東日本大震災で被災した文化財の修復と保存に奔走する高校教師がいる。両親を津波で亡くした喪失感から自身の心を復元するため、そして復興への道しるべとするため。支えになっているのは、親交があった瀬戸内寂聴さんの言葉だ。 岩手県陸前高田市にあった江戸時代に徴税や簡易裁判を担った仙台藩の役人の邸宅「旧吉田家住宅主屋」。津波で基礎を残して流されたが、復興のシンボルとして復元されることが決まった。4月の上棟式に向け、作業が進められている。 1千個のパーツ集め復元 復元を呼びかけたのは、盛岡市の高校教師、佐々木勝宏さん(60)だ。ばらばらになった吉田家住宅の姿に心を痛め、「復元すれば住民を元気づけられ、地元の大工の技術伝承にもなる」と考えた。研究者らとかやぶき屋根や柱など1016個の部材を集め、作業の開始にこぎ着けた。 流失した文化財を復元する試みに没頭するきっかけとなったのは、寂聴さんの一言だった。 交流が始まったのは2008… この記事は有料会員記事です。残り891文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪など17道府県のまん延防止措置、来月6日まで延長へ 5県解除
政府は新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」の期限が20日に迫る21道府県のうち、大阪など16道府県と、27日が期限の和歌山県への措置を3月6日まで延長する。沖縄など5県は2月20日の期限で解除する。この案を18日、専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮問し、了承された。同日夜の政府対策本部で決定する。 重点措置が延長されるのは北海道、青森、福島、茨城、栃木、石川、長野、静岡、京都、大阪、兵庫、和歌山、岡山、広島、福岡、佐賀、鹿児島の計17道府県。山形、島根、山口、大分、沖縄の5県は解除される見通しで、適用地域は21日から31都道府県になる。 岸田内閣は重点措置の延長期間を原則3週間としてきたが今回は2週間にとどめ、3月6日が期限の東京など14都県と期限をそろえる形にした。分科会で黄川田仁志内閣府副大臣は「国民の命を守ることを第一に、強化してきた医療提供体制をしっかり機能させ、社会経済活動をできる限り止めないよう対策を進めることが必要だ」と述べた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
キッチンの鍋の中に白い結晶 組員ら、マンションで覚醒剤作った疑い
マンションの一室で覚醒剤を作ったとして、警視庁は、指定暴力団住吉会の傘下組員3人と20代の周辺者の男1人を覚醒剤取締法違反(営利目的製造)の容疑で逮捕し、18日発表した。 逮捕されたのは、組員の平田弘二容疑者(41)=東京都新宿区新宿1丁目=ら20~40代の男4人。 組織犯罪対策5課によると、4人は昨年10月、ほかの人物と共謀し、新宿区北新宿3丁目のマンションの一室で、覚醒剤約90グラム(末端価格534万円)を営利目的で製造した疑いがある。平田容疑者と別の1人が否認し、ほかの2人は黙秘しているという。 同課は、4人が覚醒剤をより… この記事は有料会員記事です。残り225文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
金の延べ棒4本、高齢女性からだまし取った疑い 19歳を逮捕
「オレオレ詐欺」の手口でお年寄りから約3千万円分の金の延べ棒をだまし取ったとして、警視庁はアルバイトの少年(19)=東京都江東区=を詐欺容疑で逮捕し、18日発表した。同庁の調べに「今は話したくありません」と話しているという。 麻布署によると、少年は1月7日深夜、ほかの人物と共謀し、東京都港区の80代女性宅に息子を装って電話をかけ、「印鑑が入ったかばんをなくしてお金をおろせない。お金を貸してくれなか」と説明。約1時間半後に女性の家で金の延べ棒4本(計約4キロ、約3千万円相当)と現金60万円を詐取した疑いがある。 署は、少年が息子の勤務先の… この記事は有料会員記事です。残り157文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同僚にキス、元警官に有罪判決 裁判官、捜査への影響を踏まえて説諭
柳川迅2022年2月18日 9時49分 同僚の女性警察官にキスをしたとして強制わいせつの罪に問われた元福井県警警部補若松隆男被告(61)=同県敦賀市=の判決公判が17日、福井地裁であった。河村宜信裁判官は懲役1年2カ月執行猶予3年(求刑懲役1年2カ月)を言い渡した。 判決によると、若松被告は2020年10月23日夜、敦賀市内の飲食店で女性警察官のあごをつかんで唇にキスをするなどわいせつな行為をした。河村裁判官は「被害者が警察内で勤続年数的にも階級的にも下位で、弱い立場にいることを背景にしており、やり口は卑劣だ」と指摘。一方で「事実を認め被害を弁償している」と執行猶予の理由を述べた。 若松被告は当時、県内の警察署で刑事課の係長として勤務し、犯罪の捜査に従事する立場だった。被害者は交番勤務で、飲食店では他県警へ派遣される警察官の激励会が開かれていたという。 判決後、河村裁判官は「警察の捜査に協力したくない人が出て捜査に難渋する警察官がいたらそれはあなたのせいだ。警察官が犯罪に手を染めることがどういうことか考えて生活していってもらいたい」などと説諭した。(柳川迅) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
武術、陸上から… 国家戦略で五輪選手「急ごしらえ」当事者の胸の内
4年前にはハードルの選手だった少年が、北京冬季五輪ではスキージャンプ選手に――。北京五輪の開催国として「冬季スポーツ大国」を目指す中国は、別の競技の若手選手を冬季競技に転向させ、ゼロから「急ごしらえ」する国家プロジェクトで、選手たちを大舞台に送り出している。 スキージャンプ混合団体があった今月7日、宋祺武選手(20)は伸び悩んだが、直後の取材には充実感をにじませた。「初めて五輪に出られた。一流選手の技が見られて、いい勉強の機会をもらった」 ジャンプ 手と足が無事なら… 4年前、宋選手は雪を見たことすらなかった。 成都と重慶という中国南部の二つの大都市に挟まれた、四川省資陽市の出身。小さい頃から陸上に親しみ、13歳でハードルの省代表に選ばれた。 2018年の暮れごろ、コーチから「五輪に挑戦してみないか」と転向を打診された。陸上の成績が伸び悩んでいたこともあり、試してみようと思った。 当初は恐怖との戦いだった… この記事は有料会員記事です。残り815文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
還付金なのに振り込む? 聞こえた携帯越しの男の声、JA職員動く
上田真仁2022年2月18日 10時14分 【福島】会津若松署は17日、なりすまし被害を未然に防いだとして、JA会津よつば湊支店(会津若松市)の窓口係、室野井佑介さん(23)に感謝状を贈った。ATMで「還付金」を振り込もうとしていた60代女性に声を掛けて説得し、被害を防いだ。その一連の経緯は次の通りだったという。 9日昼過ぎ、店外のATMに女性が訪れ、携帯電話で話しながら現金を振り込もうとしていた。「還付金を払い戻す」「振り込みを押せばいいんですね」。携帯のスピーカー越しの男の声と、答える女性の声が店内にいた室野井さんの耳に届いた。「還付金なのになぜ振り込むのか」。不審に思い、女性に声を掛けた。 女性は、介護保険の払い戻しがあると市役所から電話があり、手続きにきたと言った。その間も、矢継ぎ早にATM操作を促す男の声が聞こえる。女性が「市役所の電話だ」と言い張るため、室野井さんは市役所の担当課に電話して確認をとり、電話は詐欺だと女性に告げた。女性は「あー詐欺なんですね」とようやく納得したという。警察へ届けるよう伝え、その日のうちに女性から感謝の電話が入った。 室野井さんは感謝状を受けた17日、「地元で被害が広がらなくてよかった」と喜んでいた。(上田真仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「治安のため」関係ない個人情報を収集 公安警察活動、司法の判断は
岐阜県大垣市の風力発電施設建設をめぐり、大垣署と中部電力の子会社シーテック(名古屋市)が、反対住民らの情報を交換していたことが、朝日新聞の報道で明るみに出て8年が経つ。 同署から個人情報を漏らされた大垣市民4人が損害賠償と個人データの抹消を求め、県と国を訴えた訴訟の判決が21日、岐阜地裁である。何が問われているのか。 2014年7月、岐阜県大垣市に住む船田伸子さん(65)と、近藤ゆり子さん(72)は戸惑いを隠せなかった。 岐阜県警大垣署との情報交換… この記事は有料会員記事です。残り1047文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
相次ぐ著作権事件の摘発 共通する1人の男性 その本業と「副業」
映画会社や出版社などの著作権を侵害したとして、逮捕や書類送検される事件が今月、相次いでいる。摘発が続くのはなぜか。背景を探ると、たどりついたのは1人の男性だった。 映画を10分ほどの動画にまとめて紹介する「ファスト映画」をユーチューブに投稿していたとして、宮城県警は15日、神奈川県の男(48)を著作権法違反容疑で逮捕した。 捜査に協力したのは、映画会社などでつくる一般社団法人・コンテンツ海外流通促進機構(CODA)だ。 立件後に激減したアカウント CODAの調べでは昨年6月時点でファスト映画を投稿するユーチューブのアカウントが55件あったが、同月に札幌市の男らが逮捕され、激減。その後も投稿を続けていたのが「ファストシネマ」というアカウントだった。 CODA主導の下で映画会社… この記事は有料会員記事です。残り978文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 フカボリ 旬の話題の舞台裏から事件の真相まで、気になるニュースの深層に迫ります。世の中に流れる情報の一歩先へ。「もっと知りたい」「ちょっと気になる」に応えます。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上皇ご夫妻支えた渡辺允・元侍従長 皇室記者が振り返る
平成時代の天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)を約10年にわたって支えた渡辺允・元侍従長が2月8日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため、85歳で死去しました。長年にわたり皇室取材を続けてきた岩井克己・本社皇室担当特別嘱託が渡辺さんの歩みと功績を振り返りました。 ◇ ◇ 「やれと言われればやりますよ」。あなたのような人が侍従長だったら。そう冗談めかして問いかけたら、静かな声が返ってきて驚いた。官僚で、そんな覚悟を示す人に出会ったのは初めてだったからだ。 1994年6月、米国を訪問した天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)の取材から帰国して間もなく、親身に両陛下を気遣う様子が印象的だった儀典長の渡辺さんを呼び出してお茶を飲んだ時だ。 92年の中国訪問や、積極的にご夫妻で活動する平成流に反発した保守派からのバッシングで矢面に立った皇后美智子さまが倒れてから8カ月。まだ快復途上でのハードな外国公式訪問を案じる声も多かった。しかし、若いクリントン大統領夫妻や米国民の底抜けに明るい歓迎に包まれ、雄大なロッキー山麓(さんろく)では皇后さまの笑顔を天皇陛下が自らカメラに収めるなど、ようやく長く暗いトンネルから抜け出したと実感させる充実した旅だった。 初対面ながら、温厚な人柄に… この記事は有料会員記事です。残り1441文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル