松本英仁2021年11月7日 11時00分 87年前の1934(昭和9)年正月に、東京朝日新聞高田専売所(当時)が読者に付録として配ったとみられる絵双六(すごろく)「高田市商賣(しょうばい)繁栄雙六(すごろく)」が、新潟県上越市内の民家から見つかった。カラー印刷の模造紙大で、旧高田市中心部(現・上越市本町)に実在した商店名が記されている。現在の高田本町商店街は8、9両日に開くイベント「百年老舗まつり」で複製品を公開、双六遊び体験の企画もある。 双六は、36のコマの中に呉服店や飲食店、履物店、書店などの店名や住所、電話番号などが書かれ、広告を兼ねた遊具だったようだ。和装や洋装の女性、「カフェー」などの記載もあり、当時のファッションや風俗などもうかがい知れる内容だ。欄外に「東京朝日新聞高田専賣所」や「昭和九年元旦特別附録(ふろく)」の文字が見える。 イベント主催者「高田本町百年商店街プロジェクト」の宮越紀祢子さん(76)によると、現在も営業中か流れをくむとみられる店は4軒ある。双六の実物は金庫に保管されていたそうで、わずかに折り畳んだ跡が分かる程度。保存状態は極めて良好だ。秋田県には同じ図柄で異なる店名が入った双六が残っており、各地で作られたようだ。 長さ600メートルほどの高田本町商店街は、100年以上の歴史がある商店が40店を数える。宮越さんは「載っている店は、地元でも覚えている人が少ないなど、必ずしも大店や有名店ばかりではないだけに当時の商店街の底力と地域のよさを改めて感じる」と話す。会場に「情報ボックス」を置いて、双六にある店について情報収集も行う考えだ。 拡大した複製品を使う双六遊び体験と展示は8日午前11時~午後4時、9日午前11時から午後3時、いずれも上越市本町4丁目のイレブンビル広場で。(松本英仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消えた二宮金次郎像、一体どこへ?窃盗事件で捜査…銅の売却目的か
平賀拓史2021年11月7日 7時17分 二宮金次郎像がいきなり消えた。栃木県真岡市の市歴史資料保存館。二宮金次郎の銅像は敷地に立っていたが、3日に住民が消えたことに気づいた。市教育委員会は被害届を出し、真岡署が窃盗事件として捜査を始めた。 署や市教委によると、敷地内でグラウンドゴルフをしていた近隣住民が3日午後、台座のみになっているのを発見した。ふだん保存館は無人で、銅像が最後に確認されたのは10月21日だったという。 保存館は2008年、閉校した小学校の敷地に設けられた。高さ1メートルの二宮金次郎像は1978年に建立された。建物は施錠されていたが、入り口門は無施錠だったという。 近隣では太陽光発電施設から銅線が盗まれる被害も相次いでいた。署では銅の売却目的の可能性があるとみている。(平賀拓史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
映える京の秋、災害やコロナに打ち勝て 名物列車でGO
会員記事 鈴木智之、吉村駿2021年11月7日 8時00分 山々の葉が赤や黄色に染まる季節が訪れた。「ここ数年で最も美しい紅葉」という予想も。土砂災害やコロナ禍による運休や乗客減に苦しんできた京都の二つの鉄道会社は、色づいた木々をライトアップして車内から楽しんでもらうイベントを企画。感染防止策に取り組みながら、多くの観光客を待っている。(鈴木智之、吉村駿) トロッコ列車が京都・嵐山を出発し、保津川沿いをゆっくりと進む。トンネルを抜けると、色づき始めた紅葉が明かりに照らされて浮かび上がっていた。10月中旬から始まったライトアップ。11月5日夕方に乗車した兵庫県宝塚市の高校生羽原(はばら)佑花さん(16)は「右も左もきれいで、風も良かった」と笑顔を見せた。 JR山陰線の旧線を活用し1991年4月に開業した嵯峨野観光鉄道(京都市右京区)にとって、保津峡沿いの約1千本のモミジやカエデは大切な観光資源だ。中でもライトアップは人気で、30周年を前に照明の増設を検討していた。ところがその矢先、新型コロナに見舞われた。今年4~6月の乗客は19年の約1割にとどまり、資金は底をついた。 起死回生の一手として今夏… この記事は会員記事です。残り1284文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パラマラソン金メダルの道下美里選手、郷里に金色の郵便ポスト登場
2021年11月7日 8時00分 東京パラリンピック女子マラソン(視覚障害T12)金メダリスト、道下美里選手(44)の郷里、山口県下関市で6日、金色の郵便ポストの除幕式があった。 東京五輪・パラリンピックで頂点に立った栄誉をたたえる日本郵便などのプロジェクト。子どもの頃からなじみがある下関中之町郵便局に設置された。 一帯の商店街の応援に感謝し、「シンボルとなって人通りが増えてほしい」と道下選手。メダルとポストの色と同じようにまぶしい笑顔で元気づけた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
絶滅危惧種のウミガラス、国内唯一の繁殖地で01年以降最多の飛来数
本田大次郎2021年11月6日 10時40分 絶滅危惧種の海鳥、ウミガラス(オロロン鳥)について、国内唯一の繁殖地、天売島(北海道羽幌町)で今年、91羽の飛来が確認された。昨年より26羽増え、2001年以降では最多の飛来数となった。 環境省の発表によると、つがいの数は少なくとも27(前年比3増)、巣立ったヒナ数25羽(同1増)だった。ウミガラスは春に飛来し、その後繁殖、ヒナは7月18日~8月2日の間に巣立った。 ウミガラスはかつて、道内各地で繁殖が確認され、天売島では1960年代に約8千羽が飛来したと推定されている。その後は激減し、02年の飛来数は13羽となった。その後、天敵に襲われにくい営巣地へ誘導するなどし、回復してきた。 環境省羽幌自然保護官事務所では「ヒナの巣立ちが増え、そのヒナが成長して天売島に戻ってきている可能性がある」とみている。今後は、天敵に襲われにくい営巣地の確保などが課題という。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ブラックたこ焼き・マリトッツォ、正体は 甲南大生が込めた思い
加藤あず佐2021年11月6日 14時00分 真っ黒なたこ焼きに中華麺、黒いクリームのマリトッツォ……。甲南大学(神戸市)の学生らが、「竹炭」を使ったフードメニューの普及に取り組み、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。背景にあるのは、六甲山の放置竹林問題を解決したいという、学生たちの思いだ。 武藤彩葉さん(4年)ら6人の学生が取り組む。きっかけは昨年、学生らが地域課題を考えるイベント「関西湾岸SDGsチャレンジ」(甲南大学、朝日新聞社メディアビジネス局主催)に参加したことだ。神戸市内の里山で、荒廃した竹林を目の当たりにした。「地域のボランティアが高齢化して整備が難しいということを知り、自分たちに何ができるかを考えた」と武藤さんは話す。 竹は炭にすれば、有機農業の肥料として使える。「多くの人に、活用を考えてもらうことが大事だと思った」と、メンバーの寺山恵一さん(3年)。パウダー化すれば食品にも使えるため、パンケーキやプリンを作ってみた。真っ黒な見た目のインパクトは抜群。SNSで拡散し、黒さの秘密が竹炭だと伝われば、関心を持ってもらえると考えた。 まずは学内で販売してもらおうと、メンバーは大学生協にメニューを提案。11月に2週間、竹炭でデコレーションしたパンケーキや、クリームに竹炭を混ぜたマリトッツォをカフェメニューに入れてもらうことになった。名付けて、「ブラックうまいデー」だ。 学外にも広げようと、大学周辺の飲食店に竹炭パウダーを使ったレシピを考えてもらった。ハンバーガーやハヤシライスなどのレシピが集まり、インスタグラムで公開した。 メンバーは定期的に、神戸市内の放置竹林の伐採に取り組んでいる。「竹炭パウダーの商品化を目指し、継続的な消費につなげたい」と寺山さん。10月末からCFを始め、竹炭を加工する器具の費用などを集めている。返礼品には、飲食店の協力を得て作った、竹炭入りのたこ焼きや中華麺などを用意した。詳細は、CFのサイト「CAMPFIRE」で「BambooにThank you」と検索。(加藤あず佐) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10月中旬にオイルを大量購入 逮捕時の所持金は2千円に満たず
会員記事 増山祐史、岩田恵実、角詠之2021年11月6日 16時54分 東京都内を走る京王線の電車内で乗客17人が重軽傷を負った事件は、7日で発生から1週間となる。殺人未遂容疑で逮捕された服部恭太容疑者(24)=職業・住所不詳=の事件前の足取りが、警視庁の捜査で明らかになってきた。同庁は事件に至る経緯の解明を進めている。 逮捕容疑は、10月31日夜、東京都調布市を走行中の京王八王子発新宿行きの特急電車(10両編成)で乗客の男性(72)の胸を刃物で刺して殺そうとしたというもの。直後に車両に油をまいて火を放ったとされ、10~60代の男女16人が煙を吸うなどして搬送された。 服部容疑者は7月まで福岡市に住んでいた。同庁の調べに容疑を認め、「仕事や友人関係でトラブルがあった。死のうと思ったができず、2人以上殺せば死刑になると思った」と話しているという。 「神戸や名古屋に1カ月ずつ滞在」逮捕時は所持金2千円 関係者によると、「トラブル」は5月ごろにあった。服部容疑者は携帯電話大手のグループ企業で契約社員として働いていたが、接客をめぐる問題が起きた。会社側は配置換えしたが、その判断に納得せず7月に退職。捜査関係者によると、調べに「仕事にやりがいを持っていた」と言い、事件で使われたとみられる刃物を「6月に買った」と話したという。 福岡を出たのは退職直後。服部容疑者は「神戸市や名古屋市に1カ月ずつ滞在した。旅行をしていた」と供述しているほか、8月に都内で起きた小田急線の乗客刺傷事件に触れ、「電車での犯行を決意した。人がたくさんいる東京で、ハロウィーンに事件を起こそうと思った」などと説明しているという。 捜査関係者によると、9月末に上京し、八王子市のホテルを生活拠点にした。10月中旬にはライター用のオイル約3・6リットルを上野(台東区)の専門店で購入。同店の店員は取材に「1本で1年分になる缶を10本。珍しいと思った」と証言した。人気映画の悪役の服装に似たスーツやシャツも新宿の百貨店で買っていた。 服部容疑者は消費者金融で借金していたが、現行犯逮捕された時の所持金は2千円に満たず、警察官に「疲れた」と話した。泊まっていたホテルからはライター用の大小のオイル缶22本が見つかった。計約5リットルの量で、すべて空だった。(増山祐史、岩田恵実、角詠之) 事件直前まで家族とやり取り 「心の優しい子」との声も 服部容疑者は福岡市の小中学… この記事は会員記事です。残り602文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
猛火に囲まれた遊女、弔い今も 吉原弁財天・東京都台東区
会員記事 文・西本ゆか、写真・相場郁朗2021年11月6日 17時00分 吉原弁財天の中央に立つ観音像=2021年10月26日、東京都台東区千束、相場郁朗撮影 関東大震災で被災した遊女らが息絶えた池の名残を残す弁財天。観音像の顔(かんばせ)は憂いを秘めて美しく、見つめる私もいつしか安らぐ。 艶(なま)めきそよぐ「見返り柳」に見送られくにゃりと曲がる道を進めば、集う客には大きく開き、遊女には固く閉ざした「吉原大門」の跡を伝える街路灯が見えてくる。関東大震災が起きた日に猛火の中を大門に背を向け逃げた遊女は、ほとりに弁天様を祭る廓(くるわ)の池に次々飛び込み、折り重なって息絶えた。 悲劇の3年後に遊女らを悼んで建立された「吉原観音」が静かに佇(たたず)む「吉原弁財天本宮(もとみや)」(東京都台東区)は、昭和の初めに徒歩数分の「吉原神社」へ合祀(ごうし)された飛び地だ。戦後の再開発で埋められた池の名残を境内にとどめ、夜の街で働く男女が今も祈りに訪れる。 関東大震災の火を逃れ、多くの遊女が飛び込んだ弁天池の名残が境内に残る。鮮やかなニシキゴイが泳いでいた=東京都台東区千束、相場郁朗撮影 一歩入ると街の音が遠のき、静寂に包まれるよう。仰げば銀杏(いちょう)や桜の梢(こずえ)、名残の池にはニシキゴイ。地蔵や石碑が並ぶ石畳の道は地元の有志がこまめに清め、朽ち葉ひとつないほど美しい。 10月下旬、つるべ落としの残照にますます赤い境内の幟(のぼり)が線香の煙をまとって揺らめいた。一心に経を唱えるのは作家で僧侶の家田荘子さん。1999年秋から毎月欠かさぬ遊女供養だ。 吉原弁財天本宮。遊女たちを供養する家田荘子さんの読経が続いていた=東京都台東区 記事後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。 初めて訪れた時は苦しむ顔が… この記事は会員記事です。残り838文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
虐待疑われる子どもの一時保護、裁判所が審査へ 厚労省が法改正方針
厚生労働省は、児童虐待が疑われる際などに親から子どもを引き離す「一時保護」について、児童相談所(児相)が行う必要があるかどうか、裁判所が審査して「一時保護状(仮称)」を出す仕組みを導入する方向で検討に入った。今後、詳細を詰め、来年の通常国会に児童福祉法の改正案を提出することをめざす。 厚労省が5日の審議会で示した案によると、一時保護に対して親の同意が得られない場合、児相が裁判所に一時保護状の発行を請求する。裁判官は児相が事前に集めた資料をもとに、子どもの安全確保や心身の状況を把握するといった目的で一時保護を認めるかを審査。必要ないと判断すれば一時保護状は発行しない。 一時保護では、子どもの行動を制限する一方、親権の行使も制限する。親と児相が対立し、長い間の親子分離を招くケースもある。厚労省は手続きの透明性を確保するため、新たな制度を導入したい考えだ。日本も批准した「子どもの権利条約」でも、司法の目を通した手続きを求めている。親が同意している場合は、こうした審査はしない。 子どもの命の危険が迫っているような緊急性が高い場合、先に一時保護をしてから裁判所に請求することも想定する。一時保護から何日以内に一時保護状を請求するのかといった手続きの詳細は決まっていない。 5日の審議会では、裁判所に… この記事は会員記事です。残り248文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
西山ファーム元幹部ら5人を再逮捕、詐欺の疑い 愛知県警
高絢実2021年11月6日 23時29分 愛知県警は6日、副業ビジネスを展開した「西山ファーム」(岡山県赤磐市、破産手続き中)の元幹部で、農園パート業伊藤弘敏容疑者(37)=岡山市北区=ら男5人を詐欺の疑いで再逮捕し、発表した。 再逮捕容疑は2018年11~12月、愛知県小牧市の会社員女性(32)に「クレジットカードで商品を購入すれば、カード引き落とし日までに配当を上乗せした金額が支払われる」などとうそを言って、計約299万円をだまし取ったというもの。 県警によると、伊藤容疑者は顧客管理などを担当。他の4人は勧誘役で、投資者から集めた金額の0・2~1・3%を紹介料として受け取っていた。17年2月以降に4人が得た紹介料はそれぞれ約2800万~約4600万円という。 4人は個人投資家花本将光(32)=大阪市中央区=、経営コンサルタント松本真一郎(34)=名古屋市千種区=、会社役員松井孝朗(33)=同市中区=、会社員山田光賢(34)=同市熱田区=の各容疑者。県警は認否を明らかにしていない。 県警は同社の元副社長の男(40)についても詐欺容疑で逮捕状を取り、行方を追っている。男は現在、海外で生活しているとみられる。 県警などによると、同社は2015年ごろから、指定のサイトで桃などの果物をカード決済すれば、海外に転売して、商品代金に配当を上乗せして支払うとうたったビジネスを展開。17年2月~19年3月に全国の930人から約133億円を集めた。約1億円を出資した人もいたという。一部の投資者が、名古屋や大阪、岡山の各地裁に損害賠償訴訟を起こしている。(高絢実) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル