関謙次2021年12月15日 19時12分 18歳以下の子どもへの10万円給付をめぐり、名古屋市の河村たかし市長は15日、半分をクーポンで給付するとしていた方針を切り替え、全額を現金で給付すると表明した。「国が方針を変えたのに、名古屋だけクーポンだと言っていてもしょうがない」と姿勢を転じさせた。 河村氏は記者団に対し、方針を変更した理由を「現金がもらえるのにクーポンにしてくれという人なんていない。それが人情というもん」と説明した。まず24日から5万円の給付を開始し、残りの5万円は1月中をめどに給付する方向で準備を進めているという。申請が必要な高校世代(16~18歳)は、1月下旬以降に一括して10万円を支給する考えだ。 市は、まず現金を5万円、残り5万円分をクーポンで給付することを前提に、約314億円の補正予算を計上し、8日の市議会で可決されていた。市によると、現金に切り替えることで事務経費が減り、給付時期も早まるという。 河村氏は13日の記者会見では、経済対策としての効果が見込めるとして「クーポンでやるのがええと思う」と語っていた。一方で「国の方針に従う」とも述べ、政府の動きを注視していた。岸田文雄首相が同日、年内の全額現金給付を無条件で認める考えを表明。全額現金で給付する方針を明らかにする自治体が全国で相次いだことから、持論を抑えた。 市は、問い合わせを受け付けるコールセンター(052・930・5870)も開設した。(関謙次) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ホテルにアート? コロナ下で突き詰めた「もてなし」は……
もっとベスト尽くせたんちゃう? 上田聖子さん(39)は、ひっそりと眠ってしまった自分たちのホテルを見て、そう自問した。 2017年から支配人を務める「ホテル アンテルーム 京都」(京都市南区)は、新型コロナの影響で今年2月から3週間、休館した。 低価格の宿泊プランを打ち出す手があったかもしれない。感染した軽症者の療養施設の道を探ってもよかったかも。ともに歩んできた仲間たちのモチベーションも保ちたい。そんなあれこれがグルグルと頭を巡り、前年末から通っていた自動車教習所の仮免許の試験に2回落ちた。 でも、立ち止まってばかりもいられない。「自分にしかできないことって何やろう」。長いトンネルの中で、もう一度見つめ直した。 記事の後半では、上田さんが試みた自分なりのもてなしについて、ご紹介します 短大で服飾やテキスタイルデザインを学んだ後、21歳で英国のグラスゴーに渡った。5年半の留学の間、版画や絵画をもとに自分にしかできないアートを追求した。工業の街として歴史的に労働者が多かったグラスゴーでは、「なければ作ろう」という「DIY精神」が根付いていた。アーティストはギャラリーやスタジオを自分たちで作る。そんな情熱はいつしか自分の核にもなった。 帰国して、別の会社で働いて… この記事は会員記事です。残り448文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生後14日、名前ない娘に手をかけた 母を悩ませた「300日」の壁
広島地裁=広島市中区 女の子は、「名前」がないまま、わずか14日の短い生涯を終えた。首を絞めるなどして殺害した罪で起訴されたのは、母親(26)だった。哺乳瓶やベビーカーを買いそろえ、新たな命の誕生を心待ちにしていた被告が、なぜ我が子に手をかけたのか。判決後、裁判長の言葉に涙を浮かべたわけとは――。 広島地裁で9月30日にあった裁判員裁判の初公判。被告は、白のカッターシャツに黒いパンツ姿で法廷に現れた。毛先の半分ほどは茶髪で、根元は黒。長い髪を後ろで束ねていた。 広島市安佐北区内の自宅で昨年7月、自ら産んだ生後14日の娘を殺害した――。検察官が起訴状を読み上げると、被告ははっきりとした口調で「間違っていることはありません」と答えた。 「生まれてきてくれて安心」 感じた喜び 検察側の冒頭陳述などによれ… この記事は有料会員記事です。残り2872文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 きょうも傍聴席にいます。 事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。2017年9月~20年11月に配信された30本を収録した単行本「ひとりぼっちが怖かった」(幻冬舎)が刊行されました。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
災害ボランティアが「サンタさん」募集中 被災地へ笑顔を
九州を中心に各地の被災地を飛び回るボランティア団体が「サンタさん」を募集している。クリスマスの25日、熊本県内の仮設住宅で暮らす人たちにお菓子やおもちゃのプレゼントを届ける計画だ。 企画しているのは、災害ボランティアのNPO法人「日本九援隊」(福岡県大野城市)。2014年の広島土砂災害や16年の熊本地震などで被災地に入り、片付けや復旧作業を行うボランティア活動を続けている。 25日には、熊本県の人吉、八代両市の仮設住宅を訪れる。昨年7月の豪雨で球磨川が氾濫(はんらん)し、多くの人が住まいを失った地域だ。当日は、新型コロナの感染防止対策をしたサンタたちが全500戸を訪問し、一人一人にプレゼントを手渡しする予定という。 クリスマスの仮設住宅訪問は今年で6回目。12月に入っても現地でプレゼントを配るボランティアのサンタと、贈り物が足りていない。コロナ禍で準備が思うように進められなかったためだ。 ボランティアのサンタは定員… この記事は会員記事です。残り358文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナの「闇」照らせ 福岡・糸島高でイルミネーション点灯
2021年12月15日 12時00分 コロナ禍で高校生活を送り、受験シーズンを迎えた3年生を励まそうと、福岡県立糸島高の生徒会が校庭にイルミネーションをともした。 吹奏楽部がクリスマスソングを演奏後、庭木を飾る計2万4千球のLEDライトが一斉に点灯。校舎の窓から見守っていた3年生らから歓声が上がった。 「中止された学校行事の代わりに」と生徒会執行部が企画。費用はPTAと同窓会が持った。明るい黄色の光が年末までコロナの「闇」を照らしてくれる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コウテイペンギン現る!太陽との別れ、陽光のない1カ月半の極夜へ
「コウテイペンギンが来てる!」、無線から声が響いた。「海氷上に2羽!」。カメラを担いで海岸を歩いていた私は慌てた。 ペンギンは見慣れている。群れでやって来るし、昭和基地内を散歩していたのもいたし……というのはアデリーペンギンだ。営巣地が近いので、夏はよく出会う。でもコウテイは違う! 営巣地が遠く、めったに現れない。南極で1年余り暮らしても「一度も見られなかった」という越冬隊員も多い。 それが今、目の前の凍った海の上にいるらしい。「千載一遇のチャンス、撮らなきゃ」と思うが、飛び出せない。海氷はどこに割れ目が潜んでいるかわからず、安全を確認したルート以外は出られない。徒歩や一人でも禁止。基地中心部に戻り、無線連絡を入れて……と手順も踏まなくては向かえない。「待ってて」と祈りながら、分厚い羽毛服に雪ぐつ、重い荷物を抱えて雪の中をどたばた、早歩きと変わらぬほどのスピードに情けなくなる。早くもスノーモービルで海氷上に出ていく隊員の姿が遠くに見えて、なお焦る。 12月21日~南極記者サロン「過酷下も快適、建物技術を宇宙へも」 地球上最も過酷な環境で暮らす南極の越冬隊員たち。その建物には極寒やすさまじい風雪にも耐える工夫や秘密がいっぱい。宇宙基地にもつながる最新研究も進んでいます。越冬経験者が語り合います。参加無料。申し込みは募集ページ(https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11006446別ウインドウで開きます)またはQRコードから。 コウテイペンギンのそばにた… この記事は会員記事です。残り746文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北の大地でワイナリー急増、みかん畑はアボカドに 変わる栽培適地
農業は天候に左右されやすく、気候変動は農家にとって切実な悩みだ。猛暑や長雨といった異常気象が農作物の出来に響く一方で、温暖化に適応しようと、新たな農作物の栽培を模索する動きもある。 農林水産省の「地球温暖化影響調査レポート」によると、国内の年平均気温は100年に1・26度の割合で上昇している。2020年は平年値を0・65度上回り、統計のある1898年以降で最も高くなった。 レポートは「農業は気候変動の影響を受けやすく、近年、温暖化による農産物の生育障害や品質低下等の影響が顕在化している」と分析する。例えば水稲は、出穂期以降の高温が影響し、白く濁る白未熟粒の発生が相次ぐ。品質や収量の低下につながり、2020年に報告のあった都道府県は33自治体に上った。 りんごは高温による着色不良・着色遅延が10自治体であった。温州みかんは、皮が果肉から離れる「浮皮(うきかわ)」や果皮の「日焼け」がそれぞれ9自治体あった。 小麦や米からピノ・ノワール栽培へ こうした温暖化の中で、農家は適応を始めている。 北海道では、温暖化でワイン… この記事は会員記事です。残り1321文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
養鶏場にネズミのフン? 鳥インフル媒介の可能性、農水省指摘
長妻昭明2021年12月15日 9時02分 熊本県南関町の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、農林水産省は疫学調査の結果を公表した。感染経路は特定できなかったが、養鶏場にネズミのふんや野生動物が通れるほどの隙間が確認されたことから、ネズミがウイルスを媒介した可能性があるという。 農水省の疫学調査チームが3日に現地で調べたところ、鳥インフルが発生した鶏舎にネズミが通れるほどの隙間があり、内部でネズミのものとみられるふんや足跡が複数確認された。ウイルスは野鳥やふん、ネズミ、人を介して感染することから、ネズミが感染経路の可能性があるという。 養鶏場は感染リスクのある公道を挟んで鶏舎が2カ所に11棟ある。1カ所は消毒や訪問者用の長靴の用意などの対策を講じておらず、もう1カ所と自由に行き来できるようになっていた。鳥のふんを運び込む堆肥(たいひ)舎では防鳥ネットが張られておらず、いずれも農水省が定める飼養衛生基準に反していた。 その一方で、従業員が鶏舎に入るときは靴底と手指を消毒して定期的に消石灰をまき、鶏に与える水を塩素消毒するなど、基本的な対策は講じられていた。 農水省の消費・安全局動物衛生課は、13日までに国内で今季9例の感染が確認されているとして、養鶏農家に「10月から5月まで海外からウイルスを持ち込むことが多い渡り鳥が日本に来るので、全国どこにでもウイルスがあるものと思って飼養衛生基準を徹底してほしい」と呼びかけている。(長妻昭明) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
乳児を2階から投げ落とし殺害か 容疑の23歳女を逮捕 千葉の施設
2021年12月15日 9時47分 生後間もない男児を建物の2階から投げ落として殺したとして、千葉県警は14日、同県四街道市の自称アルバイトの女(23)を殺人容疑で逮捕し、15日、発表した。容疑を認めているという。女は男児の母親とみられる。 四街道署によると、女は10日ごろから14日午前10時55分ごろまでの間に、同市内の障害者施設の2階から、生後間もない男児を敷地内に投げ落として殺害した疑いがある。女は施設の入居者とみられる。 14日、プロパンガスの業者が、施設の裏の草の上で裸の男児が倒れているのを発見。施設関係者が「建物の裏に裸の赤ん坊の遺体がある」と110番通報した。この施設は精神障害者や知的障害者を対象とするグループホーム。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
太平洋戦争開戦の日、先生は真珠湾攻撃の話をしなかった
太平洋戦争の開戦から80年。1941(昭和16)年12月8日、あえて真珠湾攻撃の話をせず、通常の授業をした先生がいました。「がっかりしたが、今になってみるとすごい人だった」と振り返る教え子の男性が、当時の様子を朝日新聞「声」に投稿してくれました。思想統制の及ぶ教育現場でのその先生の行動は、「あの当時、普通ならできない」と歴史社会学者の蘭(あららぎ)信三・大和大教授は話します。あのころ、人々は何を考え、どう行動したのでしょう。 まずは教え子、長野県の竹松進さん(89)の投稿「開戦 通常の授業した先生」(11月17日掲載)をご紹介します。 「開戦 通常の授業した先生」 太平洋戦争の始まった1941(昭和16)年、私は国民学校4年生。12月8日は月曜日なので定例の全校朝会があり、校長先生から「日本がアメリカ、イギリスと戦争をすることになった」との話がありました。「アメリカは月曜日ではなく、日曜日なんだ」と時差があるのを初めて知ったことだけ覚えています。 教室に戻り、担任の先生から、日本軍の勇ましい真珠湾攻撃の話が聞けると楽しみにしていました。しかし、時間割通り国語の授業になりました。休み時間に隣の組の子たちは「戦争の話をいっぱい聞いたよ」と誇らしげに話してくれるのでした。 先生は修身の時間に教科書を使わず、「良寛さま」を手製のガリ版刷りを使って授業。廊下で学年主任が目を光らせていたことが、子どもながら気になっていました。それからも担任の先生からは戦争の話を聞くことはなかったのでした。 戦後、教員になった私が「戦争の話をなぜしなかったのですか」と尋ねたら、「戦争は嫌いだから」との答えでした。今になってみると、すごい人だったと思います。大人の誰もが負けると言わなかった時のことです。 当日の様子をもっと聞いてみたいと思い、竹松さんにZoomでお話を伺いました。 「戦争慣れ」していた日々 12月8日の朝、ラジオで開… この記事は会員記事です。残り2210文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル