新型コロナウイルスの感染拡大により自宅療養者が急増する中、自治体による食料の配達に遅れが生じている。各地で当初の想定を上回る状況になっており、「1週間待ち」のところも。一方で、自治体に頼らない「共助」の動きも出始めている。 「ほしい時に来ない」 注文1日千件超 東京都大田区で一人暮らしの20代の保育士女性に保健所から連絡があったのは感染判明から3日後。そのやり取りの際に配食サービスを希望したが、届いたのは感染から6日後だった。女性は「配食はありがたいけれど、ほしい時に来ない」という。 「食料を送ってくださるよう電話したら1千人以上待ちだそうです」「自宅療養期間終了したところで自治体から食品が届いた」「(保健所から)食料調達も自己管理でと言われた」。SNS上でもこうしたつぶやきが散見される。 東京都防疫・情報管理課によると、配食を希望する自宅療養者は8月下旬時点で1日1600~1700件。保健所から連絡を受け、午前中までに依頼すればその2日後に届くようになっている。ただ、保健所の連絡が遅れることに伴い、配食も遅くなる場合があるとする。 「感染者数の急増に伴い、ただいま申込から配達までにお時間を要しています」「申込から配達までの期間は、数日程度」とホームページ(HP)で記載しているのは千葉県。県健康づくり支援課によると、当初は自宅療養者が保健所に電話して受け付けていたが、感染者数急増で8月上旬ごろから回線がパンク状態に。また、1日あたりの配達件数を2・5倍の約500件に増やしたが、保健所からの依頼が遅れ、時間がかかる場合があるという。大阪市では1日で200件が限界という配達件数に対し、希望は300件ほど。「1週間程度待ってもらう場合もある」と担当者。神奈川県も7月の配食希望数は1日100件ほどだったが、多いときで1400件ほどに急増したという。 埼玉県もHPで「感染者の急増により、御希望に添えない場合があります」としている。食料配達業者に繰り返し増産を依頼しているが、担当者は「限界がある」という。 一方、自治体から委託を受け… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:895文字/全文:1778文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
選手の出待ち?いいえお目当ては… バス好きたちの熱い夏
東京・晴海のパラリンピック選手村の周辺でカメラを構える人たちがいる。選手らを乗せた大型バスが近づくと一斉にシャッターを切る。パラ選手の熱心なファンだろうか。一人の男性が答えてくれた。「いいえ、バスです」 名古屋、大阪、金沢、鹿児島……。東京オリンピック(五輪)やパラリンピックでは選手や関係者の輸送のために、全国各地のバス会社から大型バスが数千台集まっている。10分ほど見ているだけでもあちこちのナンバーのバスが通る。バスを眺め、写真を撮るのが目的だという。 「本来ならその地方に行かないと見られないバスがここで一気に見られる。興奮します」と会社員の柏木瑛人さん(23)。ここに立つのはこの日が2度目。特に年式の古い車体が好きで、古いバスが多く残る沖縄までわざわざ乗りに行ったこともあるという。 一緒に訪れた元同僚の赤井田… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:781文字/全文:1146文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
扉の向こうは別世界? 「東洋のマンチェスター」今に伝える綿業会館
綿業会館=2021年8月20日午後4時20分、大阪市中央区備後町2丁目、新谷千布美撮影 大阪のビジネス街を歩いていると、ふいにれんがに覆われた端正な建物が現れた。三休橋筋(さんきゅうばしすじ)にある「綿業会館」(大阪市中央区)。玄関前にはガス灯も並び、そこだけ時がさかのぼったようだ。建てられてから今年でちょうど90年だと聞き、取材に向かった。 綿業会館の地図 竣工(しゅんこう)は1931(昭和6)年。大阪が「東洋のマンチェスター」と呼ばれ、日本がイギリスを追い越し、綿製品の輸出量世界一に躍り出ていった時代だ。 建てたのは、紡績業や繊維業の関係者による社交クラブ「日本綿業倶楽部」。今回、総務部長の吉山裕二さん(53)に案内してもらった。 吹き抜けの玄関ホール=2021年8月20日午後3時29分、大阪市中央区備後町2丁目、新谷千布美撮影 「普段は会員の方か、その紹介がないと入れません」と吉山さん。いまも会合や会食の場として使われるという。 日本の近代建築の傑作といわれる綿業会館を記者が訪ねました。記事の後半では、まるで異国にいるかのような扉の向こう側を紹介します。 中に入ると、渋い外観からは… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:762文字/全文:1102文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
逮捕の17歳兄も「ある意味で被害者」 大津小1死亡、県が検証部会
妹(当時6)を暴行して死なせたとして、兄で無職の少年(17)が傷害致死の非行内容で大津家裁に送致された事件をめぐり、県の児童虐待事例検証部会(部会長=野田正人・立命館大大学院特任教授)が8月30日、大津市内で開かれた。事件までの経緯を確認し、県内外の児童相談所の連携について話し合った。今後、会議を複数回重ね、再発防止策をまとめる。 兄妹を見守っていた大津・高島子ども家庭相談センター(県の児童相談所)によると、兄は京都府、妹は大阪市の児童養護施設で暮らしていたが、妹が小学1年生になった今年4月ごろから母親と大津市で暮らし始めた。 妹は8月1日、市内の児童公園のジャングルジムの下で倒れているところを救急搬送され、病院で死亡が確認された。一緒にいた少年は「ジャングルジムから落ちた」と近所の人に119番通報を頼んだが、県警は死因を暴行と判断し、4日に少年を逮捕した。 捜査関係者や近所の住民らによると、母親は留守がちで、少年は「妹の世話がつらかった」との趣旨の説明をしているという。少年は25日に家裁に送致され、2週間の観護措置となった。今後、検察官送致(逆送)や少年院送致などの処分を決める。 検証部会は弁護士や医師、元児童相談所長ら7人の委員で構成。まず、亡くなった女児に黙とうをささげた。 県子ども・青少年局の奥田康博局長は「家庭相談センターなどの支援機関が関わりながら事件を防げなかったことを重く受け止めている。検証結果を今後の適切な支援につなげたい」とあいさつ。その後、会議は非公開になった。 終了後、野田特任教授が記者会見を開き、内容を説明。大津・高島子ども家庭相談センターや県の担当者から経緯を聞き、今後の調査について、委員が意見を出し合ったという。 野田特任教授は「兄も妹も、行政が手の内に入れていたが、家庭に帰し、最悪の結果になった。家庭の要因だけではなく、行政としてどうあるべきだったか、しっかり考えることが重要だ」と強調した。 委員からは京都や大阪の児相を念頭に、「児童相談所の間でどのような引き継ぎがあったのか」などの質問が出たという。今後、兄妹にかかわった県外の児相などに調査への協力を求めることも検討する。 野田特任教授は「十分に養育されていない子どもが加害者になってしまった。子育て行政の面でみれば、2人とも、ある意味で被害者という側面も見落とせない」と話した。(鈴木洋和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「一から考える必要ある」 建築家が語るオリパラとコロナ後の街
10月に始まるドバイ万博の日本館のデザインなどを手がけた建築家の永山祐子さん(45)は、東京の街づくりにとって、五輪・パラリンピックの翌年の2021年こそが重要になると考えてきた。今回の東京大会で都市や建築はどう変わったのか。あるいは、バリアフリーの視点はどう生かせるのか。2児の母親でもある永山さんに、話を聞いた。 ◇ 五輪やパラリンピックがあれば、開催都市には何らかの変化があります。でも大事なのはむしろこうした巨大イベントが終わり、日常に戻った翌年以降です。そうした考えから2019年に建築展などからなるイベント「TOKYO2021」の企画アドバイザーを務めました。皮肉にも、大会の開催が2021年になってしまったのですが。 1964年の五輪の時は、首都高速道路などの都市インフラが整備され、日本武道館や丹下健三さん設計の国立代々木競技場が都心にできました。それに比べ今回は、国立競技場は建て替えられましたが、ほかの新施設はほとんど湾岸地区にできて、日常の暮らしに大きな影響を与えるものではなかったと思います。 今回は結局、新型コロナウイルスの感染拡大ということで、仮想空間の存在が大きくなったと思います。ウェブ会議など仮想空間の使い方が進んだところで、五輪・パラリンピックが無観客で始まった。配信も充実し、テレビも含め競技をバーチャルで見ることになりましたが、それでも親しみを感じる。仕事や移動の途中に楽しんだ人もいると思います。 テレワーク推進などの動きは以前からありましたが、コロナ下の状況が大きく後押ししたとも言えます。私は実は、JR高輪ゲートウェイ駅(港区)前のパブリックビューイング会場のデザインを手がけていました。工事は進んでいて、2020年に大会があれば完成していたはずなのですが、延期になったために、工事は途中で終わってしまいました。メインの場所も、基礎のコンクリートを打って、鉄骨まで用意していたんですけどね。本当なら競技の映像を楽しむための一つの場になっていたはずです。 60年代の丹下さんたちは、これからの東京を造らなければならないという思いだったのでしょうが、私たちの世代は、もうできている都市をどう読み取り再生させるか、と考えます。最初にお話しした建築展でも、東京湾に浮かぶ1キロ四方の仮想の島を舞台に、議論やワークショップを重ねて、今の東京を批評し、これからの都市について考えました。 五輪やパラリンピックはもともと、そんな風に都市について考えるきっかけになっていました。それが「2021展」の原動力にもなっていました。この展覧会の記録集のような本も、近く出版される予定です。 私自身は、都市を俯瞰(ふか… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1040文字/全文:2172文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パインアメで2千安打達成が見通せる? 西武の栗山選手、あと2本
朝倉義統2021年9月3日 8時07分 パインアメを製造販売するパイン(大阪市)が、西武ライオンズ栗山巧選手の2千安打達成を記念し、パインアメのオリジナルパッケージを作った。 栗山選手は、パインアメが「好物」と公言している。パッケージ中央には、パイナップルの代わりに本拠地メットライフドームに模したイラストを描いた。 2千安打まで、あと2安打。達成した際にメットライフドームで配る予定だ。「穴」が開いたパインアメの効果で、偉業達成の見通しも良くなった?(朝倉義統) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
車の踏み間違い事故、5年で2万件超 データレコーダー搭載義務化へ
会員記事 田内康介、磯部征紀2021年9月2日 18時30分 母子2人が死亡するなどした東京・池袋の暴走事故で、2日に禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を受けた飯塚幸三被告は当時87歳。判決が認定した事故の原因は、アクセルとブレーキの踏み間違いだった。 警察庁によると、アクセルとブレーキの踏み間違いによる人身事故は過去5年(2016~20年)で2万1103件発生し、248件が死亡事故につながっている。 このうち、運転手が75歳以上だったのは人身事故が4146件、死亡事故が141件。それぞれの事故全体に占める割合は75歳未満と比べて高くなっており、警察庁は、高齢による認知機能の衰えなどが事故につながっているとみている。 事故の記録装置、新型車に搭載義務化へ 来年7月にも こうした事故で原因を特定しやすくするため、国土交通省が搭載の義務化を検討しているのが「イベント・データ・レコーダー(EDR)」だ。事故前後の運転操作の内容を記録する装置で、9月下旬に道路運送車両法に基づく保安基準を改正し、早ければ来年7月以降の新型車から適用される。 飯塚被告の車にも事故時の車両データが残されており、判決は、ブレーキが踏まれずアクセルが最大限まで踏み込まれていた記録などを踏まえて運転ミスを認定した。16年に福岡市で10人を死傷させた暴走事故では、被告が「EDRの記録は正確ではない」とする無罪主張を福岡地裁が退けている。 義務化が検討されているED… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:858文字/全文:1457文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
尾身会長がインスタデビュー 「科学だけで決められないことある」
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長が、自身の名前のインスタグラムのアカウントを開設した。8月30日に、「こんにちは、尾身茂です」と白いTシャツ姿の写真を初投稿。若い世代への情報発信や意見交換に使いたいという。フォロワー数は、2日午後6時半時点で10万人を超えた。 1日の投稿では、「実は、コロナ対策は『科学だけでは決められないこと』がたくさんあります。たとえば、コロナとの戦いが長期戦になる中で、『どんな社会で生きていきたいか?』ということなどです。これは皆さんと話し合って決めることだと思っています。一緒に話し合って、皆さんの声を政府に届けたいです」と呼びかけた。 インスタグラムの開設について、尾身氏や分科会メンバーの一部が所属する「コロナ専門家有志の会」が投稿サイト「note」で同日、経緯を報告している。 インスタグラムを通じて質問… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:217文字/全文:597文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
神戸市の私立高校で66人感染、部活動でクラスター 同じ体育館使用
神戸市長田区の私立育英高校(生徒数931人)で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、生徒と教員計66人が感染していたことがわかった。学校側は、部活動で使った体育館の換気や設備の消毒が不十分だった可能性があるとしている。市内の学校で発生したクラスターとしては過去最大という。 同校によると、8月20~31日、五つの部に所属する生徒計64人、顧問2人の感染が判明した。どの部かは公表していないが、いずれも同じ体育館を使っていた。冷房のため、換気の頻度は少なく、熱中症対策でマスクを外して活動することもあったという。 同校では8月30日から新学期が始まった。クラスターの発生は夏休み中だったことや、部活内の感染にとどまっていることなども踏まえ、臨時休校などの措置はとっていない。内橋紀裕校長は「換気や消毒など感染防止を徹底したい」と話した。 神戸市内では、若い世代の感染が増えており、直近1週間の感染者のうち10代が15・5%を占めている。(鈴木春香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「控訴しないで」遺族の松永さん訴え 裁判長の言葉に涙 池袋暴走
「控訴してほしくない」――。東京・池袋で車の暴走事故を起こした旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に東京地裁が禁錮5年の実刑判決を言い渡した2日、妻子を亡くした松永拓也さん(35)らが会見し、心境を語った。 事故は2019年4月に起こり、横断歩道を自転車で渡っていた松永さんの妻・真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が亡くなるなどした。裁判で飯塚被告は車両の異常を訴えて無罪を主張したが、判決は「ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けた」と認定した。 「この判決で命が戻ってきたらどれだけいいかと思い、むなしくなった。ただ、むなしさと同時に生きていく力になるはず。苦しかったが、裁判に参加してよかった」。拓也さんは判決後の会見でそう語った。一方で、「事故当時の大きな波から比べたら穏やかにはなっているが、この悲しみは一生続くだろうと思う」とも話した。 飯塚被告が判決を不服として控訴する可能性については、無罪主張と同じく被告の権利なので尊重すべきだとしつつ、「私の思いとしては控訴してほしくない。客観的に下された判決を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と求めた。 この日の公判では、裁判長が判決文を読み上げた後、飯塚被告に「判決に納得できるのなら、自らの過失を認めて真摯に謝っていただきたい」と声をかけた。拓也さんはその言葉を聞いて涙が流れたといい、「裁判官の言葉は遺族の悲痛に寄り添ったものだった」と振り返った。 「心からの謝罪をする最後のチャンス」 禁錮7年の求刑に対して禁錮… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:287文字/全文:942文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル