。昨年12月にも「権力にゆがむ専門知 専門家はどう統制されてきたのか」が刊行されたばかりだった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国税当局でも取り戻せない不正還付 見えてきた「持ち逃げ」
輸出の際に消費税が還付される制度を悪用するなどして行われる、消費税の不正還付。この還付金を、国税当局が取り戻せない事態が相次いでいる。不正の疑いがあって還付を保留したくても、法令は早期の還付を原則としているからだ。 東京国税局は昨年10月、健康食品を中国などに輸出する「RAF」(東京都港区)が消費税約2億円の不正還付を受けたと認定。だが、同社はその9カ月前に還付金を社外流出させていたうえ、差し押さえられる資産も乏しいため、徴税のめどは立っていない。 昨年12月には、金地金の輸出販売会社の男性社長が消費税約6100万円の不正還付を受けたとして東京地裁から実刑判決を受けた。還付金の大半を遊興費などに使ったといい、全額の返金は期待できないという。 国税庁によると、2020年度(20年7月~21年6月)に追徴課税された消費税の不正還付の総額は約34億円。このうち徴収できなかった金額の統計はないものの、国税関係者は「不正に還付金を得た後に費消する『持ち逃げ』が次々と顕在化している」と指摘する。 なぜ、こうした事態が起きるのか。 不正還付は輸出免税制度を悪… この記事は有料会員記事です。残り640文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大根が一気に「売れる野菜」に 客が笑みを浮かべて買い求める一工夫
少しの工夫で、米と野菜の売れ方が変わったという。いったい、何が決め手に――。(杉山匡史) ウィンクする少女の笑顔や妖怪などの「顔」を袋に手描きしたら、可愛らしいと評判になり、予定の販売期間を1カ月残して完売した野菜がある。 農作業などを通して知的障害者らの自立支援をしている多機能型事業所「四ツ葉福祉会 アクティブ’99」(松江市古志町)が栽培、収穫して市内のスーパー3店に卸した大根だ。 袋に手書きされた「顔」には、「障害者施設ならではの工夫」(職業指導主任の野津勝司さん)が凝らされていました。 昨年11月下旬から出荷を始… この記事は有料会員記事です。残り997文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東北電力管内にも節電要請 電気使用率、午前9時台に100%超える
東北電力は22日午前、同日の管内の電力需給が非常に厳しいとして、東北と新潟県の利用者に節電への協力を呼びかけた。16日に発生した福島県沖を震源とする地震で一部の火力発電所が停止しているほか、気温が低下して電力の消費量が想定より増えているため。 東北電力のホームページによると、電気の供給力に対する使用率が22日午前9時台に100%を超え、午前10時台は99%だった。現段階で停電などは起きていないが、「状況を精査している」(広報担当者)という。午前11時台や午後0時台も使用率が97%となる見通しだ。電力の安定供給には、供給余力を示す予備率が3%必要とされる。同じく需給が逼迫(ひっぱく)している東京電力に22日朝から電力を融通し始めていたが、送電量を減らすなどの対応を検討しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ムキムキ、コテコテから爽やかに 大阪府警採用ポスター、変化のわけ
インパクトの強さで例年話題を呼んできた大阪府警の警察官募集ポスターが、路線を変更した。2022年度は、青空に「進め、未来の警察官。」の文字。爽やかに変わった背景には、コロナ下での採用の難しさや、時代の変化があるようだ。 「コテコテが続いているなら、シンプルなものに目が止まるのではないかと思った」 そう「戦略」を明かすのは、新年度のポスターを手がけた高速オフセット(大阪市北区)のディレクター、末松翔平さん(31)だ。応募28作品によるコンペを勝ち抜き、駅や警察署に青空のポスター計約4500枚が貼り出されている。 昨年7月のポスターの最終審査(10作品)は、府警本部の警察官らに加え、若い警察学校初任科生による投票だった。計約1300票が投じられ、中でも青空のものが支持を集めたという。 末松さんは「若い世代は自分が目にしたきれいな景色をSNSでシェアすることに慣れている。その感覚を意識した」と言う。スマートフォンを見つめ、うつむきがちな時代。「青空が目に入るのは、信号を見るときくらい。そんな若者の背中を押したかった」 府警の警察官募集ポスターは、これまで「攻め」のコピーとデザインで話題を呼んできた。 「ムキムキ」で時代に逆らったことも 「草食系男子」が広く定着し… この記事は有料会員記事です。残り972文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自衛隊だけでは対応困難」ハイブリッド戦とは 世界が驚いた8年前
ロシアはウクライナで「ハイブリッド戦」を展開している――。日本政府がこう分析し、専門家は「現代戦」の手法と語るハイブリッド戦。その意味とは。スパイが暗躍した過去の戦争とはどう違うのか。そして、日本はどのように備えているのか。 「ハイブリッド戦の手法をとっているともみられる」。ロシアが侵攻を始めた翌2月25日、岸信夫防衛相は会見でこう指摘した。 兆候はあった。昨年12月、SNSで「緊張を生んでいるのは欧米側」との投稿が1日平均3500件近く確認されていた。それを公表した米政府は「欧米がゲリラを送り込んで地元住民を殺害している」との発信も増えたとする。侵攻を正当化する世論誘導を狙った工作とみられている。 ロシアはウクライナ周辺に部隊を集結させたが、侵攻の意図は否定し、一部の撤収を発表したことも。侵攻は、ウクライナ東部の一部を占拠する親ロ派勢力からの要請に応える形で住民保護を名目に始まった。「情報戦や心理戦による揺さぶりが数カ月がかりで行われた」(自衛隊幹部)との見方が強い。 一方、ウクライナ側も情報戦で対抗。「帰りたい」と訴えるロシア兵捕虜の映像をSNSで公表するなどした。支援する米国も、ロシアの狙いを先回りで暴露している。 ハイブリッド戦、「世界が驚いた」きっかけは ハイブリッドには「複数の方式を組み合わせる」という意味がある。陸海空の軍事力に、サイバー攻撃やSNSによる偽情報など、新旧の手段を多元的に組み合わせる「ハイブリッド戦」は「軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧(あいまい)にした」(防衛大綱)手法だ。 「現代戦」とも言われるハイ… この記事は有料会員記事です。残り963文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
早稲田大のペナントが美しい理由 兄亡くなり受注停止の「オギワラ」
早稲田大学の隣で90年近く学生を見守る店がある。部活動やゼミの記念ペナントを長く作り続けてきた「記念ペナントオギワラ」(東京都新宿区西早稲田1丁目)。卒業シーズンを迎え、例年なら注文した品を受け取りに来る学生らでにぎわう時期だが、今年はひっそりとしたままだ。 早大とオギワラ その長い歴史 早大正門前の大隈通り。角の本屋を曲がった突き当たりに「ペナント」の大きな看板が目に入る。店内には「祝卒業 早稲田大學」「早稲田VS慶應」などと額装されたペナントが100枚ほど、壁一面に並ぶ。奥で角帽を縫う店主の荻原恵子さん(70)が仰ぎ見て、つぶやいた。「これ全部、兄が作ったの」 1933年に父・富光さんがこの地に開業した当初は、学生服や紳士服を仕立てる店だった。出征した父が帰国後、体調を崩して亡くなると、代わって母・ゆき子さんが店を守った。 ペナントを始めたのは、終戦の約10年後。早大の運動部が対戦相手と交換するペナントを、母が手がけるようになった。さらに約10年後、音楽系の団体に所属する学生が「先輩一人ひとりの名前を記したペナントを卒業式に贈りたい」と店を訪れた。長く続く卒業ペナントの始まりだ。 校章や数字、アルファベットは母が型を起こし、複雑な漢字は当初、刺繡(ししゅう)で補った。ただ、刺繡(ししゅう)は針を通した周辺の布を引っ張り、出来上がりが引きつって見えることもある。90年ごろから、恵子さんの二つ上の兄、久昭さんが少しずつ漢字の型を起こしていった。「學(学)」や「辯(弁)」などの旧字体も久昭さんの仕事だ。 校名、卒業年、学生の名前、絵柄。卒業ペナントの注文を受ける時、久昭さんは細かく聞き取った。それから配置を考え、文字や図柄の型を起こす。「祝卒業」や年号などは事前に用意できるが、同じ文字でもサイズが違えば改めて型を作った。 パーツがそろったら、土台のフェルトにバランスよく貼り付けていく。フェルトは時間が経つと縮むため、土台と文字にそれぞれ半紙を裏打ちし、乾いたら、特注したえんじ色の額縁に入れて完成だ。 常連は早大のゼミや部活、学… この記事は有料会員記事です。残り976文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル