「一票の格差」が最大2・08倍だった昨年10月の衆院選は投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが11都県の109選挙区について選挙無効を求めた訴訟の判決が2日、東京高裁であった。三角比呂裁判長は「投票価値が著しい不平等状態にあったとは言えない」として「合憲」と判断し、原告側の請求を棄却した。 同種訴訟の判決は、高松高裁に続いて2件目。 1日の高松高裁判決は、最大格差が2倍以上となったことについて「看過できない投票価値の不平等状態にある」とし、「違憲状態」と認めたため判断が分かれるかたちとなった。高松高裁判決は、国会が選挙までに区割りを改定しなかったことは「国会の裁量権の範囲内」だとし、選挙無効の請求については棄却した。 一票の格差をめぐっては、最… この記事は有料会員記事です。残り396文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学受験の結果に傷ついたら 親こそ踏ん張って、やってほしいこと
小学校での遠足の最後には、校長先生が「遠足はここで終わりではありません。安全におうちに帰るまでが遠足です」と言っていましたよね。中学受験も同じです。 合格発表で終わりではありません。実は、合格発表が終わってから、決して楽ではなかった中学受験という「親子の大冒険物語」のエピローグが始まります。 生きていれば、どんなに頑張っても思い通りの結果が得られないことはたくさんあります。思い通りの結果が得られなければ、傷つくのは当然です。 でも人生において、傷つくことは、失敗ではありませんよね。中学受験も同じです。不合格をもらえば傷つきます。 でも、不合格をもらうことは、中学受験の失敗を意味しません。そう考えれば、中学受験に「二月の敗者」なんていません。 望み通りの結果が得られなかったときには塞ぎ込んでしまいたくなるのもわかりますから、いまそのような状態にあるひとを、私は無理に励ましたりはしません。 でも、なんとか踏ん張って、やってほしいことがあります。 大冒険をやり抜いたわが子が… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
それ、「らしさ」の呪いかも 白河桃子さんが指摘、家庭の持続可能性
「大黒柱は夫」が多い日本。女性の収入が多い「大黒柱妻」は、モヤモヤした気持ちを抱えていることが多いようです。2008年の共著「『婚活』時代」がヒットし、婚活ブームの火付け役となった相模女子大学大学院特任教授の白河桃子さんは、妻も夫も「家事育児は女性の役目」「男性は稼いでなんぼ」という無意識の思い込みに縛られていると分析。家庭を会社にたとえて、「持続可能な方法を探っては」とアドバイスします。 大黒柱妻の人をずいぶん取材しましたが、仕事ばかりして夫に家事育児を丸投げにしている、という家庭はあまり見ません。 「子育ては女性のもの」という「アンコンシャスバイアス」(無意識の思い込み)もありますが、子育ての喜びも知っているからです。 限りある時間 どちらが投入? 女性は「仕事はしているけれど、育児や家事もやらなくちゃ」と自らに課して苦しみがちですし、「君は大黒柱妻だから僕が家事育児を率先してやるよ」という男性は少数です。 とはいえ、お金を稼いでいるから、と家事はともかく子育てをしなくていい、というのは違うのではと思います。子どものためには多くの人が関わったほうがいいし、子育ては2人のこと。一方で、限りある時間をどちらがより投入するのかという点に、日本では不平等があります。 女性の家事時間は男性の約5倍という調査結果もあります。女性がフルタイム正社員勤務であっても、あまり変わりません。若い世代では、男性も収入がイーブンならより家事をしなくては、と思うようになってはいきますが。 「男らしさの呪い」 フルタイム共働きの女性が… この記事は有料会員記事です。残り1286文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南極は真冬の夏至、越冬隊伝統の祭典で連帯感強め、極夜も楽しく
一日中太陽が昇らない「極夜」。青い空も、輝く太陽も見られない生活は1カ月半続く。なんとなく気持ちも晴れない。そんな「冬ごもり」気分を吹き飛ばそうと、「ミッドウィンターフェスティバル」が2020年6月に開かれた。 暗くて寒い冬まっただ中、「越冬の折り返し地点」を楽しく乗り切るための伝統行事だ。南極で越冬する海外の基地も祝う。米英独仏、インド、南アフリカ……各国のグリーティングカードが次々メールで届く。千キロ以上離れていて会えないが、仮装したり、水着姿もあったり、同じ南極で越冬している仲間の楽しい写真を見ていると、こちらも笑顔になってくる。 61次隊の祭典は21日の前夜祭に始まり、22~25日と決まった。実行委員会もつくり準備は1カ月くらい前から始まる。3チームに分けて、それぞれ1回ずつ昼食を担当、ゲームやスポーツなどを主催する。私のチームの昼食はお好み焼き、ほかは手巻きずし、流しそうめんと聞いて「お手軽なものか」と思ったら、そうめんを流す仕掛けまで作ったチームも。さすが観測隊、車両や電気、建築など「手に職」ある隊員が多く、何でも自分たちで作ってしまうのはお手の物だ。 カーリング用に氷のストーン… この記事は有料会員記事です。残り463文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消えるネオン、営業制限に苦しむ夜の店「産業として破壊される勢い」
新型コロナウイルスの「第6波」によって、夜の店はみたび苦境に立たされている。「夜の公共圏」としてのスナックやクラブ、バーなどを調査している「夜のまち研究会」を主宰する谷口功一・東京都立大教授(法哲学)のもとには、全国の店主から嘆きの声が届いている。 「午後8時以降の酒提供を禁止すれば、感染が抑えられるわけではない。実効的でないことは明らかなのに、わかりやすい対策として、立場の弱い飲食店が狙い撃ちにされた形だ」と谷口さんは言う。 1964年の東京五輪を機にスナックという業態は誕生したとされる。くしくも2度目の五輪を前に、店は激減した。 研究会の調査によると、スナックやクラブ、キャバレーなど2015年に約10万軒あった店舗数は、21年3月時点で約6万9千軒にまで減った。7万4千軒あったスナックも、4万9千軒にまで減っているという。 「大都市の繁華街がひどい。自宅兼店舗のような地方のスナックが持ちこたえられても、都市部は地代が払えず耐えきれない。銀座でも大通りの路面が空き始めているが、中期的に経済的な困窮に追い込まれる人が出てくる」と懸念する。 飲食店で10年にわたり営業できるのは「3割」とされ、夜の街では廃業と開店が繰り返されてきたが、谷口さんは「産業クラスターとして破壊される勢いであり、通常の新陳代謝を超えている」と話す。 「夜の公民館」機能も大事 「昼カラオケ」など高齢単身… この記事は有料会員記事です。残り363文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
就活やめた一橋大生、夜の街で見つけた新たな「社交場」に描く夢
一橋大学(東京都国立市)で都市政策を学んだ大学生が今春、社会に出る。大学で海外インターンシップや民泊運営を経験し、たどり着いた仕事は、一見、意外なものだった。 「すごく迷いました。もとは『バリキャリ』を目指していたので……」 4年の坂根千里さん(23)は、そう話す。国際団体職員として長く海外で暮らし、今もスーダンで働く父にあこがれ、街づくりを学ぼうと一橋大に進学した。専攻したのは都市政策。カンボジアのホテルでインターンシップも経験した。第一線でバリバリ仕事をするキャリア女性を思い描き、不動産会社への就職も考えていた。 転機の一つとなったのは大学2年生だった2019年1月。客として初めて足を踏み入れた場所で、「働いてみない?」と誘われたことだった。 「夜の街」で出会ったひとりの女性 そこは、大学に近いJR南武… この記事は有料会員記事です。残り1061文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
松戸市役所に500万円の匿名寄付 「駅前のオブジェを塗り替えて」
千葉県松戸市役所総務課のカウンターに先月、匿名の寄付金500万円が置かれているのが見つかった。いっしょに置いてあったのは、JR新松戸駅前のオブジェを塗り替えてほしいとのメッセージ。市は寄付金を受け取り、塗り替えに活用できるかどうか検討することにしている。 市総務課などによると、寄付金が見つかったのは1月17日午後1時45分ごろ。100万円単位の札束が五つ置かれていた。市への寄付申込書と、JR新松戸駅前のオブジェ「あかりのBOX」について、「塗り替え作業にできるだけ早く取りかかることを強く希望します」などと書かれたメッセージも置かれていた。 氏名の欄にあったのは、いずれも廃校となっている市立新松戸北小学校と市立新松戸北中学校の「卒業生有志一同」。寄付金が見つかった時間帯は職員が入れ代わり立ち代わり作業をしており、誰かが寄付金を置いていったことに職員らは気づかなかったという。 「私たちが育った新松戸は…」 寄付金と共に嘆きのメッセージも 「あかりのBOX」は200… この記事は有料会員記事です。残り318文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生きている人間が沖縄にいること、忘れないで 戦争から一続きのいま
今年5月、沖縄は本土復帰から50年を迎える。凄惨(せいさん)な地上戦を経て、戦後長らく日本から切り離された島で生きてきた人々の生活について、私たちは何を知っているだろう。沖縄について考えることは、日本について考えることでもある。沖縄の生活史調査をしてきた社会学者の岸政彦さんに、沖縄を取材してきた記者が聞いた。 沖縄戦と戦後を生き抜いた経験は連続している ――本土出身の岸さんと沖縄とのかかわりは、どのように始まったのですか。 「20代で初めて訪れ、沖縄に恋い焦がれる、いわゆる『沖縄病』になりました。家電やCDを売ってお金を作っては、毎年のように訪ねた。大学院の博士課程で研究対象にしたのですが、お金がないので、現実的にできる研究方法が生活史の聞き取りでした」 「以来、戦時中から復帰前、復帰後にかけての多くの人々の経験を聞き取り、記録に残しています。沖縄戦についての調査は膨大にありますが、戦後の経験も合わせてトータルで聞く研究は他にはないでしょう。そんな聞き取り調査で理解したのは、沖縄戦は1945年3月26日から6月23日までの3カ月間だけのものではなかった、ということです。米軍基地が今もある以上、復帰後から現在まで一続きのものなのです」 ――沖縄戦は、戦後もずっと続いてきた、と? 「沖縄戦と戦後を生き抜いた経験は、沖縄の人たちのなかで連続しています。ある高齢女性は、沖縄戦で米軍から逃げて畑のサトウキビで命をつないだ話と、戦後に基地の敷地内を畑にする『黙認耕作地』でイモを作り、不発弾を集めてスクラップとして売った話などを、まるで自然現象のような一続きの経験として語りました」 「沖縄戦では、握り飯を持っていた日本兵が、住民の年寄りや子どもにあげずに自分たちだけで食べていたことを女性は記憶していた。米兵は戦後、チョコや肉をくれたのに、日本兵は逆に食料を奪ったりもした。だから、米軍よりも日本軍に対する反感の方が強い。当たり前ですが、食べなければ人間は生きられない。語りから、その重みを感じました」 社会学者の岸さんは沖縄戦はある意味、現在まで続いていると考えています。記事後半では、沖縄の歴史から生まれた思想やアイデンティティーについて論じます。 同じ人間が大国の間で踏みにじられていること、忘れないで ――戦後の米軍支配時代の生活について、確かに本土ではまったく知られていません。それが、本土からの視線と沖縄の人々の思いが食い違う理由でしょうか。 「沖縄の人たちが、どうやって食べてきたのか、私たち日本人はあまり真剣に考えてこなかったと思います。沖縄戦の集団自決で、家族で唯一生き残ったという男性の話が強く印象に残っています。家族や親類が集まり、真ん中に手投げ弾を置いて爆発させる。その自決で死んだ弟の話をして、男性は机の端をつかみ、嗚咽(おえつ)を漏らして号泣しました」 「そんな経験をしながらも… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山梨知事「暴力による主張、大変残念」 脅迫文を受け被害届を提出
三ツ木勝巳2022年2月2日 9時19分 長崎幸太郎知事に危害を加えることを示唆する文書が山梨県庁に届いた問題で、長崎知事は1日、心境を述べた。「暴力によって自らの意見、正義感、そういうものを主張するのは大変残念。そういったものにおびえるようなことは一切ない。堂々と議論すべきだ」と述べた。県は1日、甲府署に被害届を提出した。 文書は、先月27日、封書で県庁に郵送された。県によると、県が出した新型コロナウイルスに関する臨時特別協力要請でワクチン未接種者に外出自粛を求めたことなどへの抗議と読み取れる内容だったという。カッターナイフの刃も同封されていた。 長崎知事は、ワクチン未接種者への外出自粛要請について、「感染拡大の中では、控えていただくのが一番いいのではないか。これは私ども県の考え」「そうじゃないと言うのであれば、堂々と議論すべきだ。命をどうやって守っていくかを第一に、共通の問題意識のもと議論するのは大歓迎だ」と訴えた。(三ツ木勝巳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東芝子会社巡る「追い出し部屋」訴訟 原告が職場復帰で訴え取り下げ
東芝の主要子会社から退職させる目的で、いわゆる「追い出し部屋」に配属されたとして、男性社員(53)が子会社に配属の無効などを求めた訴訟で、男性社員と弁護団が1日、訴えを取り下げたことを明らかにした。担当していたIT業務に復帰でき、訴訟の目的を達成したとしている。 東芝エネルギーシステムズ(ESS、川崎市)を相手取り、横浜地裁川崎支部に提訴していたのは小里正義さん。川崎市内であった記者会見で「戻れてよかった。(同じような立場の人がいれば)負けないでほしい」と話した。 訴状などによると、小里さんは1992年に東芝に入社。主に発電所関連のシステム開発畑を歩み、分社化に伴って2017年にESSに移った。18年に東芝の再建計画が発表され、翌年から小里さんは当時の上司らから3回、希望退職に応じるよう促された。 拒み続ける小里さんをESS側は19年4月、総務部に新設された「業務センター」に異動させた。小里さんは物流会社に出向するなどし、他社製品の箱詰めや清掃をさせられたという。 裁判でESS側は業務センターについて「追い出し部屋であろうはずもない」とし、原告側の主張する退職強要や人事権の乱用を否定していた。21年6月に同センターが廃止され、翌7月に小里さんは「実習」としてIT業務に復帰。同年12月、ESS側が小里さんをIT担当部署に本配属することを裁判所に提示し、小里さんは訴えを取り下げ、今月1日付で東芝本体の所属となり、ESSには出向となった。 ESS側は訴えの取り下げを受け、「会社としては訴訟を提起されていた立場であり、今回原告側から訴訟の全面的取り下げがあったことから、これを受け入れたものである」とコメントした。業務センターへの異動については「再配置先が決まるまでの一時的な措置だった。廃止の決定とIT業務への復帰は、訴訟とは関係がない」と取材に説明していた。(佐藤英法、内藤尚志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル