吉沢英将2022年1月16日 4時38分 南太平洋のトンガ諸島で発生した大規模な噴火の影響で、15日夜から16日未明にかけて鹿児島県奄美市で1・2メートル、岩手県久慈市で1・1メートルなど、北海道から沖縄・奄美の広い範囲で潮位が上昇した。気象庁は16日午前0時15分に奄美群島・トカラ列島に津波警報、太平洋側の広い範囲に津波注意報を出した。同日午前2時54分には岩手県に出ていた津波注意報を警報に切り替えた。 同庁は、警報が解除されるまでは安全な場所へ避難するよう呼びかけている。総務省消防庁によると、沿岸部を中心に各地で避難指示が出されているが、16日午前1時45分現在、人的被害は確認されていない。 気象庁によると、16日午前3時半までに観測された最大波は、北海道浜中町0・9メートル▽福島県いわき市0・7メートル▽茨城県大洗町0・6メートル▽父島(東京都小笠原村)0・9メートル▽静岡県御前崎市0・7メートル▽和歌山県串本町0・9メートル▽高知県土佐清水市0・9メートル――など。 噴火は15日午後1時ごろ、日本から南約7700キロ離れたトンガ諸島の「フンガ・トンガ―フンガ・ハアパイ火山」という海底火山で発生。噴煙は高さ約1万6千メートルまで上った。 同庁は15日午後7時ごろ、噴火の影響について、若干の海面変動がある可能性はあるものの、被害の心配はないと発表していた。だが、深夜になって太平洋側の各地の検潮所で大きな潮位変動が観測されるようになり、防災上の観点から津波情報を使って避難を呼びかけたという。 16日未明に開いた緊急の記者会見で、同庁は今回の潮位変動について「通常の津波とは異なる」との見解を示した。気圧の上昇とともに潮位の変化がみられたといい、「噴火によるものと考えているが、どういうことが起きたかはわかっていない」としている。 同庁によると、海外の火山噴火によって国内で潮位の変化が観測されたのは初めてだという。津波警報が出されたのは、2016年11月の福島県沖を震源とする地震以来。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
逮捕の高2、可燃性の液体?3リットル所持か 現場近くには着火剤も
2022年1月15日 22時57分 大学入学共通テストの会場となっていた東京大学弥生キャンパス(東京都文京区)前の路上で15日朝、受験生ら3人が包丁で刺された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された名古屋市の高校2年の少年(17)の所持品とみられるバッグの中に、可燃性があるとみられる液体計約3リットルが小分けにされて入っていたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は周辺で火を付けようとした疑いがあるとみている。 捜査関係者によると、刺傷事件の現場に遺留されていたバッグから、500ミリリットルのペットボトル3本と、190ミリリットルの瓶8本が見つかった。近くには着火剤があったほか、栄養ドリンクの瓶計10本もあった。うち9本は3本ずつに束ねられており、この一部にも中に着火剤が入っていたという。 また、刺傷事件の前に少年が現場から約100メートル離れた東京メトロ南北線東大前駅で着火剤に火を付けた疑いがあることも判明。防犯カメラに映像が記録されていたという。同駅の改札近くでは不審火があり、少年は関与を認める説明をしている。 同じころ、走行中の南北線の車両に可燃性とみられる液体がまかれる事件も起きており、警視庁はこちらについても少年が関わった疑いがあるとみている。 少年は逮捕直後、動機などを話していたが、その後黙秘に転じ、これら液体については説明していないという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
リスニング試験中にチャイムが…独協大の会場で357人が再開テスト
15日に埼玉県草加市の独協大会場で実施された大学入学共通テストの英語(リスニング)で、受験した357人が、トラブルがあった箇所から聞き直す「再開テスト」を受けた。大学入試センターが同日、発表した。センターの実施要領では試験中はチャイムを切るよう会場となる大学に求めているが、大学が切り忘れ、試験中にチャイムが鳴ってしまったという。 同会場では1674人がリスニングを受験。うち申し出のあった357人全員が再開テストを受験した。 これを含め、全国47試験場で、機器の不具合の申し出など何らかのトラブルにより409人が再開テストを受験したという。(鎌田悠) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奄美・トカラ列島に津波警報、太平洋側広域に注意報 トンガ噴火影響
16日午前0時15分ごろに出された津波警報と津波注意報の範囲 [PR] 気象庁は南太平洋のトンガ諸島で15日午後1時10分ごろに起きた大規模噴火の影響で、16日午前0時15分ごろ、奄美群島・トカラ列島に津波警報、北海道の太平洋沿岸や伊豆諸島、小笠原諸島、沖縄本島など太平洋沿岸の広い地域に津波注意報を出した。 気象庁によると、鹿児島県奄美市で1・2メートル、岩手県久慈市や和歌山県御坊市、高知県土佐清水市などで0・9メートル、茨城県大洗町で0・5メートル、千葉県銚子市で0・3メートルの津波が観測された。奄美群島・トカラ列島では最大3メートルの津波のおそれがあるとしている。 同庁は15日夜、日本の沿岸では若干の海面変動がある可能性はあるものの、被害のおそれはないと発表していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
共通テストの地歴・公民、3人が再試験対象に 2会場で監督者のミス
大学入試センターは15日、大学入学共通テストの地理歴史・公民で、2会場の受験者計3人が、監督者の対応に誤りがあったため2週間後の再試験の対象となったと発表した。 センターによると、福島大では、交通機関の遅れで試験開始が30分繰り下げになった受験者2人が、別室で待機したまま放置され、試験開始に間に合わなかった。監督者が繰り下げ後の開始時刻をきちんと伝えていなかったためという。 また、関西国際大(兵庫県三木市)では、誤った科目の問題を解いていることに気づいた受験者1人に対し、途中から別の科目に解答することはできないとの誤った指示を監督者がしたという。(鎌田悠) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
塀の外のステーキ店、高級外車の青年が頼んだ1万円分の料理
窓の向こうに黒羽刑務所の入り口が見える。栃木県大田原市寒井の「ステーキ万味(まるみ)」。昨年のクリスマス。夕日が沈んだころに、店の駐車場に高級外車が止まり、1人の青年が降りてきた。 青年は店に入ってテーブルに座ると、この店で最も高い栃木産黒毛和牛の270グラムを注文した。カキフライも付けた。計1万1290円。万味では1人でこれだけの金額の食事をする客はめったにいない。 青年はゆっくりと味わうように1時間ほどかけてステーキを平らげた。それから店の窓の向こう側を真剣な表情で見つめた。すっかり暗くなっていたが、スマホを向け写真を撮った。 「懐かしいね」。独り言が聞こえてきた。黒羽刑務所を見つめていた。 青年は、家族で店を経営する石川典子さん(67)に話しかけた。「10年前に出所したんだ。とにかく、腐ってらんないから頑張ったよ。だから一番高い肉が食べられた」。県外からやってきたという。立派な高級外車に、石川さんは青年の意地を感じた。 万味は1976年、石川さん夫婦が現在の店の近くで開いた食堂が始まり。約15年前に今の場所に移り、長男夫婦と一緒に切り盛りしている。ステーキ、とんかつ、親子丼……。刑務所前なので、以前から出所者や面会人がたまに立ち寄っていた。 約40年前の出来事は今も鮮明に覚えている。県外の会社員から店に電話が入った。「朝早く店を開けてくれないか」。社長の出所を祝いたいという。 開店は午前11時だったが、その日は貸し切りにして午前8時に開けた。社員や家族ら十数人が駆けつけ、テーブルに座った社長を囲んだ。カツ丼などを食べ、弾むような笑い声が響いた。みんな、出所を心から喜んでいた。石川さんは一度失敗してもやり直せる人生があると感じた。 食堂にチャーシューを食べにきた女性もいた。面会した受刑者が「チャーシューのにおいがいいんだ」と女性に話していたという。以前は受刑者が道路沿いのヒバの枝を切りそろえていた。石川さんは言う。「受刑者にとって、においは世間へのあこがれだったんでしょう」 約3年前まで月1回、面会後に店に立ち寄る高齢の女性がいた。ある日、窓から差し込む西日を見て女性が言った。「こんなきれいな光景があるのね」。ほおを涙が伝っていた。大切な人を待ち続ける苦しさを垣間見た気がした。 黒羽刑務所は3月に閉鎖され、半世紀の歴史に幕を下ろす。収容されていた受刑者は昨年9月までに別の刑務所に移された。入り口付近のサクラやモミジの木は伐採された。 クリスマスの日、青年から「店もやめるんですか」と聞かれた。すぐに否定すると、「また来ます」とにっこり笑った。「自分の好きなものを食べられるのは幸せだね」と声をかけると、青年は「本当、そうですよ」。帰り際、車から手を振ってくれた。 石川さんはうれしさがこみ上げてきた。「人って成長できるんですよ。いくつになっても」(池田拓哉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
成人年齢引き下げ、コロナ…若者に身近な題材が 大学入試共通テスト
編集委員・増谷文生、三島あずさ2022年1月15日 21時56分 大学入学共通テストは、文部科学省が重視する「思考力・判断力・表現力」を測ることを目指して、昨年始まった。表現力を測るための国語と数学への記述式問題の導入は見送られ、解答方法は大学入試センター試験と同じ全問マークシート式となったが、問題の内容や出題形式は変わった。昨年同様、多くの資料や会話文を盛り込み、授業の場面など若者に身近な設定の問題が多かった。 今回、出題内容が注目されていたのは国語だ。2度実施された試行調査で登場して話題となった、学校新聞や法律の条文などの「実用的な文章」を読み解いて答える問題は、昨年に続き今年も出題されなかった。 現代社会では、4月に迫る成人年齢の18歳への引き下げを意識させる問題が目を引いた。今夏には受験生も投票できる参院選が控えているが、比例区の当選者が決まる仕組みを題材としたものもあった。さらに「若年者に関連する日本の法制度」も取り上げ、4月の成人年齢引き下げを記述した選択肢を正答とする問題もあった。 昨年は、世界史Bがコレラやペストなどの感染症を題材としたが、今年は政治・経済が新型コロナの影響を取り上げた。「巣ごもり需要」の増加に対応して2020年に売り上げを伸ばした企業があった、とする選択肢を正答とした。 日本史Bには、人名から見た歴史というユニークな視点の問題が出された。設問中の会話文では、男子が「夫婦がどのような苗字(名字)を名乗るかは、現代でも大きな議論になっている」と現状を表現。河合塾は「現代における夫婦の姓など時事的な問題を意識した出題」と分析した。 現代社会では、女性の年齢層ごとの労働力率(労働力人口の割合)を題材にした問題も。出産・育児期に低下する「M字カーブ」が、以前より解消してきたことを示す折れ線グラフを答えさせる出題があった。 若者の関心が高い環境問題を題材にした問題も各科目で出された。地理Bは、再生可能エネルギーや循環型社会について取り上げた。英語のリーディングでは、ウェブサイトやブログを読んで答える問題もあった。(編集委員・増谷文生、三島あずさ) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鍛錬に励んだ教え子、なぜ放火の犠牲に 祈り込めた「突き」300回
「家の中からよく笑い声が聞こえてくる明るい家族でした」 大阪市北区のクリニックで25人が犠牲になった放火殺人事件から17日で1カ月となる。奈良県の40代の男性は、30代の妻とともに亡くなった。小学生ぐらいの年頃の子が残された。近所の人は、親子3人が自宅前でバドミントンに興じる姿を覚えている。 男性は大阪府内のメーカーに勤め、職場での信頼も厚かった。上司は「人格者で仕事もできて、社にとって重要な人物だった。スタッフはみな悲しんでいる」と悔やんだ。元同僚の一人は「優しく、頼み事にも嫌な顔をせずに応じてくれる人でした」と声を詰まらせた。 「無念だなあ、無念やったよなあ……」 放火殺人事件から、1週間余りが経った昨年のクリスマス。現場のビルの前に白いタオルを巻いた花束を供え、亡き教え子にそっと手を合わせる人影があった。 奈良市内の高校で少林寺拳法部の監督を長年務める野村裕(ゆたか)さん(72)。亡くなった男性は20年以上前の部員だった。 「寡黙だが芯の強さがあり、周りから慕われていた」と振り返る。高校から競技を始める部員が多い中、男性は小さな頃から道場に通い、入部時点で有段者だった。 大会では、攻防を2人1組で披露する「組演武」の種目で優れた成績を残した。「正確に技を繰り出せる高い技術力があり、相手に合わせる協調性にも秀でていた」と野村さん。 少林寺拳法は、危険から身を守ることを基本としているという。野村さんは「奥さんをかばおうとして犠牲になったのでは」と思いやった。 事件からまもなく1カ月。野村さんはまだ、気持ちの整理がつかない。犠牲になった教え子は、男性だけではなかった。 大切にしている黄色いメガホン 奈良市内の高校の少林寺拳法… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
取り押さえられた学生服の高2 東大前刺傷、テスト1時間前に何が
大学入学共通テストの初日となる15日朝、会場となる東京都文京区の東京大学弥生キャンパス前の路上で事件は起きた。受験生らを刺したとして、殺人未遂容疑で逮捕されたのは高校2年生の少年(17)。現場で何が起きたのか――。 「刺された」 15日午前8時35分ごろ、東京都文京区の警視庁本富士署弥生町交番に男性(72)が駆け込んできた。 男性が刺されたのは、交番から約80メートル先の東京大学弥生キャンパスの「農正門」前の路上。門をくぐった先には農学部などがあり、約1時間後には共通テストの地理歴史、公民の試験開始を控えていた。 警察官が現場に駆けつけると、短髪で学生服姿の少年が座り込んでいた。 捜査関係者によると、少年は交番に駆け込んできた男性と、共通テストを受験するために訪れた高校3年生の男女計3人を刺した後、近くにいた警備員に刃物を取り上げられ、その場に座り込んだという。 目撃者によると、少年は入り口の壁に寄りかかるような状態で警察官に取り押さえられ、暴れる様子はなく、無言でうなだれていたという。 農正門の向かいにある酒店店主の渡辺泰男さん(82)は午前8時半ごろ、消防車や救急車のサイレンを聞き、外に出た。すると門の奥に1人、門の手前に1人倒れ、警察官らが声を掛けていた。少年とみられる若い男は2~3人の警察官に抱えられ、交番へ連れて行かれた。その際、警察官から「どこから来た?」と大声で繰り返し問いかけられていたが応じず、終始無表情だったという。 事件の15分前には最寄りの駅で不審火も 午前9時すぎ、農正門の手前… この記事は会員記事です。残り694文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
トンガの海底火山で大規模噴火、日本への津波被害の心配なし 気象庁
吉沢英将2022年1月15日 19時13分 15日午後1時10分ごろ、南太平洋のトンガ諸島にある海底火山で、大規模な火山噴火があった。気象庁によると、周辺海域では津波が発生している。日本の沿岸では同日午後9時ごろから若干の海面変動がある可能性はあるものの、被害のおそれはないという。 同庁によると、噴火した海底火山は日本の南約7700キロにある。過去には1960年のチリ地震など海外の地震で日本に津波が到達して死者が出たケースはあるものの、海外の火山噴火により日本で津波を観測したことはないという。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル