有料会員記事 聞き手 編集委員・塩倉裕 聞き手・藤田さつき2021年12月1日 11時00分 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが1日、20歳の誕生日を迎えた。女性天皇容認案が出たのは3歳のころ。以降、皇位継承をめぐる議論が続くなかで「大人」になる愛子さまへの、私たちの責任は。 皇室の位置づけ、法的に考えて 横田耕一さん(憲法学者) 皇位継承を「男系男子」に限定する今の皇室典範は憲法違反だと私は訴えてきました。憲法14条の男女平等の原則に反するからです。ただ、憲法学界内では少数派です。 そもそも憲法2条で天皇の地位を世襲制と定めていること自体が血統による差別にあたり、14条の「法の下の平等」原則と矛盾しています。この点を憲法学者は「憲法原則の例外」と説明します。そのうえで多数派は、世襲という差別を認めておきながら「男系男子」の差別性を問題視するのはおかしい、などの論理で例外を広く認めます。 私は、たとえ世襲という「例外」を認めるとしても、例外とみなす範囲は世襲のために欠かせない部分に限定すべきだと考えます。天皇と皇族に関するすべてのことを憲法原則の例外とみなすべきではありません。 愛子さんは今、継承問題などで自らの将来設計を考えることすら難しい、めちゃくちゃな中ぶらりん状況に置かれています。それは、政治家も有権者も、彼女のことを考えてこなかったからです。 皇族は何がどう制約されているのか、横田さんの考察は続きます。後半では、元国会議員でジャーナリストの小宮山洋子さんが、いまのままでは愛子さまは自分の人生を見通すことができないと訴えます。一方、欧州政治史に詳しい水島治郎さんは、欧州王室が直面するジェンダー平等など「多様性」の波について語ります。 ただ、天皇と皇族のあり方を… この記事は有料会員記事です。残り3464文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1年4カ月ぶりの観音像に住民は泣いた 豪雨に襲われた「隠れ里」
険しい山に囲まれた盆地を、急流・球磨(くま)川が貫く。 「相良(さがら)700年」といわれるほど長く相良氏の統治が続き、独自の文化が色濃く残る熊本県の人吉・球磨地方。司馬遼太郎が「日本でもっとも豊かな隠れ里」と評した地を昨年7月、豪雨が襲った。 球磨川があふれ、球磨村で25人、人吉市で20人など多くの人が亡くなった。 氾濫(はんらん)の3日後。 人吉市に隣接する山江村で歴史民俗資料館の館長を務める大平和明(72)は、被災地一帯を車で走り回った。=文中は敬称を略します 近年、文化財の被災が増えています。文化財は国や自治体が指定するものだけではありません。「レスキュー」に取り組む人たちの現場を訪ねました。 球磨川の橋げたに、木彫りの仏像が草木と一緒に引っかかっていた。「こんなところにも」。水がひいた河原の木にも。川沿いに多数あったお堂の一部は、跡形もなく流されていた。 「このあたりは集落に一つ以上のお堂や神社があるのが当たり前。そこには仏神像があります」 「隠れ里」には、貴重な文化… この記事は有料会員記事です。残り1637文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
建物の屋根など飛ぶ 栃木県真岡市で強風被害
津布楽洋一2021年12月1日 11時00分 1日早朝、栃木県真岡市で、強風により建物が損壊するなどの被害が出た。同市によると、午前10時半時点で、小屋の屋根が飛ばされたり、木が倒れて道路をふさいだりする被害が約10カ所で出ているという。けが人は確認されていない。 同市西郷では、駐車場兼物置小屋の屋根が飛ばされ、周囲の民家などにぶつかった。小屋の所有者によると、飛ばされた屋根は幅約10メートル、奥行き約5メートルだという。近所に住む60代の女性は「午前6時前にガシャーンと大きな音がして、跳び起きた」と、驚いた様子だった。(津布楽洋一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
津波予想時の水門操作、安全ル-ルが未整備 四国の複数の自治体
阪田隼人2021年12月1日 7時00分 津波が予想される際に水門を閉めに行くべきかどうか――。操作員の安全確保を図る規則や判断基準を作っていない自治体が多いとして、総務省四国行政評価支局は11月30日、改善を促す通知を四国地方整備局に出した。東日本大震災では、水門を閉めようと現場に向かった操作員が相次いで犠牲になったことから、規則の策定が義務化されたが、一部で守られていない実態が明らかになった。 2014年に改正された海岸法では、管理者である自治体は、操作員の安全確保に配慮した操作規則の策定が義務づけられた。国の水門管理のガイドラインも改定され、各施設や操作員ごとの移動や操作にかかる時間を設定するなどして判断基準を作り、実際の津波到達予想時間までに余裕を持って退避できることが、操作する条件とされた。 ただ、法改正以降、実際の運用状況は不明だった。四国行政評価支局が今年度、水門や堤防の切れ目にある陸閘(りくこう)を管理する四国の自治体と、実際に操作する消防団や自治会、企業などに実態を調査した。 その結果、操作規則の策定が義務づけられている19自治体(2663基)のうち、未策定(一部未策定含む)は8自治体(612基)。判断基準を設けていないのは、8自治体を含めた17自治体(1916基)あった。自治体担当者の認識不足や人員不足が主な理由とされた。 支局の担当者は「操作員の中には、自らの危険を冒してでも現場に向かうべきかどうか悩む人もいる。東日本大震災を教訓として、明確なルールを作らなければ、いざという時に使命感の強い操作員が犠牲になってしまう」と話した。(阪田隼人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
出生前検査 そもそも女性が「選択」できる社会になっているか
記者コラム「多事奏論」 岡崎明子 世界で初めて、すべての妊婦に無料で出生前検査を提供する国となったのはデンマークだ。2004年から、ダウン症など染色体に異常がある子が生まれる確率を示す血液検査と、超音波検査を実施している。 その結果、何が起きているのか。 90%以上が検査を受け、子どもに異常があるとわかった親の95%以上が中絶を選択している。19年に生まれたダウン症の子はわずか18人。子どもの出生数が日本と違うとはいえ、少なさにショックを受けた。 デンマークといえば、障害がある人もない人も同じように暮らすノーマライゼーション発祥の国だ。高福祉の恩恵を受けながら、ダウン症の子と共に暮らしていこうという選択をなぜ親はしないのか。 オーフス大のスティーナ・ルー准教授は「検査を受ける時点では、その子の障害が重いのか、軽いのか、予測できないからです」と説明する。中絶を選んだ21組の夫婦への調査では、ほとんどがその決断をつらいと感じていたが、選択したことへの後悔はなかった。 社会的背景が日本とは大きく異なる上、個々の夫婦にとっては悩んだ末の選択に違いない。だから一方的な論評はフェアでない。そう思いつつ、命の選別につながりかねない危うさも感じてしまう。 日本では1990年代半ばに同じ血液検査が自由診療として始まったが、あまり広がらなかった。国が「妊婦に検査の存在を積極的に知らせない」という考えを示したことが大きい。 それが妊娠初期に、より高い的中率で染色体異常がわかるというNIPTが開発され、大論争となった。9年前のことだ。 各メディアは「命の選別につながりかねない」と報じた。私もそのひとりだった。 ただ最近になって、この議論には大事な視点が欠けていることに気づいた。 そもそも当事者である女性は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消えたキンメダイ、モズクも不作 海の異変に「取れる魚を取るしか」
国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える努力を追求することが決まった。気候危機は日本列島にどのような影響を及ぼし、どんな対策が迫られているのか。沿岸漁業の現場では、未知の異変に漁師たちが適応しようとしている。 浜のリーダー集まり 海の変化を共有 「うーん」。船から定置網を引き揚げる顔がさえない。 11月、長崎市の野母半島。岸に近い海に仕掛けた定置網には、高級魚のタチウオがたくさんいるが、地元で「紐(ひも)」と呼ぶ細長い小ぶりのものがほとんど。魚価が落ちるか、値がつかない。同市の漁師平山孝文さん(48)は、「大きくなって戻ってこいよ」と念じながら、海にリリースした。 暖水を好むタチウオは今、海水温の上昇で、東北でも取れる。「海水温の影響で産卵期が遅れているのでは」と首をかしげた。 平山さんは、地元の野母崎三和漁協の組合員で、漁協の若手・中堅の組織「長崎県漁協青壮年部連合会」の顧問を務める。 2019年6月、全国の若手漁師を東京都内に集め、「気候変動下における漁協青年部の役割」と題した研修会(全国漁青連主催)を開いた。北海道から沖縄の漁業者が、気候変動の影響とみられる海の変化をグループで話し合った。 暖水系の魚であるブリが定置… この記事は会員記事です。残り1712文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【写真まとめ】皇族の方々、それぞれの20歳 当時の写真で振り返る
2021年12月1日 0時00分 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが20歳の成年を迎えました。今後、成年皇族として、公的活動や様々な儀式に出席することになります。 皇室の方々が20歳の時、どんなご様子で、どういった活動に取り組んでいたのか。上皇さまをはじめ、天皇陛下、秋篠宮さま、紀宮さま(黒田清子さん)、そして眞子さんや佳子さまなど女性皇族の成年時を写真とともに振り返ります。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京都・宇治トンネル内で車が炎上 2人けが
2021年12月1日 2時30分 1日午前0時ごろ、京都府宇治市の京滋バイパス下り線の宇治トンネル内で、軽乗用車やトラックなど計4台が絡む事故があり、軽乗用車が炎上した。 西日本高速道路によると、2人が負傷。トンネル内で軽乗用車が停車していたところに、後続のトラックなどが追突したとみられるという。 京滋バイパスは、下り線の瀬田東ジャンクションから宇治西インターチェンジ(IC)と、上り線の宇治西ICから南郷ICが通行止めになった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
田中理事長へのリベート、側近と合意か「とにかく機嫌をとるように」
日本大学理事長の田中英寿容疑者(74)が計約1億2千万円の所得を隠し約5300万円を脱税したとされる事件で、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)の前理事長・籔本雅巳被告(61)=背任罪で起訴=が田中理事長にリベートなどを渡すことを2015年ごろに理事長側近らと申し合わせていた疑いがあることが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は現金提供の発端とみて調べている。 田中理事長は、籔本被告や日大元理事・井ノ口忠男被告(64)=同=らから18年と20年に受け取った計約1億2千万円のリベート収入などを税務申告せずに約5300万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで29日に逮捕された。 関係者によると、主な現金提供者は籔本被告で、日大板橋病院の建て替えに伴う設計業者選定をめぐる3千万円のリベートのほか、田中理事長の誕生日や理事長再任の祝い金などの趣旨で複数回渡したという。 「理事長に近づいて機嫌取るように」 指示した人物は こうした現金提供の発端は1… この記事は有料会員記事です。残り437文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【写真まとめ】愛子さま20歳に これまでの歩みを振り返る
2021年12月1日 0時00分 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが12月1日、20歳の誕生日を迎えました。成年皇族の一員として、今後は公的活動の担い手としても活躍が期待されます。「本当に生まれてきてありがとう、という気持ちでいっぱいになりました」。愛子さま誕生翌年、皇后雅子さまは会見で、涙ぐみながら母としての心境を明かしました。名前の通り、両陛下に大切に、愛されて育った愛子さま。貴重な写真とともに歩みを振り返ります。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル