会員記事 文・中沢滋人、写真・日吉健吾2021年10月23日 17時00分 北海道豊頃町の観光名所。堤防の階段を下りた先、河川敷の広大な牧草地の真ん中に、その木は立っていた。 草原の真ん中で、枝をいっぱいに広げた1本の木。背後から昇った太陽のオレンジ色が、どんどん光を増してくる。シルエット状の枝の間から差す金色の光で、周辺の草に付いた朝露がキラキラと輝いた。 朝日で浮かび上がるハルニレの木=北海道豊頃町 10月のある日。日の出時刻。「この光景を見て一日が始まったら、きっといい日になると思うでしょ」。北海道帯広市の写真愛好家・浦島久さん(68)の言葉にうなずく。 豊頃町の十勝川河川敷にある「ハルニレの木」は推定樹齢約150年。実は2本の木が一体になっている。草原の真ん中で力強く立つ姿は、多くの人々を魅了してきた。浦島さんもその一人。10年以上、週3回は通って四季の姿を撮り続けている。 半世紀前の堤防改修工事で、他の木と一緒に伐採されるところだった。だが、放牧牛が木陰で休めるようにと、枝ぶりの良いこの木が残されたと伝わる。1979年に東京の写真家・姉崎一馬さんが出した写真絵本をきっかけに、全国に知られるようになった。さらに浦島さんの父で、地元で時計電器店を営んでいた甲一さんが四季折々の姿を写した写真集を94年に出し、知名度をさらに高めた。町を代表する名所に育った。 甲一さんは2001年に77歳で亡くなった。浦島さんは若い頃、そんな父に「写真なんか撮ってないで、もっと働けばいいのに」と反発していた。だが、十数年前にふとしたきっかけで木を撮り始めたところ、魅了された。 記事後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。 町にはもう一つ、新しい名所… この記事は会員記事です。残り656文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
夜の街の託児所 シングルマザー安心して働ける環境を
北村玲奈2021年10月23日 17時00分 スナックや居酒屋が立ち並ぶ福井市の繁華街・片町。「ママがお迎えに来る前に寝ようね」。ビルの一室で、保育スタッフの山内千春さん(48)が、子供たちの背中をさする。夜に働くシングルマザーの子を預かる夜間託児所「ぷりベビ」だ。 コロナ禍は、私たちが直面する現実を浮き彫りにし、置き去りにされた課題を可視化しました。31日の衆院選投票日、人々は何を託そうとしているのでしょうか。私たちの現在地を写真でお伝えします。 託児所を運営する柿木有紀さん(52)は40歳の時に離婚。昼はネイルサロン、夜はバー。空いた時間に化粧品販売やホテルの清掃など、仕事をいくつも掛け持ちして働き、3人の子供を育ててきた。似た境遇の母親たちの力になりたいと資金を募り、今年6月にこの託児所を開設した。「深夜のベビーシッターは高い。彼女たちが安心して働ける環境整備が必要です」。 2019年の国民生活基礎調査によると、母子家庭世帯が働いて得た所得は平均231万円。児童のいる世帯の686万円のわずか3分の1だ。昼は非正規の仕事で働く人が多く、生活のためにダブルワークをする母親も珍しくない。そのため柿木さんは、託児所の料金を1時間500円以下におさえ、支援者の寄付でなんとか営業を続ける。 柿木さんはこれまで、一人でも多くの苦しい状況にいる母子家庭に手をさしのべたいと、お米の無料配布や子供用品のフリーマーケットなどを開いてきた。「コロナ禍で失業した母親から『休校で家にいる子供のご飯が買えない』と泣きながら電話がきたこともある。昼夜働く母親は、自治体の支援や国の補助金の情報を探す時間がない。孤立させない支援が必要だ」と訴える。(北村玲奈) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
蒸気機関車D51が11カ月ぶり雄姿 JR山口線「SLやまぐち号」
高橋豪2021年10月23日 18時00分 JR山口線で23日、蒸気機関車(SL)による観光列車「SLやまぐち号」が約11カ月ぶりに運行を再開した。 「デゴイチ」の愛称で知られる「D51―200号機」は定期検査で台車の亀裂や傷を修復し、汽笛の音や黒光りの車体は健在だ。広島県東広島市から家族3人で乗りに来た高尾涼矢君(3)は「かっこいい」と、初めのSLに見とれていた。 12月19日までの毎週土曜・日曜に新山口(山口市)―津和野(島根県津和野町)間を1往復する。 山口線では「D51」の定期検査中、ディーゼル機関車DD51による「DLやまぐち号」を運行していた。もう一つの主力蒸気機関車で「貴婦人」の愛称を持つ「C57」は、昨年10月の運行中に異音が発生して以来、修理が続いている。(高橋豪) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本舞踊家の花柳千代さん死去
2021年10月23日 15時00分 花柳 千代さん(はなやぎ・ちよ=日本舞踊家、本名田中チヨ子〈たなか・ちよこ〉)17日、老衰で死去、97歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主はおい田中栄一さん。 81年に狂言の野村万作さんらと「日本伝統芸能五人の会」を結成、アメリカ各地で公演。同年出版した「実技 日本舞踊の基礎」は英語版や中国語版も出版された。国内だけでなく海外での指導にも尽力。紫綬褒章、勲四等宝冠章などを受けた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
志望業界が採用枠縮小、相談窓口で涙流す学生も コロナ下の就活
川崎市多摩区の専修大キャンパス。10月15日昼、就職活動をサポートする「キャリア形成支援課」に学生の姿はほとんどなかった。 「コロナ前は(東京都内の)神田キャンパスと合わせて1日60人以上が相談に来ましたが、今は10人台です」。同大で十数年間、キャリア関連の担当をしている渡辺正志課長はそう話す。支援課にやってくる学生が激減する一方、大学が設けるオンライン相談窓口の利用者が増えたという。 そもそも感染対策のため授業はオンライン中心で、キャンパスに学生の姿は少ない。これから対面授業が多くなるので学生も増えそうだが、「就活でウェブを使う流れは大きくは変わらないだろう」と渡辺さんは話す。 学生向けの説明会や面接をオンラインで実施する企業は今年も多く、対面とは違う面接のコツを学生に伝えることもある。 大学の就活支援も昨春からオンライン化を迫られ、試行錯誤しながら取り組んできた。就職相談のほか、10月からは内定者が語るパネルディスカッション、OB・OGを招いた相談会、業界ごとの動向の説明会と、就活関連イベントが続く。「最初は手探りでしたが、1年半でオンラインの対応にすっかり慣れました。学生も企業も同じですね」 学生を見ていると、昨年に比べて企業の説明会や面接のオンライン対応について好意的な反応が増えているという。インターンシップもオンラインが増え、渡辺さんたちも学生に参加を促している。 昼前、番組制作の仕事に興味… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
県警Vチューバー動画は「性的アニメ」か 抗議で削除、連鎖した批判
千葉県警が交通安全PRの動画に起用した「バーチャル・ユーチューバー(Vチューバー)」が、全国フェミニスト議員連盟から「性的に描いている」との指摘を受けて動画が削除された。その後、指摘した議連にも批判が起きており、公的機関の広報のあり方や表現の自由をめぐって議論を呼んでいる。 目的は交通安全 事務所は反論「見た目の判断こそ女性蔑視」 問題となった動画は、歩行者向け(約30秒)と自転車運転者向け(約3分)の2本。金髪でセーラー服のような衣装を着た「戸定梨香(とじょうりんか)」が登場し、「反射機材をつけよう」と促したり、「ヘルメットをかぶろう」と呼びかけたりしている。 Vチューバーは、本人は登場せず、仮想のキャラクター姿を借りて「YouTube(ユーチューブ)」に動画を投稿する。戸定梨香は市内の芸能事務所に所属し、昨年から活動を始めた。名前は、市内にある国の重要文化財「戸定邸」や特産の梨からとっている。松戸署が、若者への効果的な啓発にしようと、起用を決め、動画は7月中旬にユーチューブの県警公式アカウントで公開された。 しかし、8月末に増田薫・松戸市議が共同代表を務める「全国フェミニスト議員連盟」が、「腹やへそを露出している」「体を動かす度に大きな胸が揺れる」などとして県警に抗議文を送付。「公共機関である警察署が、女児を性的対象とするようなアニメキャラクターを採用することは絶対にあってはならない」とし、動画の削除や当局の謝罪を求めた。 抗議を受け、県警は9月10… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「下心があった」 同僚女性8人に性的な発言、男性巡査部長を処分
2021年10月23日 9時53分 同僚女性に性的な発言をしたなどとして、茨城県警は22日、県内の警察署に勤務する男性巡査部長(46)を同日付で戒告の懲戒処分にしたと発表した。 監察室によると、巡査部長は、交番や警察署の刑事課に勤務していた2019年10月~今年3月、計8人の同僚女性に性的な発言をしたり、手を握ったりした。今年5月には、対応した事案の関係者の女性の電話番号に「話していいですか」などと私的な電話をかけたり、メールをしたりしたという。女性が署に相談し、監察室が調査をする中で女性職員への発言などもわかったという。巡査部長は行為を認めた上で「下心があった。非常に申し訳ない」と話しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
起こした会社に所属2300人 CEOゆうこすの「起業論」
元アイドルで、SNSの総フォロワー数190万人を誇るインフルエンサーのゆうこすさんは、複数の会社を経営する実業家の顔も持っています。インフルエンサーにとどまらず、会社も起こした理由は何なのか? 起業を考えている人はどうしたらいいの? 若者へのアドバイスも、聞きました。 今日は自分にとってのお気に入り、「ザ・ベスト」な物を持ってきてということだったので、私がプロデュースしたブランドのクレンジングバームを持参しました。以前はほおに片側20個ずつぐらいニキビができるなど肌トラブルに悩んでいたのですが、メイクに合わせてクレンジング方法を変えるなど工夫したらすごく改善したんです。だからスキンケアの中でも、クレンジングには力を入れています。このバームも製薬会社さんと相談しながら、うるおいながら角質ケアできるものになるよう、こだわりました。 元々コスメが好きでしたが、プロデュースまでしたのはインフルエンサーとしての自分の土台を固めたかったからです。インフルエンサーって、常に「バズらなきゃ」と追い立てられている。インフルエンサーの仕事以外に、私の名前が出なくなってもきちんと売れて「自走」してくれる、そんな商品があったら心強いなと思ったんです。 インフルエンサーって、「バ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
会津藩が籠城した1カ月、日めくりカレンダーに 「必見です」
上田真仁2021年10月23日 11時55分 【福島】幕末に起こった戊辰戦争で会津藩が鶴ケ城(会津若松市)に籠城(ろうじょう)した1カ月間の出来事をまとめた日めくりカレンダーが販売され、人気を呼んでいる。 「会津戦争カレンダー」は市内の印刷会社「三洋印刷」が作製し、縦29・7センチ、横14・8センチのA4変型、壁かけタイプ(税込み1千円)。年度や曜日は入らず日付のみ。同社の佐藤浩一・営業部副部長は「毎年繰り返し使っていただきたいためです」と話す。 イラストや説明はフジキサキコさんが担当した。目を引くデザインで仕上げたいと4年前からアイデアをあたため、図書館に足しげく通い歴史を調べてきた。内容に間違いがないか、市文化課の近藤真佐夫さんに監修してもらっている。 籠城戦「5日目」は占拠された小田山から砲撃が続く、とある。小田山の簡単な位置案内のほか、説明の漢字にルビ(読み方)が多い。小学校高学年から理解できる内容を意識し、佐藤さんは「ドラマなどで会津戦争をご存じの方はいらっしゃるでしょうが、実際どんなことが展開されたのかうやむやの方には必見のカレンダーです」と話す。 歴史好きなファンがSNSでカレンダーをアップしていることもあり、鳥取県倉吉市や札幌市、山口県周南市、那覇市からも購入の依頼があるという。初版1千部は完売、2千部を増刷する。問い合わせは、三洋印刷(ファクス0242・24・3669。http://www.aizu-sanyo.com)まで。(上田真仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪のアサガオと木材、閉幕後どこへ行った 地元のレガシー活用戦略
東京五輪・パラリンピック選手村の交流施設「ビレッジプラザ」は全国から集めた木材で建設され、解体後にはそれぞれの地元に木材が返される。競技会場を飾ったアサガオは、育てた学校に鉢が戻された。こうした五輪・パラとのつながりは各地の「レガシー(遺産)」となりつつある。 東京五輪・パラリンピック選手村のビレッジプラザには全国の木材が使われた。柱には「福島県」などの文字も=2021年6月20日午前11時15分、東京都中央区、諫山卓弥撮影 ビレッジプラザには雑貨店やカフェ、メディアセンターなどが設けられ、選手や関係者らが滞在した。木造平屋建てで、延べ床面積約5300平方メートル。柱や梁(はり)には、63自治体で伐採された約4万本のスギやヒノキなどが使われ、木材には産地の印が押された。 大会組織委員会が2017年、「日本の木材活用リレー」プロジェクトとして木材を無償提供してくれる自治体を募った。大会後、建物を解体し、木材に大会で使われたことを示す刻印を施して、来年2月までに各自治体に戻す。「木材を再び活用し、レガシーを身近に感じてもらいたい」と組織委は期待する。 村全体に広がった「ハンガープロジェクト」 プロジェクトを通じ、各地で五輪・パラへの関心は高まった。 長野県の最南端に位置する天龍村。天竜川が南北に貫く、自然豊かな人口1100人ほどの村だ。村からはヒノキとスギを提供した。永嶺誠一村長は「村産材が大会で使われることは、村民の誇りや自信になる。過疎化が進む村にとって大きなレガシーになると考えた」と語る。 その思いは村全体に広がった… この記事は会員記事です。残り1248文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル