もしも自分の所属する組織が公害や薬害に加担していたら、あなたはどうしますか――。そんな問いかけで学生たちに科学者の責任を訴え続けてきた大阪市立大学の木野茂さん(80)の講義が、38年間の幕を閉じた。問題の当事者から話を聞き、討論や意見発表で考える力を鍛えた学生は総計1万人を超えたという。 「この授業でこれまで知らなかったことを学び、多くのことに気付きました」「他者の言葉を聞くことで様々な見方が得られ、初めて自分自身の考えと向き合えることもありました」 木野さんの今期の講義「ドキュメンタリー・環境と生命」が最終回を迎えた今月2日、学生たちが最後の意見発表で口々に語った。 受講生は34人。水俣病や難民問題などの記録映像を見て、お互いの意見を評価し合ったのが講義の前半。後半では「セクシュアルマイノリティーと教育」「出生前診断は行われるべきか?」など、班ごとにテーマを決めて現状や背景への見解をまとめた研究成果を発表し、学生が自分たちで質疑や討論を仕切った。 「自分の頭で考えること」「権威を無批判に信じないこと」の大切さを一貫して訴えてきた木野さんが試行錯誤し、たどり着いた授業のスタイルだ。 もとは宇宙物理学を専攻して… この記事は有料会員記事です。残り1370文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
商店街の空に光る割り箸 250mイルミネーションが描くメッセージ
東京都杉並区の商店街の夜空を青いイルミネーションが彩っている。約250メートルにわたるLED電球を支えるのは、約1万8千膳の割り箸だ。資源保護やリサイクルに関心を持ってほしいと、商店主らが使用済みや不良品の割り箸を集めた。近くの病院でコロナ禍と闘う医療従事者への感謝も込めている。 JR荻窪駅北口から続く荻窪教会通り商店街。その芸術祭「アートゲート荻窪2021」で昨年11月から点灯し、芸術祭後も今年2月末まで点灯している。 考案したのは、芸術祭を企画した建築家で、商店街のバーも経営する堀川秀夫さん(63)だ。買い物など日常の暮らしの中で心に響く作品をめざし、使い捨てされがちな割り箸に着目した。 割り箸は複数のNPOを通じて無償提供してもらった。飲食店などで使われた箸は洗浄し、国産の間伐材で作られた未使用の不良品も加えた。輪ゴムでつなげて竜の骨格に見立て、商店街の上空をうねらせてLED電球を取り付けた。 日中は割り箸が日光にきらめ… この記事は有料会員記事です。残り199文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊勢うどん、「コシがなく」てもいいじゃないか 旅人のおもてなし
キッチンカーで出している「文ちゃんの伊勢うどん」 とにかくコシがない。 太くてやわらかい「伊勢うどん」に出会った時の衝撃が、いまも忘れられない。新聞記者1年目、三重県に赴任した21年前のことだ。近所のスーパーに行くと、ゆで麺とタレのセットがずらりと並んでいたのにも驚いた。 「三重の子どもの多くが、最初に自分で料理するのは伊勢うどんかもしれない」。東京・日本橋のアンテナショップ「三重テラス」で働く、同県志摩市出身の中嶋花奈さんの言葉にも納得がいく。麺をお湯で温め、タレをかけるだけの簡単料理。生活に根付いた郷土の味だという。 首都圏で2018年秋から伊勢うどんに特化したキッチンカーを出している早水久幸さん(57)は、「元祖ファストフード」と表現する。 キッチンカーで伊勢うどんを出している早水久幸さん=2022年1月26日、東京都台東区上野公園の東京国立博物館中庭、前川浩之撮影 イベントなどで「文(ふみ)… この記事は有料会員記事です。残り2087文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
那覇市の繁華街で男性殴り、けがさせた疑い 米海兵隊員を現行犯逮捕
那覇市の繁華街で男性2人を殴り、1人にけがを負わせたとして沖縄県警は20日、米海兵隊員のルイス・ナイヨー・カー容疑者(21)を暴行と傷害容疑で現行犯逮捕し、発表した。所属基地は確認できていない。黙秘しているという。 県警によると、ルイス容疑者は20日午前6時前、那覇市松山1丁目の商業ビル付近の路上などで、沖縄県南城市の土木作業員男性(45)の顔を素手で殴打。止めに入った那覇市の無職男性(45)を押し倒して馬乗りになって顔を複数回殴るなどし、左まぶたや右ひじに傷を負わせた疑いがある。ルイス容疑者は泥酔状態だったという。 沖縄県内では昨年12月中旬… この記事は有料会員記事です。残り223文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
折れたリンゴの木、訪ねてきた小平奈緒選手 地元農家がかけたい言葉
北京冬季五輪が20日夜、閉幕する。努力を重ね大舞台に立った選手たちの姿は、多くの人の心に刻まれた。 「メダルには届きませんでしたが、頑張る姿を見られただけで励まされる思いでした」。女子スピードスケートに出場した小平奈緒選手(35)の地元・長野県でリンゴ農家を営む西澤穂孝さん(40)は話す。 小平選手との出会いは2020年秋。前年の台風19号で千曲川堤防が決壊し、長野市内にある西澤さんの畑や自宅は水につかった。壊れた倉庫の修復も終わっていないころのこと。共通の知人の紹介で、西澤さんのもとを訪ねてくれた。 被災した自宅周辺を案内したり、リンゴ狩りをしてもらったりしている最中、西澤さんは「でも、どうして来ていただけたんですか」と尋ねてみた。 すると小平選手は「よく応援… この記事は有料会員記事です。残り396文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北日本や北陸など猛吹雪や大雪のおそれ 21日にかけ、高波にも警戒
吉沢英将2022年2月20日 18時21分 北日本と北陸では21日にかけ、雪をともなった非常に強い風が吹き、大しけとなるところがある。すでに暴風雪や大雪となっているところがあり、気象庁が交通の乱れや高波などに警戒を呼びかけている。 同庁によると、20日午後4時までに観測された24時間降雪量の最大値は、北海道中標津町29センチ▽釧路市26センチなど。最大風速では、北海道えりも町で17・3メートル▽奥尻町16・0メートルと強い風が吹いた。 北海道の東にある前線をともなった低気圧は21日、急速に発達しながら北東へ進む見通し。北日本や東日本の上空には強い寒気も流れ込み、21日にかけて強い冬型の気圧配置となる見込みだという。 21日にかけ予想される最大風速は、北海道、東北25メートル。波の高さでは北海道、東北、北陸でいずれも6メートルと見込まれている。 21日午後6時までの24時間に予想される降雪量は、いずれも多いところで、北陸80センチ▽北海道、関東甲信60センチ。22日午後6時までの24時間では、北陸60~80センチ▽北海道、関東甲信30~50センチと見込まれるという。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
男性「首を刺された」通報 刺した女?路上で倒れる 名古屋のラブホ
2022年2月20日 21時11分 20日午後4時40分ごろ、名古屋市中区新栄2丁目のラブホテルの一室で、客の20代男性から「女に刃物で首を刺された」と119番通報があった。愛知県警や市消防によると、その後、ホテル隣の路上に女性が倒れているのが見つかった。消防によると、男性は病院に運ばれたが命に別条はなく、女性は心肺停止の状態だという。 女が男性に切り付けた後、建物から飛び降りた可能性があるとみられる。中署は殺人未遂事件として、男性らから事件の経緯について事情を聴いている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
カーリング銀「こんな日が来るなんて」 沸く地元 将来への不安とは
北京冬季五輪・カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが、日本初となる銀メダルをつかんだ。前回平昌(ピョンチャン)大会の銅から1歩ずつ高みへとのぼるロコを支えてきた地元・北海道北見市常呂(ところ)町の人たちからは「よくやった」と祝福とねぎらいの声が上がり、「次は金」と期待が膨らむ。一方、多くのカーラー(カーリング競技者)が輩出した町では次世代育成への不安も聞かれた。 20日午前10時すぎ、ロコの本拠地・アドヴィックス常呂カーリングホールでは、常呂カーリング倶楽部のカーラーら約50人が試合を見守った。 思うようにいかない試合運び。「きょうのアイスとは仲良くできないのかな」「ちょっと笑顔が足りないなあ」と声がもれる。ロコのメンバーが負けを認め、相手の英国に握手を求めると、「すごいことをやってくれた」と、温かい拍手が起きた。 最前列で見守った鈴木夕湖選手の母・倫子(みちこ)さん(62)は「この舞台に立つまでは、決して簡単な道のりではなかった」と思いやった。「また金メダルを目指すチャレンジができるということですね」 自身も元カーリング選手で日本選手権優勝経験もある吉田知那美・夕梨花選手姉妹の母・富美江さん(62)は涙があふれた。姉妹には今大会前、「日本のカーリング界にとって、誰もやったことがないことをやっているんだから、がんばれ」と励ました。2人からは「そだねー」と返ってきた。 富美江さんによると、コロナ… この記事は有料会員記事です。残り674文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「五輪後の弾圧が気がかり」 在日ウイグル人の思い 北京五輪閉幕へ
北京冬季五輪が20日夜、閉幕する。 日本ウイグル協会の会長于田ケリムさん(43)は、「ウイグルへの弾圧を強める中国政府に平和の祭典である五輪を開く資格はない」と北京五輪に反対してきた。「五輪が開催されたのは残念だが、日本や米国が外交ボイコットをしてくれたのはよかった」と話す。日本は政府関係者を派遣しなかったが、「外交ボイコット」の文言は用いず、「総合的に勘案して判断を行った」と説明している。 1年前からは、香港や南モンゴルなど同様に弾圧に苦しむ他地域の団体と協力してデモをしてきた。「中国はあまりに強くウイグルだけでは対抗できない」。開会式当日の中国大使館前のデモも共に開いた。 開会式の聖火リレーではウイ… この記事は有料会員記事です。残り127文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
目指すは北京五輪の次の次 札幌が2030年の招致活動、本格化へ
北京冬季五輪が20日夜、閉幕する。 2030年の冬季五輪・パラリンピック招致を目指す札幌市の秋元克広市長は、北京五輪終盤の17日にあった定例会見で、今後の国際オリンピック委員会(IOC)による開催地決定スケジュールについて「まだ示されておらず、推測の域を出ない」としたうえで、「北京大会が終われば30年大会の開催地決定へのプロセスが進むと思われる」と話し、招致活動を本格化させる方針を示した。 北京大会については「本来なら私自身も行って大会運営を見たかったが行けなかった。環境面への配慮などについて今後情報収集し、参考になることを(招致活動に)採り入れたい」と述べた。 市はコロナ禍で中止していた市民向けイベントを1月から再開させ、招致への機運を盛り上げようとしている。3月上旬には市民や北海道民計1万7500人を対象に五輪開催の賛否を問う意向調査も行う予定。ただ、調査結果はあくまで「招致活動の参考」といい、市議会などの意向も踏まえて5~6月に正式な計画をまとめる方針だ。 市は昨年11月に大会概要を… この記事は有料会員記事です。残り170文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル